れい

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―勿忘草―

私が彼と距離が遠く感じるようになったのは1ヶ月程前からだ。

彼は顔も性格も良くオマケに運動神経抜群でとてもモテる。

世間で言う所謂"スパダリ"。彼にピッタリなタグ

それに比べ私は人気の無い空き教室で一人本を読んでいる様な
目立たない普通の陰キャ。
陰気臭くてコミュ障 周りからは何とも思われていない程私は影が薄い。

まるで嘘かと思うが私と彼は付き合っている



話を初めに戻そう。

距離が遠く感じるようになった原因は明確。
彼の部活の大会が決まり練習に打ち込む日が増えたからだ。

正直、大会が決まる前に距離が近いかと言うとそうでも無い
やはり人は自分の持っていない物を持っている人に多少は興味が湧き惹かれるものだ

しかし惹かれたはいいものの趣味が合わないと必然と会話も減る なぜ付き合っているのかも分からなくなる時がある程に。

しかし私は彼が好きだ。
私が持っていない物を持っているという憧れもあったのかもしれない。


彼は大会の為に毎日努力を積み重ねて4ヶ月。


無事大会は優勝


私達は約5ヶ月の間話さすそのままどんどん日が進んでいった


クリスマスもお正月もバレンタインも結局何も出来ず卒業の時期

まだ肌寒い春の風
まだつぼみが開いていない桜が多い今日この日は、


――「卒業式当日」――


式が終わり話しかけようとした、

けど上手く言葉が出て来なくて

伸ばしかけていた手をスッとカーディガンにしまった

そして結局話さずに終わった


"私は彼から何とも思われていないのかな、"
と苦しく苦い気持ちを抱えて私は家に帰った




貴方が友達達とわいわい話しながら家に帰っていくのが分かった


その時彼が気にせず踏んだ花は―"勿忘草"―
クシャッ 、キシキシと音を立て踏まれた花。

――とても酷い姿だった

踏み潰して傷付けた花の名前なんて知ってるはずない

けれど彼は花なんて興味無いのを私は知っている。


だって好きな人の事だもの、


私はあなたの好きなことを一生懸命理解してるつもりだけど
彼方は私の好きな花の事は知ろうとする素振りも見せなかった


「私の事、貴方だけ、彼だけでも忘れないで欲しいな」





―勿忘草―
花言葉は「真実の愛」「誠の愛」「私を忘れないで」

最後になるにつれて彼の呼び方が変わって言ってるのわかる?
(彼→貴方→彼方)
ちなみに貴方は同等な人に使うやつ
彼方は三人称対等または上位者に用いるやつ=やっぱり憧れが残ってしまってる未練タラタラ自然消滅って事

けど1番最後は彼氏の頃の彼に向かって言ってる言葉です

花を踏み潰したのは私ちゃんの事を忘れてどうでもいいから

2/3/2024, 7:41:25 AM