色彩の雨

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別れ際に

「ねぇ、待って」

静かにそう呟く
男は振り返り、

「どうしたの?」

と問う

「…やっぱりなんでもないや」

数秒黙り、なにを考えたのかそう答え
少女は男にまたねと呟く

あたりには雪が降り、息は白くなっていた。
そして少女は思い出のマフラーを握り締め、
ポケットの中で冷たく冷えた手を強く握っていた。

(どうして、伝えられないんだろう)

本当の気持ちは心にしまったまま
彼女のため息は白く染まり、空へと消えていった。

9/28/2024, 12:46:29 PM