NoName

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ずっと会いたいと思っている人がいる。
今でも時々夢に出てくる。
けれど連絡先も知らないし、
そもそも生きているかもわからない。

会いたいと思い始めたのは、成人式の前日。
旧友に会うということもあって、中学校の卒業アルバムを引っ張り出していた。

そうして、友人が特別多い方でもない私は
点々と書かれたメッセージの中にそれを見つけた。

「死にたくない。」

心臓が止まるかと思った。
前後には冗談めかして「せんきゅー」とか、「らぶゆー」とか書かれているのに、その1文にだけは、泣きたくなるほどの切実な思いを感じてしまった。

中学に入ってから時々しか学校に来なくなった彼女は、
来たとしても保健室に居たりしてクラスでは浮いていたと思う。
それでも小学校の時には友達の多い人だったので、全くのひとりというわけでもなかった。
それなりにいる友達の、ひとり。
そんな立ち位置だったはずだ。

最後に会った記憶があるのは、中学校の卒業式。
あのメッセージを見て私はどうしたんだろうか。
多分、何も変わらずに普通に接していたと思う。
高校は地元から遠く、寮に入ってしまったのもあって
暫くは旧友と会う機会などひとつも無かった。

それからは、数ヶ月くらいLINEでやり取りしたのを覚えている。
機種変更したときに、消えてしまったけど。
会話はどこまで続いたんだっけ。
私が終わらせてしまったんだろうか。
新生活が忙しくて、蔑ろにしてしまったかもしれない。

会いたい。
会って謝りたい。
忘れててごめん。
連絡しなくてごめん。
君はまだ生きているのかな。
一緒にゲームしようよ。
いまどこにいるの?
もう、会えないのかな。

…私に知る術はないけど。

最後まで変わらなかったあなたの笑顔は、
ずっと覚えているよ。

6/26/2024, 1:43:50 PM