意味がないこと
私の人生。
あなたとわたし
勉強ができて、いつも高得点で、順位も高い私。
そんな私を羨望の眼差しで見つめるあなた。
あなたはいつも勉強が苦手で、私に聞きにくる。
私しか頼れる人がいないんでしょう?
テストもいつも点が低い方で、順位も誇れるものじゃないでしょう?
3桁の台にあがったら危機感を感じるだなんて、私は考えられない。2桁でも、不安になるわ。
あなたにとってわたしは、頼れる優しい頭のいい人でしょう。
そう、おもっていたのに。
どうしてあの子のところばかり行くの?
あの子よりわたしの方が点数も高くて順位も良くて真面目で……
ねえ、どうして?
2人でもわからなかったとき、最後の頼み、みたいな。
自分が、勉強で使えるとしか思われてないみたいな。
どちらか1人がいない時の、暇つぶしでしかないみたいな。
それとも、優先順位が違うだけの今までどおりなの?
私のどこが悪かったの?
教室の中ですら、自分の席以外居場所がないように思えて、立つのも申し訳なく感じて、自分から話しかけにいけないこと?
周りの目が気になって、誰かを1人で待つのが苦手なこと?
1人で大丈夫ですみたいな顔して、本当は誰よりも寂しがってるとこ?
寂しいくせに強がって、誰にもなにも本心を見せないようにするとこ?
不意に出る言葉が、みんなの心に不協和音をもたらすこと?
全部の意見を悪く言いたくなくてつまらない曖昧な応えしか出てこないこと?
あなたとわたし
勉強ができて、テストは高得点で、順位も高くて、読書感想文も選ばれて、美術の作品も選ばれて、先生にも褒められる私。
テストは点が低い方で、順位も誇れるものではなくて、授業中も頭のいい人が近くにいないと進められない。
早く終わる何の成果もないような遊びのような部活で1人で時間が過ぎるのを待つ私。
どんどん力をつけていって後輩にも先輩にも好かれる活動的な運動部のエースのあなた。
休み時間、1人本を読む私。
休み時間、私とはかけ離れた世界の人たちと話すあなた。
もともとは、同じ境遇だったはずなのに。
あの世界の人たちは怖いねと、自分は近づけないよと言い合ったのに。
いつの間にかあなたも、その世界にいるの。
勉強ができない。それは良くないこと。でもね、それ以上に大切なことがあると思うの。
どれだけ勉強ができても、頭が良くても、それはいいことだけれど、でもね。
あなたの方が楽しそうなの。
暗がりの中で
普段は怖いと感じる闇も、この日ばかりは、この時ばかりはそうは思わなかった。それは、闇よりも怖い何かがあったからかもしれないし、私に闇に恐怖を覚える暇がなかったからかもしれない。
闇。それは、心が微妙な暗さを持つとき、恐怖の対象になる。
闇の暗さと、心の暗さ。
似ているようで似ていないそれが同じ場所にある。
私はそれに、恐怖を感じる。
反対に、もう、自分がどうなってもいい。全てがどうでもいい。そんなふうに思っているとき、それは安堵できる場所になる。
自分の心の底のどす黒いものが、闇の色に近づけば近づくほど、完全に溶け込むほど、そこは、どれほどあたたかい場所よりもどれほど優しさに満ちた場所よりも素晴らしい場所になる。
そんな私の救いの場所で、今日も私は何も見えない目を閉じることなく、部屋の壁など感じさせぬひたすらに続く闇を見つめる。
耐え難いほどの明るさが迫るその時に備えて。
空が泣く
蕭々と
世界に一つだけ
あなた