勿忘草(わすれなぐさ)』の作文集

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勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

2/3/2024, 8:34:17 AM

碧い空に 勿忘草の花
忘れぬ思い 心に宿す
青さに満ちた あの日の空
永遠の誓い 風に託す

季節がめぐり 時を超えて
勿忘草の色 輝き続ける
愛の証し 永遠の約束
忘れないよ この輝きを

2/3/2024, 8:14:01 AM

勿忘草(わすれなぐさ)

ー私を忘れないで

なかなか思う時がないな。

忘れたければ忘れて頂いても構わない。

ヨーロッパの悲恋から来ている花言葉。

そもそも悲恋に縁がない。

でも、昔ならそんな悲恋も多かっただろうな。

勿忘草に縁がないと言うのは、
幸せな事なのかもね。
paki

2/3/2024, 8:13:05 AM

行ってきます、というメモ書きと1輪の花がテーブルには置かれていた。
嫌な予感はしてたんだ。この頃口数が少なかったから、どっか具合でも悪いのかなくらいに思ってたけど。

そんなに悩んでいたんなら教えてくれよ。君の夢を真っ向から否定したりしないよ。やりたいようにやればいい。そう言ってちゃんと送り出すつもりでいたよ。
なのに、別れの言葉も言わせてくれないのかい。ずるいよ、君は。

コップに水を汲んで君が残した花を挿した。いくらかもう萎びている。青い花がまるで君の瞳の色を連想させる。

この花は何て言うんだろうか。
知りたいのに、教えてくれる君はもういない。

2/3/2024, 7:56:23 AM

亡くなった人は、誰からも忘れられた時、本当の意味で息絶える。
今もこれからもずっと私の心の中にいるよ。

【勿忘草】

2/3/2024, 7:41:25 AM

―勿忘草―

私が彼と距離が遠く感じるようになったのは1ヶ月程前からだ。

彼は顔も性格も良くオマケに運動神経抜群でとてもモテる。

世間で言う所謂"スパダリ"。彼にピッタリなタグ

それに比べ私は人気の無い空き教室で一人本を読んでいる様な
目立たない普通の陰キャ。
陰気臭くてコミュ障 周りからは何とも思われていない程私は影が薄い。

まるで嘘かと思うが私と彼は付き合っている



話を初めに戻そう。

距離が遠く感じるようになった原因は明確。
彼の部活の大会が決まり練習に打ち込む日が増えたからだ。

正直、大会が決まる前に距離が近いかと言うとそうでも無い
やはり人は自分の持っていない物を持っている人に多少は興味が湧き惹かれるものだ

しかし惹かれたはいいものの趣味が合わないと必然と会話も減る なぜ付き合っているのかも分からなくなる時がある程に。

しかし私は彼が好きだ。
私が持っていない物を持っているという憧れもあったのかもしれない。


彼は大会の為に毎日努力を積み重ねて4ヶ月。


大会の日私は気弱ながら下駄箱に応援の意味を込めて小さめの花束を入れた


無事大会は優勝



私達は約5ヶ月の間話さすそのままどんどん日が進んでいった


クリスマスもお正月もバレンタインも結局何も出来ず卒業の時期

まだ肌寒い春の風
まだつぼみが開いていない桜が多い今日この日は、


「卒業式当日」


式が終わり話しかけようとした、

けど上手く言葉が出て来なくて

伸ばしかけていた手をスッとカーディガンにしまった

そして結局話さずに終わってしまった


"私は彼から何とも思われていないのかな、"
と苦しく苦い気持ちを抱えて私は家に帰っていく




貴方が友達達とわいわい話しながら家に帰っていくのが分かった


その時彼が気にせず踏んだ花は―"勿忘草"―
クシャッ 、キシキシと音を立て踏まれた花。

――とても酷い姿だった

踏み潰して傷付けた花の名前なんて知ってるはずない

彼は花なんて全く興味無いのを私は知っている。


だって好きな人の事だから、


私はあなたの好きなことを一生懸命理解してるつもりだけど
彼方は私の好きな花。趣味の事は知ろうとする素振りも見せなかった


「私の事を、貴方だけ、いや彼だけでも忘れないで欲しいな」





―勿忘草―
花言葉は「真実の愛」「誠の愛」「私を忘れないで」

2/3/2024, 7:38:51 AM

海からほど近い港町に、子どもの頃3ヶ月くらい住んだことがある。

そのころの生活は最悪で、何かあれば容赦なく殴る父親と、ふたりで暮らしていた。
僕はいつも空腹で、それを外で遊んでまぎらわせていた。

あるうららかな春の昼下がり、いつものように不機嫌な父に殴られて、僕は頬を赤くして外を歩いていた。
すると、やわらかな声に呼び止められた。

「あら、お顔どうしたの?」

顔をあげると、真っ白なエプロンをつけた優しそうなおばさんが、心配げに僕を見ている。

「…」

なんと言っていいかわからず、うつむいた。

それと同時に、僕のお腹から、ぎゅるると大きな音がした。
すると、おばさんは優しく僕の手を取った。

「そこのお店についといで」

見れば、目の前には、青い看板が目立つ小さな大衆食堂があった。

おばさんはそこに入ると、僕を座らせ、自分はカウンターの奥に消えていった。
所在無げに足をぶらぶらさせていると、しばらくしてとてもいい匂いがしてきた。
おばさんが出てきて、僕の前に美味しそうなオムライスを置いた。

「おばさんが作ったからね。おいしいよ、食べてごらん」

ほんわりとしたたまご色のオムライスの真ん中に、赤いトマトケチャップでハートが描かれていた。
僕は気まずさも忘れて、一心不乱に食べた。どのくらいぶりかわからない、あたたかいご飯だった。

食べ終わると、おばさんが満足そうにこちらを見ていた。
そこで僕は、お金がないことに気づいた。
幼な心に、それがとても悪いことのように思えて、思わず外に飛び出した。

そして、あたりを駆け回って、とても可愛い花が道の脇にたくさん咲いているのを見つけた。
それを摘めるだけ摘んで、おばさんの元に戻った。
おばさんに差し出すと、目の端にしわを寄せて、とても嬉しそうに笑ってくれた。


その後も何度かおばさんに出会い、ごはんをごちそうしてもらった。
しょっちゅう殴られていたので、どこかしら腫れていたり青くなったりしていた僕を気の毒に思ったのかもしれない。
ごちそうしてもらうたび、花を摘んで持っていった。
彼女の存在は、寂しかった僕の心を癒した。ごはんも嬉しかったが、なによりその笑顔に会いたかった。


親戚の家に預けられることが決まり、僕は港町を離れた。
それきり、そのおばさんには会っていない。何度も折に触れ思い出したのだが、残念ながら店の名前を忘れてしまった。
店にあった金色の招き猫が、妙に印象に残っていた。

***

あれから長い年月が経った。

僕は三十年ぶりに、この港町を訪ねた。

うろ覚えの記憶で、あの大衆食堂を探す。
だが、見つけられない。
(ここのはずなんだけど…)
隣を歩く息子と手を繋ぎながら、僕はキョロキョロと周りを見回した。
すると、息子が叫んだ。

「ねー、おばあちゃんがなんか変だよ」

足を押さえて、電柱によりかかる老婦が目に入った。

「大丈夫ですか?」

僕が駆け寄ると、老婦はこちらを見た。顔色が悪い。
近くの公園まで支えて歩き、ベンチに座らせる。水を買ってきて飲ませると、老婦はほっと息をついた。

「ご迷惑おかけして、すみませんねえ」
「いえ、大丈夫ですか?」

僕がいうと、老婦は微笑んだ。

「いつも、健康のために散歩をしているんですけど。膝が痛くてねえ。長年やっていた仕事をやめてからは、特に痛むの。ずっと何十年も立ち仕事をしていたからかしらね」
「なんのお仕事だったんですか?」
「食堂よ。小さなね。ほんとの大衆食堂よ」

僕はそこで引っ掛かるものを感じた。

「あの、もしかして…それは、青い看板の店だったりしますか?カウンターもあって、金色の招き猫がいて…」
「あら、きたことあった?食堂とみ川、よ。」

そういって、老婦がにっこりと微笑んだ。
その瞬間、僕の頭のなかで、目の前の老婦と、とあのときのおばさんが重なった。

「ぼくのこと…覚えていませんか?」
焦ってきいてしまったが、わかるわけはなかった。何度かしか関わりはなかったのだし、僕はあれからもういい大人になってしまったのだから。

それでも、僕はこの人に会いに来たのだ。
でも、なんていっていいかわからない。

そのとき、ブランコに乗ろうとしていた息子が言った。

「ねー、綺麗なお花だよ、パパ」

指差した先に、小さな花が咲いていた。

「あら、勿忘草。このお花ね、私の大好きな花なのよ。昔、このあたりにかわいい男の子がいてね。ごはんをごちそうしてあげると、決まってこのお花を摘んできてくれるの。可愛かったわあ。突然会えなくなってしまったけど…元気でいるのかしら」


「元気で、いますよ」


僕は、噛み締めるように言った。

「あなたに、たくさんしたい話があるんです」



瑠璃色の勿忘草が、春の風に優しく揺れていた。

2/3/2024, 7:37:56 AM

君が教えてくれた花の名前は
街に埋もれそうな小さな勿忘草。

2/3/2024, 7:29:30 AM

勿忘草の英訳って「Forget-me-not」らしい。直球すぎる。なんか昔の人間が勝手に溺れ死んだときに恋人にあげようとした花が勿忘草だったからって、ネーミング安直すぎるやろ。
まあコンビニの常連客を「コーヒー牛乳さん」と名付けるようなもんか。

2/3/2024, 7:19:12 AM

北面の武士であった佐藤義清は23歳の若さで出家し、西行となった。

理由は謎であるが、友の死や失恋が重なっての事とする説が有力だ。人の世の儚さを嘆いたのだろうか。

恋の相手は歳上、格上で、しかもモテモテの美女だったらしい。

とても叶わぬ恋なれば、あきらめて、忘れるのが普通だろうに、西行はそうではなかった。

秘めたる恋を貫き通す、しかも片思いなのに…このような男は稀であろう。

忘れないで下さいと、泣いて縋るのではなく、

忘れられないのです貴女が、と想い続け、自分だけが苦しみ抜いたのだ。

つらいさを奥深く胸に沈めて、花を追い、旅の空に暮らす日々を過ごした。

「願わくば 花の下にて 春死なむ
そのきさらぎの 望月のころ」

西行はその通りの人生を遂げた。

忘れて生きた方が楽なのに、忘れる事を選ばなかった。

馬鹿げてると思いますか?

けれど、

そんな西行を慕う人は少なくない。

2/3/2024, 7:07:07 AM

幼い頃、息を弾ませて他の誰でもない私の方へ駆けてくる幼馴染のことがとても好きだった。
 一つ年下の彼はいつも「おねえちゃん、おねえちゃん」と呼んできれいな花や石、お気に入りのおもちゃなどをプレゼントしてくれた。丸くぷっくりとした頬を真っ赤にしてコロコロと転がるように駆けよってくる姿がとてもかわいらしい。

 あれから数年、中学校の卒業式で彼から小さな青い花の花束をもらった。所々に同じ形の白い花も散りばめられていて流行り物に疎い彼なりにがんばって選んでくれたんだなとわかって嬉しかった。

「これね、幼馴染がくれたの。かわいいでしょ」

 親友に花束をみせて自慢した。きっと、かわいいとか幼馴染にしてはセンスがいいねとか、そういう感想が返ってくるだろうと思っていた。

「幼馴染くんがかわいそうでしょ。家帰ったらその花のこと調べときな」

 親友は心底呆れたような顔をしながら花の名前を教えてくれた。ついでに保存方法なんかも細かく伝授され、大切にしなさいと念を押された。
 写真撮影やら挨拶やらを終えて帰路につく。幼馴染は先に帰されてしまったから久しぶりに一人だ。
花束を掲げて空を仰ぐ。よく晴れた空の青とふわふわとした雲のようだ。

 ――そういえば今日は昔のように真っ赤な顔をしてたな

 幼馴染は何を想ってこの花を選んだんだろう。口下手なのは知っているけど、こんなにも遠回しな伝え方をするなんて思ってなかった。
本当はこの花も花言葉も知ってるよ。でもね、直接聞きたかったんだ。

「やっぱり、かわいそうなことしちゃったかな」


         【題:勿忘草(わすれなぐさ)】

2/3/2024, 6:40:17 AM

彼が亡くなって何年が経つだろう。
彼が亡くなった九月二十日の出来事は、今でも鮮明に覚えている。
九月二十日は私の誕生日。その日は彼と近所のデパートに行った。彼は生まれつき持病があって、一時間くらいのちょっとしたデートのつもりだった。だけど彼の持病が悪化してしまい歩いている途中、倒れてしまった。
彼が最後の力を振り絞って私に渡してくれたのはきれいに舗装がしてあった勿忘草の花だった。

2/3/2024, 6:31:18 AM

何か浮かんで書いてはそれを消して、また別のことを書く。

長々と書き連ねた文章、けれど、書きたい結末には辿り着けず。

消去。消去。消去。

支離滅裂な思考回路、滅茶苦茶な感情は、指先には伝わらない。

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言葉にすらなれない、ただの文字の羅列を消していく。

テーマ「勿忘草」

2/3/2024, 6:24:21 AM

「こんな花を残さなくても忘れはしないよ」
一面に咲く小さな白い花たちを見つめては涙が零れた
『勿忘草』2024,02,03

2/3/2024, 6:23:47 AM

「勿忘草」

君に伝えたかった言葉は、
今となってはもう伝えられないから。

いつかもう一度出会えるその時まで、
心の内に秘めておこう。


だから、どうか君も
私のことを忘れずに
居てください。

2/3/2024, 6:16:29 AM

お前が居なくなってから何年経っただろう
あの日のことは全て覚えている
 泣きそうになりながらも笑った顔
 震える声で紡がれた言葉
 私に触れたその冷たい掌
お前と過ごした日々の
その思い出の最期だ

お前が望むまでもなく
私が忘れることなど有り得はしない
だから安心するといい



2024/02/03_勿忘草  ー私を忘れないでー

2/3/2024, 6:13:15 AM

わすれなぐさ

もう二度と戻ってきてくれる事はないけれど
貴方を忘れたことは一度もない

もう一度人生が戻ればと何度も想う

どこかで生まれ変わり
健康で生きている事を願っています。

2/3/2024, 6:10:21 AM

わたしを

忘れないで。









そんなこと
言われたって

大事だったり
印象深かったり

大抵
何か
理由があれば

忘れない。





忘れないでいてほしい

なんて

ただの

エゴだ。





忘れるには

忘れるだけの

理由がある。



忘れてほしくなかったら

覚えていてほしかったら




ジブンで

何か

爪痕を

残さないとね。


#勿忘草

2/3/2024, 6:06:30 AM

貴方と私は釣り合わない。

「私の事は忘れてください。」

本当は忘れてなんか欲しくないのに、また私は嘘をついた。

もしあの時…素直に頷いていたならば、貴方の隣に今もいられたのかな…

今日もまた、道端にひっそりと勿忘草が咲いている。

2/3/2024, 6:05:22 AM

「どうしたの、この花」

見慣れた部屋の中
部屋の隅っこから新鮮な気配を感じたと思えば、
そこには春らしい小さなブーケが飾ってあった

「特に何も無いけれどお花屋さんの前を通って、
素敵だなと思ったから」

「確かに素敵だね。どうもありがとう」

切り花は好きだ
人工的に摘み取られて
もう時期途絶える命だからこそ
咲いている間の美しさは他に類を見ないと思う

近づいてその春の空気を観察すると、
ガーベラ、すずらん、フリージア、
色とりどりの花々の中にひっそりと息づいた
懐かしい気配に気がついてしまった

「この水色の、小ぶりな花、可愛いよね
名前なんて言うんだろう」

「……なんだっけ、忘れちゃった」

「お花屋さんが教えてくれたはずなんだけど、
なんだっけ、花言葉がちょっとロマンチックなやつ」

私は黙ってその花を見つめていた
今を見つめながら同時に自分の過去も見つめていた

そして記憶の中の彼女に
こんな事をしなくてもあなたを忘れることは無いよと優しく告げてみたが、
その後の数週間ずっと
勿忘草だけが枯れることを忘れたように咲き乱れていた

2/3/2024, 6:00:12 AM

【勿忘草(わすれなぐさ)】

 川縁に降りると、丈の低い草に混ざって、勿忘草が咲いていた。他に花を付ける草はなく、青く可憐な花弁はよく目立った。
「あの絵と同じだ」
 思わず摘もうとして、すぐに手を引っ込めた。――星系ユニオン律第三二〇七条、未開拓星の生命体をもとの位置から移動させたり持ち帰ったりしてはならない。
「未開拓星、か」
 星系ユニオンに未開拓星として登録されているこの地球は、我が一族にとっては故郷とも呼べる星だ。かつては陸地の大部分が開拓され、百億もの地球人が住んでいた。しかし、巨大隕石の衝突により、人間の居住に相応しい星ではなくなってしまった。生き残った地球人は星系ユニオンによって救出され、他の生命居住可能星に散らばった。一回り小さくなった地球は、星系ユニオンの再生プログラムにより、四千年かけてようやく、かつての面影を取り戻しつつある。私は居住環境調査員として、地球に派遣されたのだ。この足を再び地球に付けることは、我が一族の悲願だった。
 とはいえ、私はケンタウリで生まれ、エンケラドゥスで育ったから、思い出の中に地球はない。私が知っている地球は、星系ユニオンの地球再生プログラムの中にある記録だけだ。
「花とて、なにも覚えていないだろう」
 現地球換算で四千年もの時が経ったのだ。我が一族の祖が住んでいたころの地球など、花の記臆細胞からも抽出できないだろう。
「だが、星そのものは残っている」
 川岸を見渡せば、先遣の無人機が送ってくれた立体映像そのものの光景が広がっている。それだけで、この星に奇妙な懐かしさを覚えてしまう。
「そして、勿忘草も残っている」
 地球には数多の愛らしい植物があるが、この青く可憐な花を咲かせる草にだけ、私は特別な親しみを抱いていた。我が一族には、〈本〉という地球の希少遺物が代々伝わっている。その〈本〉に挟まれた〈栞〉に描かれていたのが、この花だった。花の名前も添えられていた。「forget me not」。一族の祖の言語では、勿忘草(わすれなぐさ)、と言う。
 地球人迫害の歴史もあった中で、その〈本〉と〈栞〉は我が一族にひっそりと受け継がれ、私をこの星まで、そしてこの花のもとまで導くに至った。「私を忘れないで」と訴える青い小さな花、その本物を見てみたいというのが、私の密やかな悲願だったのだ。
「地球や花に忘れられたとしても、私たちが忘れずにいれば、繋がるものだな」
 歴史の惨禍の中で〈本〉と〈栞〉が失われていれば、あるいは我が一族の誰かが失われていれば、私はこの星に降り立ってはいなかっただろう。星系人種の中で地球人の末裔として残っているのは、いまや我が一族だけだ。〈本〉と〈栞〉に記された言葉が我々を地球人の末裔として証明し続け、そして、一族の悲願に縛り続けてもいた。
「思えばこの花の言葉は、我が一族にかけられた呪いのようなものだったな」
 地球人の血を継ぐことにこだわるあまり、我が一族は古いしきたりに囚われ、どんどん弱っていった。無茶なコールドスリープも繰り返した。そして最後に、私だけが生き残った。
 私は川縁の勿忘草の横に腰をおろした。亜空間バッグを開き、こっそり持参していた〈本〉を取り出す。〈本〉を開くと、真っ先に〈栞〉が顔を出す。
 誰がどんな思いでこの〈栞〉の絵を描き、〈本〉に挟んだのか。そんな事情は伝わっていない。〈本〉を〈読む〉という技術も、絶えている。しかしここに〈本〉があり、〈栞〉がある。地球があり、勿忘草が咲き、傍に最後の地球人が座っている。それだけで、なにもかもが充分なように思えた。
「あっ」
 ふいに風が吹きつけ、〈栞〉を攫った。花弁のように薄い〈栞〉は宙を舞い、ひらひらと川の上に落ちた。川の流れは早く、〈栞〉はあっという間に下流へと消えてしまった。
「……星系ユニオン律第三二〇六条、未開拓星に持ち込み品を残留させてはならない」
 この失態は、ケアレスレポートとして半永久的に星系ユニオンに残るだろう。私は〈本〉を亜空間バッグにしまいこむと、ため息とともに立ち上がった。失ったものの大きさの割には、心は軽く、地球に降り立ったときと同じぐらいに弾んでいた。
 次の調査場所を求めて歩き出す。この星に新しい人間たちが住み着く日まで、もうすぐだ。

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