瑞希

Open App


私は、スマホであまり写真を撮らない。特に理由という理由は無いけれど、強いて言うなら防犯のためだろうか。

そんな私にも、大切にしている写真がある。
推しの写真やグッズは勿論大事なのだけれど、同じくらい大事にしている写真がある。

それは、小学3年生の頃に撮った写真だ。
私はしばらく経ったあとに転校してしまって、その友達とはきっと会えない。もし会えたとしても、相手が私を、私が相手を忘れている可能性の方が高いだろう。

親の都合上、私はよく転校をした。その度に、お別れの品として色紙などを貰うけれど、顔写真を見ても名前が思い出せない時が、最近多くなった。
けれど、私の大切にしている写真は違う。
遊んでいた時に、友達のお母さんが撮ってくれたものだ。
学校で渡されるものとはどこか違う温もりを感じた。

荷物を探す時に、思い出の品を見つけることがある。
色紙などはサッと目を通した後に、懐かしいな、と思いながら作業を再開するのだけれど、その写真は違う。
懐かしさと、涙が込み上げてくる。
一度、その写真を見ていた時に涙が零れたことがあった。

あの時に戻りたいわけではない。
けれど、もう一度だけ。一度だけでいいから。
彼らの目を真っ直ぐに見て、他愛のない話をしたい。

7/6/2024, 3:46:05 PM