【赤い糸】【神様だけが知っている】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
7/1 PM 3:00
「……何をしてるの、暁」
「ん~? 運命の赤い糸ごっこ?」
赤色の刺繍糸をアタシと自分の小指に
結んで、暁は満足そうにしている。
「楽しい?」
「とっても楽しい」
「……まさかこのためだけに
赤い刺繍糸を買ってきた訳?」
「あ、それは違うよ。家に刺繍糸が
たくさん入ってる缶があって、
そこから持ってきたの。
お母さんが若い頃に、ミサンガって
いうのを作るのが流行った時が
あって、それに使ってたんだって」
「――宵、暁、マフィン焼けたよ。
……何してるんだ?」
キッチンから出来たてのマフィンと
飲み物を淹れたグラスを運んできた
真夜(よる)が、アタシたちを見て
不思議そうに訊ねる。
「運命の赤い糸ごっこ~!」
暁はさっきと同じ答えを、
元気良く真夜に返した。
「……なるほど?」
「真夜くんにも結んでいい?」
「いいよ。でも、マフィン食べてからに
しようか。糸が絡んだりして
食べにくくなるかもしれないし」
「うん!」
真夜が差し出したバナナマフィンを
受け取って、暁は嬉しそうに笑う。
「ほら、宵も」
「ありがとう」
アタシにはビターなチョコチップの
入ったマフィンを手渡して来る。
「いただきます。……~~~っ!
やっぱり真夜くんの作ってくれた
ものには美味しさが詰まってるよねぇ」
「そうね」
「愛も詰まってるしねぇ」
「まぁ、それは常に最大限注いでるのは
確かだよ」
自分ではプレーンのマフィンを
食べながら、真夜がさらっと言った。
――こんな真夜にも、
いつかは現れるんだろうか。
見えない運命の赤い糸で結ばれている、
アタシたちより大切に想える誰かが。
(……それこそ、神様だけが知っている、
っていうヤツかしらね……)
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5~6月はもう諦めてすっ飛ばしました。
書けそうな時に追記したりしなかったり
するかもしれない?
7/6/2023, 4:37:28 PM