『向かい合わせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【向かい合わせの照れ屋さん】
僕は記憶力には少しばかり自信がある
けれど
好きになった女性の顔を覚えるには
時間が掛かってしまう
人見知り屋な僕は
好きな女性から目を合わせられると
照れてしまって目を逸らしてしまうんだ
だからね
たとえばどこかで
君と向かい合わせのテーブルで
君と一緒に食事や会話をしてるときに
僕が君の目や顔をなかなか見なかったら
僕は君のことが好きだから
僕は照れて恥ずかしがっているだけなんだ
だからね
そんな僕と向かい合わせになったときは
「照れ屋さん」と君に微笑んでほしいんだ
恋愛詩人よしのぶ
#散文詩
#恋愛散文詩
#片思い散文詩
#恋愛ポエム
#片思いポエム
#詩
#向かい合わせ
#恋愛詩人
【お題:向かい合わせ 20240825】
よくある『恋のお呪い』と言うやつで、満月の晩の午前零時丁度、合わせ鏡に映った蝋燭の火を同時に吹き消すと魔女の使い魔が現れる。
現れた使い魔にジンジャークッキーを3枚与えると、好きな人との未来を教えてくれると言う、そんな出処の不確かな話。
けれど、『呪い(まじない)』と言われるものは良くも悪くも人の口に上り、それが恋愛に絡むもので思春期の女子の耳に入れば試してみたくなるのも当然の流れ。
クラスの女子の半数近くが試している現状で、やらないでいるのは良い選択とは言えない。
そして実はちょっと興味もある。
恋とかお呪いとか、そういうのでは無く、『魔女の使い魔』こちらの方に。
学校の友達に言えていないが、小学校高学年の頃からハマっているものがある。
かれこれ5年以上になるのだが、俗に言う、異世界モノという漫画にどっぷりとハマってるのだ。
これは両親の影響が大きく、家の部屋ふたつまるまる漫画本が並んでいるどころか、廊下にも本棚があり、最近では客間にも本棚が設置されたほど、父親も母親も漫画や小説などが大好きなのだ。
最近の風潮に合わせデジタル化すれば家が本に占拠されることは無いのだが、そこは両親のこだわりで紙媒体が良いらしい。
ただ紙媒体で手に入らないものなどは、電子化されたものを買うこともある。
そんな漫画喫茶のような環境にいれば漫画を読むのは自然なことで、アイドルを好きになるのと同じように特定のキャラクターに思い入れることもあった。
でもそれも中学生位までの話で、高校に入ってからは周囲に合わせアイドルや俳優、アーティストなど一般と言われる程度の知識は身につけ、仲間はずれにされない為の努力に時間を費やしていた。
けれども漫画ほどに興味を唆られる人物を見つけることは難しく、周りに置いていかれないよう、外れることがないようにするだけの行為は少しずつ、心に疲労を蓄積させていた。
そんな所に囁かれ始めた『恋のお呪い』。
そこに『魔女の使い魔』というキーワードが含まれていたのだから、興味を持たないでいることが出来るはずはなく、この三ヶ月間ネット等でも情報を収集して準備してきた。
調べてみると噂で流れているものには幾つかパターンがある。
恐らく人から人へ伝わるうちに変わってしまったのだろうと推察できる。
ということは、逆を辿ればホンモノになるのではと考えてしまった。
そこで調べ考え、分からない所は直感で導き出した答えが、今、目の前にある。
「えーと、3面鏡をふたつ、ロウソクを6本、月の水で浄化した水晶の欠片を5個、それと魔法陣の描かれた紙とジンジャークッキーにシナモン抜きのアップルパイ⋯⋯と」
魔法陣と言うか、良くある図形の組み合わせが描かれた少し大きめの紙。
描かれているのは、二重の円に接するように六角形、更にその内側に接するようにもう一度六角形、というように全部で六角形が4つ描かれ、いちばん小さい六角形の内側に五芒星という形。
その紙を窓辺の床に広げ、外側の六角形の辺に沿うように三面鏡をふたつ、向かい合わせに置く。
次に100円ショップで購入した小さな陶器の器に、厚めの両面テープを貼ってロウソクを立てる。
魔法陣に直接立てる事も考えたが、ここは部屋の中、ロウソクが倒れて火事にでもなったら大変、家は燃えやすい本がいっぱいなので、安全策をとることにした。
強力な両面テープを使う事で、ロウソクが倒れる心配もないだろう。
ロウソクを立てた器を一番小さい六角形の頂点部分に置き、五芒星の頂点に水晶を配置する。
「で、クッキーを真ん中に置いて、完成〜♪」
なかなか儀式っぽい感じに出来上がった。
カーテンは全開、窓も全開、月は綺麗な満月。
時間は午後11時55分、予定時刻まで後ちょっと。
大切なのはここから。
午前零時丁度に、蝋燭の火を6本同時に吹き消さなければならない。
チャンスは一度、これに失敗したら次の満月まで待たなければならない。
スマホを取り出して、『117』に接続、スピーカーに切り替えると音声は11時57分を告げた。
6本の蝋燭に火を灯し、その瞬間を待つ。
このために、蝋燭6本を同時に消す練習を何度もしてきた。
「ふぅ、⋯⋯緊張する⋯⋯」
頭の片隅では、ただの噂だし、本気で使い魔が来るはずないし、とか考えているけれど、何事もやってみなくては分からない。
それに、このドキドキ感が堪らなく楽しいと思ってしまうのは何故なのか。
時報の音声が11時59分30秒を告げると同時に深呼吸をひとつ。
『ピ、ピ、ピ、ポーン。ピ、ピ⋯⋯』
蝋燭の灯りが消えた室内には、青白い月明かりが差し込んでいる。
床に敷かれた紙の上、綺麗に並べられた鏡と蝋燭、そして水晶の欠片、それから⋯⋯⋯⋯。
「昨日の夜、何してたの?」
「うん?」
「何か話し声が聞こえてたけど、友達と電話でもしてたの?」
わかめと豆腐、それから長ネギが入ったお味噌汁をコクリと飲み込む。
出汁の香りが鼻をぬけて、味に深みを感じさせる。
「あー、うん。ちょっと数学で分からない所があったから、教えて貰ってた。煩かった?」
「そんな事はないけど、珍しいと思って」
「ん、そう?」
「まぁ、勉強も程々にね」
「はーい。ご馳走様でした」
いつもよりも少し早い鼓動を誤魔化すように、努めて明るく返事を返して、洗面所へと向かう。
自分の歯ブラシに歯磨き粉をつけて、口に加える。
昨夜のことを思い出すと、キュッと眉間にシワが寄るのがわかる。
ほんのちょっとした興味本位、色々と調べて考察して組み立てたものを検証したい、とか思ったのはそういう性格だから。
「⋯⋯⋯⋯」
上を向いたり、下を向いたり、首を右に曲げて、左に曲げて、また上を向いたり下を向いたり。
その間、歯ブラシはビィィィと小さな音を立てて、細かい振動を繰り返している。
暫くして口の中のものを吐き出し、軽く水でゆすいで口元の水分をタオルで拭き取る。
「はぁぁ、どうしよう」
廊下に顔を出し、階段の上を覗き込む。
無論そこから見たいものが見える訳では無いのだが、何となく見てしまうのは気がかりだから。
ヘアーアイロンで前髪を真っ直ぐに伸ばしながら、ため息をもうひとつ。
こうなったら、腹を括るしかない。
うじうじ考えていてもどうしようもない、世の中なるようになるものだ。
前髪をバッチリと決めて、2階の自分の部屋を目指す。
深呼吸をひとつして、勢いよくドアを開ける。
「にゃーん」
ベッドの上で寛いでいた黒猫は、部屋の主を視界に収めると可愛らしく一声鳴いた。
「お、おはよう」
金と緑の瞳にじっと見つめられ、ヒュっと短く息を吸い込む。
「わ、私これから学校なんだ。行ってくるから大人しくしててね?」
「にゃっ」
わかったとでも言うように、猫は短く鳴き声をあげた。
鞄を持って、スマホも持って、忘れ物がないのを確認しもう一度ベッドに視線をやると、黒猫はくるりと丸くなって既に寝入っている。
そっと部屋から出て、ドアを閉めて、階段を降りてキッチンに入ってお弁当を持って玄関へ。
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
母親の見送りの声を背中に貰って、玄関のドアを開ける。
今日もいい天気だ。
「皆に何て言おう⋯⋯」
何も起きなかった、そう言うのが一番波風立たないだろう。
それに、確証がある訳では無いのだし。
昨夜、蝋燭が消えた直後、部屋の中に黒猫がいた。
事実はこれ。
問題はこの黒猫がどこから来たのか、なのだが、儀式のために窓を全開にしていたので普通に黒猫が部屋に迷いこんできたとも言えるわけで。
「リボンしてたしなぁ」
首には青いリボンが結ばれていたし、怖がることなく擦り寄ってきた。
「でもジンジャークッキーなくなってたし⋯⋯うーん」
取り敢えず、窓を少し開けてきたので、何処かの家の飼い猫だったら自分から出ていくだろう。
それに部屋には食べ物も飲み物もないから、お腹が空けばきっと出ていくはず。
「うん、うん、帰ったら居なくなってる確率高いよね。まだ居たらその時考えよう」
問題の先延ばしでしかないけれど、今はそれでいい事にしよう。
学生の本分は勉強だ、今は勉強に集中しないといけない。
駅に向かって走りながら、『そういえばアップルパイどうしたっけ?』と昨夜と今朝の記憶を探るが一向に思い出せず、少しだけモヤモヤした気分になったが、それも友達に会うまでの間だけだった。
「にゃ」
ペロリと舌で前足を舐め、くしくしと顔を洗ってソファの上で寛ぐ黒猫は、あの少女が帰ってきて己の姿を見つけた時にどんな顔をするのか想像して、少し楽しげに短く鳴いた。
━━━━━━━━━
(´-ι_-`) 短く纏めるって難しい( ˘•ω•˘ )
向かい合わせ
君と 私。
違うもの 同士。
天使と 悪魔。
天と 地。
水と 空気。
太陽と 月。
それでも どこかで 共鳴する。
パルスの ような、
この先 どこまで 続く 関係か。
私は 姿を もうすぐ
消して しまいそうな、
この都会の しきたり というもの さえ
しらずに 息を していた。
そして 煙の ように 立ち込めた
淡くて 幼い 炎を 消し去る
運命を ただ 怪訝そうに
語気を 荒げて そこから 逃れる ように
狼狽えの ような 人生に
かき消された 予定の ような ものさえ 捨て去った。
それでも あなたは 私に
少しだけ 微かな 春の 日差しの ような
清らかな 笑顔を 浮かべて くれる。
私は 相変わらず 空気の ように
どこか 地上を 這いずるような
気怠さ という ような
倦怠感には 慣れている。
しかし、余生が あと 僅かか。
それでも 遠くで 光る 僥倖を 私は
どこかで 儚くも 試練の 多い
人々の 春を 待ちながら
その空を 仰ぐ 姿が
太陽が まだかと 待ち焦がれる
旅人の ような 心持ちの ように 思えてくる。
あなたは 風の ように
私の 前を 通り過ぎる。
私は 捲られて いない ページを
読み忘れた。
まだ 時間が あるかは しれないが
あと僅かの 命を 灯して
明かりの 下の 顛末を
追いながら。
君といた あの季節を 思い出す だろう。
向かい合わせに 過ごして
そして 非なる 者同士だった 二人が。
◤居る◢
怖かった
優しい君と向き合うことも
酷い彼から逃げ出すことも
怖かった
人の温もりに触れてみることも
一人の寒さを堪えることも
怖かった
あえて自分で手放すことも
急所にナイフで刺されることも
怖かった怖かった怖かった
辛かった辛かった辛かった
嫌だった嫌だった嫌だった
それでも君が好きだった
向かい合わせに座りましょう
きっと傍には居れないでしょう
ですからどうか今だけは
貴方の傍に居りましょう
テーマ:向かい合わせ
移動式サーカス<アルカディアス>僕達バケモノが所属するサーカスだ。“人外がショーをしている”と繁盛しており、だるい体を起こして毎日働いている…社会人と言っても差し支えない程に。
…
日々多忙な僕らに団長が声をかけてきた。
「お前たち!!!!今日は休むぞ!!!!!」
もう散々だ!!!と声を荒らげているのを見て、サーカスを買収しようとする輩が現れたと推測できる。
前に述べたように、アルカディアスは頻繁に人ならざるものがショーを行っている。そのおかげで繁盛しているせいで、最近は兄のルイとゆっくり食事をとることも出来なかった。
「ヤスミ!?やったぁぁぁ!!!」
…隣でガッツポーズをしているのがそのルイだ。
相変わらず何も考えちゃいない、無邪気なポンコツだ。
「待て、今日の公演の分のチケットはどうす「そんなの知らん!!出掛ける準備をしなさい!!!30分後に裏口に来なさい!!!ビュッフェに行くぞ!!!!!」
こうなると彼は止められない…
ただ、久々に“家族”で向かい合って
食事ができるのは悪くないなとは思う。
、向かい合って
「8月22日が『裏返し』で、今回が『向かい合わせ』。3月13日は『ずっと隣で』だったな」
他に類似のお題あったっけ。12月の「逆さま」?
某所在住物書きは今回も今回で、去年の投稿分を確認しながらついでに台風の動向を辿っている。
鏡2枚を使えば向かい合わせの合わせ鏡、
顔ふたつを使えば向かい合わせの「ルビンの壺」。
磁石を向かい合わせにすればリニアかモーターか。
「隣り合わせ」や「背中合わせ」は?
天才と狂人は云々に関しては「紙一重」だったか?
「悲報。物語が浮かばねぇ」
毎度恒例。物書きは大きくため息を吐く。
「……そういや台風の進路、初期から大分ズレたな」
日頃の防災意識と臨時の準備・備蓄補充は向かい合わせ、とも言えよう。特に台風増える今の時期は。
――――――
下がらない夜の気温、続く熱帯夜、猛暑こそ減ったものの常時夏日から真夏日の気温帯。
8月の終わりは残暑との戦いですが、暑さゆえに冷たいアイスやラムネが美味。 快不快が向かい合わせの晩夏、いかがお過ごしでしょうか。
冷々麦飲料のオトモは甘じょっぱいアスパラ肉巻き派の物書きが、こんなおはなしをご用意しました。
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしており、
そのうち末っ子の子狐は良き化け狐、偉大な御狐となるべく、絶賛修行中。
稲荷のご利益ゆたかなお餅を作って売ったり、お母さん狐が店主をしている茶っ葉屋さんで看板子狐をしたりして、世界と人間をお勉強しています。
今日は友達で和菓子屋さんの化け子狸のために、ペット用和菓子の試作品のお手伝い。
『人の和菓子だけでなく、犬用猫用、狐用狸用も、和菓子屋の技術で製作してみてはどうだろう』
ひょんなことから閃いたポンポコ子狸、アイデアを店主のお父さん狸に言ってみたのです。
『面白い。ひとつやってみなさい』
何事もまずやらせてみる方針のお父さん狸。ポンポコ子狸の挑戦の背中をポンと押しました。
人間も食べられる鶏肉、人間も食べられるカボチャ、ニンジンにメバチマグロにお芋さん。
熱を通してよくよく潰して、裏ごしして、かわいい練り切りに整えて、まず試作第1号の完成。
ポンポコ子狸、試食を友達であるところの子狐に、まずひとくち、お願いしたのですが。
子狐が試食のセカンドオピニオンとして、自分のとこのお得意様たる人間も1人呼んじゃいまして。
「おいしい、おいしい!」
がつがつがつ、ちゃむちゃむちゃむ!
コンコン子狐、試作品を怒涛の勢いで堪能。
マグロのフィッシュ練り切りより鶏肉のチキン練り切りがお気に召した様子です。
「もっと甘く、舌触りなめらかに……!」
がつがつがつ、ちゃむちゃむちゃむ!
子狸の試作品に、更なる改善を提案しました。
「素材の食感が残るくらいも面白い、とは思う」
対する子狐のお得意様、藤森という名前の人間は練り切りをお吸い物に浮かべ、つみれ汁の様相。
塩不使用ゆえに人間にとって完全薄味なそれですが、汁物の具には最適です。
「肉の量と糖分のバランスも丁度良い。個人的には、このままでも優しい甘さで美味いよ」
子狸の試作品に、現状維持を提案しました。
で、困ったのが子狸なのです。
もっと甘いのが良い――いやバランスが丁度良い。
もっとなめらかに――いやこのままが面白い。
1匹と1人の提案が、向かい合わせになってしまって、ぜんぜん同じ方向を向いてくれません。
子狐の左と人間の右、試作品製作者の子狸は、いったいどっちを向けば良いのでしょう?
「わぁ。どうしよう……」
向かい合わせ、向かい合わせ。
試食の感想が左と右で正反対。
ポンポコ子狸、感想をメモする手が完全に止まります。思考も迷子でごっちゃです。
「感想が多い、いや、感想が少ない……?」
向かい合わせ、向かい合わせ。
和菓子屋の子狸は試作のペット用和菓子と自分のメモ帳を見比べて、見返して、十数秒後、
ポン。頭がフリーズしちゃってコロリン。ひっくり返りましたとさ。 おしまい、おしまい。
一つのイガの中で栗である僕たちは
向かい合わせで住んでいる。
与えられた家のようなイガの中で
笑いながら話をしたり
どうでもいいケンカをしたり
慰め合ったりした。
人間によってイガをむかれたあの日
僕たちは離れ離れになった。
「誰かの糧になるなら私たちは生きてきた意味がある。
私は幸せだった。あなたとの暮らしは私の栄養だよ」
君は人間に連れていかれる間際に笑顔でそう告げた。
僕は君の言ったあの二言を自分の糧に変えて、
栗という自分の役目を果たすことを心に決めた。
今までで一番怖かった話?
私の場合は、合わせ鏡の話かなあ。
ほら、丑三つ時とか4時44分44秒とか特定の時間に、2枚の鏡を向き合わせて覗くと……、て奴。
並行世界に迷い混むとか、過去や未来の自分が映る……って、話。
「ああ、何が映るかわからないから怖いよねえ?」
え、全然違うよ。
だって、並行世界……異なる可能性の自分や、まだ自分が知らない未来の自分、忘れたい過去の自分。
過去も嫌だけどさあ……
仮にだよ、並行世界の自分が理想の自分になれていたり、未来の自分が順風満帆で幸福満点だったとしたら、だよ。
今の自分と比べてみたら、……うん、死にたくなるね。その上、もしも自分が「そう」なれなかったとしても、その時の私は自分が「そう」なれていた自分を知っている。
他人だったらさあ、色々言い訳出来るし、逃げ道はまだある訳よ。
でもさあ、……自分に逃げ道なんてないじゃん。だって、他ならぬ「自分」だよ。言い訳も逃げ道も塞がれてる……
そんな物を目にしたら、私だったら発狂するね。
君は、向かい合わせになって初めて私の目を見てくれる
私を見る君の目はいつも優しくて甘くて心地がいい
向かい合わせ
カンバセーションチェアという椅子がある。
2人もしくは3人が座れ、其々が互いの顔を見ずに会話が楽しめるいう。
ヴィクトリアン時代の後期に製作されたカンバセーションチェア。その名の通り、当時の高級サロンなどに使用され、訪れた客人達がおしゃべりを愉しんだ、らしい。ネットより引用。
昔何かのスパイ映画で、効果的に使われていたような気がする。
また、ヘッジホッグスジレンマという言葉がある。寒さに震える2匹のヤマアラシが
暖め合おうと近づくが、近づき過ぎると
お互いの体のとげが刺さって痛い。
しかし、離れ過ぎると寒い。
つまり、人は近づきすぎると傷つけ合ってしまう。 また、傷つけ合うことを恐れて距離を置きすぎると、今度は疎遠になりすぎて
仲良くなることができないという意味、
らしい。引用。
それを踏まえて。
我が家の炊飯器のしゃもじ立ては、
炊飯器にくっついて向かって右側にあり、
しゃもじの窪んだ面を内側に、
炊飯器と向かい合って立てると収まらず、
窪んだ面を外側に、そっぽを向いて立てるとうまく収まる。
そこで思い出す。
カンバセーションチェア。
ヘッジホッグスジレンマ。
ひとはひとと向かい合う時、
それくらいの距離感がちょうどいいのかも
しれない。
西日の当たるキッチンで、
しゃもじを見つめて思うこと。夏の日。
【向かい合わせ】
君と話す
いつの間にか
向かい合わせ
気が付けばケンカして
ふとした拍子にキスをして
今度は横並びで
君と話す
ずっとそれだと疲れちゃうから
たまには背中をくっつけたり
時々並んで歩きたい
#向かい合わせ
線引きはどこにあるのだろうか。
痛みを痛みとしない。
苦難を苦難としない。
これは人々に称賛される。
しかし、称賛と迷惑の線引きはどこに。
擦り傷を喚き散らす。
ひどい傷にも何も言わず耐える。
迷惑と称賛とに分かれる。
誰が見ても明らかな苦難。
耐えに耐えると称賛され、
耐えきれず波及すると迷惑となる。
これらは耐えようと耐えまいと、
痛み、苦難の根本は無くならない。
放っておけば治るものと
放っておいたら酷くなるもの。
耐えられれば耐えられる人ほど、
その線引きが分からなくなるのではないだろうか。
時代が変われば線引きも変わる。
称賛と迷惑は向かい合わせ。
その曖昧な線引きはどこにすればよいのだろう。
〜向かい合わせ〜
そこは昔ながらの喫茶店だった。赤い革の椅子、ダークブラウンのテーブル、それを優しい黄色い光でテーブルを照らすペンダントライトがノスタルジックな気分にさせる。とにかくそこは落ち着いた。スタバやドトールなどのチェーン店にばかり行く私にとって新鮮な感覚でもあった。
あの日は大学の再試験が終わり、たまたま一緒に受けていた友達と落ち合った。友達というより、会ったら少し話す程度の顔見知りという表現の方が正しいのかもしれない。実際に、彼と知り合って半年が経つが、大学以外の場所で関わるのは初めてだ。彼のことを知ったのは3年後期の最初の授業だった。それは経済学だったように思う。授業後に疲労感を感じており、ただぼんやりとした私に彼が「まだ帰らんの?」と話しかけた。ずいぶんとフランクに話しかけるなと思いつつ、「えぇ、まぁ」と返した。「一緒に帰らね?」と真っ直ぐこちらの目を見ながら言うものだから、私は困惑しながらもそれを承諾した。その後の会話で彼が留年しており、年齢がひとつ上であることも知った。
そこから彼とよく話すようになった。とはいっても、彼が話し続けるのを、私がただ聞いていただけだが。彼がよく話す話題は大きく分けて2つあった。
1つは音楽の話だ。彼は様々な音楽に精通していたが、その中でもBLANKEY JET CITYというバンドについて語っていたことが印象的だった。説明はお世辞にも上手く無かったが、そのバンドや音楽にかける熱量がこちらにも伝わってくるほどに凄まじかった。その話を聞いたことで、そのバンドを好きになることは無かったが、それ程までに熱く思えるものがなかったため、微笑ましくも、どこか尊敬や羨望を感じていた。
2つ目は将来についての話だ。将来の話といっても、建設的なものではなく、ただ「未来に希望なんかねぇよな〜、つまらねぇ」といったことをただボヤいているだけだ(彼はよく「〜ない」を「ねぇ」と発音する)。ただただ退屈だ。この話が始まった時には、歩くことだけに意識を向けていた。
そんな話ばかりする彼が、このような昔ながらの喫茶店を知っているのがどこか意外だった。彼には喫茶店やカフェのイメージがあまり湧かない。おもしろいなーと思い、「ここの店よく来るの?なんか意外だった」と聞くと、彼は「ここタバコ吸えるからな、最近どこも禁煙でマジつれぇ」と言い、おもむろにタバコを取り出し、向かいに座る私に許可なく吸い始めた。それが当たり前のように。「いやいや、タバコ吸ってるの知らなかったんだけど」と驚くと、「えっ?だって別に聞かれてねぇし」と応える。「タバコ吸っているところを見たことない人にいちいち聞かないでしょ」と言うと、「それもそうだな」と応え、彼はハハッと笑う。笑った時に漏れた息から、彼から無理やり貸されたBLANKEY JET CITYの「BANG!」というタイトルのCDと同じような匂いを感じた。再試験も終わったことだし、帰ったら聴いてみようと心に決めた。
その日以降、彼に会うことはなかった。単位を落として留年になったのかもしれないし、退学したのかもしれない。それは私には分からないことだ。ただ、一ヶ月前に、BLANKEY JET CITYがサブスク解禁になったというニュースを見て彼のことを思い出した。
「…あの~、」
「…なんだよ」
「この状況気まずいんですけど」
「…だよな。俺も」
これは新手の拷問かなにかか?
よく知りもしない異性と狭い密室に閉じ込められている。お互い向かい合わせで非常に気まずい。
しかもお相手様ちょっと不機嫌そう!!!!
あれかな?夢小説とかによくある"○○しないと出られない部屋"的な?!
「…なんか、すみません」
「なんで謝るんだよ」
「いや、なんとなく、?」
「ふっ…w」
「なんで笑うんですか」
「面白い人やなあと」
「それ、褒めてます?」
「褒めとる褒めとるw 」
不機嫌そうだと思ったからなんとなく謝ったけど、、
まあお互い多少は緊張ほぐれたやろ!私天才か?!(
「…そういや、名前、聞いとらんかったな。俺は希。呼び捨てしてもらって構わんよ。あとタメでいこうや」
「のぞむ、さん…。じゃあ早速呼びタメ失礼…私は華夜です、お好きなように呼んで、!」
「ん、じゃあ俺も呼び捨てするわ。よろしくな、華夜」
なんだ、案外いい人そう…。
もう少しだけなら、この人と閉じ込められてててもいいかも。
希はどう思ってるか知らないけどね。
暫く談笑していると、部屋の端にあった扉が開き、脱出することができた。結局、何故私たちが閉じ込められていたのか、なにが脱出の条件だったのか、わからずじまいだけれど、、
「おーい、華夜!」
あのとき仲良くなった希との交流は今でも続いている。
今日はカフェで、向かい合わせで談笑している。
ちょっと先の未来で付き合うことになることを、このときの私は知らない。
#向かい合わせ
向かい合わせ
私と君は向かい合わせに座ることが多かった。
いつものお昼ご飯とか遊びに行ったときとか。
席替えしても、隣になったことは一度もない。
横に並んで、歩いたことも少ない。大体、他の友達と前か後ろを歩いてる。
近いけど、少し遠いと感じる距離。嫌われてるのかと思ったこともあるけど、そうじゃないことだけはわかる。
私の気にしすぎ?
でも、それが嫌だった。もっと君の近いところに居たい
だから、観覧車という2人っきりの空間を使った。
その機会が訪れたのは偶々だったけど。
観覧車の中でも、君は向かいに座った。どうやって隣にいこうか考えても、良い案は思いつかない。
ねぇ、隣座っても良い?
だからもう直球で聞いた。
なんで?
そっちに座ると海が綺麗に見えるから。
…いいよ。
君がちょっと右にズレたのを見てから、隣に座る。
肩が触れるくらいの至近距離。
綺麗な景色を見ながら、好きな人に触れるのってどきどきするなぁ、と初心なことを考える。
ちらりと横を見ると、体を硬直させたまま、下を向いていた。綺麗な黒い髪からは、赤くなった耳が見えた。
ねぇ————好きだよ。
付き合うまで、後0秒。
ほんとにちょっとした事だったの
いつも同じ電車に乗り合わせる男子
その時まではまた居るなーくらいで
なんとも思っていなかった
だから近くになっても離れていても
どうでもよかった
でもあの日
おんぶされている赤ちゃんが
彼に手を伸ばして持ってるスマホを取ろうとしてたの
彼は何も言わず笑顔で
スマホに付いてるアクセサリーを触らせてあげてた
その優しい笑顔で私はやられてしまった
それからは
彼の顔が見える位置で
そっと覗き見するのが楽しみになっているの
また笑ってくれないかな・・・
「向かい合わせ」
あなたと向かい合わせ
画面越しのあなたと向かい合わせ
絶対に会えない、
言い切ります。
あたしにかけられる
頑張ろうとか、君ならできるさとか
魔法の数々
……あなたはそれをもっと他のひとにもかけているんでしょ
知ってる
あなたが好きな奴らがたくさんいることくらい
知ってる
みんながあなたを求めて大小の戦争勃発させてるのも
全部全部知ってる。
次元の違う空間でしか生きられない、
あなたと向かい合わせ
『……恋愛アプリ、好評配信中!』
〜向かい合わせ〜
対戦相手と向かい合わせになって杖を構える。
今までに幾度となく戦ってはきているが、緊張の走るこの瞬間には未だ慣れない。
決闘開始の合図が出る。
しばらくの間、両者一歩も動かず魔力を溜めていたが先に呪文を繰り出しながら動いたのは相手の方だった。
「インセンディオ!」
「っ…、」
瞬間、轟々と赤い炎に包まれる。
自身への被害を最小限に抑えるべく素早く前へ移動しながらモンスターブックを召喚し、相手へと放つ。
僕には自分の中での決闘のルールがあった。
〝まずは相手に先制攻撃させる事〟
出方を見るという目的もあるが、元々決闘は疎か争いごと自体全くもって好まない僕は、まず相手に自らを攻撃させる事で反撃する事を正当化させたかったのである。
もはやそうでもしないと戦う気力も湧かない質だった。
…というのは今は置いておこう。
次いでマタゴとピクシー、おまけに浮遊爆弾を召喚する。
これでひとまず相手は僕への攻撃ではなく召喚した魔法生物の処理に追われることになるだろう。
コンフリンゴやヴェンタスをされてしまうと少々厄介だが、大抵の魔法使いの呪文にあっさりやられてしまうほどこちらも魔法生物の育成に手を抜いてる訳では無い。
呪文を使いこなすのが苦手な分、召喚魔法は得意であった。
対戦相手が魔法生物に攻撃されながらこちらへ近づいてくるのを見てチャンスだと拘束呪文の準備をする。
照準を定め、呪文を唱えようとしたその時、
「インフラ「セクタムセンプラ!」
相手が先に呪文を繰り出した。
しまった!呪文を唱えるのが一足遅かった、と思うと同時に緑色の光を帯びた風の刃に襲われる。
慌てて防御の体勢を取ったが、裂かれる様な痛みを身体全身に感じ、思わず身体を抱え込んで後ずさる。
相手を攻撃する為に近くに居たマタゴやピクシーも跳ね返ったセクタムセンプラに巻き込まれ消えてしまった。
いくら決闘で死なない程度に保護呪文がかかってるとはいえ呪文が当たるともちろん怪我はするし痛いものは痛い。何とか凌ぎはしたが左腕を負傷する結果になった。
「エクスパルソ!」
「!!〜〜〜っ、ぅ」
好機とばかりに続けざまに攻撃を当てられる。当然避けられるはずも無く爆発によって跳ねた破片が頬を掠めた。
このままでは不味いと一旦距離を取る為に後ろへ下がる。
…いや、正確には下がろうとした。
「!?えぁ、」
気づいた時にはアクシオで引き寄せられそのまま拘束されてしまっていた。
なるほど、このまま畳み掛けようってことか。
ズキズキと痛む左腕を抱えながらアクシオによる一時的な拘束が解けるのを待つ。
どうやら相手は少しずつ勝利を確信してきたようだった。
「…っはは、でも残念。」
散々攻撃を受けている間に“アレ”を召喚する魔力が溜まった。
僕の様子に何かおかしいと察知した相手が次の呪文を繰り出そうとしていた杖を下ろし飛び退く。
「ピエルトータム・ロコモーター!!」
上から下へ杖を振り下ろす。瞬間、二体の石像がその場に出現した。自分の出せる最大で最高レベルの召喚魔法である。
拘束が解けた僕はゆっくりと立ちあがり後ろへと下がった。
恐らくもう前線に立つ必要は無いだろう。
相手が石像に苦戦している間に次々と他の魔法生物の召喚を行う。
そしていよいよ体力的に追い詰められた対戦相手に今度こそ拘束呪文を放った。
「…ごめんね。」
決闘終了の合図と共に辺りから喝采が湧き起こる。
そのまま戦闘不能となった相手にやりすぎたかと少しの罪悪感を抱えつつ、まずは勝ったことに安堵した。
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「……そういや、なんで戦うの嫌いなくせにお前は決闘に行くんだ?」
後日、大広間でご飯を食べていると決闘で負った怪我を見て不思議に思ったのか同じ寮の友人がそう尋ねてきた。
「あぁ、別に戦いたくて行ってる訳じゃないよ。」
「ならグレートウィザードでも目指してるのか?」
「いいや、それも違うかな。もちろんグレートウィザードになれるに越したことはないんだけど。」
「だったらどうして」
「うーん……」
少し考えて言葉を選ぶ。
「…いざとなった時に、大切なものを自分の力で守るために…かな。」
ただ闇雲に強さが欲しい訳では無い。だけど大事な時に肝心な力がなければどうにもならないから。
だから僕は今日も決闘クラブへ足を運ぶんだ。
対戦相手と向かい合わせになって杖を構える。
今までに幾度となく戦ってはきているが、緊張の走るこの瞬間には未だ慣れない。
さぁ、決闘開始だ。
#向かい合わせ HPMA side.S
→▷きさまとし◀
逃げなきゃ!
早く!! 走って!
振り向いたら終わり!
アイツと向かい合ったら、もう終わり!
……。
でも、どうやったら逃げられる?
アイツは、俺の影。
夕日に伸びた俺の影。
アイツ、急に立ち上がって赤い口を開けた。
「貴様と死」
全く意味が解らないけど
良くないことが起きてるってのは確かだ。
逃げろ!!
あぁ!! どうしたらいい!?
私ㇵ君丿一部。
遊ボウ⁴。
ズット一緒 ニ 遊ビタクテ、
夕日 ニ 助ケテ 貰ッタンダ。
嬉シクテ、君丿名前 ヲ 呼ンダョ。
「志都正樹」
…??
全ク意味ガ解ラナイケド、
君ㇵ怯エテ走リダシタ。
待ッテ!! 危ナイョ。
嗚呼、ソノ先ㇵ大通リデ……――
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