君の薬指に別の指輪がはまっていた。
思わず自分の空の薬指を隠す。
久々に会った君は自然に談笑している。
あの頃と変わらない。
かつて、別れの日。
長い別れを知っていた日。
好きだと言えなかった。
代わりに君は言った。
お互い、いい人を見つけようね。
打ちのめされた、決別の言葉だと思った。
今生の別れだと家でめそめそ泣いた。
長い時を経て、わずかだが顔を合わせる日がある。
心の中だけで問いかける。
君のいい人はまだ、いませんか。
自分では、だめですか。
題:別れ際に
9/28/2024, 12:41:35 PM