『君と最後に会った日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【君と最後に会った日】
君と最後に会った日が
僕の命日だ
君の声は明るくて優しかった。
(どんなに疲れていても関係なかった。)
君の姿は私の理想だった。
(伸びた背筋、口角の上がった表情、前を見据える瞳)
君となら、自分を変えられると思った。
「そう、君とならと思ったんだけどなぁ。」
運動系アプリのアップデート通知を見てしばし自己嫌悪に陥る。私好みのキャラクターが一緒に運動してくれるそれを買った時は確かまだ寒かったはずだ。
君に最後に会った日は一体いつだっただろうか。
___________
お久しぶりですねの嫌味くらいは、言っても良いのよ。
君と言うのを誰を連想すれば良いかわからないけど、自分なりの思い入れから書いてみよう。
あれは、とある職場で、初めて彼にあった。澄んだ目、恥ずかしそうにうつむく姿そして、意外な事に関西弁。
私と同僚二人で話しながらお昼を初めて3人で取り、同僚が話をしやすい環境を取った。それから何年か、彼は他部門ではあったけど、わからない事を私に聞くようになり、私も彼に気持ちが揺らぐ事もあった。
ところが、彼には同棲している恋人がいた。私は怒った!現実を突きつけた!意外な事に彼は、えっ?の顔。
そして、聞いてみると、苦労を共にしている素敵な恋人の存在を少しずつ話しするようになった。
そして、関係は悪化する事なく私は彼と恋人の毎日を聴いてはアドバイスした。まるで、世話焼きおばさん。
それでも、楽しかった。ずっと働くと思ってた。なのに、会社は人件費を削るため派遣切りをして、派遣の彼とは別れを余儀なくされた。
私は、彼に最後のお願いをした。日々会社で使っているコーヒーカップを譲り受けた。
最後は、握手して、お礼を言った。明るい未来を願った。素敵な時間、素敵な思い出。
最後になると分かっていれば
尤もらしい別れを告げたのに
「また明日」なんて馬鹿みたいに
言うことは無かった
あの日、無邪気に遊ぶ君の
いつもより少し寂し気な顔に
僕は気づけなかった
人間とは愚かなもので
明日は当たり前にあると
当たり前に思っている
僕も思ってたんだ
次もあの子に会える。と
そんな思いとは裏腹に
君はいなくなった
幼すぎた僕を置いて
君と最後に会った日
“君と最後に会った日”
その日のことを僕は全然覚えていない。
覚えているのは、いつもだったら握り返してくれたはずの白くて細い、タコだらけの指が力なくすり抜けていったことと、指と同じ白くて細い背中が気だるそうに見慣れた制服を纏っていく様子と、それからいつだって僕の背中を押してくれた凛とした声が告げたさよならの言葉だけ。
それから僕はどうやって一日を過ごしたのか全然覚えてない。気づいたら一日経って、二日経って半年経って、そろそろ一年が経つ。
今日も僕の一日はけたたましい目覚ましの音から始まる。
どれだけ朝が弱くても、前みたいに起こしてくれる人はいないから。とびっきり煩い目覚まし時計を作ってもらった。
目覚まし時計を止めて、夜中(よるじゅう)つけっぱなしの電気を消して狭いシングルベッドから抜け出す。
真っ暗闇は、まだ苦手だ。
前も後ろもわからなくなって狼狽する俺を優しく宥めてくれた白い指先はもういない。だから電気を付けていないともう眠れないのだ。
顔を洗って、栄養補助食品とコーヒーのペットボトルを持ってきてパソコンを起動させる。
人付き合いが得意じゃない僕は昔から数少ない友人のツテで、在宅でできるプログラミングなんかをして生計を立てている。最近は友人を介さないところからも依頼が来るようになったので、毎朝のメールチェックは欠かせないのだ。
幸い今日は仕事関係の新着はなかった様でホッと胸を撫で下ろす。メールとはいえ他人とのやりとりは疲れる。
嫌なことを言われても、理不尽な依頼をされても、隣でバカバカしいと一蹴してくれる彼女がいないとメールを開くことすら億劫になる。
さて、新しい仕事がないとなると何をしようか。返事待ちをしていたものを勝手に進めてしまうか。コーヒーを片手に適当にメールボックスを弄っていると、プライベートのアカウントにメールが届いた。
送り主は、今はあんまり関わりたくない親友だった。
体調崩してないか、大丈夫か?とまるで母親の様なメッセージと共に、大事な話があるから近々家に行っても良いかという一文が目に入って眼の前が真っ暗になるみたいだった。
大事な話なんて、この歳になればイレギュラーさえなければ一つしかないじゃないか。
彼に最後に会った日がフラッシュバックする。
心配そうに僕を覗き込む彼はいつもどおりの彼で、片手に僕がお願いしていた目覚まし時計を持っていた。
朝日が登ってから何時間も経っているのに家中の電気を付けたままソファで丸まっている見るからに寝不足の僕はとてもじゃないが、正気には見えなかっただろう。
酷く心配をして身の回りのことを色々と手伝ってくれようとした彼を何とか丸め込み玄関の外まで連れて行くと、そこには見慣れた車が停まっていた。
彼の背中を押すように出てきたのは不幸中の幸いだったかもしれない。
見慣れた車から、見慣れた細い身体が出てきて聞き慣れた声で僕じゃない男の、目の前の男の名前を呼んだ。
名前を呼ばれた目の前の男は当然の様に親しげに彼女の名前を呼んで手を振っていた。
本当はわかっていた。
さっきまでとは打って変わってあっさりと帰ろうとする幼馴染と、僕の方をチラッとみて久しぶり、体調気をつけなよと呆れたような口調で言う彼女が想いあっていたことを。
それでももしかしたら、なんて思っていた自分の浅ましさを嫌というほど思い知らされた。
じゃあね、と何とか言葉を絞り出して見送った彼女の背中が、あの日の背中を上塗りしていく。
次に家に来る時には、きっとあのタコだらけの細い指に彼とお揃いの指輪をしてくるんだろう。
あの凛とした、僕の背中を押してくれる声で僕を崖から突き落とすのだろう。
会いたくない。そう思う気持ちとは裏腹に指はカタカタと文字を打ち込んでいく。わかった、部屋を片付けなきゃいけないから早めに教えてね。
エンターキーを押す音がやけに明るく部屋に響いた。
「君と最後に会った日」
またしても小説向きなお題……。雑記と決めているから悩む。
「君」と「最後に」だから、会えなくなった相手を想定しているんだろうか。
会えなくなったというと、連絡を取らなくなった相手が色々思い浮かぶ。
古くは中学の時の友人とか。当時は定額制じゃなかったから、もらったメールに返さないでいたら連絡が途切れてしまった。何年かに一回年賀状は送っていたけど。
三十歳手前で一人暮らしを始めてから、なぜか唐突に夢に出てきて、上半身は普段着、下半身はウエディングドレスという夢らしく珍妙な出立ちで、これから結婚式と言うからおめでとうと返した。
目が覚めてから「ああ、結婚したんだ」と思った。
日付は全く覚えていないけど、Twitterでも遡ったら出てくるんだろうか。(冬ではなかった気がする。とりあえず天気が良かった)
……絵の上手いその友人から一文字もらったのがH.N.の和美。(美は自分の字の別漢字)そしてごく稀に使っている(このアプリではちゃんと設定している)苗字の七海は、別の用事で使うためにその友人に決めてもらった。本名より本名っぽいとよく言われる。
リアルで会ったのは……高校の文化祭に呼んでもらった時か。
次は同じく中学の時の友人……なんだけど、小学五年生の時だったかに引っ越してきた子。先に書いた友人とも共通。(だからH.N.の由来ももちろん知っている)mixiで繋がっていた頃、日記に「友人は昔からいっぱいいるけど、親友だと思ったのは和美だけだった」と書かれててびっくりしつつとても嬉しかった。
地元の秋祭りの時に彼氏さんを紹介されて、結婚式とか呼んでくれるのかと思っていたけどそんな事はなかった……。地元県でたまたま会った時に少しだけ喋ったのが最後に会った日か。こちらもTwitter遡ったら出てくるのか?
そしてLINEの初期設定を失敗して電話番号から友達追加されたから、結婚&苗字変更&子持ちなのは知っている。
今の仕事内容はInstagramで知ったんだっけ? どこだっけ?
高校の時の友人とは一切連絡取っていないので省略。
幼稚園が同じだったらしい幼馴染と高校まで一緒だったけど、後に入院したと親から聞いてさもありなん、と返した。親には驚かれたけど、幼馴染はあくまでも幼馴染であって、友人とは思った事が一度もない。あれこそ腐れ縁。ただ今も運営しているサイトを作るきっかけになった事だけは感謝している。最後に会った日? 思い返したくもない。(病院逝けって本気で思った)
大学の時の友達は携帯電話を失くした時に連絡先全部吹っ飛んでそのままの人が多い……。二回生か三回生の時から仲良くなった友人達とは今でも定期的に会っているけど。
三回生の時に編入してきて、合作漫画を描いた二人とは……片方は卒業式でもう片方は……シティかな? トレジャーかな? 神戸のアイマスシンデレラオンリーかな?
大学時代、コミケの創業者の米澤さんが亡くなったと新聞の書評欄で知って、当時まだ一度も行った経験がなかった(もちろん顔も知らない)のに、夢に出てきて「コミケの参加者全員の夢に出てきているのかと思った」と後に読んで、まだ参加していないのにありがとうございましたと思った。あの書評切り抜いたっけどうだっけ。
歌ってみたゴリ押しが嫌になって行かなくなるとは思わなかった。サークル参加資格である創作の要素ないよねあれ。
大学時代に携帯サイトで知り合った管理人は何人かいたけど、こっちも携帯紛失で連絡先が飛んだのと、ジャンルの切れ目が縁の切れ目な人が一人(次のジャンルは同じだったけども)二次創作でも文章下手な人は下手だと知った当時。(レイヤーだったしね)
今のジャンルにいた厨ちゃんも一作目二作目がひっどい出来だったからH.N.だけで避けていたけど、その後の作品をイベント参加作品だからと読んだら割と普通だったから、改善する努力って多分大事。(その後全く見かけないから冷めたのか受験とかなのかは知らない)
大学卒業後、VOCALOID専用SNSで知り合って後にメールでやり取りしていた友人も携帯の紛失で連絡先が飛んだんだよな……。SNS閉鎖日(VOCALOID界隈ではKAITO誕生日にしてデッドボールP楽曲一斉削除記念日)に夢に出てきてくれて、VOCALOID界隈にいればそのうち会えると信じていたけど、閉鎖直前にログインしていない時点で熱が冷めた説はある……。(閉鎖を知らなかった説もある)
なおリアルでは一度も会った事がない。
社会人になってからは……そういえば最初の勤め先で知り合った友人とは何度か遊びに行ったけど、お互い仕事辞めてからは全くだなぁ。最後に会ったのいつだ。
高校の時、小学生の時に家に住み着いてそのまま飼った猫が死んで長らく落ち込んだし、よく夢に出て来ては泣いた。命日(=最後に会った日)がよりにもよって私の誕生日という。
大学の時に拾われてきた二代目の猫は一人暮らしを始めてから死んでしまったけど、最後に会ったのはほぼ間違いなくゴールデンウイーク。当時よりにもよって静岡転勤中で会いにも帰れなかった。雄猫で野良気質が強いから誰もいないところで死にそうとか思っていたけど、ちゃんと実家で息を引き取ったらしい。
高校の時にひよこ釣りで釣って帰ってきた鶏は……あれいつ死んだっけ。でぶ鶏。父が元気だったから庭に離す時間が作れていただけで、雄鶏は放し飼いにできないと知った。
そんなところかなー。
社会人になってから友人とか全然できていないのつらい!
「君と最後に会った日」
君と最後にあった日は、何もなく普通だった。ただ、最後の最後の別れは違った。
ほんのちょっとの違和感。
何か言わなくてはという使命。
でもどう言えば分からず、 別の言葉で友と話す。
その日はその時で終わり、別れ、数週間後に
友が死んだ。
別れも出会いも、ほんの一瞬。
違和感だけが記憶に留まる。
あぁもしも次があったなら、
違和感を放置してはいけない。
君と最後に会った日
君が、楽しげに笑いながら話してくれたことを覚えている。
いつも泣き虫でウジウジしていた私を、君は笑い飛ばしてくれたよね。
あの時は、なんで笑うの⁈なんて言って余計に泣いたり、君の笑いが移って、私まで笑えて来たりしたこともあったよね。
覚えているわよ。大事なことだもの。
君のお葬式。私は立派に、喪主ができていたでしょう?
私、泣かないように必死だったんですからね。
ちゃんと君の顔を見て、お別れを言えてよかったわ。
君と最後に会った日は、今にも雨が降り出しそうな空だった。
_君と出会った最後の日_
君と初めて会ったのは、登下校使用の電車の中だった。
沢山の人の流れができている中で、すれ違った見覚えのある制服は、自分が通っている高校そのものだった。
制服からして、年下か?
同い年にこんな人いたっけ…?
それにしても、可愛いな…
彼女は、いつも同じ席に座っていて、人々は皆スマホに夢中になっている中、彼女だけが静かに小説を読んでいた。
俺はそんな彼女がいつしか目が離せなくなっていた。
彼女の趣味と合わせるためにか、いつのまにか俺も電車の中で本を読むようにしていた。
桜が咲き始めた三月。とうとう明日は俺ら三年生の卒業の日だ。
電車の中で彼女と言うものを見つけ、一目惚れして、ずっと話せないまま終わってしまう。
そんな感じで終わって良いのか…?そんな疑問が生まれても、俺は黙って何もできなかった。
あぁ、今日で本当に最後なんだ…。
そう実感して、諦めたその時。後ろから見知らぬ声が聞こえてきた。
「あ、のっ…先輩…今日で卒業ですよね、?その、良ければ、私がいつも読んでるこの本、受け取ってくれませんか…?きゅ、急にすみません…っ!」
彼女だった。
え、な、なんで、彼女から声かけられたんだ?
普通逆じゃないか…?
「えっあ、い、良いんですか…?」
「あっえっと、話した事ないのにすみませんっ…その、ずっと気になってて…読んでいる作家が同じだったので…、一度話して見たいな…って。」
嘘…。
彼女から、しかもずっと話して見たかった。なんて…
てか俺情けないな?!先輩の癖に年下の彼女が話しかけなければ俺らの関係一切無縁だったぞ?!
「あ…っお、俺もずっと話して見たかったんです…!その、貴方とは違う意味で…。な、なんてね、ははっ」
うぉぉ、何言ってんだ俺。
「…話しかけてくれてありがとう。すっごく嬉しい。でも、今日でもう、会うのが最後かも知れないから…遠慮なくその本、受け取っても良いかな…?」
「…!良いんですか…!これ、凄く面白いんですよ!」
それから、最後のときまでずっと雑談をしていた。この時間が終わる、最後まで。
プシューーーーーー……
「あ、、降りる駅…ですね。」
「そうだね、今日はありがとう。楽しかったよ。…受験生、頑張れ。」
俺は最後まで、彼女に笑顔を耐えさないで言葉を尽くした。
「はい…っ先輩…またお会いできたら…話しかけますね」
そう言う彼女は、嬉しそうに微笑んでいた。
「あぁ、でも今度は俺から話しかけさせて。」
一年後。それが、今からみて、彼女との最後の話。
四月、君が来るのを期待して良いんだよね。
受験、頑張れよ。
「君と最後に会った日」
君と最後に会ったのはいつだっただろうか。
確か1年半前、それくらいだったはずだ。
その時は君が私に話しかけてくれて嬉しかったのを覚えている。私の鞄についていたミニオンを指さして「かわいい」と言ってくれた。私は急に話しかけられて驚き、すぐに返事をすることができなかった。君が本当にそう思っているかどうかは正直どうでもよかった。話しかけてくれたという事実が私にとっては重要だったのだ。今ならわかる。君と過ごせた時間がどれだけ私にとって貴重で有意義な時間だったか。また君に会いたい。
【君と最後に会った日】
これは終わりか
始まりなのか
決めるはキミの
心だけ
君と最後にあった日からはや5年。
パンデミックやら、巣ごもりやら、世界は様相を変え生活様式すらも変わっていった。
今や、人と会うことすらままならないという環境は終焉を迎えたが、体の弱い君と会うことは今も控えている。
本当は君と会って、他愛もない話や昔話に花を咲かせたいところだが…。
体が資本であるから、しょうがない。
昔より交流は確実に少なくなってしまったが、ネットを通じて互いの誕生日を祝うことは続いている。
会うことばかりが交流ではないのだと、しみじみと思う。
『愛おしい』
もう会わないかもしれない
そう思いながら
私の話を聞いて頷くあなたを
愛おしいと感じました
前より伸びた前髪も
ゆっくり話す低い声も
この愛おしさが早く懐かしさに変わって
私を楽にしてくれたらいいのに
#君と最後に会った日
『君と最後に会った日』
丁度梅雨時で、蒸し暑い日が続いているとき。
「別れたい」
彼女の震える声が聞こえた。
「…え、なんて?」
それを否定するようにもう一度言葉を貰おうとした。それが、良くなかったのかもしれない。
「いっつもそうだよね、私が何か話してても何?何?って……ああ、話聞いてないんだって、おもって…」
彼女の瞳から、次々と溢れ出す涙は、頬を伝って地面に落ちる。
「すきだったの、私だけだったよね…」
そんなことない、そう声をかけなければいけないのに、言葉が出ない。俺が黙る時間が長ければ長いほど、彼女は更に涙を流す。それを見ているのが辛くて
「わかった。別れよう」
泣いていたはずの彼女の口角が徐々に上がっていく。泣いているはずなのに笑っていて、どういうことなのか、脳が追いつかない。
暫く笑っている彼女を見ていたが、ふと、彼女の笑い声が止んだ。
「いままでありがとう」
そう言いながら笑う彼女は、今までに見た事無いくらいの、美しい笑顔だった。
6/26(水) ー 君と最後にあった日 ー
大嫌いな君と最後にあったのは卒業式だった
同じ陸上部で同じ種目 僕が県6位をとったときも
褒められたのは1位をとった君だった
身体に恵まれ身長は僕より20cmも高かった
才能があったのにまだ努力する君が嫌いだった
憎くて憎くて本当に嫌いだった
君のせいで部活の楽しさも分からなくなった
どんだけ努力しても君には勝てず
いつしか僕は部活を休むようになった
僕はうつ病になった
部活だけを頑張ってきた僕は勉強なんてできず
何もかも失ったような気持ちになった
その後僕はなんとか陸上部に戻ることが出来たが
昔のような輝きは失い、地に落ちた
最後の大会も勝てないまま引退することになった
そして卒業式の日がやってきた
君とは部活を引退してからは1度も話さず
一切関わらなかった
だが陸上部で写真を撮ることになり
いやいや会う羽目になってしまった
僕は1列目の真ん中にいた
君は3列目の真ん中だった
写真は2~3枚撮って終わり、自由になった
僕はすぐにその場から逃げ出したかったが
君が話しかけてきた
僕は話を適当に合わせすぐ帰ろうとしていた
君は相変わらず部活の話しかしなかった
君は陸上が強い強豪校にいくらしい
君は最後の大会で県1位をとっていたらしい
君は彼女ができたとも言ってた
君は僕がいない間も努力をしていたらしい
君はずっと自分の話しかせず
僕のことについては何も言わなかった
僕はとうとう自分から話してしまった
すると、君は笑った
嬉しそうで楽しそう何故か嫌いな君が嫌いじゃなくなった
見たくもない君を話したくない君を
なぜか少し好きになった
君は嬉しそうな声でこう言った
「お前なら大丈夫 どんな道を歩んでも応援する」と
僕は一生君には勝てないなと思った
「ついて来るって本当?」
私はその言葉が信じられなかった。
思わずコーヒーカップを落としかけた。
本当は私から別れを告げようかと思っていたばかりに思わぬ返答で困惑した。
「だってね、こんなに人から優しくされたの初めてだったんだもの。」
彼女はそう言って珈琲をぐいっと飲んだ。
意外と豪快である。
「貴方みたいな人だったら何処まで一緒に行っても
多分面白いかなって。」
成程。からかっただけなのか。
「そうかな。もし仮について行く先が遠い火星とかだったらどうする?」
「その時もこの珈琲とお菓子を両手に持って一緒について行くわ。」
本気か。本気なのかこの子は。
そろそろいい加減に本当のことを彼女に話そうと思った。
「実はね、もうすぐ転勤でここを離れなくちゃいけなくなるんだ。」
言った。ついに言ってしまった。
彼女の方に顔を向けると困った様な顔をしていた。
まるでもっと悪戯したかったのにと言わんばかりである。
「そっか、それは残念ね。せっかく会えたのに。」
「だったらさこれからも時々ここで待ち合わせして
また、珈琲とお菓子を楽しもうじゃないか。なかなか会えなくなるかもしれないけどさ。」
「うーん」
彼女は相当悩んでいる。
これはもしかしたら先ほどの発言が本気だったのかもしれない。
「たまに、か。たまにじゃなくて毎月じゃ駄目?」
「えっ?」
本気だったのか、さっきの言葉は。
思わずごくりと喉元を鳴らしてしまった。
「わかったよ、そんなに会いたければ毎月だろうが毎週だろうが構わないさ。」
私はそう言って彼女の言葉に承諾した。
数日後、いつもの喫茶店で待ち合わせをしていた。
おかしい、いつもなら彼女の方が先に来ているはずなのに今日は来ていなかった。
何かあったのだろうか。
喫茶店の前の交差点で救急車の音がした。
何があったんだろうか。
私は嫌な予感がした。
そしてそれはどうやら的中したらしい。
彼女だった。
彼女が救急車に運ばれるところを見てしまった。
私はその救急車を追い彼女の運ばれた病院まで行った。
テレビでは先ほどの事故のニュースが流れていた。
彼女は全身を強く打ち付けたらしく重体だった。
私はそっと顔を下に向け涙がこぼれ落ちるのを必死で耐えた。
神様、どうか彼女を助けてください。
彼女との思い出はあれ以来ずっと心の奥に秘めている。
彼女は今も昏睡状態で眠ったままだ。
あの時の笑顔はもう見れないのだろうか。
彼女には会える。
それだけで十分と考えるべきなのか。
もう一度だけ、もう一度だけでいい。
彼女とまたあの喫茶店で一緒に珈琲を飲んで語りたい。
私はいつまでも目が醒めるまで貴女を待っているから。
「コーヒーブレイクの後で」
君と最後に会った日
なんちゃら流星群の日だったよね
あれからどうしてる?
連絡する用もないからさぁ
そっちからもないし
まぁ僕のことなんて
考えちゃいないんだろうけど
別にいいんだけどさ
でもたまには
思い出してほしいよ
なんちゃら流星群の日だけでもさ
顔も見ず
粗雑に言った
行ってきます
二度と食べれぬ
おふくろの味
【君と最後に会った日】
花見、だな
餃子が美味かった
『君と最後に会った日』
冬の間は毎度これが最後になると思っていたが、
性懲りもなく終わりが延びる
出会った頃からそうだった
あまりに強情な好意を振りほどけないまま字句に溺れて夢の中だ
結果的に時間を奪って壊して捨てたとしても、壊れていたものをさらに壊して何が悪いってこともないだろう
消して繋いで忘れて戻って繰り返す
彼女がしていることよりかは、よほど誠実だと思うがな
ずっと会いたいと思っている人がいる。
今でも時々夢に出てくる。
けれど連絡先も知らないし、
そもそも生きているかもわからない。
会いたいと思い始めたのは、成人式の前日。
旧友に会うということもあって、中学校の卒業アルバムを引っ張り出していた。
そうして、友人が特別多い方でもない私は
点々と書かれたメッセージの中にそれを見つけた。
「死にたくない。」
心臓が止まるかと思った。
前後には冗談めかして「せんきゅー」とか、「らぶゆー」とか書かれているのに、その1文にだけは、泣きたくなるほどの切実な思いを感じてしまった。
中学に入ってから時々しか学校に来なくなった彼女は、
来たとしても保健室に居たりしてクラスでは浮いていたと思う。
それでも小学校の時には友達の多い人だったので、全くのひとりというわけでもなかった。
それなりにいる友達の、ひとり。
そんな立ち位置だったはずだ。
最後に会った記憶があるのは、中学校の卒業式。
あのメッセージを見て私はどうしたんだろうか。
多分、何も変わらずに普通に接していたと思う。
高校は地元から遠く、寮に入ってしまったのもあって
暫くは旧友と会う機会などひとつも無かった。
それからは、数ヶ月くらいLINEでやり取りしたのを覚えている。
機種変更したときに、消えてしまったけど。
会話はどこまで続いたんだっけ。
私が終わらせてしまったんだろうか。
新生活が忙しくて、蔑ろにしてしまったかもしれない。
会いたい。
会って謝りたい。
忘れててごめん。
連絡しなくてごめん。
君はまだ生きているのかな。
一緒にゲームしようよ。
いまどこにいるの?
もう、会えないのかな。
…私に知る術はないけど。
最後まで変わらなかったあなたの笑顔は、
ずっと覚えているよ。