『勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
春が待ち遠しい。
眼前に広がる優しい季節が恋しい。
勿忘草
中学3年生の2月頃、学校の授業で"お花を使って押し花の栞を作ろう!"みたいな授業があったんです。
授業が終わった後、バレンタインが近いからとか、もうすぐ卒業だからという理由で好きな人に栞を渡して交換してもらうみたいなのが流行ったんです。みんな各々思い出づくりに交換していたけど私は恋愛には疎くて流行りに乗ることはできなくて、けど、一人だけ私に栞をくれた男の子がいたんです。彼は私への気持ちと"卒業しても忘れないでね"と言ってピンク色のお花がたくさん入った栞をくれました。彼の気持ちには答えられなかったけど私もお返しに勿忘草の入った栞をあげました。
この前同窓会で久しぶりに彼に会ったときみんなが中学生のときの話をしていて彼が栞の話をしたので、私は彼に"そういえばあの栞まだ実家の机に入ってるよ"って言おうとしたんです。けど私がそれを言う前に彼が、"そういえばあの栞どこやったっけな" "捨てちゃったのかな"って言ったんです。
本当は私、今も昔もピンクよりブルーが好きなんです。でも彼がくれた栞は私の作った栞よりずっと可愛いと思ったんです。だから茶色くなってしまった今でも大事に机の引き出しに入れておいたのにな。
いつも彼女は花を見ていた。
僕が話しかけても変わらずに花を見ていた。
彼女の花を見る時の目が
キラキラしているのを見るのが好きだった。
「ねぇこの花なんて名前なの?」
そう聞くと必ず答えてくれる。
「じゃあ花言葉も知ってたりする?」
「うん」
僕はなぜ彼女に話しかけたのか。
僕にも分からないが
彼女が花に向ける顔が
僕に向いて欲しいそう思ったのかもしれない。
彼女と話すようになってから
僕も同じ話をするためにお花のことを沢山勉強した。
お花の名前も花言葉も最初の頃よりも
沢山しれた気がした。
彼女と僕が卒業する日
彼女は変わらず花壇を眺めていた。
僕も何も言わずに彼女の隣にしゃがんだ。
「...式が終わったらここに来て」
彼女は俺にしか聞こえない声で言ってから
立ち上がって教室に戻って言った。
「みんなここまでよく頑張った。
それぞれ進む道は違うけど自分の気持ちを...」
泣きながら話す先生にみんなもらい泣きしながら
僕たちはこの学校を卒業した。
花壇に向かうともう彼女はいた。
「はい」
そう言って差し出された手には小さな花束があった。
「私の事忘れてもいいから」
受け取ってお花を見ると
綺麗な青色と白の勿忘草だった。
確か花言葉は
青色が「真実の愛」「誠の愛」。
白色が「私を忘れないで」。
「忘れていいって言ってたけど
白色が私を忘れないでって意味なのも
青色が真実の愛ってことも知ってるよ。」
「僕もなにか準備しとけばよかった。
僕のことも忘れないで,僕は君が好きだよ」
彼女の顔を見ると赤く染まっていた。
「私も......好きです。」
今日,僕と彼女は学校を卒業と同時に
友達という関係も卒業しました。
─────『勿忘草』
勿忘草ってお題として難しくない? 小説のお題としてもだいぶ厳しいと思うんだが。
仮に小説のお題として書くなら花言葉を使った話になるわな。
勿忘草の花言葉は名前通りに私を忘れないでというのが一つ、それとは別に真実の友情というのもあるらしい。
だから小説を書くならこのどちらかの花言葉を使うのがまるいよな。
ぱっと思い付くのが三通りあって、一つは余命僅かな病気の恋人に勿忘草を送られて、死んだ後に花言葉を調べてしんみりする感じの純愛系。
二つ目は仲良しの二人の子どもが引っ越しで別れて、大人になっていつも遊んでいた場所で再開して、そこには昔と同じようにきれいな花が二人を見ていた。その花の花言葉は真実の友情、みたいな。最後は三人称で花言葉を語る感じで。
最後は主人公が勿忘草の花言葉を知らずに買って、それを知り合いに渡したら花言葉を知っていた知り合いがこれってどういう意味!? と主人公を意識しちゃう勘違いラブコメ。
最後は無理やりすぎるか。正直言うと最後の勘違いラブコメは勿忘草の花言葉を真実の愛と俺が勘違いして思い付いたんだよね。
この程度の文章を書く間に勘違いをするんだから認識のずれというのは恐ろしいね。ほんの些細なすれ違いが大きな差となる。
記憶力や物事を把握する認識力、とでも言うべき脳の力は年を取るごとに衰えていく。昔脳トレとかいうのが流行ったけど、ボケないためにも頭を使って生きないとね。
カンカンカン
電車が 私の前に迫ってくる
早く楽になりたい
許せない
消えろ 消えろ 消えろ
もう何も考えたくない……
カンカンカン…
小さいニュースに私の名前が流れる
楽しんでたくせに。散々苦しめて追い込んだくせに!
数年経つともう誰も私を覚えていない
誰も覚えていない
誰も覚えていない
誰も覚えていない
永遠にあの日々を繰り返し続けている。
そしてまた踏切の前に立つのだろう。
私を忘れないで
〔勿忘草〕
勿忘草
花言葉は
「私を忘れないで」
忘れて
忘れて欲しい
もう
欠片も思い出さないで
涙で封をした
あの手紙は捨てた
愛したのは
貴方だったのか
優しい
あの時間だったのか
思い出さえ
定かではなく
もう
忘れたと言って
声も聞こえない
月日は足早
もうすぐ来る
目覚めても泣かない
雪解けの季節と
貴方を
思い出さない日
「勿忘草」
わすれていいよ。
わすれられるものなら。
私は彼女に、最後の贈り物をする。
波に揉まれながら、彼女の好きな花を投げる。
息も絶え絶え、水の世界。
泣き叫ぶ彼女の顔。
きっとこれで彼女の心はずっと、私のもの。
2023/02/02『勿忘草』
あの時の気持ちも
あの時の表情も
交わした言葉も
触れた温かさも
触れた心も
忘れたくない
忘れないで
合言葉は『勿忘草』
目印に『勿忘草』
「私を忘れないで」
彼女はそう言う。
私は、それに答える為に
勿忘草を君に贈る。
「君もね、忘れないで」
「ねぇねぇ、優くん」
「ん、なに?」
「もし私が死んでも…」
君は
その次の日に
死んだ。
彼女が死んでもうすぐ10年が経つ
彼女の部屋には遺書があった。
彼女はいつ死ぬかわからないからと、成人した頃から毎年遺書を書き換えていた。
僕と彼女はまだ結婚していなかったけれど
遺書は彼女の母が見せてくれた。
何度も何度も読み返して
涙の跡だらけになったそれを
僕はまだ持っていた
『早く孫の顔が見たいわ』
親にそう言われて
僕は「忘れなくちゃいけない」ということにやっと気が付いた
もう30代だし
結婚して
子供を産んで
あれ
僕は
女?
なんでなんだ?
なんで彼女と付き合ったことを隠さないといけないんだ?
なんで
なんで
「なんで僕は女に産まれたんだ?」
生暖かい雫が僕の頬をつたった
そのあと僕は泣いて
泣いて
気が済むまで泣いて
思った
もう、逃げたくない
逃げない
「もし私が死んでも、私のこと忘れないでね」
【勿忘草の花言葉】
私を忘れないで
ワスレナグサの語源を知っているだろうか。
ドイツのとある伝説が有力な説らしい。
簡単にまとめると、こうだ。
とある騎士が、恋人のためにこの花を摘もうとして足を滑らせ、川の流れに呑まれて命を落とした。
彼は最期に「僕のことを忘れないで」と恋人に言った。
彼女は、愛する人の言葉を忘れず、生涯この花を髪に飾り続けた。
悲しい終わりを迎えても、その愛は永遠のものであった。
正真正銘本物の愛が、二人の間には存在した。
そんなラブストーリーが、この花の背景にはあったのだ。
____そんなロマンチックで素敵な話に聞こえる。
しかしこの伝説、よく考えると、割と恐ろしい側面もあるのではないだろうか。
私には、まるで彼が最期の言葉で、恋人の愛情が半永久的に自分に向くように仕向けたように思えたのだ。
ワスレナグサの花言葉の一つは「真実の愛」。
この騎士が、死の間際になんとかして恋人に伝えたい、と思った言葉は「自分のことを忘れないで」だった。
だからきっと、騎士が恋人を愛していたのは本当だろう。
そして彼は、恋人の自分への愛を補強した。
自身の死によってそれが失われることの無いように。
私にとって、それは一種の呪いのように思えた。
この騎士もその恋人も、きっと彼の言葉をそうは思わなかっただろうが。
私がこの伝説を通じて恐ろしいと感じたことは、他にもある。
ワスレナグサのもう一つの花言葉は「私を忘れないで」。
この花の日本語名は「勿忘草」。
英語名は「forget-me-not」。
ドイツ語名は「Vergissmeinnicht」。
いずれの言語でも、名称自体が「(私を)忘れないで」という意味を持つのに、花言葉にも同じ意味の言葉がある。
まるで誰かに念を押されているような気がする。
…もしも例の騎士の恋人があの後、騎士のことを忘れて生きていたら、一体どうなってしまっていたのだろうか。
【勿忘草(わすれなぐさ)】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
2/6 PM 0:50
「そういえば、古結(こゆい)たちは
その青色が好きなのか?」
学食で昼飯を食べ終わって、
教室へ戻る道すがら、ふと聞いてみた。
古結の着ているスクールカーディガンの色。
柔らかで明るい青ではあるけれど、
冬に身に纏うには寒そうにも見える。
思い出してみると、宵の着けていた
スヌードと、真夜(よる)のマフラーも
こんな青色だった気がする。
「あ、この色? これはねぇ、勿忘草色に
近いのを選んだんだ~」
「勿忘草?」
「うん」
確か、英語では『forget-me-not』。
『私を忘れないで』という意味を持つ花。
「勿忘草の花言葉は、『私を忘れないで』
だけじゃなく、『真実の友情』って
いうのもあるんだよ」
すかさず真夜が解説する。
それを聞いて、花言葉の意味も含めて、
この色でお揃いなことが、3人にとって
重要なのだと分かった。
僕は、勿忘草を見るといつも
思い出す……
死別した彼女の好きな花……
それが勿忘草……
「私を忘れないで。」
そんな花言葉……
まるで自分の死を予言していたかのような、花言葉だ……
彼女の死因は事故だった……
相手のドライバーが居眠り運転をしていたらしい……
お父さんと彼女でお母さんの病院に向かっている途中事故にあったらしい……
その時僕は、電話がかかってきているのにも気付かず仕事をしていた……
彼女が苦しんでいる時に仕事をしていたのだ……
彼女が亡くなったと聞いたのは、事故が起きて3時間経過した後だった……
僕は、病院まで行って彼女の遺体を目にした……
「ご本人で間違いないですね?」
看護師さんがそう言っていた……
だが頭に入ってこなかった……
彼女が死んだ?何かの間違いだ……
だって数時間前まで笑顔で話していたじゃないか……
LINEだって返していたじゃないか……
「どうしてなんで……
なんで君なんだ……」
今まで流したことが無いくらいの量の涙が目から、こぼれ落ちてきた……
霊安室には、彼女の母親の鳴き声が響き渡っていた……
「どうして私を置いていくの……」
母親が言った……
僕だって言いたいことは、
山ほどあった……
「どうして先に行ってしまったの?
まだ好きも伝えてないよ……
プロポーズもしてないよ……
ご飯も食べに行きたいって、
言ってたでしょ?
ねぇ帰ってきてよ……お願いだから……
1人にしないでよ
僕これから、
どうすればいいの?
ねぇ答えてよ……」
そんな数々の言葉を口にした
だが当然返事が
帰ってくることは、ない……
そんな事件から、5年経った……
僕は、当然歳を取り今年30歳になる。
今日は、彼女の命日だ……
お墓参りに行く前に彼女の大好きな勿忘草を買っていこう……
「私を忘れないで」
という花言葉の勿忘草を……
先輩は懐いた猫のように私の膝枕を強請る。
「ねぇ。いいでしょ?」なんて図々しく首を傾げてみせた。さらりとした長い髪から覗く耳朶は少し染まっている。ふてぶてしさも補強してしまうほどの愛らしさ。美人というものは卑怯だ。翻弄されているというのに、風船みたいなふわふわとした心地になる。意地悪で狡いこの人は分かっていて、愉しんでいるのだろう。それが少しだけ癪だった。
短い髪の間から
ぽろぽろと記憶が
零れてしまって
引き出しにあった
使いさしのノートに
端から書きつける
表紙に咲く花と
贈ってくれた人の名は
最初のページに書いてある
/ 勿忘草(わすれなぐさ)
わたしが好きだと言った香水を
あなたは いつも付けてきてくれるから
期待してしまったんだよ
あなたも この香りを纏う時に
わたしのことを思い出して
#勿忘草 #わたしを忘れないで
私のことは忘れないで、たとえどんなに切ない恋だとしても、私の心に刻まれるのです……
愛したことを忘れないで
あなたに愛されたことを忘れないでいたい
だから死ぬまで囁いて
愛してるって、永遠だって
好きじゃなくて愛してる
誰よりも
あなたに毎日贈るの
勿忘草を
尾崎豊の歌の歌詞にあったなぁ。曲名はなんだっけ?
ってか勿忘草ってどんな植物なん?
でも、ノスタルジーな気持ちにさせる言葉だね。『勿忘草』
「……明(あかり)!」
俺は勢いよく病室の扉を開ける。そこには、ただ黙って外の景色を眺めていた。
「明……無事か?」
早歩きで彼女のもとへ向かう。すると、ゆっくりとこちらを向いた。
「あか……り……」
そこにいたのは、明ではない人だった。いや、明ではある。ただ、なんと言えばいいのか……抜け落ちているような、どこかぼんやりしているような。上手く言葉にはできないが、とにかく、俺の知っている明ではなかった。
「……お見舞いのお花、持ってきたよ。明」
花瓶に、さっき花屋で買ってきた『勿忘草』を挿す。鮮やかな青色で、小さな花を咲かせている。これは、彼女の大好きな花だ。「可愛らしい花よね」と言って、微笑んだ彼女は、とても天使のようで美しく、思わず一目惚れしてしまった。
そんなこんなで、俺は彼女と恋人関係を築いた。今日は、俺たちが恋人になって一周年。だからこそ、彼女の喜ぶものをプレゼントした。本当は、こんな場所でするはずではなかったのだが。青信号だったのに、信号無視の車が突っ込んできて、明は重傷を負った。あの場に俺がいたら良かったと、何度思ってきたことか。
俺は辛さに目を伏せていると、ふと声が聞こえた。
「……誰だか分かりませんが、ありがとうございます。きれいな花ですね」
「……そうだね」
やっぱり。やっぱり、そうだったか。俺は病室を出て、その場にへたり込む。涙が溢れ出て、止まらなかった。
『私を忘れないで』いや、『あなたを思い出させる』。
俺が。ゆっくりでも。
〜勿忘草〜