神埜

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#友達の思い出

小さい頃に離れ離れになった友達がいた。

彼女のお父さんの転勤だった気がする。

彼女が居なくなる時にお家にお呼ばれして、お別れ会をした。

何人かのその子と仲良くしてた子達と私。
小規模のお別れ会。

寂しくて最後は泣いてしまった記憶。

お別れ会が終わり、他の子達が全員帰ったあと、私も帰ろうとした時彼女のお母さんに呼び止められた。

「〇〇、アレ渡さなくていいの?」

なんのこっちゃと思っていたら、涙で顔をぐしゃぐしゃにした彼女が何かの包みを持ってきた。

「さきちゃん、なかよくしてくれて、ありがと!だいすき!わたしのこと、わすれないでね。」

そう言って渡された包の中には可愛らしい絵が描かれた陶器製のコップが入っていた。

「もちろん!〇〇ちゃんもわたしのことわすれないでね?」

私と彼女はまた泣いて、そして最後に笑いあった。

またいつか、会える日まで。
そう約束した。

その後、20年程経ったが、彼女と再会出来てはいない。それに、彼女にもらったコップは兄に割られた。
悲しくて沢山泣いた。友達に貰ったものだったのに、と。泣いて、泣いて、泣いて。
未だにその事は許していない。

それでもまだ、私は信じている。

いつかまた、彼女と再会出来る日が来るということを。

7/6/2023, 3:23:31 PM