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いつも彼女は花を見ていた。
僕が話しかけても変わらずに花を見ていた。
彼女の花を見る時の目が
キラキラしているのを見るのが好きだった。

「ねぇこの花なんて名前なの?」

そう聞くと必ず答えてくれる。

「じゃあ花言葉も知ってたりする?」

「うん」
僕はなぜ彼女に話しかけたのか。

僕にも分からないが
彼女が花に向ける顔が
僕に向いて欲しいそう思ったのかもしれない。

彼女と話すようになってから
僕も同じ話をするためにお花のことを沢山勉強した。
お花の名前も花言葉も最初の頃よりも
沢山しれた気がした。

彼女と僕が卒業する日
彼女は変わらず花壇を眺めていた。
僕も何も言わずに彼女の隣にしゃがんだ。

「...式が終わったらここに来て」
彼女は俺にしか聞こえない声で言ってから
立ち上がって教室に戻って言った。

「みんなここまでよく頑張った。
それぞれ進む道は違うけど自分の気持ちを...」
泣きながら話す先生にみんなもらい泣きしながら
僕たちはこの学校を卒業した。

花壇に向かうともう彼女はいた。

「はい」
そう言って差し出された手には小さな花束があった。

「私の事忘れてもいいから」

受け取ってお花を見ると
綺麗な青色と白の勿忘草だった。

確か花言葉は
青色が「真実の愛」「誠の愛」。
白色が「私を忘れないで」。

「忘れていいって言ってたけど
白色が私を忘れないでって意味なのも
青色が真実の愛ってことも知ってるよ。」

「僕もなにか準備しとけばよかった。
僕のことも忘れないで,僕は君が好きだよ」

彼女の顔を見ると赤く染まっていた。
「私も......好きです。」

今日,僕と彼女は学校を卒業と同時に
友達という関係も卒業しました。





─────『勿忘草』

2/2/2023, 8:48:35 PM