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一面に咲き乱れる勿忘草に目を奪われると、隣の君が「こっちを見て」と言わんばかりに袖を引っ張る。
そんな気がした。
昔みたいに、また、一緒に。
毎年毎年変わらず咲き続けるこの花に、何度救われただろうか。思い出が、思い出すことが苦痛なこともある。でも、ここでは泣かない。
約束したんだ、最期に来たここで。

風がそよぐと、君が暖を求めるように擦り寄ってくる。
そんな気がした。
あんなに沢山着込んだのに、まだ寒がる君は。
僕のポケットがあるからと、頑なに手袋を買わずに。
得意げに手を捩じ込んでくるあなたは。

花が揺れるのは、君が笑っているから?
いつも明るくころころと、眩しいほどの笑顔で。
忘れるはずが無い。あんなに近くで。そばで。ずっと。

日が差すのは、君がそばにいるから。

2/3/2024, 9:39:24 AM