月詠

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「…あの~、」
「…なんだよ」
「この状況気まずいんですけど」
「…だよな。俺も」

これは新手の拷問かなにかか?
よく知りもしない異性と狭い密室に閉じ込められている。お互い向かい合わせで非常に気まずい。
しかもお相手様ちょっと不機嫌そう!!!!
あれかな?夢小説とかによくある"○○しないと出られない部屋"的な?!

「…なんか、すみません」
「なんで謝るんだよ」
「いや、なんとなく、?」
「ふっ…w」
「なんで笑うんですか」
「面白い人やなあと」
「それ、褒めてます?」
「褒めとる褒めとるw 」

不機嫌そうだと思ったからなんとなく謝ったけど、、
まあお互い多少は緊張ほぐれたやろ!私天才か?!(

「…そういや、名前、聞いとらんかったな。俺は希。呼び捨てしてもらって構わんよ。あとタメでいこうや」
「のぞむ、さん…。じゃあ早速呼びタメ失礼…私は華夜です、お好きなように呼んで、!」
「ん、じゃあ俺も呼び捨てするわ。よろしくな、華夜」

なんだ、案外いい人そう…。
もう少しだけなら、この人と閉じ込められてててもいいかも。
希はどう思ってるか知らないけどね。

暫く談笑していると、部屋の端にあった扉が開き、脱出することができた。結局、何故私たちが閉じ込められていたのか、なにが脱出の条件だったのか、わからずじまいだけれど、、

「おーい、華夜!」

あのとき仲良くなった希との交流は今でも続いている。
今日はカフェで、向かい合わせで談笑している。

ちょっと先の未来で付き合うことになることを、このときの私は知らない。



               #向かい合わせ

8/26/2024, 5:25:26 AM