『勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
♯1000年先も
大切なあなたへ。
私ね、ここ数年間とても辛い出来事があったの。
1人で家で泣いていて
大好きな友達にも会えなかった。
でもあの時、あなたや他の人達に出会えて
みんなが優しくて。
世界にはなんて素敵な人たちがいるんだ
って思えたんだ。
だから、もう泣いてないよ。
今は少しづつ私の人生をより良くしようとしてる。
それに、あなたみたいに
私の人生も悪くないなって思えたの。
特にあなたは、温かくて素直で優しくて
私にとっては太陽みたいだった。
あなたは沢山友達がいるかもしれないけど
私にとってあなたは
特別で大好きな友達だったんだ。
私、あなたと出会えて本当によかった。
少し真面目な手紙になっちゃったけど
これが私の本当の気持ち。
あなたに伝えたくて、
私のこと少しでもわかってくれたらいいな。
あなたが望むなら
いつでも何でも私に話してね。
あなたが幸せだったら私も幸せ。
悲しかったり、誰かに話したいことがあったら
私がそばにいるから。
あなたが私を助けてくれたように
私もあなたの支えになりたいの。
私が世界のどこにいようとも
ずっと、あなたの幸せを祈っています。
心を込めて、
勿忘草。勿忘草とはなにか。
覚えておきたい出来事があったら、勿忘草を食べれば覚えてられる?
それとも全体的な記憶力アップする?
食べ物としては後者の方が現実味がある。たとえばブルーベリーを食べると目が良くなるとか、ワカメを食べると髪が増えるなど、底上げ要素の食べ物は昔から存在する。しかし前者の可能性が否定できない理由はネーミングだろうか。神秘性を感じる。何かの能力がピンポイントで機能するんではないかと。
「勿忘草」
お見舞いの花といえばカスミソウだ。
小さくて可愛らしくて少し呼吸するだけで揺れるような花だ。
入院していた時はちょうど冬だった。その花が雪のように見えたのを覚えている。
「早く元気になってね」
優しい言葉がどこかよそよそしい。彼女の両親が離婚しても私がいじめられていた時も私と彼女は互いに互いを煽りあうほど信頼していたはずだ。
どうしてこんなに他人よりも遠い距離になってしまったのだろう。
ひさしぶりに会ったから?
自分の話をしなくなったから?
これまでどんな話をしていたっけ?
「じゃあ…」
顔を背けて病室を出ていく。
もうこのまま会わなくなるだろう。
長年の友人との最後がこんな気まずいものだなんて。
ただ彼女には私を覚えていて欲しいと思った。
距離が遠くなっても誰よりもそばにいた記憶は本物だ。
「ねえ、待って」
弱々しい声が呼び止める。
私忘れないよ。守ってあげられなくてごめんね。
カスミソウが揺れる中、忍ばせた勿忘草だけが凛としていた。
真っ青な花弁の真ん中に、猫の目のような黄色の雌蕊が冴え冴えと目を惹いた。
こんな小さくて不気味な花に託して大丈夫だろうか、そんな気持ちが、私の胸で断固と固まったはずの決意にかすめる。
決行は明日だった。
このぬるま湯みたいな贋物の幸せを打ち砕く決行日は明日と決めていた。
「君を幸せにするから」
そんな言葉がずっと嫌いだった。
自分の幸せくらい、自分で決める。捻くれていて、可愛げのない私は、その言葉を聞くたびに、いつも、そう思ってしまう。
幸せは自分で感じて初めて幸せとなるのに、それを他人の力でどうにかできると思っているのは、傲慢だ、と。
そんな風に。
だから、今目の前にある幸せは、贋物なのだ。
私を不憫に思った友人が、嘘を真実に作り上げて、現実を歪めて作り上げた今日までの幸せな日々など。
友人が、私に嘘をついた気持ちは、痛いほど分かった。
こんな不幸があるのか、というほど、私の今までは、側から見れば、散々だった。
父親への冤罪から始まって、母の精神病、転校、貧乏に、諦めた進学。
私の手から零れ落ちたものは、いろいろとあった。
しかし、その不幸がなければ、私と友人は出会わなかった。
それらの過去の不幸がなければ、私は今を幸せだとは思わなかった。
私の不幸は、それこそ並大抵の苦労ではなかったけれど、私が努力して掴み取った幸せは、完全なハッピーエンドとは程遠かったけど、それでも私は幸せだった。
なにより、私のために、禁忌を犯して幸せを作り上げるほどの友人と出会う幸せは、私が不幸でなければ有り得なかったことだった。
それを友人は、歪めてしまった。
私の幸せのために。
傲慢のために。
だから、私は幸せを終わらせることにしたのだ。
現実を歪めてしまった根源の私の未来を、断ち切ることにしたのだ。
最後の幸せな日の今日、私は勿忘草で花束を作った。
幼稚園児が描くような典型的に小さく白い勿忘草は、「私を忘れないで」。
黄色い雌蕊が冴え冴えと気味悪い、青い勿忘草は、「真実の愛」。
私は明日、自分の幸せを打ち砕く。
ぬるま湯みたいな贋物の幸せを。
私の幸せは私で決める。
それが私の、私たちの幸せなのだった。
勿忘草
あなたの心残りになりたくないの
だから、忘れてね、全部
忘れたことさえ忘れてね、お願い
「子供の方相氏か」
眉を寄せ、冬玄《かずとら》は息を吐いた。
居間に沈黙が下りる。重苦しい空気に、睦月《むつき》は泣きそうに表情を歪めた。
「ごめんなさい。迷惑をかけて」
「睦月のせいじゃないよ」
俯く睦月の背を撫で、燈里《あかり》は優しく微笑んだ。
睦月の目覚めを待って、燈里たちは彼女から詳しい話を聞いた。
夕暮れの見知らぬ公園の夢。揺れる無人のブランコ。四つ目の面をつけた子供。
夢から目覚めたというのに、その子供が現れ告げた言葉。
「鬼を閉じろ、か。言葉通りなら、村から追いやった鬼をどこかに閉じ込めろってことだけど」
冬玄を見ながら楓《かえで》は首を傾げる。その視線の意味する所を知って、冬玄は嫌そうに眉を顰めた。
「その鬼が俺だって言いたいのか」
「もしくは僕かの二択だろうさ」
冬玄の視線を受け流し、楓は肩を竦めてみせる。
「一度堕ちかけた守り神に、人間の記憶に巣食う妖。燈里と睦月に厄はついていないんだから、それ以外に思い当たることはないだろう?」
「だとしたら、燈里の夢に入り込むはずだ。ちびの夢に方相氏が現れた理由が分からん」
「睦月の素質によるものじゃないかな。ヒガタの件で色々夢を見たらしいし……とはいえ、確かに理由としては弱いかな」
ちらりと俯く睦月に視線を向け、楓は溜息を吐いた。
睦月が見た夢の内容だけでは分からないことが多すぎる。方相氏の告げた言葉も曖昧であるが故に解釈が困難だ。
そもそも四つ目の面の特徴から方相氏だと認識しているが、それも本当かどうか判断はつかなかった。
「方相氏が鬼を追いやるのは、追儺《ついな》の方法として正しい。でも追儺では鬼を閉じ込めることはない。邪を払う柊を立てる、四方を打つってことは、つまり鬼を封じ込めているって意味にとれる……なんで鬼を封じなきゃならないんだろうね」
「元は方相氏ではないのかもな。子供を従え鬼を追うのが方相氏の認識だ。獣神として在ったこともあるらしいが、子供の方相氏は人間の認識に当てはまらないだろう。ヒガタのように混じりモノか、形を模しただけという可能性が高いな」
冬玄と楓の話に耳を傾けながらも、燈里は睦月が心配で堪らなかった。
俯き、必死で泣くのを耐えている姿。睦月のせいではないのだと何度言葉にしても、彼女には届いていないようであった。
「睦月……」
固く握り締めている睦月の手を繋ぐ。小さく肩を震わせ睦月は顔を上げて燈里を見た。
「燈里ねぇ」
「大丈夫。方相氏は鬼を追い払ってくれる存在だから、怖くないよ」
「でも……」
方相氏が本物ではなかったとしたら。そう言いかけて睦月は口を噤んだ。
代わりに力なく笑みを浮かべ、繋いだ手を握る。強がりながらも不安を隠せない睦月に燈里は安心させるように微笑み、繋ぐ手に力を込めた。
「燈里ねぇ。あのね……」
何かを言いかけた睦月の笑顔が消えた。
「睦月?」
燈里の呼びかけに答える余裕はないのだろう。表情を強張らせ辺りに視線を彷徨わせている睦月は、不意にびくりと肩を震わせて繋いだ手を離し、背後を振り返った。
「睦月、一体何が……っ!」
睦月を追って視線を背後に向け、燈里は息を呑んだ。
――鬼は外。
何故気づかなかったのか。無感情でありながら子供特有の高めの声音が辺りに響く。
居間の入口に立つ異形の姿から目を逸らせない。
黒い衣に朱の裳を着た小さな姿。鬼のような形相の面の、その金の目は四つ。
「方相氏……」
面の奥の黒い目が、逸らすことなく真っすぐに燈里たちを見据えている。息苦しさを覚えるほど、力強い意志を湛えた目。
燈里は喘ぐように浅い呼吸を繰り返しながら、救いを求めて冬玄たちの方へと振り返った。
「え……?」
冬玄、と名を呼ぼうとして、燈里は目を見張り硬直する。
冬玄と楓の姿がない。それどころか、そこは見慣れた居間ですらなかった。
「ここは……どこ……?」
一面に広がる青い花。空は厚い雲に覆われ、陽を見ることは叶わない。
ふと、遠くに誰かの姿を見た。
目を引く金の煌めき。稲穂を思わせる長い髪の誰かがゆっくりと去っていく。女なのか男なのかは分からない。その腕には何かが抱かれているように見えた。
「鬼は外。鬼は外」
背後で声がする。
その言葉を合図に、三人の方相氏の姿をした子供たちが去っていく誰かを追いかけていく。
「村から外へ、遠くへ追いやれ」
「柊立てて、転じて内へ」
「四方を打ちて、閉じ込めよ」
外だというのに声が反響し、まるで四方を囲われているような錯覚に燈里は強い眩暈を覚えた。
去っていく誰かが鬼なのだろうか。追いかける方相氏たちは、しかしその鬼との距離を縮められていない。
「鬼は外。外から内へ」
無感情に声は告げる。遠くから鬼は外、と声が返る。
背後で何かが崩れ落ちる音がした。
小さな呻く声。倒れる睦月の姿が思い浮かび、燈里はふらつくのも構わず立ち上がった。
「睦月!」
「――燈里?」
困惑した声。
はっとして、燈里は辺りを見回した。
いつの間にか辺りはあの青い花が咲き乱れる外ではなく、見慣れた居間に戻っていた。
振り返れば、脱力したように睦月が椅子に座っている。戸惑うように視線を彷徨わせ、燈里と目が合うと一筋の涙を流した。
「燈里ねぇ……」
「大丈夫。ここにいるから」
離れた手を再び繋ぐ。大丈夫だと繰り返せば、睦月は肩を震わせ静かに泣き出した。
「燈里。一体何があった?」
「僕には何も感じられなかった。急に動きが止まって、次の瞬間には立ち上がったんだよ。記憶を共有しているはずなのに、今も何も分からない……燈里は何を見たんだい?」
険しさを滲ませる冬玄と楓の声に、燈里は視線を向ける。
先程見たものを告げようと口を開き、だが溢れ落ちたのは全く別の言葉だった。
「勿忘草だ……」
一面に咲き乱れる青い花。浮かぶその名に、燈里はそっと目を伏せる。
忘却を恐れる小さな花は、何の記憶を留めようとしているのか。
金の髪の鬼。それを追う子供の方相氏。外から内へ、鬼を閉じ込めるという言葉の意味。
「燈里。何を見たのか教えてくれ」
側に寄り、冬玄はそっと燈里の肩に手を伸ばした。
だがその手は一瞬だけ止まる。
「冬玄?」
「いや、何でもない」
そう言って冬玄は笑うが、燈里は不安げな面持ちで唇を震わせる。けれど何も言えずに、睦月と繋いだ手に力を込めた。
「気にするな。一瞬だけ何かを感じたと思ったんだが、気のせいだったようだ」
燈里の頭を撫でながら、冬玄は気のせいだと繰り返す。
自身に言い聞かせるような響きを持つその言葉。感じた冬玄も違和感が拭えないのだろう。
「俺のことはいい。それよりも話を聞かせてくれ。勿忘草は何を意味しているんだ」
だが今は燈里の見たものが何であるのかの方が重要だ。そう結論付けて、冬玄は燈里に問いかける。
違和感が予感に変わる。
子供の声音で鬼は外と囁くようで、冬玄は密かに拳を握りしめた。
20260202 『勿忘草(わすれなぐさ)』
指のどれかに触れた
花に感心を持てない
あの日は
となりに君がいた
笑顔を輝かせるかぎり
摘み取ることはゆるされない
勿忘草
哀れな男
いつかの孫にも聴かせやしない
繊細さに誠実さと誤認を持たせ
【勿忘草】
「勿忘草」
子どもの頃、祖母が見せてくれた勿忘草の鉢植え
私を忘れないでほしいって名前の花だよと教えてもらった
紫がかった水色の小さな花の可愛らしさ
その名前の詩的な響き
この花になんて似合うんだろう!と感動したこと
すべてが印象に残っていて、
いま花屋さんで見かけても、
これじゃないんだよな〜と思ってしまう。
祖母のあの勿忘草を忘れられないのだ。
花なんかまったく興味がなさそうなのに、君は「意外と花が好き」だった。中でも小さな花がたくさん咲いているところに、キュンとするそうなのだ。
「一つ一つの花は小さくても、たくさん咲くと、その辺り一面が花になるのがいい」。よく訪れた公園では、春になると一斉に勿忘草が咲いた。
「かわいいねえ」。そういいながらしゃがんで、カメラを盛んに向けていた。小さな青い花は大きくクローズアップされ、奥にはぼんやりとした薄い青の世界が広がっていた。
確かに、青い敷物をしきつめたようで、美しかった。明るい日差しの中、花が小刻みに揺れていた。一つ一つは可憐でも、集まると生命の力強さを感じた。
もうすぐ、花の季節がやってくる。勿忘草を見るたびに、君のことを思い出す。
「勿忘草」
私は病気を患っている。
私の病気は珍しくて、
今の医療の技術ではどうにもできないらしい。
この病気が発覚したとき、即入院だった。
病室は窓の外からの日差しが暖かい。
病室は暇で、ずっと外を見ていた気がする。
私はずっと一人だった。
唯一の楽しみは、窓の外に咲いている勿忘草を見ることだった。
そして、勿忘草を見始めてから入院から4ヶ月がたった。
勿忘草は枯れてしまった。
そして、私の寿命は今日で終わる。
私も勿忘草と一緒に散ってしまうらしい。
でもずっと好きだった花と一緒に散れるのが嬉しい。
そして私は勿忘草と共に散っていく。
《勿忘草》
お題:勿忘草
世の中のルールというものは二つに大別される。破っても問題ないルールと、破ったら徹底的に後ろ指をさされるルール。壁の隅で『図書室では静かに』とひそかに主張している貼り紙は、私とスミレだけのこの空間では守らなくてもまったく問題ないルールだ。
「勿忘草って青色なんだ。見たことないなあ」
スミレは隣で本を広げてはしゃいでる。
「日本でも咲くらしいよ」
「えっ。そうなの?」
「時期は春や夏……桜とか向日葵のほうがメジャーだから、そこまで知られてないのかもね」
「いやあ、しかしこの控えめな青、ソーシのイメージぴったり」
うんうんと頷きながらスミレはいろんなものを噛み締めているようだった。
スミレの好きなアニメキャラ・ソーシの新規イラストが公開されたのが数時間前。真剣な顔でスマホを駆使して次々と検索していくスミレは、ソーシの持つ花束が勿忘草だと突き止めた。「勿忘草について調べに行こう」と意気込むスミレに、私は図書室まで引っ張られたというわけだ。
「ねえ待って。花言葉の由来の話書いてある」
本を食い入るように見ながらスミレは話しかけてくる。スマホで調べれば簡単にわかるのに、わざわざ図書室に来て本を探すなんて手間以外の何物でもない。その手間を惜しまないスミレのひた向きさを微笑ましく思う。
スミレの横顔を見つめながら私は答えた。
「勿忘草の花言葉って『私を忘れないで』だっけ」
「うん。えっとねー、川のほとりを歩いてた騎士と恋人。恋人が見つけた花を摘んだ騎士が足を滑らせて川に流された。その時『私を忘れないで』って言って騎士が花――勿忘草を投げたのが由来だってさ」
「へえ」
「これでソーシの解釈がさらに深まりそうだわ」
指で本の文字をなぞりながらスミレは真剣な眼差しを注ぐ。その指は白く細く、とても綺麗だ。
私は飽きもせずずっとスミレを眺めていた。そしてふいに、ゆっくり滑っていたはずの指が止まる。
「なんで騎士は『忘れないで』って言ったんだろうね。好きとか、他に伝えるべきことあったと思うけど」
唐突にこちらを向いたスミレにどきっとしながら、「なんでだろうね」と平静を装いつつ適当なことを口にした。
真剣な面持ちでしばし考え込んだスミレは、ぶつぶつ呟きながら答えを探っている。そして「もしかして」となにかに行き着いた。
「恋人は実は姫だったとか? 身分違いの許されない恋ってやつ。だからストレートに好きって言えなかったのかも」
「……面白い考えだね」
普段ならもう少しスミレの思索の手助けになることを言えるはずなのに、たった一言を捻り出すだけしかできない。
許されない恋。私がスミレに抱くこの気持ちもそれに大別されるんだろう。伝えたいけど伝えられない。有り余る想いを、騎士はたった一言に込めたんだろうか。
「スミレ。私のこと忘れないでね」
今の私に伝えられる精一杯を声にしてみる。
スミレは瞬いてから、まぶしいほどの笑顔を私に向けて言った。
「親友のこと忘れるわけないって」
わたしはあなたの呪いになりたい
バス停で、ひゅうと風が吹いたとき
帰り道、どこかからカレーの匂いがしたとき
ふと、思い出のメロディを口ずさんだとき
わたしがいたはずの空白を感じてほしい
本当は幸せを願うべきだとわかってる
強く前を向いて歩いていけるよう
そっと手放すべきだって
わかっているわ
でもね
これは一世一代のわがまま
どうか最期に
この花を受け取って
【勿忘草】
勿忘草は日本では一年草らしい。
一年草なのだからだろうか。
私を忘れないでが花言葉なのは。
同じクラスになるのも3年あれば一回くらいかな、
と考えてる勿忘草
白や青の小さく可憐な花。勿忘草には、伝説がある。
騎士ドルフは恋人デルタのために河岸で花を積んでいる最中、足を滑らせ川に落ちる。積んだ花だけを岸に投げ「Vergiss-mein-nicht!」私を忘れないで、とだけ言い残し川に流され亡くなった。
悲恋伝説。こんな間抜けな死に方が綺麗なんだって。
なら、私の恋人の方が、綺麗に決まってるじゃない。
私の病気、持ってっちゃうんだもん。
私に心臓、くれたんだもん。
ドナーになって、笑っていなくなった。
貴方がくれた小さな花。
ねぇ、今日も鼓動が穏やかだね。
忘れるわけないよ、私の愛しい人。
勿忘草
これから私は、貴方に何度目かの勿忘草を贈ります。
貴方は私を見て不思議そうに
「初めまして」と告げましたね。
私は貴方からその表情で何度その言葉を
告げられたのだろう。
目に涙がたまるのを自覚している。
それでも私は微笑んで何度でも「初めまして。」と
勿忘草を贈る。
スペース確保
忙しいので、あまり書けないです🙇🏻♀️
題材【勿忘草(わすれなぐさ)】より
『勿忘草』
子供の頃の小さな記憶
「きっと忘れないから」を期待して
幾星霜もあなたが来るのを待っている
“侘しさ”すら、もう感じなくて
「Forget-me-not」
ただ想い出してくれることを願っています
勿忘草のまわりには、小さな妖精が住んでいるんだ。普段は目に見えないけどね。
ボクは、1度だけ、その妖精たちと遊んだことがあるんだ。
あれは、3歳くらいだったな。
ぽかぽか陽気のあの日、ボクは家族でピクニックに行ったんだ。
勿忘草のたくさん咲いている場所で、お弁当を食べてお腹いっぱいになったボクたちは、みんなでそのままお昼寝をした。
1人だけ先に目が覚めてしまったボクは、耳もとで鈴が鳴っているのに気づいたんだよ。あたりをみまわしても、勿忘草が咲いているだけで、音がするものはなんにもなかったんだ。でもね、音はさらに大きくなってきて、目をこらしてよーく花のあたりを見てみたら、キラキラと何かが光ったんだ。小さな羽根をつけた可愛い妖精たちがいたんだよ。びっくりしたなあ。妖精たちも、ボクに姿を見られているのに気づいてびっくりしていたっけ。
不思議と家族はまだ眠っていたから、ボクはその妖精たちがあちらこちら飛び回るのを追いかけたんだ。楽しかったな。たくさん走ってクタクタになったころ、家族が目を覚まして、妖精たちは消えちゃった。
ボクは汗だくで、いま妖精たちと遊んでいたんだよ!と家族に話したけど、信じてもらえなかった。まあ、そりゃそうだよね、仕方ない。夢だったのかな?って思うときもあるんだけどね、あれはホントのことだった、ってボクは信じてるんだ。
それっきり、妖精たちを見ることはないんだけど、勿忘草がたくさん咲いているのを見ると、ついつい目をこらして妖精たちを探してしまうんだよ。
また、会いたいなあ。
「かーえろ。」
しゃがみ込んでいる友人の背に勢いよく飛び付けば、彼は少しよろめきながらも軽く受け止めてくれる。分かってはいたことだったが、体格差を感じて若干腹が立った。
「それ何植えてんの?」
緑化委員の彼の足元には、植えられたばかりの小さな苗と、少し汚れた軍手が落ちていた。
「これ?……ん〜……まだ内緒。咲いたら教えたげる。」
彼にしては珍しく意地悪を仕掛けてきた。子供っぽい笑顔を浮かべる彼に、こちらも遠慮なく、子供っぽく拗ねてゴネてやった。
「えー?けち、教えてよ!」
彼の袖をぐいぐい引っ張って、駄々をこねるようにしてねだる。彼は堪えきれないといった様子でクスクス笑うが、やはり教えてはくれなかった。
「だぁめ。まだ秘密なの。咲いたら一番に見せてあげるから。ね?」
諭すように言われて、そっと頭を撫でられながら顔を覗き込まれれば、たちまち僕は笑顔が溢れてきてしまう。すっかり機嫌を直した僕を見て、彼はくしゃりと、更に優しく僕の頭を撫でた。
自分より高いところにある彼の顔が、僕の顔を覗き込むのが僕は好きだ。長い脚をわざわざ屈めて、小首を傾げて覗き込んでくる様はいっそあざといまである。大好きな彼の、大好きな仕草。頭を撫でるオプション付き。機嫌が直らないわけがなかった。
「……むぅ……絶対絶対、ぜーったい一番だからね!」
そんな会話が、2ヶ月と少し前にあった。僕はもうすっかり忘れていたが、彼はきちんと覚えていたらしい。そっと僕の腕を引いて、あの花壇の側まで連れて行ってくれた。
「綺麗に咲いたよ。約束通り、一番に見せてあげようと思って。」
花壇の一面に、小さくて可愛らしい、ピンク色の花がたくさん咲いていた。僕はそれをしばらく眺め、それから花と同じ色に頬を染めて彼を見つめた。
「きれーい!なんて花?」
「ふふ、勿忘草。綺麗でしょ?」
はい、と、珍しく彼が花壇から花を摘んで渡してきた。普段は滅多に、花を傷付けるようなことはしないのに。
「これからもよろしくね。」
言葉の意味が分からず首を傾げた僕が、後に花言葉を調べてまた大はしゃぎすることになるまで、あと数時間。
テーマ:勿忘草(わすれなぐさ)
【勿忘草(わすれなぐさ)】
中世の騎士が恋人のために摘もうとして川に落ち、最期に贈った言葉。
それが、勿忘草の花言葉の由来なんだよ。
私、青色と白の勿忘草が好きなんだよね〜。ピンク、ってあんま見ないし。
そうやって、いつか君が教えてくれたよね。
そんな由来ばかり教えられて、花言葉は教えてくれなかった。もったいぶってないで教えろよ、と俺は笑いながら言ったんだっけ。
君は、秘密、って言って笑っていたね。
なんで、自分から命を落としたんだよ。
その日から、俺の世界には色がなくなったんだ。
君が居なくなった日々は、驚くほどつまんなかったからさ、花言葉調べてみたんだよね。
なんだよ。
もっと、早くいえよ。
「もったいぶってないで、教えてくれたら俺はOKしたのに。」
もう、抱いても仕方ない後悔を今日も抱く。