『別れ際に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【別れ際に】
「おはようございます。お届け物です」
控え目な性格の顔馴染みの郵便屋さんがいつも通り手紙を届けてくれる。馬車が当たり前に移動や輸送手段としている中で機械的な装備の彼女は異端といえば異端だ。
「若いのに偉いわねぇ」
「偉いですかね?僕は…その…このお仕事を楽しんでやらせてもらっているので。あ!でも大切という意味では偉いですね」
困り眉でオッドアイの彼女はとても可愛らしい。だが、彼女は強い子だ。この辺境でさえも危険な世界で郵便屋として駆け回れるのだから。
「?どうされました?」
「頑張ってるわねぇって思っただけよ」
「褒められると嬉しいです。えへへ。それでは行きますね」
走る姿勢になった彼女を引き留める。
「ちょっと待って」
「ほぁ?何か不備でも?」
家に戻って、手紙を置き、クッキーを数枚小袋に包んで次の配達先を確認している彼女に手渡す。
「あ!お気遣いありがとうございます…嬉しいなぁ…」
「喜んでくれて嬉しいわ。お口に合うか不安だけれども」
「好き嫌いなんてないのでご安心を。美味しく頂きます。では!」
あっという間に駆け出した彼女はもう姿が見えない。人間なのよね?不思議な郵便屋さんを見送った私は微笑んで家へ戻った。
「別れ際に」 #10
僕は自分の余命が僅かだと知った。その後、病院に入院してからどれほどの月日が経ったのだろう。
最後に人が訪ねてきたのはいつだっただろうか。
僕の病室では、もはや僕の心臓の音しか聞こえない。
窓の外にある木を眺める。病室が3階にあるため、外の景色は空と一本の木しかない。
年中そこに佇む木をみていた。あの木に再び葉がつく頃、僕はまだここにいるのだろうか。
「こんにちは。お兄さん」
そんな声が聞こえ、ドアの方に視線を向けるとそこには小学生くらいの男の子がいた。
「……こんにちは。…迷子かな…?」
人と話すのが久しぶりで少し声が震える。
その男の子は僕の質問に答えることはせず
「お兄さん、僕と遊んでくれない?」と言った。
「……いいよ。」
誰かともっと一緒にいたい。そう思った。
それから僕は男の子とたくさん遊んだ。
日が暮れた頃、僕は眠気がきてベッドで目を閉じた。
「お兄さん、今日は楽しかった?」
「…楽しかった…」
「……よかった」
その言葉を聞くと共に、僕の意識はゆっくりと消えていった。
僕の意識が消え、病室が静まりかえった頃
「さようなら、お兄さん」
別れ際に男の子はそう言い、静かに笑った。
そして1人、男の子は窓の外へと飛んで消えていった。
この病室からは鼓動の音も消え、静寂に包まれた。
じゃあ、俺はこっちだから
うん、またね
いつもの交差点で彼は右に
私は左にそれぞれ
立ち止まる
いつも通りのお決まりのパターン
彼がふいに立ち止まる、にっと笑う
じゃあ、また明日
手を振り笑顔を浮かべる
私も釣られて手を振り返す
別れ際に/夜凪
消したくても消せないような
包まれて眠るような
飴玉のように舐めまわすような
別れ際 一撃の言葉を繰り出したい
別れたばかりで会いたくなるような言葉がほしい
別れ際に言葉を遺してくれるのは、きっと別れる覚悟を決めたから。
あなたはきっと、最期まで闘ってた。必ずまた戻ってくると、最期のときまでそう思ってくれていたのでしょう。
別れの言葉がなくとも、あなたはたくさんの歌を遺してくれた。ときに寄り添い、ときに手を引き励ましてくれる、そんなたくさんの歌を遺してくれた。
あなたの歌をお守りに。
あなたの分まで、なんて烏滸がましいけれど、私なりにあなたの愛した世界を生き抜いていこうと思います。
どうか安らかに。
20240928.NO.65「別れ際に」
酸欠少女 さユり様
ご冥福をお祈りします
#64 別れ際に
[貴方に届きますように]
別れ際に、
ありったけの感謝の気持ちを込めて
相手の心に語りかける。
貴方に出会えて幸せだ。
貴方への恩は、一生忘れない。
最大限の敬意と感謝の気持ちを伝えたい。
出会いと別れは、一瞬。
けれど、
貰った恩は、計り知れないくらい大きい。
死ぬまでに返しきれるかな?
返しきれなかったら、
死後に利子付きですよね?
生きている間に、一所懸命恩返ししますね。
別れ際に
「ねぇ、待って」
静かにそう呟く
男は振り返り、
「どうしたの?」
と問う
「…やっぱりなんでもないや」
数秒黙り、なにを考えたのかそう答え
少女は男にまたねと呟く
あたりには雪が降り、息は白くなっていた。
そして少女は思い出のマフラーを握り締め、
ポケットの中で冷たく冷えた手を強く握っていた。
(どうして、伝えられないんだろう)
本当の気持ちは心にしまったまま
彼女のため息は白く染まり、空へと消えていった。
別れ際、いつも泣きそうになる。
だって、きみとはたまにしか会えないから。
次はいつ会えるか、わからないから。
ああ、また明日から寂しい日々がやってくるんだ。
辛いけど、涙を堪えて我慢するしかないんだ。
昔から
手を握ったり
握手したり
手を出す前に躊躇する
相手の気持ちを慮って
初めから手を出さない
その選択が1択
ずいぶん前から
母の家から遠い場所に
住むことになった
めったに会えない母
いつまでも会えるとは限らない
帰省した別れ際には
素直に手がでて握手する
今では
母の気持ちも
自分の気持ちもよくわかるから
別れ際に
「〜〜〜!!」
怒鳴られた。
完全な濡れ衣だった。
私は状況もよくわからぬまま、怒鳴られていた。
急に世界が色褪せた。
生きていてもいいことなんてないような気がした。
なんだかどうでも良くなって、
部屋から飛び出した。
「おい、待て!!」
私は声を無視して走り、窓から飛び降りた。
ここは四階。
下はコンクリート。
頭から落ちれば助からないだろう。
身体が宙に投げ出された。
人が、窓から何か言ってる。
夕暮れ時のことだった。
全ての動きがスローモーション。
思い出が蘇る。
これが、走馬灯。
もう、地面が近い。
幸福感に満ちていた。
…………でも。
世界との、私との、別れ際に考えたことは
「まだ、死にたくない。」だった。
夕日は、綺麗だった。
思わず体を起こした。
……あれ?
ちゃんと、生きていた。
よかった。ほっとした。
全ては夢だった。
あの建物は知らないし、
怒鳴った人も知らない。
死にたいわけでもないし、
そもそもそんな勇気がない。
私はまだバクバクしている心臓の鼓動を感じながら、
着替え始めた。
近づいてくる電車
ここからは逆方向
別れ際
無言なきみを
ぎゅって抱きしめる
はずかしそうにしながら
それでも
抱きしめかえしてくれる
そんなきみが
とても愛おしい
君の薬指に別の指輪がはまっていた。
思わず自分の空の薬指を隠す。
久々に会った君は自然に談笑している。
あの頃と変わらない。
かつて、別れの日。
長い別れを知っていた日。
好きだと言えなかった。
代わりに君は言った。
お互い、いい人を見つけようね。
打ちのめされた、決別の言葉だと思った。
今生の別れだと家でめそめそ泣いた。
長い時を経て、わずかだが顔を合わせる日がある。
心の中だけで問いかける。
君のいい人はまだ、いませんか。
自分では、だめですか。
題:別れ際に
彼女は泣いていた
私はうすれる記憶の中彼女との思い出を懐かしみ
「ありがとう」
かすれた声で彼女との楽しかった人生に
「別れ際に」
──もうこの体温を失うことはないと知っているから、安心して手を離した。
必死で数日前のお題を消化しています……
(別れ際に)
“別れ際に”くらい、言いたい。すきですって
それが「ハッピーエンド」じゃなくても、いいよ。
そもそも私と彼が出会ったのは学校の中の、教師と生徒でしかないし、実るわけなんてないからね。「ハッピーエンド」なんて無いって、わかってるんだけどね
生徒同士で現実的な恋愛をした方が良いって、何度も自分に言い聞かせて、好きになってみようと思ったんだけどね。
けどね、それでも彼のことだけが好きなんだ、だからね
“別れ際”まででいい、ただ、それまで彼との夢を、見せて欲しいんだ。
それは、彼とずっと一緒に居て、寂しい時も悲しい時も、幸せな時だってずっとそこには、ずっと私の隣には彼だけが居て欲しいんだ。ここでは14歳差なんて、25㎝差なんて関係ない、ただの私の幸せ。
こんな楽園、いつ訪れてくれるんだろう、やっぱり「バッドエンド」で終わってしまうのかな。そんな終わり方をしてしまうくらいならいっそ、彼との別れなんて来なくていい。世界との“別れ際に”でもしてしまおうか。
♡ =13
『別れ際に』
やっぱり、聞いた方がよかったかなぁ。
あの人の背中を見送りながら、
僕は後悔していた。
「……だけど、仕方がないよなぁ」
僕は言い訳めいた独り言をつぶやく。
だって、あの人、
めちゃくちゃフレンドリーに僕の名前を呼んでたし。
僕としても、どっかで見たことある顔だったから、知り合いなのは間違い無いんだけどさ。
あんなまぶしい笑顔で
「久しぶりだなぁ!」
なんて言われたら、
……僕には無理だったよ。
「そういえば、あなたの名前は何でしたっけ?」
なんて聞くのはさ。
このまま声も上げられずに、私は殺されてしまうんだ。静かな部屋の中でそう思った直後、聞こえてきたのはパトカーのサイレン。
薄暗い部屋に、不意に光が射し込んだ。窓ガラスが割れて、カーテンが開いて、ベランダから人が入ってくる。ここは、私の予測が間違っていなければ、たぶん2階だ。
あの人は嫌な顔をして、入ってきた人たちに見せつけるように、私の首に包丁を押し当てる。近づいたらこの女を殺す、と大声で喚いている。しかし、後ろからも聞こえる足音と人の声に、何かを察したのか、直ぐに包丁を下ろした。
ああ、ようやく助けが来た。懐中電灯で外にモールス信号を打ったのがよかったのか、私がいないことを不思議に感じた知り合いが動いてくれたのか。なんにせよ、この部屋から1ヶ月も出してもらえなかったのが、やっと見付けてもらえたのだから。
ベランダから、そして玄関から入ってきた人たち……警察が、あの人を捕らえる。後ろ手に手錠をかけて、無線というのだろうか、何か通信機具のようなもので、他の警察に現行犯逮捕だの何だのを伝えている。その合間に、私のほうにも警察が数人駆け寄ってきて、大丈夫ですか無事ですかと目まぐるしく質問してきた。
警察の質問に答えている私の後ろで、あの人は玄関の方向に連れ去られていく。引き摺られて服の繊維がちぎれる音が聞こえる中、あの人は最後に言った。
「……お前は、俺から離れられねえぞ!」
そして10年。あの人の死刑が執行されてもなお、私はあの人の言葉に恐怖を植え付けられたままでいる。
別れ際に
バイバイと手を振るきみ。
お互い真逆の道へと歩き出して、
2人の間に距離がうまれていく。
明日もどうせ会えるのに
"さようなら"って言葉は
どうしてこんなにも悲しいのか。
僕にはさっぱり分からない。
〈別れ際に〉
彼女、(美月)は、別れ際にキスをしてくる。
「じゃあまたね、京一! (ちゅ!)」
(かぁ///)
まるで今日が最後みたいに
「あっ!美月のお母さんこんにちは、
すみませんが美月知りませんか?
いつもいる場所にいないんです、」
「どうしました?そんな暗い顔して、何かあったんですか?話聞きますよ、」
「話したいことがあるの」と言って、美月のお母さんは、僕をベンチに座らせた。
(なんかモヤモヤする、)
美月のお母さんは泣き出しながな言った
「実はね、、美月が死んじゃったの、、グスッ」
頭が真っ白になった。
何も考えれなかった。
その後話を聞くと、美月は、もう治せない病でだから毎日あんな顔をするんだとわかった。
「僕はどうしたら、」
(美月の笑顔を見るだけで、幸せだった。生きがいだった)
美月の葬式をし、僕は何もかもでうでもよくなっていた。
「僕は、これから何をしよう、、、、あっそうだ!
あの病を治そう美月みたいに苦しむ人をなくそう!」
それから俺は一直線で、あの病を治すことができた。
「これで美月も笑顔になったかな、」
「先生ッ!!!起きてください!!!!!
先生〜〜〜!!!!!!」
※別れ際に
商人は言わぬ言葉がある
それは厄除けのようなもの
まじないのような言葉
「良き旅を願う。良い商売を願う」
言うてはならぬ
それが逆言葉になることの多い
この理不尽な馬幌馬車で
特に人気の少ない村を巡る商売をする時には。