愛斗🔞不純物

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[君と最後に会った日]

会った日?
いや、会ってないや。

あの子…いや、
仮名に『愛人ちゃん』とでも呼ぼうか。

あれは4月

「あたし…
あなたのこと…好きなの」

いきなり愛人ちゃんに告白された。
愛人ちゃんはネットでの相互フォロワーだ。

もちろんオレには結婚相手がいることを知っている。
愛人ちゃんにも恋人がいた。
それにもかかわらず オレは告白をされた。

オレは罪悪感ながらも彼に内緒で
コッソリと愛人ちゃんと連絡を交換し始めた。

まずは『仲の良い友達』として
愛人ちゃんはオレに恋人の愚痴を話し、
オレもその時は彼との結婚が不安で
愛人ちゃんと話し、現実逃避をしていた。

愛人ちゃんとは趣味が合うので
趣味等を共有し合っていた。
「いつか会って楽しもう」とも話していた。

ある日、愛人ちゃんが恋人と別れた。
「別れた」と言っても『自然消滅』すると言っていた。

「あなたの為に別れたの!
だからあなたも恋人と婚約破棄して
あたしと結婚して!」

オレは驚いた。
愛人ちゃんは『本気』になっていたのだ。

もちろんオレは断った。
そしたら愛人ちゃんは泣きついてきた。

しかしオレは条件を出した。
それは『突然の別れを覚悟すること』。

愛人ちゃんはその条件に賛成し
これからも繋がることになった。

オレと愛人ちゃんとの関係は
次第に『友達』を超えて
『秘密の関係』となっていった。

日付が終わる頃に彼との通話を終わらせ、
愛人ちゃんと通話を繋げた。

それ以上の関係を望んではいけないとわかっていたが
オレ達はもう遅かった。

「愛してるわ」
「オレもだよ」

通話を重ねる度にアチラの話も多くなり、
写真等もお互いに交換して
電話越しに甘い言葉を吐きあっていた。

「あたし あなたのことで頭がいっぱいで
体が熱くなっちゃうの…あなたが欲しいよ…//」
「なんてこった…それは嬉しいね
このことは誰にも秘密だよ?//」

…なんて甘く熱くお互いに求め合いながら話していた。

またある日、
いつものように愛人ちゃんと通話をかけたら

「あたし、女の子と付き合う事にしたの
だからこれからはその子を優先に過ごすわ!」
「…え?」

衝撃的だった。

話を聞くと愛人ちゃんは友達に3年前から告白され
「恋人がいるから」という理由で断っていて
恋人と別れたからその友達と付き合う事にしたらしい。

オレはもちろん困惑しながら
「良かったね」と言った。

愛人ちゃんはいつものように
「愛してる」と言った。

オレの気持ちも知らないで…

オレも平気なフリをして いつものように
「オレもだよ」と言った。

その日は眠れなかった。
ただひたすら『なぜ』と考えるしかなかった。

そしてオレは頭が冷えたのか
これから愛人ちゃんには
今までのような愛情表現をするのを
辞めることにした。

愛人ちゃんへの
連絡も控えることにした。

翌日、またいつものように
愛人ちゃんからのメッセージが来た。

愛人ちゃんは付き合い始めた女の子の事を
嬉しそうにオレに話し始めた。

今度はオレが『自然消滅』をはかる番だと思った。

オレは真面目に話し始めた。

「なあ、気づかないのか?
オレと、君の恋人と、女の子と、オレの恋人を
君の『都合の良さ』に巻き込んでること。」
「え?どうしたの?」

オレは続けた。

「なあ、確か恋人とは『自然消滅』なんだろ?
それって恋人は『別れた』と
思ってないんじゃないのか?
それなのに別の恋人を作るなんて
ただの『浮気』じゃないのか?」
「あっ…」

愛人ちゃんはハッとした。

「オレはいいよ…
『恋愛』と『遊び』が区別できるから。
でも君はまだそれがわかってないだろ。」

オレは愛人ちゃんを叱った。

「オレの心も踏みにじりやがって」なんて事は
言いたかったが言わなかった。
正直オレも少し愛人ちゃんに
『本気』になりつつあったからこらえた。

愛人ちゃんは泣き崩れた。

「あたしはただ1人になるのが怖かったの…
『平等』に愛したかっただけなの…」

愛人ちゃんは話せばわかるいい子だから
そうだろうとオレは予想していた。

「『平等』に愛すことなんて出来ないよ。
恋人と女の子にこの事を正直話してごらん
ちょっともめるかもしれないけど
気持ちは伝わるはずだよ。」

オレは優しくアドバイスをした。

「うん…話してくる」
「よしよし
話してきたらまたオレに話してよ。
待ってるね」

オレはもうそろそろ愛人ちゃんとの関係が
終わるとわかっていた。
だからせめて最後まで優しくしてあげようと決めた。

愛人ちゃんは寂しかったのだろう。

しばらくすると愛人ちゃんから
「話してきた」とメッセージが来た。

「あたし決めたの!
もう『浮気』しないって
大事な人を悲しませたくないから!
叱ってくれてありがとう!」

やっぱりいい子だ。

そしてオレは愛人ちゃんとは
『普通の友達』に戻った。

元から愛人ちゃんとは『何も無かった』。
そう、『何も無かった』んだ。

愛人ちゃんとは会ってもいないし
口約束だけだった。

オレは今までのように恋人と
イチャイチャする生活に戻るだけ。
失うものは何も無い。

今まで火遊びは男ばかりだったオレに
久々に女の子と良い恋ができてよかった。
おかげで良い夢が見られた。

楽しかったよ 愛人ちゃん。
良い夢をありがとう。

オレはそっと
愛人ちゃんの写真と連絡先を消した。

でもオレは今後
どんな気持ちで愛人ちゃんを見ればいいのだろうか

今でもフォロワーには愛人ちゃんが居て
オレは複雑な気持ちをしながら見守っている。

6/26/2023, 4:07:05 PM