『君と最後に会った日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君と最後にあった日
本当に突然の再会だった。
なんの気無しに過ごしていた日常に、かつての同級生だった君がいきなり舞い込んできて、何年かぶりの対面をしばし喜んだ。
次会うときはいつだろうなんて、あやふやな未来に心を弾ませていた。
しかしそれきり君とは音沙汰なく、試しにSNSで声をかけたが、どれだけ待っても反応が返ってくることはなかった。
電話をかけた。出る気配はない。
思い切って家まで訪ねてみたが、玄関をくぐって愕然とした。
中はとても人が生活できるとは思えないほど、滅茶苦茶に荒れていた。
完全にガワが綺麗なだけの廃墟となっていた。
異常を感じて自宅へ飛んで戻り、アルバムを開いた。
クラスの電話番号が乗っていたはずだ。
特に仲良しだった女子をピックアップし、うち一人に電話で事の顛末を伝えた。
電話越しに女子の声がする。私との久しぶりの会話をやはり喜んでいた。
しばらく事情を聞いていた女子が一言。
「うちらの友達にそんな娘いないよ?」
ハッとして手元のアルバムに目をやる。
君が写っていたはずの写真など一枚もなく、集合写真にさへ君の痕跡は全く存在しなかった。
一番心を許せていたはずの君の存在が、なぜ突然失われたのか。
学生時代に一緒にいた君とは誰だったのか。
理由も知るすべも、私は今だって分からない。
【君と最後に会った日】
その日は、いつものように一緒に寝て
いつものように眠い眼を擦りながら、朝食を終え、
いつものように身支度を整え、「いってらっしゃい」と見送ったのに…
忘れ物に気付いて後を追いかけた時には、
君はもう…
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この花飾りに包まれた笑顔の写真は一体誰なんだろう
君と最後に会った日。
待ち合わせの日は酷い雨だった。
まるで台風が来てるかのような暴風雨。
02ヶ月ぶりの再会は東京駅。
お互いに地方の人間だから合流するのに少し時間がかかった。
合流の瞬間は今までで1番落ち着いてた。
今までは会えて嬉しくて浮ついてたけど
あの日はどこか冷静で「久しぶりー」なんて軽く挨拶しただけですぐに宿泊先に向かった。
03泊04日の東京旅行。
予定もたくさん詰まってる。
この日のために美容院に行って、新しい下着や洋服をおろした。
この日のために仕事も頑張った。
待ち合わせ時こそ、冷静だったが本当は心の底から楽しみにしていた。
─この01週間後に別れを告げられることになるなんて
私はまだ知らない。
あの日、君と会ったのはたった数分だったかな。
いつもはもっと長く会ってたのにね。
僕はまた次も会えると思ってた。
僕の勝手でごめん。君のこと知らなくてごめん。
もう一度会いたかったよ。
君と最後に会った日
細く、もろくなった君に化粧をする。
初めて君にした口紅は、少し寄れてしまったけど、娘が綺麗に直してくれた。
白い衣装に赤い口紅が映えて、また君に惚れ直した。
別室に移動し、式の準備を進める。
会場に入れば君は微笑んでいて、僕はそっと君に近づいた。
式が終わりに近づき、晴れ姿の君を見れるのは、これが最後だからと顔をのぞき込む。
「ママ、綺麗だね」
「そうだな綺麗だ」
退場する君を、娘と手を繋ぎ見送る。
あの扉が閉まれば、もう君の顔を見ることはできない。
君のことを抱きしめることも、手を繋いで歩くことも、これから先の娘の人生を一緒に喜ぶことも……全てできなくなってしまったんだと、再び開いた扉の先にいた君を見て、そっと泣いた。
彼女は青く美しい。海の一部。
水中を自在に泳ぐ姿は、純粋無垢そのものだった。
あぁ、目を凝らさないと見失ってしまいそう…
水しぶきを上げる尾、太陽に反射する鱗が眩しい。
揺らめく水面から顔を出す。見つめられて、心臓が飛び出るかと思った…
あ、笑った。
―――これが彼女との最後の思い出だ。
島でのバカンス。
偶然助けた人魚。
次の日も会いに来たので、歌を聴かせてあげた。
でも、そう。
俺は王子様ではないし、彼女もお姫様じゃなかった。彼女はそっと海の底へ帰って行った。
現実はおとぎ話みたいにはいかないんだな。
君と最後に会った日はいつだろう
1週間前とかだった気がする
ただの1週間
だけどSNSで会えてしまうからもどかしい
/君と最後に会った日
※ポケモン剣盾二次創作・マクワとセキタンザン
ちょうど一年前の今日、きみと最後に会った日。
それはぼく自身との別れの日であり、同時にすべての覚悟を決めた日でもあった。
母と袂を分かつ。しかしそれが簡単なことではないことは、ぼくが誰より知っていた。
母はぼくを後継ぎにするために、心血のなにもかも、ありとあらゆるすべてを尽くしてくれていた。ポケモンに関するあらゆる知識、トレーナーとしての心構えや常識は、今も母親からすべて叩き込まれたものだ。ぼく自身の時間のほとんどはぼくの手中にはなく、座学から実践訓練までを行う母が一秒刻みで管理していた。
母はこのガラル地方有数のトレーナーとして名を馳せている。彼女が培ったものをこれほどまで与えてもらえるぼくは、このトレーナーという職業が強いガラルの中で、なによりも強力な剣となり、ぼくをまもる盾にもなりうるだろう。
しかしそれはぼくにとって何物にも耐えがたい拘束の糸が、喉元で呼吸を縛り付けるものだった。
それはどこまでいっても母だ。ぼくと母の境界線が、まるで雪に埋もれてしまったかのようにみつからない。
母の栄光をなぞり続けるぼくはただの母親のこおりの糸に繋がれた繰り人形だった。
だとしてもぼくが独立したいのだと伝えたとして、はいそうですか、と簡単に返事をもらえる相手ではないことも、ぼく自身の細胞という細胞がその身に刻んでいた。
それは経験もあったし、きっと母から別れて生まれた身体だからというのも、少なからず理由として存在していただろう。
シビアで非常に厳格な母だ。まず自分の実力を見せなければ、最低限の説得はかなわない。見せたとして、祝福してくれる可能性はないにも等しい。それはぼく自身の願いとして存在してているもの。
ぼくの細胞の、母とは違う部分のどこかひとかけらにしか存在していない。もっとも母から生まれた身体にそんな場所が今存在するとも思えないが、ぼくがこうして腹を括ったことだけがわずかで力強い希望の破片だった。
だからこそ、ぼくが見つけた新しい出会いは必要不可欠だったのだ。ぼくが選んだそれそのもの。母でもなければぼくでもない、全く新しい外部のいのちの存在。
きみはずっとぼくと共にいた。いてくれた。それだけで何より心強いことか。
きっとこの分厚すぎる親子の癒着に風穴を開けてくれる。
そう、まさに一石を投じてくれるはずのものだった。
だがしかし先ほども言ったように、母に対して実力を見せつけなければいけない。
少なくともきみとぼくの関係が、今まで通りであってはいけなかった。
きみと出会うために……ぼくはきみとお別れをする。ぼくが抱いた憧れに近づくのだ。
その記念すべき日は、ぼくが設定した。そこに至るまでの過程もすべて緻密に計算し、メニューを組んだ。そう、これがぼく自身がトレーナーとして始める第一歩だ。
こんなことは母にだって教えてもらっていない。トレーナーとしての心得も、指示を出すタイミング、動き方のひとつひとつの細やかなものだって、なにもかも受け売りでしかないぼくが。
だからではないが、メニューを作るのは本当に楽しかった(だってポケモンのことを試案するのはたのしかった。これも母の糸の残りかもしれなくともそれでも持ち得て悪くない糸だ)。
だってきみのことを堂々と考えて、しかも実践までしていられるのだ。これほど幸せなことはない。もちろん初めてのことだ、組んだメニューも実際に行ってみれば、やれ詰め込み過ぎだの、今度は運動量として偏りがあっただの、組み直さなくてはいけないこともままあった。
もちろんプレッシャーはあった。必ずこの最初にセッティングした別れの日程だけは絶対だ。
あまりの不甲斐なさに部屋にこもって奥歯をかみしめ続けたときもあった。
ただきみと一緒にいたいからだ。ぼくがきみのことで把握不足があることが悔しかった。きみのことで予想できなかったことがもどかしかった。
それはそれまでのぼくになかった知識だ、当然のことだろう。
ぼくはこおりタイプのポケモンについての知識と経験は他人よりも深いと自負しているが、いわタイプのポケモンに関しては完全に初心者だった。
きみに届かないような、遠い距離があるような、そんな気持ちさえ抱いていたことだってあった。
それでもきみはずっとぼくと一緒にいてくれた。それがなによりぼくの自信になったか、きみはきっと知らないだろう。
だからぼくはきみとの約束は必ず守る。少々強引だが、必ずきみを強くするという盟約だ。
きみは戦い慣れしていない、どちらかといえば和平を望む種族のポケモンだ。それを戦いに繰り出しているのはぼくに他ならない。もちろんポケモンはみな強さを求める生き物でもあるけれど。
ガラルはそんな彼らと強さを臨める環境を整えてくれたひとたちがいるのだ。その良さをきみにも伝えていきたいと思っていた。
きみはそんなぼくたちの世界で共にに生きてくれると肯いてくれた。
峻厳なトレーニングを幾度も乗り越えて、ぼくが指し示す羅針盤の先、その日はやってきた。午前中に野生のポケモンたちから連続で20回ほどもぎ取って、突然変化は現れた。
戦いを終え、去っていくポケモンの背中を見送り、次の場所へ移動しようとした。だがきみの車輪はうまく動かずその場の砂をぐるりと巻き取った。そうしてぎゅっと目をつぶった。まばゆい光が黒い体を包み込んだ。
「……やってきたんですね。予定通り……です」
きみは肯いた。とうとうお別れだ。ぼくはその石炭の頭を撫でた。
ごつごつした感触が手のひらをほのかに温めた。
きみは連れていく。ぼくの迷いも未練も、そして母の影でしかないぼくのことも。
「……さようなら。……そしてようこそ、新しいきみ。ぼくが出会いを待ち望んでいたきみ」
身体を包む光がいっそう強く激しくなり、見つめる目が痛くなり始めてきたころ、その輝きは突然ぱたりと消え去った。
そのあとには、もうきみではないきみがいた。背に積まれた石炭の山はぼくの背よりうんと高く、辺りの空気を歪ませるほどのほのおを抱いている。ぱちぱちとはじける火の粉は時折岩の埃っぽい香りと焦がした香りを運んだ。
その体はぼくなんかよりもずっとずっと重たくて、ずっしりと落ち着いていて猛々しい。
両手と両足が出来たのがうれしいのか、両腕を握りしめたり開いたりしたかと思うと、今度は大きく開いて見せた。
黒くて丸い目が弧を描き、ぼくを見下ろした。
『きみ』でなければ、あの母に到底勝てるとは思えない。そしてきっちりポケモンを育て、進化させることが出来る自分は、立派なトレーナーの証に違いなかった。
実績は、ぼくの胸を輝かせる勲章だ。その裏にある戻れぬ心には目を向けぬよう、青いサングラスを掛けることで閉じ込めた。
「……尖った目、お揃いですね」
「シュポォ!」
俯いたぼくはつるを抑えて、もう一度きみを見た。
「……改めてはじめまして、セキタンザン。ぼくとともに……ガラルでいちばんのトレーナーとポケモンになりましょう」
「ボオー!」
「ありがとう……ぼくの人生の剣のきみ。かならずきみの輝きをたくさんのひとたちに届けます。……だからまずは目前の試合で強さを見せつけましょう」
「シュ ポォー!」
ぼくはもう、試合の上に立っていた。これがきみと最後に出会った日。
そしてぼく自身との別れと、二度目のきみとのはじめましてを続けた日。
ぼくは今もこの剣とともに、ぼくのいのちの居場所を切り拓き続けていく。
磨かれた赤い輝きと鋭い炭黒が、こおりを溶かしては砕き、勇ましい色を輝かせる。
彼は大泣していた。
一方で、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
彼曰く、「もう会えなくなる」とのこと。
彼女曰く、「また会える」とのこと。
お互いの君はこう思う。
――どこかですれ違っていたりしないのかと。
〜君と最後に会った日〜
[君と最後に会った日]
会った日?
いや、会ってないや。
あの子…いや、
仮名に『愛人ちゃん』とでも呼ぼうか。
あれは4月
「あたし…
あなたのこと…好きなの」
いきなり愛人ちゃんに告白された。
愛人ちゃんはネットでの相互フォロワーだ。
もちろんオレには結婚相手がいることを知っている。
愛人ちゃんにも恋人がいた。
それにもかかわらず オレは告白をされた。
オレは罪悪感ながらも彼に内緒で
コッソリと愛人ちゃんと連絡を交換し始めた。
まずは『仲の良い友達』として
愛人ちゃんはオレに恋人の愚痴を話し、
オレもその時は彼との結婚が不安で
愛人ちゃんと話し、現実逃避をしていた。
愛人ちゃんとは趣味が合うので
趣味等を共有し合っていた。
「いつか会って楽しもう」とも話していた。
ある日、愛人ちゃんが恋人と別れた。
「別れた」と言っても『自然消滅』すると言っていた。
「あなたの為に別れたの!
だからあなたも恋人と婚約破棄して
あたしと結婚して!」
オレは驚いた。
愛人ちゃんは『本気』になっていたのだ。
もちろんオレは断った。
そしたら愛人ちゃんは泣きついてきた。
しかしオレは条件を出した。
それは『突然の別れを覚悟すること』。
愛人ちゃんはその条件に賛成し
これからも繋がることになった。
オレと愛人ちゃんとの関係は
次第に『友達』を超えて
『秘密の関係』となっていった。
日付が終わる頃に彼との通話を終わらせ、
愛人ちゃんと通話を繋げた。
それ以上の関係を望んではいけないとわかっていたが
オレ達はもう遅かった。
「愛してるわ」
「オレもだよ」
通話を重ねる度にアチラの話も多くなり、
写真等もお互いに交換して
電話越しに甘い言葉を吐きあっていた。
「あたし あなたのことで頭がいっぱいで
体が熱くなっちゃうの…あなたが欲しいよ…//」
「なんてこった…それは嬉しいね
このことは誰にも秘密だよ?//」
…なんて甘く熱くお互いに求め合いながら話していた。
またある日、
いつものように愛人ちゃんと通話をかけたら
「あたし、女の子と付き合う事にしたの
だからこれからはその子を優先に過ごすわ!」
「…え?」
衝撃的だった。
話を聞くと愛人ちゃんは友達に3年前から告白され
「恋人がいるから」という理由で断っていて
恋人と別れたからその友達と付き合う事にしたらしい。
オレはもちろん困惑しながら
「良かったね」と言った。
愛人ちゃんはいつものように
「愛してる」と言った。
オレの気持ちも知らないで…
オレも平気なフリをして いつものように
「オレもだよ」と言った。
その日は眠れなかった。
ただひたすら『なぜ』と考えるしかなかった。
そしてオレは頭が冷えたのか
これから愛人ちゃんには
今までのような愛情表現をするのを
辞めることにした。
愛人ちゃんへの
連絡も控えることにした。
翌日、またいつものように
愛人ちゃんからのメッセージが来た。
愛人ちゃんは付き合い始めた女の子の事を
嬉しそうにオレに話し始めた。
今度はオレが『自然消滅』をはかる番だと思った。
オレは真面目に話し始めた。
「なあ、気づかないのか?
オレと、君の恋人と、女の子と、オレの恋人を
君の『都合の良さ』に巻き込んでること。」
「え?どうしたの?」
オレは続けた。
「なあ、確か恋人とは『自然消滅』なんだろ?
それって恋人は『別れた』と
思ってないんじゃないのか?
それなのに別の恋人を作るなんて
ただの『浮気』じゃないのか?」
「あっ…」
愛人ちゃんはハッとした。
「オレはいいよ…
『恋愛』と『遊び』が区別できるから。
でも君はまだそれがわかってないだろ。」
オレは愛人ちゃんを叱った。
「オレの心も踏みにじりやがって」なんて事は
言いたかったが言わなかった。
正直オレも少し愛人ちゃんに
『本気』になりつつあったからこらえた。
愛人ちゃんは泣き崩れた。
「あたしはただ1人になるのが怖かったの…
『平等』に愛したかっただけなの…」
愛人ちゃんは話せばわかるいい子だから
そうだろうとオレは予想していた。
「『平等』に愛すことなんて出来ないよ。
恋人と女の子にこの事を正直話してごらん
ちょっともめるかもしれないけど
気持ちは伝わるはずだよ。」
オレは優しくアドバイスをした。
「うん…話してくる」
「よしよし
話してきたらまたオレに話してよ。
待ってるね」
オレはもうそろそろ愛人ちゃんとの関係が
終わるとわかっていた。
だからせめて最後まで優しくしてあげようと決めた。
愛人ちゃんは寂しかったのだろう。
しばらくすると愛人ちゃんから
「話してきた」とメッセージが来た。
「あたし決めたの!
もう『浮気』しないって
大事な人を悲しませたくないから!
叱ってくれてありがとう!」
やっぱりいい子だ。
そしてオレは愛人ちゃんとは
『普通の友達』に戻った。
元から愛人ちゃんとは『何も無かった』。
そう、『何も無かった』んだ。
愛人ちゃんとは会ってもいないし
口約束だけだった。
オレは今までのように恋人と
イチャイチャする生活に戻るだけ。
失うものは何も無い。
今まで火遊びは男ばかりだったオレに
久々に女の子と良い恋ができてよかった。
おかげで良い夢が見られた。
楽しかったよ 愛人ちゃん。
良い夢をありがとう。
オレはそっと
愛人ちゃんの写真と連絡先を消した。
でもオレは今後
どんな気持ちで愛人ちゃんを見ればいいのだろうか
今でもフォロワーには愛人ちゃんが居て
オレは複雑な気持ちをしながら見守っている。
あれが最後の別れになるなんて
夢にも思っていなくて
また、あのやわらかな笑顔を見せてくれる
やさしい声を聞かせてくれる
そう愚直に思い込んでいた
どうして引き止めてあげられなかったのか
どうして気づいてあげられなかったのか
助けて、あげられなかったのか
君がいないこの生に
いったい何の意味があるというのか
君と最後に会った日のことを
私は1日たりとも忘れられずにいる
君が私の前に現れたことによって
私はじめて屈辱というものを味わった
君が現れるまで私はつねに1番だった
テストの点数でも足の速さでも
私に勝てる子なんて一人も居なかった
なのに君は私を易々と追い抜いていった
私のことなんて眼中にないみたいに
私じゃ君の背中を捉えることすらできなかった
私は自分がいかにちっぽけな存在であるのか思い知った
けれど君はある日突然居なくなった
周りに何も言わずに遠くへ引っ越してしまったらしい
まるで君なんてはなから存在しなかったかのように
私の非日常は終わりを迎えた
君はきっと私のことを覚えてないのだろう
それでも私は最後に会った君の姿をずっと
忘れることなんてできないのだろう
この胸に空いた穴は一生塞がらない
好きなあの人に想いを伝えられないまま別れを告げてドアを開けた。廊下を重い足取りで進む。
もう会えない、話すことは無い。そう実感たとたん
目から涙が溢れて止まらなくなった。
引き返したい気持ちを抑えながら脚を引きずるように動かした。
窓から取り込まれる外気が頬を撫でた。
ああ、「あなたの事がずっと好きでした」
思わずぽつりと漏らした。
その声は誰にも届かないまま風に乗っていった。
去年のクリスマスから、きみと顔を見合わせていない。
電話をしたりゲームをしたりと、決して連絡が途絶えているわけではないのだけれど、ぼくたちは離れたところに住んでいるのもあって、なかなか機会が無い。
一思いにご飯にでも誘ってみようかと思ったけれど、そんな勇気がぼくにあるわけもなく、ただただ時間が過ぎゆく。
恋仲であるわけでもないのに、ぼくときみは毎年クリスマスの日だけは必ず会っている。ぼくはケーキとプレゼントを持って、きみはあたたかいご飯を用意して。傍から見れば本当に恋人同士なのだけれど、きみはそういう風に冷やかされるとすごく嫌がる。
結局ぼくたちはただの友達で、クリスマスに一緒に遊んでいるだけなのだ。
そんな関係はぼくにとっては少し嫌でもあるけど、きみが楽しいなら、それでいい。
君と最後に会った日
ー 君と最後に会った日 ー
僕は 彼女と初めてあった日のことを まるで昨日のようにありありと思い出すことが出来る。
それは 暑い夏の日。
セミの鳴き声と どこからか聞こえる子供の声と 太陽の悲鳴と。
それに満ちた日であったことを 僕は脳の隅から隅まで しわ一つ一つまでに記憶している。
僕は 子供の声を浴びながら 公園のベンチに座っていた。
高校生だった僕は かつて自分も通った時代である 小学生 という姿にある種の憧れを抱いていた。
今どき 高校生が こんな時間に鬼ごっこをしていたら きっと頭を疑われてしまうだろう。
彼女はそんな時に現れた。
僕が そろそろ。と腰を上げようとした時だ。
「きみは 鬼ごっこが好きなの? それとも 小学生が好きなの?」
いつの間にか目の前に立っていた少女は僕に聞いた。
「変なレッテルを貼らないで欲しいな。ただ ぼーっとしていただけだよ。」
ふーん。とつまんなさそうな声を上げ 彼女は隣に座った。
「ねぇ。今ひま?暇ならわたしと遊ぼうよ。」
「暇じゃない。」
そっか。と落胆の声を上げ 彼女は席を立つ。
「多目的トイレ。そこを開いてみて。これはわたしの お願い。」
もちろん。そのまま帰ってもいいよ。
僕は 変な少女の言葉を無視し その場を離れた。
ふと。何となく ただ 本当になんとなく。
後ろをふりかえった。
先程までいた彼女の姿はもうなく そこには子供の声のみが響いていた。
僕はどことなく溢れる違和感を胸に 家に帰った。
夕食時 テレビをつける。
ニュースです。と喋るニュースキャスターと その隣の少女の写真。
僕は 違和感の正体と 彼女の願いの意味を理解した。
あんな暑い日に 目の前に立たれたら 影で分かるものだ。
君と最後に会った日の記憶はいまでも克明に思い出せる。
60年前と比べた街の風景はかすかな面影だけ残して、ほとんど変わってしまった。
高架下で絞めた首の感触は今でもぬるい。
全て壊れてしまいそうなんだ。この世界も、心も存在も。この世界には僕ときみの2人だけなんだ。
僕のことを知っているのはきみだけだった。僕に戸籍はなかった。だから、きみが僕を知っている事だけが僕がこの世に存在した証拠だった。でもきみはいなくなった。
つまり僕は死んだ。この世に存在しないのだから。生きているのに存在しない。不思議だけどそれが今の僕。
きみはどこに行ってしまったんだろう。最後に会ったのはいつだったかな。どれだけ時間が経ってしまったんだろう。僕が覚えているのは、きみの誕生日と、名前だけ。
名前を呼んだら、きてくれるかな。でも、存在しないのにどうやって会いに来てくれるんだろう。もう会えないのなら、僕がきみを探しに旅に出るよ
『別』
君と最後に会ったのは、爽やかに風が吹く涼しい夏だった。
笑顔が素敵で、いつも頑張っている君はとても眩しかった。
君は今、どこで何をしているんだろう。
笑ってるかな。ちゃんと食べてるのかな。
そもそも生きてるのかな。
連絡先も分からない。
もう会うこともないだろうその人は、
私だけが、大切な人だった。
お題:《君と最後に会った日》
#君と最後に会った日
最後の言葉は
「さよなら」じゃなくて「またね」
帰り道を歩きながら考えた…。
きっともう、会うことは無いんだろうな。
学生服を着てたあの頃にも戻れない。
容疑者■■とその友人青木の会話記録
2027年 6月26日 居酒屋らいだーにて
■■「元気?」
青木「…へっ、お前■■?!うわ久しぶりだなー!中学以来…だから6年ぶりとか?まじで懐かしー」
■■「はは、はしゃぎ過ぎでしょ。ていうかさ、俺お前にずっと聞きたいことあったんだよ」
青木「なんだよいきなり。あっ…もしかして、校長カツラ事件お前が犯人だったとか…」
■■「最近、強姦事件があったの、知ってる?」
青木「……なにそれ。知らないけど。ここら辺そんな物騒なの?いやー怖いねー」
■■「被害者の子の名前、■■唯っていうんだよ」
青木「……お前と同じ苗字だな。偶然すぎw」
■■「俺の妹だ」
青木「……」
■■「なあ青木。俺、分かってるんだよ」
青木「分かってるって何が」
■■「お前が首謀者なんだろ?大学の後輩使って襲わせて、お前はただ眺めて楽しむ」
青木「何言ってんだよ!俺がそんなことしたとか……。言い掛かりにも程がある!し、証拠とかあんのかよ。無いだろ?」
■■「……しらばっくれるんだな」
青木「しらばっくれるもなにも!俺はやってないって!」
■■「まあまあ落ち着けって!確かに証拠なんてない。ただの俺の推測だ」
青木「なんなんだよさっきから。人を犯人扱いしにきたのかよ?!気分わりぃ。帰る」
■■「でも、証拠なんていらないんだよ。そんな遠回しにじゃなくて、俺は、俺の思うようにやる」
青木「何言って」
(何か刺すような音)
■■「うわこいつ酔ってんなぁ……。仕方ないか。女将さーん、こいつの分も一緒に勘定お願いしていい?」
その後、店内を出た二人は以降目撃情報なし。
監視カメラの映像にも映っておらず、いまだ捜索が続けられている。
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『報告書404』