『友だちの思い出』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
友だちの思い出
友だち…
強く記憶にあるのは
小学生の頃の友だち
たった5年しか
過ごせなかった
なのに今でも鮮明に
記憶の中に存在する
もう40年以上前のこと
今のように
ネットで繋がる術もない
きっと完全なる
片思いの友だちだろう
小学生の頃なんて
覚えている方が
不思議なことだろう
それでも、もう一度
会いたいと願う
『ようこそ。故人図書館へ。』
「こんばんわ。本が読みたいんだけど。」
『おや、珍しい。どちらの書物でしょうか?』
「先月亡くなった、僕の友だちのなんだけど。」
『こちら、お探しのものです。』
「ありがとう。」
〈〇〇年〇月〇日 今日、友だちと喧嘩した。俺が羨ましいって、怒鳴られた。俺だって、お前が羨ましいって、怒鳴り返してしまった。明日謝ろう。
〇〇年〇月〇日 俺達は仲直りした。そして、彼と一緒に駅まで行った。駅のホームに着いた。バイバイと彼に手を振った時、彼に押された。タイミング良く、電車が来た。俺を押した彼は泣いているように見えた。許さない。〉
「見なきゃ良かった。何で、恨まれてないかもって期待したんだろう。」
『それは誤りだと思います。最後までお読みに?』
「見なくない。これ以上、惨めな思いはごめんだよ。」
『〈俺の友だちに、そんな顔をさせた奴を、俺は一生許さない。それが俺だとしたら、俺は彼に殺されて当たり前だ。〉』
「…僕の両親さ、小5の時に離婚したんだ。それから僕は教育熱心な母親に育てられた。あの時から、常にテストでは95点以上が当たり前。それ未満だったら、ずっと説教。中学に入ってからは、学年一位を取れって、ずっと言われてきた。それなのに、僕はいつも2位だった。あいつは、いつも一位。」
『貴方様のご友人は、幼少期から親の期待を背負わされておられました。あの方にとって、一位は当たり前だったのです。』
「母親も段々と、僕を見捨ててきてさ。それが一番辛かった。あいつさえ居なければ。そんな最低な思考が浮かんだ。気付いた時には、僕はあいつを殺していたんだ。」
『最低ではありませんよ。あの方は、貴方様に殺される事を望んだ。貴方様はそれを叶えた。それだけです。貴方様が望んだ結果ですのに、何故貴方様はお泣きに?』
「何でだろうね。もう、分からないよ。」
『左様でございますか。今から後を追いに?』
「うん。ちょっと謝ってくるよ。」
『貴方様の物語の終幕は、どんなものか楽しみに待っております。』
『お友だちの思い出、それはパンドラの箱。鬼が出るか蛇が出るか。其れ共、涙が流れるのか。貴方様に、思い出を見る勇気はございますか?』
『本日も貴方様の、物語をお待ちしております。』
この人生では友人が少なかった。
ひと握りの友人はいたが
別段、その人物等の深い事情なんて
知ろうともしなかった。
だが、淡白な私にも例外の子がいた。
けたたましい蝉騒が聴覚を狭め
日差しは強く視野が色飛びする様な
呆れるほどに夏の真っ只中な、とある日
学校帰り、その子の家へ
招かれた事があった。
何て事も無い理由で、一緒に勉強をしようと
普段から人を良く見ている子で
誰かの気分を害した場面も見た事がなかった。
あまり、人と関わろうとしない私を
無意識に気に掛けてくれたのだろう
深くは考えず、お誘いへは快く了承し
二人で自転車に乗り、寄り道などをしつつも
学校から少し離れた一軒家へお邪魔した。
古めの木材と色褪せた畳の香りに
昔の家屋ならではの急な階段を上がり
友人の部屋へと足を踏み入れた。
六畳ほどの一部屋には必要最低限の家具があり
学生にしては飾り気は少ない気がしたが
勉強机の前には眺めの良い大きめの窓もあり
風の通りもよく、居心地の良い空間に思えた。
端を陣取る畳まれた敷布団の近くの土壁
そこに立て掛けられたちゃぶ台を中央に置き
二人だけの勉強会が和やかに始まった。
数学と国語の授業内容の相互理解を
一通り示し合わせた、暫くの後
唐突に襖の戸が大きな声と共にしなる
あまりにも突然の出来事で
私は目を丸くして数秒固まっていたが
友人の行動は慣れた様子で早かった。
今だに、しなる襖の戸を背に
己が体で懸命に抑えつつ
泣きそうな顔で笑ったまま
私へ謝罪を投げ掛けてきたのだ。
「姉さんの機嫌が悪いみたい…
今日は帰ってくるのが遅いって
聞いてたから誘ったのに、ごめん」
怒鳴り声は確かに女性のもので
自分に挨拶もないのかと喚いている
声が降り積もる度に友人は顔を暗くし
私から視界を外していった。
その子の事は、嫌いではなかった。
以前に知人達と食事へ行った時に見掛けた
美味しそうに食べる様子が好ましくて
鞄の底には出しそびれてはいたが
行き道で買ったお菓子も潜んでいた程だ。
少し悩んでしまったが
その子へ、私も謝罪を告げ
菓子折りとまでは行かないが
持ち合わせた物をあるから
是非、お姉さんに合わせて欲しいと
手短に言葉少なく願い出た。
友人は一層泣きそうな顔になったが
納得してくれて襖から身を引く
私がお姉さんへ襖越しに声を掛け
戸から離れる気配を感じてから開け放つ。
顔を真っ赤にし、憤慨する女性に
挨拶が遅れたことを謝罪し
笑顔で害する気は無いのだと菓子を手渡す
間はあったが女性は、しばし菓子を眺めて
何事かを言い捨て別の部屋へと去っていった。
呆然と数十秒を無言のまま立ち尽くしたが
彼女は緊張の糸が解けてうずくまり
私に謝った事で、ようやく時間は戻ってきた。
私は胸を少し撫で下ろしてから
彼女の足元へ腰を落とす
その振動に肩が震えたのが見えて
ほんのりと撫でたばかりの胸は痛んだが
自身から出てきた声は間抜けだった。
「休憩用のお菓子はあげちゃったけど…
もう少しだけ、一緒に勉強してもいい?」
私達はお互いに顔を突合せて
君はその為のお菓子だったんだと吹き出して
ほんの少しだけ、二人で笑ってしまった。
そんな私達は社会に出てからも
気ままに連絡を取り、一緒に過ごしては
あの頃を懐かしんで笑っているよ。
ー 友だちの思い出 ー
友だちの思い出
いないんだ友だちは
だから私にとっての友だちは
ゲームの向こう側にいたり本の向こう側にいたり
目に見えない形のないものばかりなんだ
欲しかったと思いつつ本当は
空っぽな自分を見透かされるのが怖くて
ろくでなしを自覚するのが怖くて
作れなかったんだ
自分の機嫌が取れなくて
イライラをぶつけるのが嫌だった
悪口を聞かせるのも聞くのも嫌なんだ
嫌な人の話なんてしなければいいのに
どうしてそんな話を聞かせるのだろうか
ふとした発言で喧嘩に発展するのが嫌だ
お金にだらしが無いことを知られるのが嫌だ
教えて欲しかったよ お金の大切さ
どうして教えてくれなかったの
ちゃんと叱って欲しかったよ
挨拶しなさいって
なんで誰も言葉をかけてくれないの
なんでなの
嫌だ知られたくない隠していたい
人の目を気にしてばかりだ
そういうのから解放されたい
空を見るのが好きです
映画を見るのが好きです
人の言うことは聞きたくないくせに
人に聞かないと自分が何をすればいいのかわからない
責任から逃れたいと思っていたのか
やり方を知らないだけなのか
どちらなんだ
友だちが欲しかったよ
嫌なことや悲しかったことは
もう思い出さない方がいいよ
辛かったね 嫌だったね 悲しかったね
だからもう嫌なことや悲しかったこととは
さようなら
たくさんの感情や思いを溜め込まなくていいんだよ
今までにさようなら。
過去ばかり振り返っていたら前を向けなくなってしまうよ
前を向ける人になりたいんだ
友だちはできたら良かったけど
それよりも
後悔ばかりする人より
前を向ける人になりたいんだ
だから過去とはもうさようなら
これからよこんにちは
屍体に口なし
彼は桜の木の下で、一心不乱に地面を掘っている。どうして掘っているのか、なんど聞いても教えてはくれない。
ただただ、私には分からない何かを探して、掘り続けるのみである。
その桜の木は、私達が青春を過ごした高校の校庭に生えていたものだった。何十年と昔から若人の日々を見守ってきたソレは今も変わらず鎮座している。変わったのはその周囲だった。時代の変化によって必要とされなくなってしまった懐かしき校舎は打ち捨てられ、忘れ去られた。誰も覚えていないモノなんて弔いを待つ野ざらしの屍体と同じだ。私達の記憶に残っているものは風化し、唯一その存在を示せるのは怪しげな美しさを称えるその桜のみである。
桜色の花弁が混ざり湿った土はうずたかく盛られ、穴の深さを示している。その山が10センチには届こうかという程になっても彼は満足しないようで、その手が止まることは無い。放っておかれるだけの透明な存在となった私に出来ることは、彼が掘っている理由を探すだけだ。
といっても、こんな寂れた廃校舎に何かお宝がある訳でも、穴の中に隠れようとしている訳でも無いようで。私の推理は真相に辿り着く前に崩壊した。
突如カアンと軽い音が響いた。どうやらそれは穴の中から鳴ったらしい。彼の掘る手が期待に満ち、更に早くなる。私もこの無限に続くかと思った退屈に終止符が打たれると思うと心が踊った。私が辿り着けなかった真相を知ろうと穴に近づく。1歩、また1歩と近づく中でふと
「桜の木の下には屍体が埋まつてゐる!」
なんて言葉を思い出した。
読書が苦手だった私は正反対な彼の受け売り知識しかないが、確か梶井基次郎だとか言う人の小説の冒頭だったはずだ。桜の木の美しさの真相を知ってしまった男の話と彼は言っていた。その美しさに狂わされてしまった哀れな男の、独白だと。
もしその男が彼だとしたらどうしようか。この桜の美しさに狂わされ、その下にあるものを探しているとしたら、もしソレが、屍体だったとしたら。あの音が肉の溶けてあらわになった骨の当たる音だとしたら。
いつもなら馬鹿げているの一蹴するはずの考えが、頭から離れない。あんなに知りたかった真実が、怖くて仕方がない。
悩んでいるうちに、彼はソレに辿り着いてしまったらしい。穴に手を突っ込み、恍惚の表情を浮かべる。そして土に塗れたそれを一気に引き上げた。
それはなんてことの無い、金属でできたお菓子の箱だった。私がよく食べていたクッキーの、シンプルなデザインが酷く懐かしい。屍体でなかったことに酷く安堵して、さっきまであんなに怖がっていたことが恥ずかしくなった。
「その箱、なんだっけ。」
彼は相変わらず答えない。なぜ校庭にお菓子の箱が埋まっていたんだろう。巷に聞くタイムカプセルを思い出した。
箱の中に未来への手紙やらなんやらを入れて、埋める。何十年後に掘り出してその懐かしさに浸る。どこかの地域では小学校などで作ることもあるらしいが、私はやったことがなかった。憧れを持ちながらここまで来てしまった。
ガコッと封印が解ける音がして、その中身が見えた。
まず目に入ったのは写真だった。何気ない日常風景、体育祭や文化祭といったイベント、学校外で遊びに行った時の笑顔、そんな切り取られた思い出が何枚も詰め込まれている。
そこまで見て、やっと思い出した。あれは私達が埋めたものだ。タイムカプセルに憧れていた私が、彼や他の友人を誘って埋めたもの。10年後みんなで見ようといって、未来へ送ったタイムカプセルであったこと。そして今日がその10年後であること。
こうして彼しか来ていないのを考えると、約束は彼以外の人には忘れられてしまったのだろう。このタイムカプセルは野ざらしの屍体と同じなのだ。
「思い出なんて今の屍体だ。なんの意味もない。」
なんてセリフを吐いた彼が覚えているとは思わなかった。
「懐かしいねぇ、これとか楽しかったなぁ。」
彼は返事の代わりに、小さな嗚咽を漏らした。箱に詰められた屍体を大事そうに抱えて、とめどなく溢れる涙もそのままに。
「懐かしすぎて涙が溢れてきた?」
問に対する返事は無い。ただ一言、
「どうして居なくなったんだ」
と、彼は誰に言うでもなく呟いた。
謝罪だとか、言い訳だとか、言いたいことは腐るほどあるのに、その全てが彼には届かない。
桜に狂わされて、美しい花の養分になった。今を放棄して、思い出という名の屍体になった私にはこの言葉を伝える術は残されていなかった。
どうか君が、この美しくもおぞましい花と、その下に眠る屍体に狂わされることが無いよう、祈っている。
友だちの思い出
ジョバンニの切符 〜創作 銀河鉄道の夜〜
星めぐり 七夕に寄せて
「もう、ここは白鳥座のおしまいです」
窓の外、まるで花火がいっぱいのようで天の川の真ん中、目も覚めるような、青宝玉と黄玉大きな二つの透き通った玉が、輪になってしずかにくるくる回転していました。
「あれは、水の速さをはかる機械です」
案内人の白鳥捕りが言いかけたとき。
「切符を拝見いたします」赤い帽子を被った背の高い車掌は立っていて言い手をジョバンニとカンパネルラの方に差し出しました。
カンパネルラはさっと灰色の切符を差し出しましたがジョバンニは困ってしまいました、はてさて、切符なんてものを持っていたろうか?またしても記憶が夜霧の向こうで薄ぼんやりするのでした。ジョバンニはカンパネルラを真似てもじもじしながらも、上着のポケットに手を入れてみましたら、封筒の端に手があたりました。封筒の中には折りたたんだ紙が入っていました。
「こんなもの入っていたろうか?」ジョバンニは呟いてみながら、その紙切れを車掌に手渡しましたら、車掌は上着のボタンを締め直し真っ直ぐに立直してから、その紙を広げるのでした。
「これは、3次空間からお持ちになったのですか?」と尋ねられ
「なんだか分かりません」そう言いながら、とりあえず大丈夫だとふんだジョバンニはカンパネルラの方を見て安堵したように微笑んた。
「そういうことなのですね、ジョバンニさん大丈夫ですよ、あなたはあの子を救ってここにいらした、お母さんは今は悲しみにくれているでしょうが、次の次の七夕には、ここを見上げあなたを誇りに思うことでしょう」
「えっ…?」ジョバンニは車掌に問い返そうとして
カンパネルラに眼を向けた、カンパネルラはただ黙って深くゆっくり瞼を閉じながら頷いた。
ジョバンニは、なんだか聞かなくても良いようなそんな安心感に包まれた。
「よろしゅうございます 次はサザンクロス駅にございます ご乗車時間が迫っておりますのでご乗車のご準備を」そう車掌は言いその紙切れををジョバンニに渡し向こうへ行った。
「カンパネルラ…」ジョバンニは声を詰まらせた「ぼく、きっと、ぼく、きっと」言葉にならないジョバンニにカンパネルラは、ジョバンニに向き直って「これは、天上界へ行ける切符たよ、きみはザネリを救ってあの裂くような言霊のザネリを救ってここに来たのだから」
「わからない、ぼくは、ほんとうに幸いなの?ぼくが幸いだとお母さんら幸いになれる」
「そうだよ、きみは幸いの王子だ」
「なんだか、わかりませんでした、嫌いなザネリを救いぼくは幸いになりここにいるの、ぼくはひかりにつつまれているから幸いで、お母さんはぼくを誇りに思ってくれる」ジョバンニは赤くなって答えながら、その天上界まで行ける切符をたたんで封筒に入れ直しポケットに入れました。
「もうじき、鷲の停車場だよ」カンパネルラが車窓遥か、三つ並んだ小さな青い三角標と地図を見比べ言いました。
「ねぇ、聞いていい?君はどうしてここに来たの?」
「ぼくはね、君を追いかけたんだ、ザネリは追いかけなかった、お父さんが迎えに来たから還ったの、僕は付添い人僕は君を選んだだから君の名を大きな声で呼んだんだ覚えている?」
「ああ」
あゝ 全くだ、全くその通りだ、あの幾つも聞こえてくる声の中で僕はカンパネルラの声を確かに聞いた。
「僕たちは、ずっと一緒に行ける?」
「あゝ ずっとね」
「君のお母さんは悲しまないの?」
「僕のお母さんなら、君のお母さんといっしょだよ、今は悲しみにくれているけれど、次の次の七夕には、君のお母さんと夜空を見上げ僕たちを誇りに思ってくれる だから、行くんだよ、天上界はまだ遠い、星めぐりをしながら君と僕はお母さんたちの夜道をキラキラ照らすんだよ」
カンパネルラはきっぱりと言いました。
星めぐりは、君とぼく七夕には夜空を見上げてね、お母さん。
大切な友だちの思い出を語るから。
2024年7月7日
心幸
「友達との思い出」
良い事も悪い事もある
ただ、昔みたいな友達はもう
つくれないね。
友達の思い出
友、君の思い出の中に僕はどのくらい居るのだろうか
僕の思い出の中に君は沢山いる
だが君は僕と違いたくさんの友達がいるね
こんな僕と友達になり思い出を作ってくれる
君は僕の大好きな友達
友達との思い出となると、正直あまり楽しかったことが
浮かんでこない。
18くらいの時みんなで酒を飲みまくってたあの頃は
なんとなく楽しかったような気もするけど
記憶に残っているだけで、楽しかったという感覚は無い。
こんなことあったなぁあんなことも。って感じ。
みんなで沖縄に行ったのは楽しかった気もする。
でもやっぱり記憶に残ってるだけで
楽しかった思い出と言われると、パッと浮かぶものは無い。
その時すごく楽しかった感情では無かったのかもしれない。
そもそも友達といる時にすごく楽しい感情にはなってない。
そうゆうことだ。
ただ楽しかった思い出は、その時楽しい!って感じたこと。
それはまた別にある。
ちゃんと楽しかった時のことは覚えてる。
でも楽しくなかった時のことも覚えてる。
ということは、
思い出っていうのはその時の感情ということなのか。
記憶は記憶、思い出は感情なのかな。
友だちとの思い出
彼と暮らし初めて半年が過ぎた
彼と元奥さんの間には子どもはなく、
犬が一匹いた
別居中、離婚した今も1週間ずつ犬は彼と元奥さんの所を行ったり来たりしていた
週末の度、犬のためとは言え別れた奥さんに会いに行く彼を送り出すのは辛かった
別居中から今まで犬以外の会話はないと言うけど、
それでも嫌なものは嫌だった
彼の犬には最初、噛みつかれるわ、吠えるわそれはそれは嫌われていた
1週間もすればそれはなくなったけど、
最初の頃は辛かった
彼の住む街には私の知り合いは1人もいない
彼は私に寂しいだろう?と言うけど、犬のおかげで寂しいなんて気持ちはなかった
この犬がこの街にいる唯一の私の友だちだった
その犬が今日死んでしまった
私の唯一の友だちだったのに…
私が動けばいつもついて来て、私が座ればピタリとくっついている子だった
寝る時も彼ではなく、私の隣に来て寝るような子だった
短い間でたくさんの思い出はないけど、
私は本当に好きだった
もっと一緒にいたかった
彼はあまり乗り気じゃかったけど、私は犬と一緒に出掛けるようにしていた
もっと色んな所に連れて行ってあげたかった
本当に急な死で最初は何が起こってるのか、
理解できなかった
病院で亡くなったんだけど、
亡くなる前、
元奥さんに何度も連絡するも全く電話に出ず、犬は彼と私が見守る中息を引き取った
連絡がついて病院に来た元奥さんは家から来た様子だったけど、全身ブランドものでガッチリ固めてて、化粧も薄いながらもバッチリ、何ならピアスまでしていた
私は病院からの連絡で、いつもしている婚約指輪はしてたものの、スッピンにある物を着て急いで出て来たの丸出しで、何だか惨めだった
犬の死に目より、自分を着飾る方を優先する部分は決して真似しようとは思わないし、
病院代を折半してたものの最後はタクシー代がないと彼にお金をもららうような惨めな人間にもなりたくないけど
カバンも財布もエルメスでタクシー代ないって…
今時カード持ってないだなんて…
何よりタク代ないような奴がエルメス持つな
エルメスに対する冒涜だ
私は別れた男にお金を出してもらうタイプでもない
そこまでの関係性でももうないし、
何なら別れた男の結婚しようとしてる相手の前でそんな事絶対言えないし、言いたくない
元奥さんと会わせるなんて、私のこの街唯一の友だちからの最後のプレゼントだったんだろうか?
お前が気にしてる女はこんな女だよ
張り合うに値するのか?と
お互いの家に戻って、最近の犬の写真を彼と元奥さんが送り合ってた
奥さんが送って来た写真は自撮りと犬の写真だった
…。
普通、それは送らなくない?
私より遥か上の人なのに、私と価値観が違い過ぎて…
とても苦手なタイプだなとことごとく思った
病院では私にお礼を言い、礼儀正しい人だったけど
病院出てからは彼の後ろを歩き
私なんて眼中になく、彼とだけ会話をしそそくさと帰って行った
やっぱり苦手
私なら挨拶する
てか元奥さんとこれから結婚する私と彼がいる状況は、
カオスだった
さて、犬がいなくなった今
元奥さんは彼にまだ連絡して来るつもりだろうか?
その話はまたいずれ
嫉妬と仲間意識
それぞれ、いい方に働くこともあれば
悪い方に働くこともある
この2つが共に悪い方に
しかも強く働いてしまった時
それは醜い様を映し出す
昨日まではしゃぎあっていた仲間が
一夜にして1人の人間を除外した
どうも色恋沙汰だったようだ
しかもこの仲間内ではなく
別の仲間内での問題ということだった
情報を得るのに手間取ったわけだ
誰が悪いというものではなく
選ばれなかった子を守るため
選ばれた子と距離を置いているようだった
はあ…
こっちの身にもなってほしい
幸い私は特定のグループを作らない主義だ
誰とでも分け隔てなく接する
一匹狼であると同時に全員と仲間でもあった
後輩たちは下手に手を出せない
つまり、私がどうにかする他なかった
しかし私が下した決断は
「なにもしない」だった
実は過去に苦い経験があった
色恋ではない理由で
1人除外されていることに気づいた私は
唯一の話し相手になって助けようとした
まさかそれが火に油を注ぐとは思わずに
その子の話し相手は唯一私だけ
それは即ち、私の独り占めを意味した
よくも悪くも私は人気があったらしい
私がその子に話しかけに行くことも
その子が私に話しかけに来ることも
すべて阻害されるようになってしまった
それがその子の置かれる状況に
どんな結果を生むのか
推して知るべしであろう
この苦い経験を私はずっと引きずっていた
「なにもしない」は「行動しない」ではない
「これまでどおりを維持する」だった
話しすぎない関係だったのも幸いした
みなから存在を消されている中
私は“いつもどおり”あいさつをする
みながその子の作ったドリンクを取らない中
私は“いつもどおり”取る
そして取りづらそうにしている後輩へ渡す
困ったことがあったら
“いつもどおり”声をかけて尋ねる
さすがにこの行動は後輩たちがビクッとしていた
悪いね
私は鈍感だから
険悪だなんて気づかなかったよ 笑
その子はきつい状況に置かれた中
立ち回りを間違えることはなかった
つまり、自ら話しかけにくることはなかった
それをどれだけの期間続けただろう
分からないくらい長く感じた
そしてまた一夜が過ぎたとき
皆が笑いあってそこに存在していた
正直、ポカンだ 笑
どうやら同じ失敗を繰り返さずに済んだらしい
そして得たものもあった
その子の私への扱いが変わった
かつてはイジり倒されていたのに…
あれは…デレデレだ
どうも私が冷ややかな目で観察し
どう行動するか思案しているのを見たらしい
数歩歩む中でしていたはずだから
長い時間はかけていなかったのだが
今回は私の功績ではない
その子が時が来るまで耐え続けたおかげだった
離れることも出来たのにそれをせず
とにもかくにも
軋轢が元々なかったごとく騒ぐのを見て
私はひとり、安堵のため息をついていた
→もう会えない彼女
ラムネを飲むと思い出す
ラムネ瓶の柔らかい歪形に
海に浮かぶガラスの浮き玉を思い浮かべた
その連想に「メロウだね」と友人は口角をほんの少し上げた
彼女の横顔の美しさに、私は初めて気がついた
あれは去年の夏だった
テーマ; 友だちの思い出
ぬるく、湿り気をまとって部屋に入ってくる風は古い記憶も一緒に連れてきた。
あの日は今よりももっと蝉が鳴いていたような気がするから、7月も後半だったのだろう。
学期末テストも終わり、夏休みを前に少しばかり浮つく教室。
休み時間ともなれば、近しい友人らがお互いの予定をすり合わせて盛り上がっている。
やれ花火だ、プールだ、お祭りだ。
夏は自分で盛り上がらないと楽しめないんだ、と男でも惚れる友人が語っていた通り、ただ暑さから逃れてクーラーの効いた涼しい部屋で余暇を楽しむだけでは勿体ないくらい、楽しげなイベントで溢れかえっている。
どれか好きなものがあればいいのだけれど。
『友だちの思い出』から『恋人との思い出』に。
友だちと言うカテゴリ。
様々無様多様すぎて
そこから私は飛び降りました。
躊躇なく。
悲しかったけれど。
題 友だちの思い出
著 塵芥 詩歌
ほんの少しの気遣いのなさ
理解してくれてるだろうと思い込み
僕は友達を傷つけてしまった
すごく後悔している
100%の笑顔で笑い合えたあの頃を
今も当時そのままに鮮明に思い出せるよ
【友だちの思い出】
学生の頃
一長一短有る友人達に
順位を付けるなら
1人を除いて全部2位
そんな感じだった
全員が良き友人であり悪友だった
唯一
頭ひとつ飛び出したのは
自分の短所に辟易する俺に
「俺から見たら
それは俺にはマネできないお前の長所だ
お前のそういうところが好きで付き合いしてる」
ってな事を言ってのけたアイツだ
んな事ぁねぇよ
と
思いつつも
俺が認めたアイツが言うなら
そうかもな
そんな風に思えた
今はどこで何をしてるのか
よく知らないが
そんなアイツに
あの頃の俺はどれだけの事を伝えられただろう
少し前に
自信を無くしつつある後輩に
同じような事を伝えた
おべっかでは無い
伝えたかった想いを
しっかりと受け取ってくれたようだ
「また一人お前に救われたゼ」
わざわざ連絡先を調べて話すのは癪だから
どこかで
バッタリと出くわしたいもんだ
私は、スマホであまり写真を撮らない。特に理由という理由は無いけれど、強いて言うなら防犯のためだろうか。
そんな私にも、大切にしている写真がある。
推しの写真やグッズは勿論大事なのだけれど、同じくらい大事にしている写真がある。
それは、小学3年生の頃に撮った写真だ。
私はしばらく経ったあとに転校してしまって、その友達とはきっと会えない。もし会えたとしても、相手が私を、私が相手を忘れている可能性の方が高いだろう。
親の都合上、私はよく転校をした。その度に、お別れの品として色紙などを貰うけれど、顔写真を見ても名前が思い出せない時が、最近多くなった。
けれど、私の大切にしている写真は違う。
遊んでいた時に、友達のお母さんが撮ってくれたものだ。
学校で渡されるものとはどこか違う温もりを感じた。
荷物を探す時に、思い出の品を見つけることがある。
色紙などはサッと目を通した後に、懐かしいな、と思いながら作業を再開するのだけれど、その写真は違う。
懐かしさと、涙が込み上げてくる。
一度、その写真を見ていた時に涙が零れたことがあった。
あの時に戻りたいわけではない。
けれど、もう一度だけ。一度だけでいいから。
彼らの目を真っ直ぐに見て、他愛のない話をしたい。
「友だちとの思い出」
大学に入学したあの春。
辛い辛い部活と受験勉強から解放されて、
やっと青春できるぞ!!
サークル入って、友達作って、遊びに行って、、!
とにかくめちゃくちゃワクワクしていた。
そんな浮かれた過去の自分に言いたい。
辛い辛い部活と受験勉強時代に励まし合ったことが
かけがえのない友だちとの思い出であって、
あの時の友だちは、大人になった今でも続いてるぞ。
なんなら昨日はその友達と7時間も電話したよ?笑
逆に、大学時代に何となく遊んでいたメンツは今どうしてるのかもわからないよ。
一緒に辛いことを乗り越えてはじめて友情というやつは深まるのかもしれない。
そしてそういう苦しい思い出が、大人になると
無性にキラキラ輝き出すのは何故だろう。
小さい頃から会う人会う人に容姿を褒められた。両親共に純日本人だったが、はっきりとした目鼻立ちのせいか、たまにハーフに間違えられた。悪い気はしなかった。
高校の時、同じクラスに根暗な奴が居た。長い前髪、黒縁眼鏡、顔はいつも殆ど見えない。声を聞いた記憶も殆ど無い。
だが一度だけあいつの素顔を見た事があった。整った顔立ちに驚いたのをよく覚えている。あまりにもレベルが違い過ぎると嫉妬心も湧かないのだと、その時初めて知った。
俺は心の何処かであいつを見下していたのだと気付いた。いや、あいつだけではない。自分以外の周りの人間全てを下に見ていた。顔が良いという理由だけで勝った気になっていた自分を恥じた。実際は、俺は顔だけではなく中身もあいつより下だった。いや、優劣をつける事自体間違っているのかもしれない。
何故顔を隠しているのか不思議で、それからよくあいつを観察するようになった。自分でも気持ち悪いとは思ったが、どうしても知りたかった。
どうやら俺と違って、あいつは自分を良く見せようとは思っていないようだった。顔だけではなく頭も良かったが、決して知識をひけらかしたりせず、あくまでも地味に過ごしていた。
「なぁ、生きづらくねえの?」
ある時ついに声をかけた。
「何?急に」当然の反応だった。
「自分を隠して生きづらくねえのかなって」
正直に思っていた事を聞いたが、ぴんときていない様子。暫しの沈黙。
「別に隠していないし、これが僕の姿だけど」
「前髪と眼鏡で隠してる」
「前髪はすぐ伸びるから切るのが面倒なだけで、眼鏡は普通に目が悪いからかけているだけだよ」
拍子抜けだった。てっきり昔容姿の事で何かあったのかと思っていたのに。
自分の容姿についてどう思っているのか聞こうとして、やめた。恐らく何とも思っていないのだろう。何となくそんな感じがした。
自分とは真反対の人間。仲良くなりたいと思った。
あいつが遺体で発見されたのは、それから数ヶ月後の事だった。
友達の思い出(2024/07/06)
こっちが覚えてることをあっちは覚えてなくて
あっちが覚えてることをこっちは覚えていない。
意外とそんなもんだけど。
温かい記憶がどっちかに残っていれば
いつかまた同じ記憶を共有できる日がくる。
意外とそんなもん。