『友だちの思い出』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
親友が話す思い出話は元彼のことばっかり。
そんな話を聞くだけで私は私の恋愛の話を
話すことは無い。
でも夜一人で天井を観ながら報われない恋愛ソング
ばかりを聞いて君との思い出をひとつひとつ思い返す、
そんな時間が辛くて、悲しくて、だけど好きな時間。
時が経つにつれて思い出せなくなるから、
ここに君との思い出を残すことにしたよ。
L氏「え?Xですか?高校の時の同級生です。クラスは別だ
ったんですがね、部活が一緒で。なんだか気が合って
ねぇ。休みの日にはよく2人で自転車で出かけたもんで
すよ。遠くに行くのが好きな奴でねぇ、ええ。だから
って何もそんなに遠くに行かなくても…なんてね。」
Q氏「Xは以前私が勤めていた会社の同期です。彼はいつも
全力で仕事に取り組む人でしたよ。速くて正確な仕事
ぶりは社内でも高評価で。みんなが1つ仕事を終わら
せる間に、彼は3つも終わらせるんです。それでいて正
確なんですから、凄いですよ、ほんと。社長なんて彼
のことを韋駄天って呼んでましたよ!今時、韋駄天っ
て…言わないし聞かないですよねぇ、ははは。あんな
に順調だったのにあっという間に転職して。ほんと、
何をするにも早過ぎるんですよ…ね。」
V嬢「Xさん?週に2〜3回、仕事帰りに来てくださって。
お席はいつもカウンター。毎回決まった銘柄のウイスキ
ーを1杯だけ飲んで、挨拶もそこそこにさっさと帰っ
ちゃうんです。こんなに可愛い私が目に前にいるの
に、失礼しちゃうでしょ?たまに、もう1杯私に付き
合ってくださらない?ってお願いしてみるんだけど、
キミの美しさに酔っちゃったからこれ以上は無理だな
ぁとかなんとか言って、煙に巻いて結局帰っちゃう。
ほんと掴み所の無い人、煙だけにね。で、とうとう
自分が煙になっちゃうんですもの、笑えないし泣けな
いわ。」
―――X氏告別式にて
#3【友だちの思い出】
『遺言』テーマ:友だちの思い出
「今日から僕たちは友だちね!」
なんて陳腐なセリフだろう。でもそんなことを言ってくれたのはお前が初めてだったから。
「誰も君のいいところを知ろうとしない」
なんて愚かなセリフだろう。俺にいいところなんてないのに。
「そんなことない。じゃなきゃ友だちになんかならないさ」
なんでそんなことを言ってくれるのだろう。だって俺は──。
「いたぞ! 狼だ!」
「逃がすな! 囲い込め!」
恐ろしい形相をした人間たちが俺のことを追い立てる。
俺はあいつに会いに来ただけなんだ。
そう伝えているつもりでも、俺の言葉はあいつにしか通じない。
あいつはどこだろうか。必死に逃げながらあいつの姿を探すと、森の中で見つけた。
良かった。他の人間たちにはまだバレていなかったんだ。
安堵しながら近づくと、お前はいつも通りアホらしい底抜けに明るい笑顔を俺の方に向けてくる。はずだった。
「やめてぇぇぇ!」
──なんだ?
ぬるくて、熱くて、痛い。
視界が霞んで目の前のものが見えづらい。だけど俺の頬がいつもの優しい手で撫でられているのだけは分かる。
「ごめん、ごめんなさい、守れなくて」
どうやら胸を槍で突き刺されたらしい。道理で痛い訳だ、と、妙に冷静になった頭が分析する。
「どうしよう、どうすれば君は僕を許してくれる?」
許す? 何を許すんだ?
「だって、僕のせいで君が……」
遅かれ早かれ命には終わりが来る。ただそれが俺の場合強引に早められただけで、お前は何も悪いことをしていないのに。
ああ、でも、そうか。そうだな、人間は許される理由が欲しいのかもしれない。なんとなくそう思った。だったらこれはどうだろうか。
人間と同じ言葉では話せないのに、お前にはいつも俺の意思が通じていんだから、これもきっと伝わるだろう。だからどうかお前は──。
「それがおじいちゃんのお友達の思い出?」
「そうだよ。心優しい白銀の毛皮を持ったお友達さ。ほら、あそこにいるだろう?」
「暖炉の近くのわんちゃんの剥製?」
「彼は狼って言うんだよ。あのとき僕たちは確かに心が通じあっていた。だけどそれを村の人は理解してくれなかった。だから彼は殺されてしまった」
「それは、とても悲しいことね」
「うん。でもね、彼は大事な遺言を残してくれたんだ」
「遺言?」
「そう。彼はね、こう言ったんだ」
生きろ。俺の分まで。
【友だちの思い出】
友だちから聞いた友だちの思い出は、最期の記憶は私の笑顔だった。そんなわけで、私は死んでいる。死んだ友だちは今は別のところにいるらしい。なんで、記憶があるんだ。最初に思ったのはそんなこと。まぁ、別にいいかの繰り返し。当たり前なのだが、実体はないし記憶もいつか消える。忘れる前に聞けた最期の記憶。私が
「笑って送り出すから。」
なんて、ほざいていたらしい。まぁ、知るかだよな。私ももう少ししか思い出せない。それでもまぁ、別にいいか。
【赤い糸】【神様だけが知っている】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
7/1 PM 3:00
「……何をしてるの、暁」
「ん~? 運命の赤い糸ごっこ?」
赤色の刺繍糸をアタシと自分の小指に
結んで、暁は満足そうにしている。
「楽しい?」
「とっても楽しい」
「……まさかこのためだけに
赤い刺繍糸を買ってきた訳?」
「あ、それは違うよ。家に刺繍糸が
たくさん入ってる缶があって、
そこから持ってきたの。
お母さんが若い頃に、ミサンガって
いうのを作るのが流行った時が
あって、それに使ってたんだって」
「――宵、暁、マフィン焼けたよ。
……何してるんだ?」
キッチンから出来たてのマフィンと
飲み物を淹れたグラスを運んできた
真夜(よる)が、アタシたちを見て
不思議そうに訊ねる。
「運命の赤い糸ごっこ~!」
暁はさっきと同じ答えを、
元気良く真夜に返した。
「……なるほど?」
「真夜くんにも結んでいい?」
「いいよ。でも、マフィン食べてからに
しようか。糸が絡んだりして
食べにくくなるかもしれないし」
「うん!」
真夜が差し出したバナナマフィンを
受け取って、暁は嬉しそうに笑う。
「ほら、宵も」
「ありがとう」
アタシにはビターなチョコチップの
入ったマフィンを手渡して来る。
「いただきます。……~~~っ!
やっぱり真夜くんの作ってくれた
ものには美味しさが詰まってるよねぇ」
「そうね」
「愛も詰まってるしねぇ」
「まぁ、それは常に最大限注いでるのは
確かだよ」
自分ではプレーンのマフィンを
食べながら、真夜がさらっと言った。
――こんな真夜にも、
いつかは現れるんだろうか。
見えない運命の赤い糸で結ばれている、
アタシたちより大切に想える誰かが。
(……それこそ、神様だけが知っている、
っていうヤツかしらね……)
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5~6月はもう諦めてすっ飛ばしました。
書けそうな時に追記したりしなかったり
するかもしれない?
友達の思い出
塗装の剥げたジャングルジムの前。夕焼け。絆創膏を貼った膝。5時のチャイムのひび割れた音。開いた口。震える手。
『----』
繋がった手の温かさ。長く伸びた影。遠くの笑い声。焼き魚の匂い。満面の笑顔。弾ける涙。
『いいよ!』
「え、全然覚えてない」
棒アイスを咥えた幼馴染は、目を瞬かせた。
「嘘だろ……」
「むしろよく覚えてんね。5歳くらいでしょ?」
「そりゃあ、」
お前と仲良くなったきっかけだし。と心中で呟いた。
幼い頃、田舎の野山を駆け回ってた僕には親友がいた。男にしては髪が長めで、肩に少し垂れるほどのそれを手際良く結う姿が胸に焼けついている。色が白くてやけに美人だった。正直惚れていた。都会の学校に進学するというありふれた理由で彼と別れたのだが、関わりを絶ったのはそれよりも前だ。
ある日の雨上がり。シャツが汚れて母に叱られるだろうことを確信しながらも、いつも通り彼と山へ遊びに行った。少し日が傾いて辺りが薄暗くなってそろそろ帰路につこうかと足を踏み出したとき、僕は足を滑らせて斜面を転がり落ちたのだ。助けようと僕の手を掴んだ彼と一緒に。
かなりの時間滑り落ちたはずだし、時折木にぶつかったり飛び出た石で宙に浮いた感覚もあった。しかし彼に守られるようにして抱きしめられていた僕はひとつも怪我なんてなかったし、驚いたことに彼も傷ひとつない。子どもながらにそれが異様だとわかった。
気づかれちゃった、と寂しそうに微笑んだ彼の顔を覚えている。それから家まで送られ、もう会えないと告げられた。理由は聞かなかった。
今でも後悔している。気がつかなければ、親友のままでいられたかもしれない。大人になってから何度もあの山に足を運んだが会えなかった。きっともう僕が彼を見ることは叶わないのだと思う。
十八年前の今日。彼を思い出にしてしまった日。
『友だちの思い出』
トモダチなんて いたことないや
幸せは 雲の上に
一人ぼっちの僕
「おや?」
道の端。いつもなら気付かないだろうほんの隅っこに一輪の花が揺れているのを見つけ、夏樹は足を止めた。
「こんな所に、花が咲くのか」
塀とアスファルトの隙間にその根をねじ込んで、花はやや斜めに顔を出している。
その姿がまるで柵の下から無理やり脱走する犬みたいでいじらしい。
「あぁ、いや、違うな」
夏樹は鉄仮面とからかわれる口元に小さく笑みを浮かべ、しゃがんで花にそっと触れた。
「似ているのは犬ではなく、あいつだ」
夏樹の頭の中で、花に似た黄色い帽子を揺らす"あいつ"が笑う。
三軒向こうの、立派な屋敷に暮らしていた"あいつ"。
やんちゃで、立派な塀の下にこさえた窪みから屋敷を抜け出すような子供だった。
それを目撃してしまったその日から、夏樹と"あいつ"は友達になったのだ。
正確には、"あいつ"が無理やり夏樹を友達枠に捩じ込んだ…と夏樹はいつも被害者面で言うのだが。
マナーやら、小難しい本やら、身なりのいい大人達との化け合戦。
そんな事ばかりの毎日が嫌いな"あいつ"はいつも、夏樹を巻き込んでわざとらしく泥だらけになって遊ぶのだ。
そもそも脱走の時点で泥だらけになるのだが。
まぁ、なんだかんだ付き合う夏樹も大概だ。
元々人付き合いが得意ではなく、人より悪い目付きのせいで友達の出来にくかった夏樹にとって、"あいつ"は一番だったから。
「おや、夏樹くんかな」
「あ…どうも」
花をつつきながら思い出に浸っていた夏樹は、背中にかけられた声に振り向いてペコリと頭を下げた。
身なりのいい初老の男は「やっぱり」と目尻のシワを深くして、夏樹の方へ杖をついているのと反対の手を差し出す。
「や、大丈夫です」
「そうかい?おや…?後ろのそれは、花?花を見ていたのかな?」
「まぁ、はい」
その手をやんわりと断って、夏樹はパキリと関節をならしながら立ち上がった。
別に隠すつもりは無かったが、自分越しに見つかった花にばつが悪くなって頬をかく。
まるで"あいつ"が近所のおばちゃんに見つかった時の再現みたいだ、と。
「お久しぶりですね、おじさん」
「ああ、三年ぶりかな。夏樹くん」
誤魔化すように挨拶を口にすれば、初老の男は昔と変わらず柔和な笑みを浮かべた。
「とはいえ君は、毎年欠かさず来てくれていたようだけど。すまないね、時間が合わなくて」
「気にしないでください。俺が勝手に来てるだけですし…お互い仕事もあるんですから、仕方ないですよ」
「むぅ、私は君とお茶を飲みたいのだがね。そういえば、君は最近随分と忙しいみたいじゃないか。何でも大きなプロジェクトを任されたとか」
「あれ、ご存知なんですか?」
「家内が教えてくれたよ。誰かさんみたいに頑張りすぎてて心配だ、と小言付きでね」
「あはは…」
夏樹は小柄で世話焼きな夫人を思い出して苦笑する。
実家の母よりも心配してくれる夫人にはいつも頭が上がらないのだ。
きっと今日も…
「それで、今日も君は行くのだろう?それとも、もう行った後かね?」
「いえ、まだです」
「そうかそうか。ならば日が暮れる前に行くといい。残念ながら私はこれから会合だから…」
「お会い出来ただけでも嬉しいですよ。お元気な姿を見れて安心しました」
「はっはっは!それはお互い様だ。次に会う時はそのクマを薄くしておくれよ」
「うっ…」
徹夜続きであったことがバレてしまい、夏樹はさっと目をそらす。
そして、やはり今日も夫人に優しくお説教されそうだと肩を落とした。
「さて、引き留めていては悪いね。では夏樹くん、気を付けて。…いつもありがとう」
「いえ…俺が、好きでしてることですよ。もしかしたら、もう来るなと思われているかも」
「そんなことないさ。…兄は喜んでくれているよ」
「…では、失礼します」
おじさんと別れて、毎年欠かさず歩いている道を進む。
ひび割れたアスファルトはやがて途切れ、剥き出しの地面が都会と違った色を見せてくれた。
だんだん木々の密度も増えて、足元には草が生い茂り、けれどもそれに足が埋もれる前にぞんざいな石の階段が現れる。
それを登った先。
少し高い場所にあるそれは…墓地だ。
夏樹は手慣れたようにバケツと柄杓を借りて、まっすぐ墓地を進んでいく。
季節が中途半端だからか、他に人はいないようだ。
やがて辿り着いたのは、他よりいくぶんか立派な墓石。
そこに刻まれているのは夏樹の家でも、親族のものでもない。
特に礼儀作法に頓着していない夏樹は挨拶代わりに手を合わせ、そして柄杓に掬った透明な水を墓石のてっぺんからさぁと流した。
水が墓石の色を濃く変えていく。
まるで、刻まれた"あいつ"の名前に…冬彦の文字に線を引くように。
思えば冬彦は不思議な子供だった。
塀を抜け出した彼はいつも時代遅れの服を着ていたし、ただの車にすら凄い凄いと目を輝かせていたのだ。
夏樹は最初、世間知らずなお坊ちゃんなのだと決めつけていた。
けれども何度も何度も遊ぶうちに、違和感が生まれたのである。
昨日の天気は朝から晩まで晴れだったのに、冬彦は昨日凄い雨だったけど大丈夫だったかと聞いた。
昨日悪ガキがお前の家の窓を割っただろうと尋ねたら、冬彦はそんな事知らないと答えた。
向かいの家で火事の騒ぎが起こった時、皆が避難しているはずの屋敷から出て来た冬彦は皆まだ家にいると慌てていた。
やがて、子供ながらに夏樹は悟る。
きっと冬彦が出てくる塀の向こうとこちらで"何か"が違うのだ、と。
その答えは、突然パタリと冬彦と会えなくなってから知ることになった。
なけなしの勇気を振り絞って「冬彦くんいますか」と尋ねた塀の向こう。そこで出迎えてくれたおじさんは、それはもう驚いた顔で夏樹を屋敷に招き入れてくれた。
「冬彦は、ここに」
そうして連れてこられたのは仏間。
いくつも並ぶ写真の一つに彼はいた。
夏樹のよく知る笑顔で、セピア色の冬彦は笑っていたのだ。
冬彦は、おじさんの兄は病弱だったらしい。
だからあまり外に出して貰えず、部屋に籠って勉強ばかりさせられていたそうだ。
けれどある日、そんな冬彦が家からいなくなった。
屋敷中探し回っても見つからず、ならばと街を探しても目撃者一人見つからない。
誘拐かと顔を青くした冬彦の両親だったが、「ただいま」と気の抜けるような明るい声に玄関を覗いてみると…
「見て!綺麗でしょ!」
そう言って花を握りしめた冬彦が笑っていた。
泥だらけで、疲れで顔色も悪くして、それでも見たことないほど生き生きと。
「友達が出来たんだ!」
その時漸く、冬彦の両親は間違いに気付いたという。
長く生きられないと宣告された我が子を守っているつもりが、自由を押さえつけて苦しめていただけだと。
今までの笑顔が嘘だったと知った冬彦の両親は泣きながら、それでもキラキラとした息子に喜びを噛み締めながらたった一言「心配した」とだけ告げて抱き締めた。
限りある命なら、その命は誰よりも美しく自由に燃えるべきだ。
それを手助けすることこそが、自分達の役目だろう。
冬彦の両親はそう考えを改めて、知らない振りをした。
見つけた塀の穴を知らない振りして、そこから泥だらけで帰ってくる冬彦を見ない振りして、冬彦の話すおかしな話や探しても見つからない夏樹という友人を否定せず、ただ必ず「心配した」とだけ叱ったのである。
やがて病魔が冬彦の身を蝕んで、命を落とすその時まで。
兄との思い出がほとんど無かったというおじさんだったが、最近見つけた冬彦の日記を見て驚いたらしい。
当時はおかしな話だと思われていた冬彦の思い出話…それが全部現代で見られる物や最近の出来事と一致したからだ。
「そこに君が…夏樹くんがやってきたんだ」
おじさんは泣きそうな顔で笑って、ありがとうと言った。
兄が笑って逝けたのはきっと夏樹のおかげだからと。
夏樹はまだ子供で、何も分かっていなかったけど…冬彦がもういないことだけは分かった。
だからその場で泣きじゃくって、最後にした約束を叫んだのだ。
「花をさがしにいこうって、いったじゃんかぁ!!」
"最初の日に持ち帰った花、お母さんが気にいってくれたからプレゼントしたいんだ。だからまた一緒に探そう!"
指切りもしないで別れた事を、夏樹はひどく恨んだ。
なぁ、お前は覚えてるか?
夏樹は話しかけるように水をかけ、敢えて花は供えずに、数本の線香を供えて手を合わせる。
だって花は、俺が持ってくるのじゃなくて自分で探したのがいいんだって言ってたもんな。
俺、未だに持ってきた花をいらないって言われた時の事根に持ってるから。
帰ってくるはずもない返事を数拍待って、また来年来るからと口約束して夏樹は背を向けた。
「そういえば」
墓地を出て、来た道を戻る途中でふと思い出す。
花で思い出したが…先ほど見つけた花は、冬彦が気に入っていた"最初の花"ではなかったかと。
夏樹はいてもたってもいられずあの道の端に向かったが…そこにはもう、何もなかった。
誰かに摘まれたわけでも、腹を空かせた野良犬に食べられたのでもない。
初めからそこには何もなかったかのように、塀とアスファルトがくっついているだけだ。
「あぁ、なんだ、お前…会いに来てたのか」
夏樹は泣き笑いの表情を浮かべ、花になって会いに来るなんてとんだロマンチストだと空に吐き捨てる。
「確かにお前に似た花だって言ったのは俺だし、塀から出てくるのもお前らしいけどさ」
感傷に浸る夏樹を現実に引き戻すように、ポケットから着信を知らせる音が鳴る。
あぁ、今年はおばさんの夕飯は食べられなそうだと眉を下げ、夏樹はポケットに手を入れた。
夏と冬は出会えない。
けれど、夏樹と冬彦は時すら越えて出会えたのだ。
ならばきっとこの世界には不可能なんて無いのかもしれない。
だから夏樹は、休暇なのに鳴り響いた社用の携帯を迷わずとる。
かつて不可能と言われた技術を可能にするために、彼はまた日常に戻るのだ。
「またな、俺の友達」
去っていく夏樹の後ろで、黄色い花が応えるように揺れた。
走ってギリギリの電車に駆け込むと
3つ前から取ってくれてた隣の席に座り込む
ワンマンカーに揺られながら
学校に着くまで約1時間
2人それぞれ夢の中で小旅行
誕生日だった。
知り合ってから何度迎えたか
奇しくも今日がそうだった
道を違えてからも迎えた日
記憶にもある日が蘇る
希死念慮、自傷癖のあった君
頑張って生きてますか
【友だちの思い出】
君と過ごした日々は
今でも鮮明に思い出す
君と友だちのまま
ずっといられたら
きっと私は幸せ者になれた
でも君は友だちではないものを選んだ
私と君は恋人に変わり永遠に
君と友だちの思い出は此処で完結
たとえ恋人との思い出が完結しても
友だちの思い出には戻れないだろう
そんな感情を抱く僕は好きだ
『なまえをつけてよ』とそれは言った。
ぼくはそれを◯◯チャンと呼んだ。
おかあさんに◯◯チャンの話をしたら、「それはだぁれ?」と言われた。◯◯チャンは◯◯チャンだ。誰でもない。いつもぼくと話してくれるから、さみしくない。
いっしょに作った歌をうたう。なんだかぼんやりしていた◯◯チャンは笑ったり泣いたりおどったりして、いつしか手をつなげるようになっていた。
あんなに一緒にいたはずなのにな。僕はもう◯◯チャンの声も姿も名前も思い出せない。
もしかしたら、まだ傍にいてくれるのかな。
たくさん遊んでくれてありがとう。楽しかったよ。
一番の思い出は
友達と色んな物語を考えたこと
趣味での話だけど
悪さというより
くだらないこと
たくさん考えた
たくさんやった
面白くなきゃつまらないから
今もそれぞれ
物語を考える友達もいる
物語を考えることから
離れてしまった友達も……
けど、懐かしさを振り替えれる
そんな友達がちゃんといる──
(2023.07.06/友達の思い出)
友達の思い出
貴方ってすっごく面白い人。
人の幸せを片っ端から盗んだくせにそれがいざ自分に降りかかるとなったらものすごい形相で叫んでくるんだもの、驚いちゃう。
ねぇ、私今…貴方のその顔が見れてものすごく気分がいいのよ。
友達といると、色々な思い出が出来た
時には、喧嘩をしたり、一緒に喜びあったり
一緒に泣いたり沢山の思い出が出来たね
そして 別れもある
あぁ、まだ一緒に居たかったな
君が居なくなって何十年が経ったんだろう
友達の思い出
#友達の思い出
小さい頃に離れ離れになった友達がいた。
彼女のお父さんの転勤だった気がする。
彼女が居なくなる時にお家にお呼ばれして、お別れ会をした。
何人かのその子と仲良くしてた子達と私。
小規模のお別れ会。
寂しくて最後は泣いてしまった記憶。
お別れ会が終わり、他の子達が全員帰ったあと、私も帰ろうとした時彼女のお母さんに呼び止められた。
「〇〇、アレ渡さなくていいの?」
なんのこっちゃと思っていたら、涙で顔をぐしゃぐしゃにした彼女が何かの包みを持ってきた。
「さきちゃん、なかよくしてくれて、ありがと!だいすき!わたしのこと、わすれないでね。」
そう言って渡された包の中には可愛らしい絵が描かれた陶器製のコップが入っていた。
「もちろん!〇〇ちゃんもわたしのことわすれないでね?」
私と彼女はまた泣いて、そして最後に笑いあった。
またいつか、会える日まで。
そう約束した。
その後、20年程経ったが、彼女と再会出来てはいない。それに、彼女にもらったコップは兄に割られた。
悲しくて沢山泣いた。友達に貰ったものだったのに、と。泣いて、泣いて、泣いて。
未だにその事は許していない。
それでもまだ、私は信じている。
いつかまた、彼女と再会出来る日が来るということを。
「友達の思い出」
寒々、布団を被りながらパチっと音を立ててスマホを充電器から抜く。
また、喋って喋って喋って喋る。お互いに相手の話に興味なんて無く、自分の話を聞く、都合の良い人間を呼ぶ、友達に酔う。
陽が落ちたか落ちないか、それくらいの所から、何方かが夕食に呼ばれるまで。楽しく……楽しく……。
何の中身もない会話の承認欲求を一対一で満たす為に。
たのしく……たのしく……。
『友達の思い出』3
学校でできると言われる友達。
全くどうしてその通り。
帰りにゲーセン行って遊ぼう。
それならご飯も一緒に食べよう。
分かりきってる得手不得手。
今ここで知る好き嫌い。
相手のことを知るには狭い空間だけでは足りないな。
そう思った。/
/『友達の思い出』3'
ららら。らーらら。らら。
楽しく歌を歌うんだ!
らーらら。らりり。
君も歌おう!るーらりら!
たのしいからうたうの
うたうおとがないの
歌う子どもが覗き込む
大人から貰ってくるんだわ!
一緒に行くよと出された手
期待を胸に両手で返す
あの子のように
あの子のように
ふわふわな子
1人の友達がいた。その子は色白でふわふわしていて気分屋な子だった。私が話していてもつまらなそうにしているなと思ったら次の瞬間からゆらゆら笑いだしたりよくわからない子だった。でも一緒にいて楽しかった。私はちょっぴりその子に恋をしていた。
【友達の思い出】