NoName

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僕は、勿忘草を見るといつも
思い出す……
死別した彼女の好きな花……
それが勿忘草……
「私を忘れないで。」
そんな花言葉……
まるで自分の死を予言していたかのような、花言葉だ……
彼女の死因は事故だった……
相手のドライバーが居眠り運転をしていたらしい……
お父さんと彼女でお母さんの病院に向かっている途中事故にあったらしい……
その時僕は、電話がかかってきているのにも気付かず仕事をしていた……
彼女が苦しんでいる時に仕事をしていたのだ…… 
彼女が亡くなったと聞いたのは、事故が起きて3時間経過した後だった……
僕は、病院まで行って彼女の遺体を目にした…… 
「ご本人で間違いないですね?」
看護師さんがそう言っていた……
だが頭に入ってこなかった……
彼女が死んだ?何かの間違いだ……
だって数時間前まで笑顔で話していたじゃないか……   
LINEだって返していたじゃないか……
「どうしてなんで……
なんで君なんだ……」
今まで流したことが無いくらいの量の涙が目から、こぼれ落ちてきた……
霊安室には、彼女の母親の鳴き声が響き渡っていた……
「どうして私を置いていくの……」
母親が言った……
僕だって言いたいことは、
山ほどあった……
「どうして先に行ってしまったの?
まだ好きも伝えてないよ……
プロポーズもしてないよ……
ご飯も食べに行きたいって、
言ってたでしょ?
ねぇ帰ってきてよ……お願いだから……
1人にしないでよ
僕これから、
どうすればいいの?
ねぇ答えてよ……」
そんな数々の言葉を口にした
だが当然返事が
帰ってくることは、ない……
そんな事件から、5年経った……
僕は、当然歳を取り今年30歳になる。
今日は、彼女の命日だ……
お墓参りに行く前に彼女の大好きな勿忘草を買っていこう……
「私を忘れないで」
という花言葉の勿忘草を……

2/2/2023, 5:08:25 PM