『君に会いたくて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君に会いたくて
「はぁ」
ソファに寝転がり、スマホを見る。
見たいものがあるからではなく、暇つぶしに。
「…つまんねえな」
なんとなく見ているだけの画面。自分の気になる情報もなく、ため息だけが増えていた。
「今頃君は、頑張っているのかな」
思い浮かべるのは大好きな君。
できるなら毎日でも会いたいけれど、しばらく会えていない。
というのも理由は簡単で、君の会社の繁忙期だから。
「あぁ、会いたいな」
もう少しすれば、忙しいのも終わるから、それまで待ってて。
という君の言葉を信じ、その時を待つ。
「…君が頑張ってるのに、俺は…そうだ」
ゴロゴロしてる場合じゃない。
君に会えたとき、お疲れさまの労いをするために、手料理を振る舞おう。
料理は初心者だけれど、今から頑張れば。
君に会いたくて仕方ない気持ちを心の奥に封じ込め、俺は料理の練習をしようと決めたのだった。
『君に会いたくて』
彼女に「会いたい」なんて言わせたくなくて、俺は許す限りの時間を彼女に押しつけてきた。
彼女は常に、俺の想いを顔色ひとつ変えずに受け入れてくれる。
今日も、当たり前のように応えてくれるものだと自惚れていた。
「これから会いに行ってもいいですか?」
通話を繋ぎ、建前でしかない断りを入れる。
『しばらくは無理』
「え」
既に彼女の自宅へと足を運ばせていた俺にとって、彼女の返事は寝耳に水だった。
しかも、今日だけではない「しばらく」という曖昧な期間を設けられてしまい、心が掻き乱される。
「しばらくってどのくらいですか?」
『えーっ、と。多分、1週間くらい、……かな?』
歯切れ悪く応えた彼女に、俺は愕然とした。
1週間!?
会えなくなった1週間を跨いだあと、彼女は海外遠征が控えていた。
今月はもう実質会えないことを示唆されて発狂する。
本気で言ってるのかっ!?
俺は彼女に会いたくて会いたくてたまらないのにっ!?
「あの、1週間も会えないほどの用事って、なにがあったんですか?」
冠婚葬祭、合宿、練習、メンタルケア、彼女が俺よりも優先しなければならないことをリストアップしていたらキリがない。
少しでも溜飲を下げるためにせめて原因を教えてほしくて、つい、深追いしてしまった。
『大事な用事、って、いう……かっ』
しどろもどろだった彼女が、さらに歯切れを悪くする。
『そ、そのっ、…………ニ、ニキビ、が、で、できちゃって』
ニキビ?
徹底された食生活と生活リズム、上質な寝具を使っている彼女に?
にわかには信じがたい彼女の言葉に耳を疑った。
「今から行きますね」
『え、はっ!? ちょっ』
動揺して上ずった愛らしい声を惜しみながら、俺は通話を終える。
携帯電話をポケットに入れて、彼女の自宅まで全力でダッシュした。
*
彼女のニキビなんてウルトラレアすぎるし、かわいいに決まっている。
できたでほやほやのニキビを見逃すなんてしてたまるものか。
絶対に見たいがっ!!??
彼女の自宅のエントランスでインターフォンを鳴らしまくった。
なかなか扉を開けてくれないから、着信もいっぱい残してやる。
『しつこい! 無理だって言った!』
12回目の着信で、我慢できなくなった彼女が癇癪を起こした。
「俺は了承してません」
『そっちが勝手に電話切ったクセに、そんな主張通してくんなっ!』
彼女とのやり取りの途中、マンションの住人らしき人とすれ違う。
ここで俺がもだもだして、彼女の評判が悪くなってしまったら大変だ。
「……わかりました」
頑なにエントランスの扉を開けてくれない彼女に、落胆の息をつく。
今日は本当に諦めるしかなさそうだ。
「出待ちするので、明日、ニキビパッチのペッタンで手打ちにします」
『は??』
「これ以上はマンションの人たちに迷惑をかけてしまいそうですし」
『……通報されても知らないからな?』
自分で通報しないあたり、彼女の優しさが沁み入る。
が、それはそれ、これはこれ、だ。
「そうは言われましても、俺は俺であなたのニキビを諦められません」
『…………もう、勝手にして……』
電子音を立てたあと、ようやくエントランスの扉が開かれる。
そこから先は、スムーズに彼女の自宅まで押し入ることができた。
彼女は面白くなさそうにギリギリと歯軋りを立てているが、コーヒーまで入れて俺をもてなしてくれる。
ローテーブルの前に置かれた座椅子に座り、マグカップを手にしながら俺は切り出した。
「あの、そんなに押しに弱くて大丈夫ですか?」
「あ?」
俺の心配をよそに、彼女は不機嫌なままソファに背中を預けて足を組む。
「いっぺんそのふざけた右頬を差し出せよ。下から突き上げてやる」
「ぷっ。その身長だから振りかぶれないだけでしょう」
お口の治安が悪くなっておっかないことを言っているが、体も腕も手も俺よりも小さいことを一生懸命に主張していて庇護欲を掻き立てられただけだった。
「はあぁ!? それ! れーじくんがデカいだけだからっ!」
「あなたはちっちゃくてかわいいですよ⭐︎」
コーヒーを半分ほど減らしたあと、彼女の隣に移動した。
居心地悪そうに顔を逸らすが、俺から距離を取ろうとする気配はない。
キュッと引き結ぶ唇に目が移ろい、ここへ来た目的を忘れてしまいそうだ。
「どこにできたんです?」
逸らした顔からはニキビは見当たらない。
「……」
首を横に振る彼女の顔には触れられないから、代わりに小さな耳にそっと触れた。
指の腹で耳たぶを指で擦り合わせると、鼻の抜けた声が漏れる。
「ちょ、やめ……っ」
「ね。教えて?」
「ぅ、やだぁ」
しおしおと声を萎ませてしばらく耐えていた彼女だったが、俺が爪で耳の軟骨を引っかいたところで観念した。
「お、おでこのところ……」
ニキビに触れないように、そっと彼女の前髪を横に流す。
彼女の言うとおり、こめかみの生え際にひとつ、皮膚が赤くぷっくりと膨れ上がっていた。
「おやまあ」
白い肌と青銀の髪の毛の色が、ニキビの赤を強く引き立てている。
「ずいぶんと、かわいい子が出てきましたね?」
「かわいくないっ」
ぷりぷりしながら彼女は俺の手を払いのけたあと、真っ赤に染まったかわいいお顔まで両手で隠してしまった。
「この年になってニキビとか恥ずかしいから……ホント、勘弁して……」
「なら、もっと恥ずかしいことをして上書きしましょうか?」
「それ、応急処置にもなってないからな?」
隠した両手を掴んで下ろせば、彼女は唇を尖らせて拗ねている。
不機嫌な薄い桜色の唇をなぞれば、小さな期待が音を立てた。
「でも、気は紛れるでしょう?」
「紛れるというか、それどころじゃなくなる」
揺れる瑠璃色の瞳に熱がこもり始める。
その熱をさらに高めるために、俺は彼女の唇をそっと塞いだ。
君が遠い遠い異国の地に旅立ってから、早2年。普段は忙殺されて思い出すことも無い寂しさも、夜になればぶり返してくる。
そんな夜は、君と過ごしたあの夜をなぞるのだ。
カップにココアをたっぷり入れて、温めたミルクを少しずつ注いで。丁寧に練り上げながら淹れたココアに、またたっぷりのマシュマロを浮かべて少し炙る。君がよく、眠れないと嘆く僕に淹れてくれたココアだった。
一口口に含むと、笑ってしまうくらい甘ったるくて、胃の中からじわりと温もりが広がる。
この時間なら、向こうはまだ昼間だろうか。仕事が忙しくないのなら、いっそ電話でもかけてしまおうか。
そんな考えが浮かんだ頃にはもう、手にはスマホがあった。
無機質なコール音が数回響いて、それから少しだけ間を空けて、愛しい声がスピーカーを通して聞こえる。僕の知るものと変わりない、低くて落ち着いた、眠気を誘う声。
『もしもし?珍しいね、電話なんて。何かあった?』
そんなありふれた一言で泣いてしまいそうになるほど、僕は寂しかったみたいだ。心配させまいと声を出そうとしたが、僅かに息が漏れ、震えた嗚咽が零れるだけでまともに話せなかった。
『え、ちょ、な、泣いてる?大丈夫?』
あからさまに慌てだした声と背後から聞こえる紙束が落ちるような音。そそっかしい彼のことだ、仕事の書類でも落としたのだろう。
その光景を瞼の裏に映したら、寂しいなんて考えていた自分が馬鹿らしくなってくる。今度は笑みが零れて、けれどその笑い声は震えていて、なんだかもうめちゃくちゃだった。
彼の戸惑う声が耳にずっと響いて、すぐそばにいるようなそれに安堵した。僕は涙を拭って、きっと見えてはいないけれど、それでも彼が好きだと言った笑顔を浮かべて、口を開いた。
「……ばーか。気になるなら早く来てよ。……寂しいから。」
しばらくスピーカーの向こうが無音になって、それから派手に何かをひっくり返すような音がする。
『ぃ、いま、今なんてっ?』
困惑と申し訳なさ、それからどうしようもない愛おしさで蕩けたような声で彼が言うから、またころころと笑ってしまった。
テーマ:君に会いたくて
君に会いたくて
ふと会いたいなと思う人がいた
2年前に卒業していった先輩
その先輩は、優しくて、私を妹みたいだと言って可愛がってくれた
卒業式の日プリクラを撮って、一緒に楽しく話しながらご飯を食べたあの、とても贅沢で、でもあたたかいひととき
この日を境に先輩とは会えていない
あれからお互いの誕生日が近づくと、
お祝いとともに会いたいねとメッセージで話すことはあったけれど、なんだか1歩踏み出せない
先輩は今どこに住んでいるかも分からなかった
引っ越しをしたのだとしたら、連絡しても、会えないし気を使わせてしまう
そして、会わなくなってから2回目の先輩の誕生日
先輩は、20歳になっていた
そこで私は、1年前と同じく、また会えたら嬉しいですというメッセージを送った。
その後、ハートがついた
でも、特にやり取りすることもなく、終わった
それから数日後、先輩がSNSのストーリーでジョッキと、ご飯の写真を載せていた。
その瞬間、私は悟った
あ、もう私と先輩は違うんだと
「違う」というのは、環境も年齢もだが
もう、先輩が見ている、生きている世界に今はもう入れない
社交辞令みたいに誕生日の度に会いたいとメッセージを送るだけの関係、もう終わりにしよう
そう思った
私は最初は1歩踏み出せば良かったのかもしれない、そうしたらなにか変わったかもと思っていた
でも、私たちの関係は、学校という環境があったからできたもので、そこを離れたら成立しなくなるものだったのかもしれない
私は先輩が、これから幸せに元気で生きていけることを願おう。
もしかしたら、今は世界が違うけれど、未来にまたどこかで、薄まった縁がまた濃くなってくるかもしれない
お互いの何かがカチッとはまって、会える日が来るかもしれない
でも、もう会えないかもしれない
それでも私は、今ある縁、今周りにいる人を大事にしていこうと思う
そして私は、新しい人とまた出会っていく
そのために積極的に行動したい
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読んでくださりありがとうございます!
1年ぶりに投稿しました✨
本当にお久しぶりです
今回書いた話は、ほぼ実話です
私の思ったこと表現したいものを書けたので良かったです
今は、すごく自分の生活から書きたいなと思う出来事が多いので、それを今後もちょっとずつ表現して行けたらなと思います
「オジサン、今日も海へ行くの?」
その問いに、俺は静かに頷いて肯定した。
俺が海に行くと言うと、親友の娘は必ず悲しそうな顔をした。しかし、今日は違うみたいだ。
「わたしも一緒に行っていい?」
「いいけど、今日は少し遠くまで行くよ。帰りが深夜になっちゃうかも」
「うん!」
娘は行く気満々だ。既に準備はできているらしい。
父親と同い年の男と、深夜まで二人きりなんて。年頃の女の子は嫌がるものだと思うが。
髭を剃ったり、寝癖を直したり。一人だったら、髭は剃らなかったと思う。寝癖も、帽子を被って隠しただろう。身形の関心はその程度だったのに、俺も随分と変わったな。
娘はリビングのソファにちょこんと座って、静かに待っている。わがまますぎても良くないが、いい子すぎるのも心配だ。
「お待たせ」
声をかけながら見た娘の鞄は、何故かパンパンに膨らんでいる。
「海に行くだけなのに、大荷物だね」
「遠出するならお菓子も持っていかなきゃ!」
バイト代をお菓子に注ぎ込んでいるのは知っていたが、俺と食べるためだったとは。途中で飲み物を買って、車内でプチパーティーでもするか。
予想に反して、車内は静かだった。海に着くまで、お菓子も口にしていない。
「オジサンは人探しをしているんだよね?」
停車と同時に娘が言った。少しだけ空気がピリピリしている。不貞行為を問い詰められるような気分だ。
「見つからないと思うけどね」
諦めを隠さずに答えた。探している人が見つからないなんて、最初からわかっていることだ。
「だったら、探すのやめちゃおうよ」
俯いたままこちらを見ない娘は、弱々しい声で言葉を続ける。
「お父さんから聞いたよ。オジサンが中学生の頃から探してるんでしょ」
「うん」
「自分から探すように言ったのに、どこにいるかも教えないなんて、その人はオジサンと会う気はあるの?」
「……夢の中で言われたんだ。だから、実在するかもわからない。俺が勝手に予知夢だと信じて探してるだけだよ」
娘はポカンとした顔で俺を見た。「はぁ?」とでも言いたそうに。
俺の独り善がりに娘を付き合わせたことを、申し訳なく思う。しかし、やっと決心がついた。夢の中で会った彼女を、これ以上探すのはやめよう。
――私を探して。あなたの幸福のために。
夢の中でそう言われて、彼女を探していた。だけど、彼女に会うよりも先に、俺は幸せを手にしていた。
架空の人物に対して、俺のために真剣に怒ってくれる。そんな女の子が、俺の傍にいる。
親友の娘が俺に向ける愛情が、俺にとっての幸せだと再確認できた。
「君に会いたくて彷徨った日々も、無駄ではなかったね。夢に出てきてくれて、ありがとう」
海に向かって、静かにそう呟いた。
君に逢いたくて
私には一匹だけだ
他に言うことはない
またね
がんばってね
いつものように軽く挨拶をした
なんてことないと思ってたのに
こんなにさみしいなんてね
君に会いたくて
毎週会うのを楽しみにしてるんだ
今週は会えるかなぁ🎶
明日晴れるといいなぁ«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク
残酷にもとめどなく土砂降りの土曜日
私の目も涙で土砂降りTᴖT
会いたい想いも溢れ出し、私はカッパを手に持ち
家を飛び出し土砂降りの中我武者羅に走りだした≡┏( `Д´)┛
行きつけの喫茶店になんとかたどり着く
喫茶店のマスター「あひゃぁ〜びしょびしょじゃないか!」と驚き隠しきれずにいるマスター
私「ちゃんとカッパ手に持ってたんですけど濡れちゃいました💦」
マスターは私が濡れてる事もすっかり忘れいつものかい?と聞いてきたので「はい!」と返しました
おまたせ!!と目の前にいつものナポリタン🍝
「ナポリタン…私はね、君に会いたくて来たよ!頑張って来たんだよ🥲」
そしてまた溢れ出す涙
これからも会いに来るね!
「君に会いたくて」
私は、外出時愛犬、愛猫を自宅に留守番させるのがあまり好きではない。
理由としては、愛猫や愛犬の事かわ気になりすぎて、何をしていても、身が入らない。
頭の片隅に絶対、愛犬愛猫の存在があり、消える事がない。
なので、愛犬は、ほぼほぼ、私の外出についてくるし、愛犬が行ける場所しかほぼ行かない。
愛猫は、車と外が苦手なタイプで過呼吸にかるので、仕方なく留守番だが、元々あるペットカメラと、愛猫用に、カメラを2台追加購入した。
いる場所が様々で1台のペットカメラで、2匹を捉えるのが難しいし、愛猫は、高い場所に居る事が多く、視覚になりやすい。
3台のペットカメラになり、外出時は家の中をスマホで、ずーっとうつしている。
愛猫は、最初少しだけ、ほんとに気持ち程度だが寂しい素振りをするが、すぐ1人の時間を満喫しだす。
切り替えが早い性格なので、ホッとしてられる。
『君に会いたくて』
君に会いたくて、三千里。
笑う顔が見たくて、走って来た。
○○○
世界は崩壊した。
進化するAIに乗っ取られたのだ。
人類は一丸となってAIと戦い勝利したが、残されたのは文明の破壊された瓦礫の残る世界だけ。
失ったものは、大きい。
私には幼馴染みが居る。
昔は向日葵畑で虫かごと虫取り網を身に付けながら、私の手を引いてニコっと笑いかけてくれるような子だった。
今は私より背が高くなり、逞しくなった身体に迷彩になった服とナイフを身につけて、やはり昔と変わらない笑顔でニコっと笑いかけてくれる人だ。
『直ぐに戻ってくるよ。ちゃんと無事に戻ってくる』
『あのね、AIから世界を取り戻したら……俺と結婚してください』
私は今、空き缶のプルタブで出来た、子供の玩具よりも拙い指輪を薬指に嵌めて、大事に大事にそっと上から右手で触れて抱き締めていた。
子供の頃の私がみたら、笑ったちゃうような、そんなお粗末な指輪こそが、私にとっては何よりも自慢出来る産物だ。
「大丈夫かな……ちゃんと、また会えるよね? もう、戦争は終わったんだもんね??」
誰に問いかけるでもない問いが、思わず口から零れ出る。
当然、答えはない。分かりきっていたことだ。
しかし、その事実に私は強く唇を噛み締めた。
上を向く。駄目だ。私は強く目を瞑った。涙が零れないように、強く強く。泣いてしまったら、自分の中のナニかが終わる、そんな気がしていたからだ。
すん、と鼻をすすった。真っ暗な世界の中、周りで喜ぶ人たちの声がどこか遠く聞こえる。
……戦争に行かないで、と引き留めれば良かったのだろうか。
いいや、出来ない。
彼はそれで待っていられるような、それが平気な人なんかじゃあなかった。
いつも世話しなく行動していて、迷ってる人が居たら、つい後先構わずに損得ではなく自分がしたいからと手を引いてくれるような、そういう人なのだ。昔から。
だから何も言わなかった。言えなかった。
溢れきれない涙を流しながら、否定の言葉を吐かないように口を固く、固く噛み締めて、言葉の代わりに手をぎゅっと強く強く握った。
彼は何も言わずに、とても愛しいものを見るような目で笑ったあと、私の背中をぎゅっと抱き締めてくれた。
その温かさは、今でも覚えている。きっと一生覚えているだろう。
「戦死者の発表を行う!」
肩がピクリと跳ねた。聞きたくない気持ちと、聞かなければいけない気持ちで、頭が可笑しくなりそうだった。
「ーー」
彼の名前だった。
何度も何度も、何度も何度も何度も何度も……頭の中で繰り返した言葉は、やはり彼の名前だった。
頭が真っ白になる。涙が止まった。
世界が急に色褪せていく。時が止まって、ジオラマの白黒写真のパラパラ漫画のように人の動きが見える。
ふっと糸が切れて――崩れ落ちた瞬間だった。
「おっと、大丈夫?」
意味が分からなかった。言葉の羅列が呪文のように聞こえた。
カクカクと油の切れたブリキのおもちゃのような動きで首を動かし声の主を見る…………彼だった。
まごうことなき、あのとき見た、彼そのものだった。
「な、なん……で?」
幽霊だろうか。私に最期のお別れをしに会いに来たのだろうか。いや、今、私の崩れ落ちかけた身体を支えているのは彼じゃないか? なら、身体があるのか。どうして?
色々なことがグルグルと回る。
彼は少し照れたように頬をかいて、笑いながら口を開いた。
「いやぁ、君に会いたくて三千里。笑う顔が見たくて、走ってきた」
「!!」
嘘だ。これは夢だ。きっと意識を失って、私は都合良い夢をみているんだ。ならずっとこのままでいい。起きたら夢が覚めているなら、会えなくなるなら、このまま死ね。
「……その気持ち焦っちゃって、思わず点呼とか取る前に走って来ちゃって、そしたら死亡者扱いされちゃった。ごめんね」
これは現実だ。本人そのものだ。こんな悪夢の体現みたいな事をやらかす人間を、私は幼馴染み一人しか知らない。昔から先に身体が動く彼は多くの人を助けつつも、多くのトラブルも一緒に作って来ていた。そんな彼、そのものだった。
私はなんだか、ようやく本当に彼が帰った気がして、口を開く前にポロリと涙が零れた。
「ほんと、ばか…………おかえりなさい」
「うん、ただいま」
おわり
「君に会いたくて」
君の仕事はトラックの運転手、
私は食品を管理する仕事だ。仕事は違うけど、同じ会社で働いている。私がこの仕事を始めたのは4年前。
新しい環境で不安がいっぱいだった
そんな時初めて声をかけてくれたのが君だった。
背が高くて優しくて、かっこよくて、話しかけられた時はものすごくドキドキした。
そこから話すようになって、気づけばいつも目で追っていた。出勤時間も違えば、帰る時間も違う。
それでも君に会いたくて、話したくて、近くに行ってしまう。もちろん仕事に支障はないように。
君に会えればいつだって嬉しい。
君に会えれば疲れだって飛ぶ。
君に会えれば嫌な事だって忘れられる。
いつも君に会いたい。
君に会いたくて
私達家族はこの日の事を純粋に心温まるエピソードとして記憶した
これが母の徘徊の始まりだったかどうかは定かではない
---------
駅裏の路地まで来たよ ここなの?
見覚えがあるような ないような
おかあさーん
娘の声だ
私を呼んでいる
良かった無事で
お買い物途中に急にいなくなるんだもん
さっき駐車場のワンちゃんと話していたでしょ
そしたらお母さんがワンちゃん連れて歩きはじめたのが見えてビックリ
飼い主さんと一緒に追いかけたけどここの路地で見失っちゃった
飼い主が友達だったからよかったけど
いきなりどうしたの?
私にもわからない
この子見ていたらあーちゃんを思い出しちゃって…毎日お散歩したなって
そしたらこの子が私を連れて来てくれたの
丁度この辺りの美容院だったよ里親さんが
子犬のあーちゃんに出会った場所?
そうそう小学生の私がおねだりしたんだったね、思い出して来た
今月私達は長く住んだこの町を離れてしまう
家族全員で愛犬に花を供え別れを告げたあの日から20年、2度目の別離の前に
意識のどこかで母はもう一度君に会いたくて
始まりの場所を見ておきたかったのかもね
「君に会いたくて」
君に会いたくて
恋焦がれる夜
愛が深まるのは
会ってない時なのかなと
思ったりする
ふと、君の写真フォルダを開いては
笑顔を探して
安心したりする
君が珍しく
怒った日
僕は覚えてるよ
君は何時になく
イライラしてた
僕はブルーの日って気づいてなくて
君に困ったりした
でもさ、
君が怒っても
僕は仲良くなりたい気持ちがあれば
良いと思ってるよ
仲直りしたい気持ちが大事だって思う
その気持ちがあれば
まだまだ僕らは一緒だよ
君がまたブルーになっても
僕はその君にも慣れてしまうのだろうか
僕は君が笑顔で居てくれる事が
当たり前になるのが嫌なんだ
愛の反対は当たり前
君が居てくれて
僕を好きだと言うのは
僕にとって奇跡だから
【君に会いたくて】
画面の向こうにいる会いたい君
キラキラと輝き
特大な歓声を浴びる君
なんで私は会えないんだろう
そう思いながら
海の向こうを見つめる
私の会いたい君は
国籍も違う人
ここはとても懐かしい場所だ。よく散歩にきた。大きな池の周りを歩きながら、水面をぼんやり眺めるのが好きだった。
鳥たちが気持ちよさそうにすーいと泳いでいる。時々、魚がちゃぽんと音を立てて水しぶきをあげる。池と空がつながって、清々しい。
池を周りながら、色々なことを考えた。自分の未来のこと、何をして生きていこう。真剣に考えながら、目は季節ごとにうつろう池の周りの木々や、草花を見ていた。
悲しいときや、つらいとき、うれしいとき、何か感情が動いたときも、ここに来たら気がまぎれた。色々な人がいる。ジョギングする人、賑やかな学生たち、ベンチでくつろぐ人、カップル…。
ああ、君と来たかったなと思う。一緒に散歩したかった。何を話すだろう。ちょっとつまんなそうな顔をしているかもしれない。今どうしているのだろう。
「君に会いたくて」
〈君に会いたくて〉
結婚して初めての冬を、俺は遠い街のビジネスホテルで迎えている。
長期出張。カレンダーを見るたび、妻の里枝と過ごしていない日付に線が引かれていくみたいで、胸の奥が少しずつ冷えていく。
夜、部屋の明かりを落としかけたころ、スマートフォンが震えた。表示された名前に、ほっと息をつく。
「もしもし」
『……起きてた?』
彼女の声は小さくて、少しだけ間がある。いつもの話し方だ。
つけていたテレビの音を絞る。
「うん。今ちょうど横になったところ」
『そっか』
それきり、少し沈黙が落ちる。何か言いたそうで、でも言葉を探しているときの癖。
『ね、聞いて。実家、三日で帰ってきちゃった』
「やっぱりか」
『だってさ、パパが「本当に仕事なのか」とか、「若い男は外で羽伸ばすんだ」とか。
ずっとそんなこと言うんだよ。……疲れた』
語尾が少しだけ尖る。でもすぐに力が抜ける。
『あなたが気を遣ってくれたのは分かってる』
「ごめんな。かえって寂しい思いさせた」
『……ううん』
その「ううん」のあと、また短い沈黙。受話口の向こうで、彼女がソファに丸くなっているのが目に浮かぶ。
「今日は何してたの?」
『仕事終わってからカフェで本読んでた。
帰りにスーパーの半額弁当買って、ドラマ見て』
「一人で半額弁当狙いに行ったの?」
『うん。意外と楽しいよ、あれ。おばちゃんたちとの戦い』
俺は笑った。彼女も笑った。そんな他愛のない会話を続けた。今日見たドラマのこと、近所のコンビニの店員が変わったこと、街角の地域猫のこと。
そしてまた、ところどころ黙り込む。
「……それで?」と促すと、「うん、そうそう」と慌てて話を続ける里枝。その繰り返しだった。
『ねえ、友貴』
「ん?」
『早く会いたいな』
胸が締め付けられた。
『独りでいると、部屋が広すぎて寂しい。
二人でいる時は狭いって言ってるのにね。変なの』
寂しがりやの彼女からあふれてくる言葉が、胸に刺さる。
『早く会いたいな』
吐息が混じる。あの、くっついてくるくせに、触れようとすると逃げる、猫みたいな妻の声。
「俺もだよ」
本当はもっと言いたい。でも、うまく言葉が出てこない。
『……そっち、寒い?』
「寒い」
『じゃあ、ちゃんと暖房つけて』
まるで自分のそばにいないのが分かっているみたいに。
そのうち彼女からの返事が遅くなっていく。呼吸音が一定になり、小さな息づかいになる。
「里枝?」
『……ん』
眠りかけの声。
「もう寝ろ」
返事はない。耳を澄ますと、規則正しい寝息が聞こえてきた。電話を握ったまま、眠ってしまったらしい。
俺はしばらくそのまま聞いていた。彼女の吐息。いつも隣で聞いているはずの音。
こんなに愛おしく感じたのは初めてかもしれない。
「おやすみ」
小さく呟いて、電話を切った。
明かりを落とし、ベッドに横になる。天井を見つめながら、さっきの声を反芻する。「早く会いたいな」って。
会いたい気持ちは、俺も一緒だ。今すぐ、帰りたいくらいだ。
目を閉じる。せめて夢の中で会えたら。そう願いながら、俺も眠りにつく。
傍らに眠る、彼女の柔らかい温かさを思い出しながら。
─────
「会いたい」ではなく「会いたくて」、その後の行動や感情を含める表現が切なさを増幅させますね。
今回の脳内BGMはスターダストレビュー「夜更けのリフ」です。古い古い。
今回のお話は「寂しくて」の新婚夫婦のお話です。猫みたいな彼女。
今日はあまりにも寒くて、ぬくぬくしたいよね……
一番辛いときに君に出会った。
Twitterの相互フォローという関係ではあったけど、話したことはなかった。でもなんとなく会ってみたくて待ち合わせた。
駅前、時間に遅れてきた君に少し不満だったけど、どうやって話せばいいんだろうという緊張感にそれは掻き消された。
どうやら私たちは生きるのがとても苦手らしかった。それが性別を除く唯一の共通点だった。
周りに話せば重たくなってしまうことも君にならなんだって話せた。
まじで狂ってるね。頭おかしいよ。
と笑いながらいう君の言葉に救われた。言葉にしたらひどいと思う人が多いんだろうなと思った。でもその言葉こそ私を受け入れてくれるものだと思った。初めて私をみてくれた気がしたから。私の醜さを醜いと言ってくれる、嬉しかった気がする。
君は友達が少ない。周りの目が怖い。頭もいい方ではない。でも家族は優しい。恵まれているのにどうしてこうなんだろうとこぼした。
私たちのすべてはカラオケだった。カラオケボックスのちいさなちいさな世界で互いを慰め合って。
頭がおかしかったんだね、君とずっとおかしくいれたら私はそれでよかった。危ないことしてもどうでもよかった。
突然君のアカウントが消えた。
私は取り残されてしまった。苦しかった。いなくなりたかった。私はまた歩き出さなければならない。
でも私の両手は君に引き留められたまま。
ずっと、ずっと覚えている
カラオケで寝転がった私の頭を優しく撫でた君のことを。
そういえば電気グルーヴのピエール瀧が薬物で収監されたとき、石野卓球は旧Twitterで「瀧君に会いたい」と言っていた。
一見すると、いまでも変わらず相方を受け入れてるいい話なんだろうけど、ちょっと引っかっていて、もしもこの薬物の件、石野卓球が知らないところでやってたなら、まずは「どうしてそんなことを...」になると思う。じゃあ知ってたんだとしたら「分かっていたのに止められなかった、すまん...」が切実な感情なんじゃないのかな、とか引っかかる。
でもこちらはまだいい方で、複数の女性への性的侵害でジャニーズタレントが何人か摘発されてたけど、そんときにグループのメンバーなんか、しれっと良識ぶったコメントをしてた。
いやいやあんな話ならメンバーも知ってただろうし、早い段階で止めるべきだったのに、ずっと見ぬふりをしてきて、発覚したら拒否するのは汚いし、相手に対しても修復できなくなるくらい酷い。
まだ瀧君に会いたいとか言ってる方が情がある。
ちなみにピエール瀧が釈放された時の記者会見で、スーツをきめて髪型も真面目に7:3にして「お騒がせしました」と神妙に頭を下げる予定だったのに、会場に来てみたらファンが彼のステージ芸の「ケンタウロスの着ぐるみ」を着てうろうろしていて、思わず嬉しくて不謹慎に笑いそうになったとかいうあたり、これからはきちんとやり直してほしい。(でも一般人ならやり直せないんだけどな。)
『会いたい』。ただその一心だった。
鍵と携帯だけをひったくって、サンダルを引っ掛けて走りだす。
あてなんてなかった。ただ、どうか。ひと目でいいから、きみに会うことができたなら。なにかが、変わる予感がしたんだ。
♯君に会いたくて
すごく泣いた1日だった。
胸が苦しくて痛かった。
泣きながら母に電話して怒られた。
母に言われた通り、
全てを一つ一つ、私の手で消していった。
心にそっと蓋をした。
太陽みたいに温かな
幸せな記憶を。