『刹那』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
限界なんですと泣いていた先輩を助ける方法はなんだろうとずっと考えていた。限界だと訴えかけながらも、毎日笑顔で登校して日常を送っている先輩にとってはそれだけで必死なんだったと思う。
だから、限界だという訴えかけが死にたいに変わった時驚かなかった。死なれたら悲しいなんて言葉も言えなかった。理由を訊く勇気もなかった。ただ、それを受け止めて泣いている先輩の背中をさすってあげることしかできなかった。
ある日、夏服の上にカーディガンを羽織って先輩が登校してきた。いつもの笑顔はなく、深く沈んだ表情を隠さず歩いていた。いつもの放課後になってまた屋上に集まった。体調の心配をすると、袖を捲って傷だらけになったその腕を見せてきた。リストカットしたのだとすぐにわかった。
「昨日、切ってお湯につけてたけど全然死ねなくて。だからもっとたくさん切ってしまえばって思ったんだけど、全然ダメだったの」
嗚咽をもらしながら、涙を流す先輩。私にこの痛みはわからない。だけど、本気で死のうとして、ここまで追い詰められている先輩が見ていて胸が締め付けられた。
「先輩、本気で死にたいのなら私が手助けします」
涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげて、先輩は驚いた顔をしていた。
「じゃあ、お願いがあるの」
二人で屋上のフェンスを乗り越えた。風が強く吹き付ける中、下を向くと舗装された煉瓦造りの道があった。ここから落ちれば確実に死ぬことができる。手を繋いだ先輩の横顔には涙の跡が浮かんでいたが、表情はどこかすっきりとしていた。するりと私の手を離した刹那、先輩は地面に背を向けて落ちていた。はっきりと聞こえたありがとうが先輩の最後の言葉だった。
目が合った。
それはほんの一瞬だった。
吸い込まれてしまいそうな瞳は、僕の姿を写すこと無く消えた。
多分、向こうは覚えちゃいないだろう。
だけど僕は覚えてしまった。
『これから自分がしようとした事』をした人間がする顔を。
だけど、まぁ…。
あーあ。
先を越されてしまった。
今日はやめておこう。
『刹那』
刹那の別れ
なんだか永遠《とわ》の
顔してる
だけどそれだけ
さみしい証拠
【刹那】
【刹那】きわめて短い時間のこと。
調べていたら、「刹那主義」という言葉を
見つけたので、これも調べてみた。
「過去や将来のことを考えないで、ただ現在の
瞬間を充実させて生きればよいという考え方」
一般的には、一時的に享楽にふけるという意味合い
らしいが、それは今、別として、説明だけ読んで
いると、ちょっとマインドフルネスと似てると
思った。
過去や未来に意識が行っても、今この瞬間に戻ってくる。悪い考えが浮かんでも、自分を否定や批判をせず、心を元に戻していく。そんな考え方だ。
身につける方法として、瞑想が挙げられるが、
これが難しい。どうしても、周りの環境に左右
される。それだけ、日常生活の中で、今この瞬間
というのを意識しているのが、ほとんど無いと
いうことだ。
とりあえず、You Tubeに上がっている、マインド
フルネスの音楽を目覚ましに使っている毎日だ。
―ちょっと、お題からずれたかな?
「刹那」
「刹那」
人生の半分もない青春は、
刹那に終わりを迎える。
刹那って明確にどれほどか知ってる?
調べてみるといい…きっと貴方は困惑する
けれど、今、この瞬間でさえ
過ぎ行く時間 『刹那』の一部
私達人は、明確で、正確で、昭然たる答えを欲しがる
そう…生きる意味を欲しがる
だから、貴方は押すんでしょう?
自分という承認欲求(グラス)を満たすために
「いいね」を推すの
ありがとう
今日も私は『刹那』をイキテル
#刹那
一瞬、また光が光った
真っ暗闇の中、何も見えない空間にたった一瞬だけ光が灯る時がある。
ロウソク、デンキ、カミナリ...タイヨウ。
我はそれらを知らない。
言葉だけは我の頭の奥から聞こえてくる。
いまだ見た事はないが、光の種類だということは知っている。
我は何者か。
暗闇に1人、実態も持たずに“生きて”いる。
また一瞬暗闇が光った。
今度は先程よりも少し長い時間。
変わることのない暗い景色に、その光が灯る刹那を我は“タノシイ”と感じる。
我はカンジョウというものが分からない。
けれどタノシイ。
我は何者か?
なんとなくその光が教えてくれるような気がして、たったの数秒しか光らないその空に手を伸ばした。
[刹那]
刹那 って文字を見て思い出すのは
GReeeeNの刹那って曲
私の認識してる刹那は
あの曲そのもの。
_ ₃₉
宛もない、明るみの空のもと。
果てしなく、掴むは
虹の指す光の先、手を伸ばして。
凛とする、彼方の景色が霞むのは
他のなにかのせいだよと、意味も無い言い訳を繰り返し。
2023/04/28/Fri 〈刹那〉
ふわり、ひらり、舞い踊るのは
刹那の刻々を刻むことを知らせる
あの蝶の紋様の印だった。
舞い上がれ。終焉の刻を刻むんだ。
ぱちり、と瞬きにも似た合図が聞こえた。
じー……っと音を立てて、レンズの付いた機械が小さな紙に思い出を現像していく。私の掌の上で形を成した思い出は、私の記憶の中に存在する光景よりもずっと鮮明に映っている。
そう思って、脳の奥に仕舞い込まれた記憶を掘り起こしてみると、いずれも写真のように日常の一瞬が切り取られた画ばかりだ。写真の技術は人が造り出したものなのに、些かそちらに引っ張られているらしい。賢いはずなのに、人は何処か間抜けだと他人事のように考え、技術の詰まった箱を机の上に置いた。
箱を置いたその足で本棚へと向かい、棚から一冊のアルバムを取り出す。少し古びたそのアルバムには、高校時代の自分達の写真がぎっしりと収められている。懐かしい思い出だ。何気なく最初の方を開き、一枚一枚ページを捲ることについ夢中になってしまう。早送りをするようにアルバムの中の時は流れ、高三の時の写真の並んだ一番新しい見開きの隅に、空いたスペースを見つけた。そこに、たった今現像した写真を挟んで、透明なシートの上からそっと撫でる。映した写真も、記憶に眠る思い出たちも、自分の大切な宝物だ。窓から届く温かい光が、そっとアルバムを包み込む。写真越しの彼等が、記憶の中で静かに微笑んだ。
「刹那」
多くの人がきしめきあい、互いが互いを牽制しあっている。誰もが互いの隙を疑い、今か今かと待ち構えている。
目の前の人々を選別し、どの位置につけばいいのか心理戦を繰り広げている。
かくゆう私もその心理戦を繰り広げる戦士たちの1人である。
私の予想では左前の男はかなりチャンスだ。少しだけではあるが焦りが見えるし、さらに言えば正面をまっすぐに向いているのは「つぎ」がある証だろう。
そして、その時はきた。
ーーチャンスだ…‼︎
目の前の男が動き出した。
私はすかさず荷物を片手にもち、右足を一歩前に出す。
勝利が間近と思われた瞬間、黒い影が目の前を通る。
「…‼︎‼︎⁉︎」
はやい。あまりにも速すぎる。
歴戦の戦士であろう壮年の男は私が踏み出す頃には既にポジションに入ろうとしていた。
ふざけるな。
どう考えてもソイツは私の獲物だろう…‼︎
私はイラついていた。ここでもしこの男を許してしまえば、次に私が安息を得るのはいつになるというのか。
ここで情けなく諦めるのか。
いや、そうではないだろう!!
私は自分の持つ全ての筋力をフル動員し、思いきり腰に捻りを入れた。
その刹那、男と私の目があった。
男はどこか讃えるような目をしていた。
ーーーー次は、中野、中野です。
アナウンスとともに私の尻は椅子についた。
ーー私は、勝ったのだ。
この椅子取りというデスマッチに。
どこか込み上げるものがあった。
もしかすると疲れてたのかもしれないが、とにかく何か大きな達成感を得た気がして私は泣きそうになっていた。
そうして涙を溜めながら座っていると、右手の扉から女性が乗車してきた。
「………」
その女性は少しだけお年を召していた。
「…………………」
その女性は杖をついていらした。
「………………………………席、お譲りします。」
遂に私は涙を落とした。
「刹那」
人生は時間。時間は人生。
そんなことをよく聞く。子供の頃、意味がわからず大人は不思議なことを言うな、なんて思っていた。
しかし、この歳になれば、と言ってもまだ15歳にも満たないのだが、少しわかるような気がしてくる。
説明しろと言われるとまだ難しい。自分なりに解釈すると一分一秒、人は生きていてその1秒に刻まれていく思い出が人生として遺る。
というところだろうか。
そう考えると短く感じる。
例えば80歳まで生きたとしよう。1年は365日、たまに6日のときもあるが、ここは365日に合わせる。
1日は24時間なので24×365は8760。これを80回繰り返すから70万8000時間になる。
やはり中々短い。のうのうと生きていてはすぐに終わってしまう__
ここまで来たが、なぜこんな話をしているのかと思った人もいくらかいるのではないか。
知っている人もいるだろう。刹那、という言葉には極めて短い時間という意味がある。
この"時間"を"人生"として話していたわけだ。
とまぁ、こんな感じだな。タイトルにあっていたのだろうか?
自分の何かを綴る場所が欲しくて始めてみたはいいものの、いきなり難しい題が出て驚いた。
そろそろ寝ないと行けない時間ということもあって随分と短いものになってしまった。しかも内容も薄いと来た。
ここで少しでも学べたら良いな。
幼いころ
つがいの小鳥を飼っていた
ジュウシマツというのだと
かわいい声で鳴くのだと
嬉しいわたしは
友達に見せたかった
庭に吊るした鳥かご
背伸びして小さな扉を開ける
夕陽が照らす中
薄茶色のやわらかな小鳥は
わたしたちの目の前で
羽を広げて空へ飛び立っていった
いまも鮮やかなその映像は
刹那にも永遠にも感じる
悲しいのに 美しい記憶
「刹那」
#90
【刹那】
刹那、それは一瞬。
その一瞬を積みに積んで生きているのだと考えれば、今のこの一瞬を無駄にしたくないと言う人の意見も理解できるかもしれない。ただ、とにかくその一瞬とやらを求め過ぎて先を考えないのもよろしくないらしい。今が楽しければいいじゃないか、先のことなんてどうでもいいと言う考えを振りかざして生きている私には、さぞ理解できないことである。
どちらにせよ、今というこの瞬間を大事にしなければならないのに違いはない、そうだろう?
目を覚ますと、時間が止まっていた。というより、街が、ひょっとすると宇宙が凍っていたと言った方が適切なのかもしれない。
世界は朝とも夜とも言えない、或いはどちらとも言えるような、青とも白とも黒とも言えるような色に染まっていた。
妙だなと思ったのはそれだけではなかった。目覚めたのは見覚えがあるような、ないような部屋で、焦然として窓の外を確かめると、やはり同じように何処かで見たことがあるような不思議な風景が広がっていた。
そのうちにトン、トン、トン――と、階下から包丁が俎に触れる音が聞こえてきた。わたしは言い知れぬ不安に突き動かされるようにして部屋を出て階段を――この階段もいつか降りたことがある気がした――ゆっくりと降りていった。お母さん……?わたしの脳裡にはそんな言葉が去来した。そして、恐る恐る音のする方へ行った。が、そこには何物も無い。
途端にわたしは痛烈な淋しさを感じ、家を飛び出した。振り向けば家はよくある二階家で、涙に濡れた視野の向こう側、粗末な門扉の外に小さな人影が見えた。それは紛れもなく幼児のわたしの姿であり、誰かの手を握ろうと、その小さな腕を伸ばしていた。わたしは自分でも何故かわからないままに走り出した。それに何処に行くのかさえ――
走りながら、曖昧な景色はどれもいつか見たような気がした。そして、街のそこここにいつかのわたしがいた。ランドセルを背負うわたし、自転車に乗るわたし、照れながらネクタイを結ぶわたし、靴箱に入った手紙に驚くわたし、新幹線に乗り込むわたし、レストランで夜景を眺めるわたし、やがて誰かと抱き合うわたし、独り子を連れて歩くわたし、泣き崩れるわたし、漸然老けていくわたしの姿たち……
わたしはそれらの曖昧なわたしの群れを、さながら臆病な子供がお化け屋敷を早く抜けようとするみたいに走り通り過ぎて行った。そうして息を切らして走るうちに、わたしは自分自身の姿が見えないことに気がついた。けれども、その事には何らの不思議も感じなかった。
どれくらい走ったのだろう、街はいつの間にか薄桃色に染まっていた。描線の覚束無い住宅地の行き止まりで立ち止まったとき、不意に背後からわたしの名を呼ぶ声がした。わたしはゆっくりと振り返る。朝日の昇る気配がした。
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刹那
ある古い書物の一節にて。
その国には古代兵器がある「アトロポス」がある。
赤色の戦士と青色の戦士は大の仲良し。
その国は平和を提唱する。
だが、赤色の戦士は戦いが好きで平和を好まない。逆に青色の戦士は平和を望んだ。
ある日、国を変えようと「アトロポス」を使い、国を1つ滅亡させようとした。この兵器はミサイルのようなもの。使い方は銃と一緒で引き金を引けばいいだけ。
赤色の戦士は監視塔に上り、自分の国を「アトロポス」で撃とうとした瞬間、青色の戦士は止めに入ろうとしたが、すでに遅く。その赤色の戦士は死んでしまった。
この兵器はある魔法を使わないと「アトロポス」が敵と判断し、暴発するように設計されている。赤色の戦士はそれを知らなかった。
刹那の如く、止める時間もなかった。青色の戦士は悲しんだ。
ー オリジナル小説・ドゥコ作中の書物ノン・ドゥカ・ドゥコから ー
刹那。そんな名前の推しがいたかな。んー、あとは…何があったっけ。
刹那の時も離れたくないなんて思える人が欲しい。今改めてそれを実感している。
斜め後ろの席の人から風邪をうつされて寝込んでいる私です。発熱でボーッとして何も考えられなくなって…。死にそう。そういえば昨日、私無理して部活に行って幼馴染くんに心配されてたかも。呼吸ができなくてゼェゼェしてたもんな。昨日、委員会活動があって君のことを見たのは覚えている。
「あのさ、あんた身長だけでイキってるだけであとなんもないじゃん笑」
「そうですけど。目線が下なんだよな。見下ろさないと笑」
「うっさい」
君は私のクラスの女子と仲良さそうに話していた。あ、今あの子が君のこと軽く叩いた。…え、君も…他の子にもやってんじゃん。なんだ、私だけじゃないじゃん。委員会の時間がこんなにも苦しく感じるのは初めてだ。学級長。そうだ、アイツなら私も話せる。私は君のことなんて気にしないように学級長と話した。楽しそうに話していれば、私の掲示物を貼る作業の邪魔をする。私の画びょうを奪って私の代わりに掲示物を貼る。それもあの子と仲良さそうにする姿を見せつけるように。…なんだよ、こっち来んなよ。もう、君のことなんか何も思わないんだって。先輩しか…先輩しか見えてないんだよ。私は君たちの場所から逃げ出した。風邪症状は悪化して部活では酷く咳き込んだ。ゼェゼェしててやっぱりつらい。カラダも心も。
「なぁ、ホントに大丈夫なん?」
「…ゴホッ…ハァハァ…」
君の声なんてもう聞きたくない。
「そう…いえばゴホッ君、あの子と仲良さそうだったぁハァ…ね。ハァハァ」
すると君は私に構わず仲の良い女子があと10人欲しいだのなんだの話始める。ほらな、私の事なんて全く気にしてない。いつもと違うんだ。君は私の事なんか好きじゃなかった。ただの勘違い。思わせぶりな態度で騙したのか…?私を…私を好きじゃなかったの!?もう、君は変わってしまったんだね。
目が覚めた。刹那の時も離れたくないなんてバッカみたい。
「君の夢を見るなんて…最悪じゃねぇか。アホたれ」
「僕は刹那的享楽主義者なんだ。今が楽しければ明日死んだって構わない」
そう嘯く彼に、恋人が出来ても同じことが言えるのか? そんな疑問をぶつけた。
「恋人が出来たら? 出来たことがないからわからないね。でも、こんな僕と付き合ってくれるんだ。さぞや理解のある子なんだろうね」
恋人が欲しいと思ったこともないのか?
「そもそも、僕は恋なんてね、したくて出来るものではないと思ってるんだ。よく言うだろう? 恋に落ちた、とか稲妻が走った、ってさ。それぐらい衝動的に始まるものとも言うじゃないか。僕だって一度は恋とはどんなものかしら、なんて恋に恋したときもある。……なに? 似合わない? うるさいな、わかってるさ。そういう君はどうなんだ? 君だって恋人が居たことないだろう」
私の事はいい。今は君の事だよと言うと「いいじゃないか少しぐらい。ずうっと僕ばかりが話してたんだ、一つくらい答えてくれたっていいだろう?」何て言うので、仕方がない一つだけだと許可をした。
「やった! そうだな、何を聞こうか……。そうだ、僕に随分と恋はしないのかと聞いていたね。君も恋をしたことがないのかい?」
いいや、しばらく前から叶わないものをしているよ。
「えっ! そうなのかい? なんでもそつなくこなす君でも、成就させると言うのは難しいことなんだなぁ! どんな子なんだい? 可愛い子か、綺麗な子か……。君が好意を寄せる相手だ、きっと素敵なんだろうね。今度紹介してくれないか? 是非見てみたいんだ」
「無理だ」
「どうして! 意地悪かい? 君には時々そういうとこがあるよな」
「……なら聞くが。君に君を紹介とは、どうすればいいのか教えてくれるか?」
「えっ」
つい、口を滑らせてしまった。いくら懐の広いやつでも、親友……友人からお前の事が好きだと言われて、これまで通りに仲良くするのは出来ないだろう。
「……悪かった」
沈黙に耐えきれず、話をしていた喫茶店から出ていこうとしたとき「待って!」と、腕を掴まれた。
「なんだよ」
「あの、ちょっと、待ってくれないか」
「振るなら、早くして欲しいね」
「違う! 違うんだ、本当に、頼むよ……僕に言葉をまとめる時間をくれないか」
「……わかった」
他の客達には騒がしくして申し訳ないと思うが、手を離して貰えないから仕方がない。どんな顔をしているのだろうと確認したい衝動に駆られるが、どうやってうまく断ろうかと考えている顔だったりしたときには、私が交流を持つのに耐えきれなくなるだろう。
飲みきっていなかったアイスコーヒーがなくなって、氷が形を失うほどの時間が経っても何も言ってくれない君に、いい加減腹が立ってきて何か言ってやろうと正面を向いた。ら、まさか。顔を真っ赤に染め上げて、明らかに挙動不審になっているとは思いもしなかった。
「……は、」
「あっ、うぅ……。……信じて、もらえないかもしれないがね、君に、ここまで言わせてようやく、僕も君に恋していたことに気が付いたんだ。どんな友人といるよりも、誰に持て囃されても、君といる時間が、君のたった一言が楽しくて嬉しかったんだ。君は僕の親友だから、他の誰といるよりも楽しくて嬉しかったんだと思っていたし、君が別の友人と遊んでいたときの話を聞いて、そんなやつより僕と遊んでくれたらいいのにって思ったこともあった。こ、これが嫉妬だなんて思ってもいなかったんだよ……。幻滅したかい? こんな僕じゃ、君の恋人にはなれないかな」
この後の結末? そんなもの、わかりきったことだろう。言うなれば、読者の想像にお任せしますというやつだ。好きなように想像してもらって構わない。では、またどこかで。
刹那
まだ人生がどんなものか分からなかった若い頃、刹那と言う言葉の持つ淡い感覚が素敵に思えた。
たっぷり生きた結果、刹那の持つ淡い感覚が、若さのもつ感覚かなぁと思うようになった。
自分の命の終わりが見えた近頃、永遠はないと実感した。刹那は生きている証かもね。
【刹那】とは瞬間のことをいう
写真がそれにあたるんじゃないか?
同じは無くその瞬間を写しているから
綺麗な風景の写真、楽しそうに笑ってる写真…
どれもその瞬間にしかなくて良い