『別れ際に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今日は、卒業式の日。
みんなあんだけ嫌がってた制服を、この日だけはキチッと来て、学校に登校する。大人になりたいとほざいていた男子が、まだ高校生のままでいたいと嘆く。
そんな景色を、私は親友と一緒に、学校の校門のそばにある、大きな桜の木の下で見ていた。卒業式も終わり、もう自由の身となった私たちは、心の準備もないまま社会に放り込まれてしまった。
「ねぇ、信じられる?私たち、大学生だよ」
「そうだね。いつ、出発なの?」
「えっとね、明後日」
「早いね」
親友は、東京にある有名大学に行くらしく、そのために一人暮らしをするんだと言う。数字も文章も苦手な私には、到底合格なんてできないような大学だ。
「でも、あんたも結構有名な大学なんでしょ?」
「うーん、どうだろ。私、やってけるか正直心配」
私は音大に入り、クラリネットを専攻することになった。でも、数々の有名人を出しているらしいし、私もその人たちのようになれるか心配になっていた。
「あんたなら出来るよ。正直、あんたが居なかったら私、こうやって大学なんかいってないし」
そう言いながら、親友は立ち上がった。
「ほら行こ。この後、遊ぶんでしょ」
そう言って、クールに笑う親友。そういう所は、昔とは全く変わらない。
私も立ち上がって、親友と一緒に、私の大切なクラリネットを持っていつものゲームセンターへと向かった。
明後日にバラバラになるだなんて、正直実感がない。でも、別れ際は絶対笑顔でいると心に誓ったんだ。
明後日は、別れ際に、親友に引かれるくらい、手を沢山振ってやるんだ。
Theme:別れ際に
別れ際、いつも「またね」と私は言う。
また会える保証なんてどこにもないから、その不安を和らげたくて「またね」と言う。
昔、近所で変われているゴールデンレトリバーの子犬と毎日遊ばせてもらっていた。
昨日も遊んだし、今日も遊んだ。また明日も遊ぶのだろう。
ところが、その明日が来ることはなかった。
近所の方はパピーウォーカーをしていて、いつも一緒に遊んでくれた彼女は盲導犬になるべく訓練センターへ帰っていったのだった。
今考えればその事はきっと聞いていたんだろうし、喜ばしいことだったのだけど、今日と同じ明日が続くことを信じていた幼い私にとっては、信じられない出来事だった。
それから、私は別れ際に「またね」と言うようになった。
今日と同じ明日が来る保証なんてない。
でも、それでもまた次も貴方と会えることを願うおまじない。
「バイバイ!またね!」
「別れ際に」
僕と彼女は幼馴染み。
彼女は朝から虹がみれたとルンルンだった。
少し子供っぽいけどこの無邪気な笑顔がとても可愛らしい。
僕は、そんな彼女にずっと、片想いをしている。
釣り合わないだろうけど、幼馴染みということもあって周りの友達よりもずっと身近で、いつも一緒だ。
「そうそう、今日は僕も部活が休みだし一緒に帰れそうだけど、どーする?」
彼女からの返事はYES
そんなのわざわざ聞かなくても、彼女はそのつもりだったらしい。
ちょっと嬉しい。
小学校の頃から登下校は用事がない限り一緒。
だから、当然といえば当然か…。
そしてやっと下校時間。
この時間が一番幸せ。
だって彼女と二人きりなんだから。
他愛もない会話をして、コロコロと変わる彼女の表情をみて、ひまわりのような笑顔をみていると僕もつられて笑顔になる。
でも、楽しい時間ほどあっという間にすぎてしまう。
名残惜しいけど、もうすぐ分かれ道。
彼女との幸せな時間は明日へおあずけ。
「じゃ、また明日ね~!!」
笑顔で振り返り手を振る彼女。名残惜しいなんて感じているのは僕だけみたいに彼女は家の方へ歩いていく。
ちょっともやっとした。
僕は、自分でも意識すること無く
『大好きだよ』
っと思わず口から言葉がこぼれ落ちた。
はっとしてすぐに彼女の方をみたけど、距離があってどうやら聞こえてないみたい。
良かったと思う反面聞こえていればと思う僕がいることにもちょっとビックリ。
彼女への恋心に自覚してから、ちょっとしたことで意識して、あわあわしている。彼女の言動に一喜一憂している。
落ち着かなきゃと思うけど、
そんな片想いを楽しんでいる僕がいるのもまた事実。
彼女に振り向いてもらえるように、いや、彼女のあの笑顔を守れるように。
僕はずっと、側にいたいと思ってしまった。
別れ際に
君のことが忘れられない
もう二度と会うことは叶わないのに
会いに行ってはいけないのに
君はまだどこかで元気にしているのかもしれないし
もうこの世にはいないのかもしれない
だけどそれを知るすべすらなくて
「私のことは死んだと思って」
別れ際に君に言われた言葉が
いつまでも僕の心に呪いをかけ続けている
明日は君と過ごせる最後の日
毎日一緒に帰っていた帰り道の別れ際に告白すると決めていた
「ねえ、話したいことがあるんだけど」
「どうした?」
「あなたが好きです」
「、、、」
「ごめん」
あぁ~私の恋はこれで終わりか
あなたのおかげで毎日楽しかったよ、
あなたのおかげで頑張れたよ
もっと伝えたいことたくさんあるのに
ずっと忘れない別れ際
別れ際に
コンビによってファミチキ買いました。
後ろ姿が寂しいなって思ったり
早く帰ろう
もっと一緒に居たかったな
ばいばーい言ったり
えーもう帰るのー?
色々なシーンが出てくるなあ
別れ際に
最期に覚えておきたいと触れた先に
消え失せそうな温もりを追って
手を握った
頭を撫でた
頬に触れた
忘れないように、と願って。
匂い、ぬくもり、声、笑顔、
全て、再び五感を使って感じることは出来ないけれど
悩んで立ち止まっている時、心が疲弊している時、
何故か脳裏に浮かぶのは、決まって毎回同じ。
いつまでも、ありがとう。
お母さん。
きみはいつもそうだ!
面倒事はすぐにわたしに投げつけてくるよね
だから
仕返ししてやってもいいかなって、思ったんだ
「いい加減に気付いてよね、バカ。
ずっと前から…わたし、きみのことが好きなんだよ」
顔を赤くしたきみに
一つだけ、言い訳をする
別れ際に告白をして逃げたのは
面倒だからじゃないんだよ
怖かったの…
-2nd story-
「あ、忘れてたー!」
別れ際に
ギクシャクとしながら演技?
ギュッと両手でわたしを抱きしめて
チュッとおでこにキスをした
不器用な彼の優しさが
とても好き
#別れ際に
神さまのこどもに戻るらしい。お前だけが割を見ている。人間として終わるらしい。それにしてはどうやら悪魔じみている。その薄い瞼が呵責に震え続けたことを、俺だけが知っている。それは俺がおこなってきたしょうもない善行のなかでいっとう良いものに思える。お前の瞼に口付ける。別れの挨拶はこれがいっとうなのだと、俺は生まれた時から知っている。
少し 歩調をゆるめて
お互い 目を合わせずに 前を向いたまま
ぶつかったように 手を握って
指を 絡ませた一瞬
再会の約束を 小さくつぶやいて
足早に階段を降りていく
名残惜しく 空を掻く 指先。
#別れ際に
別れ際に
「今日はありがとう。」
デートの終わりには必ずかしこまって感謝をしていた彼は数年後、
めでたく彼女と結婚しその翌年に子供が生まれる。
それが私の旦那。
『別れ際に』
もう、バイバイだね
…やっぱりまた会え、ないよね
ごめんね。さよなら!
…!
な、んで、そんなこと言っちゃうのさ
「もっと生きたかった」
『別れ際に』
(暗いです。死ネタあり。救いなし。)
ずっと、大好きだった。
ずっと昔から。今までずっと。
あの日、あの場所で出会ったあの日から。
人生にかけがえのない人になったんだよ、君は。
この間だって、そう。
いつもみたいに笑いあって。
「また、明日ね。」
そう言って別れたのに。
明日は、来なかったみたいだ。
黒い服に身を包む。
君の葬式は、あっという間に過ぎていって。
もうすぐ、火葬されるらしい。
君の顔が見れるのも、これが最後。
きっと大泣きしてしまうと思っていたのに、涙は出なかった。
少しだけ、君の顔に手を添える。
冷えきった肌は、この世から君がいなくなったことを確かに伝えていた。
火葬が終わり、骨を詰め、葬儀が終わる。
何も実感のわかない葬式だった。
とぼとぼと歩き、1人帰路につく。
君がいなくなっても、世界は何も変わらなくて。
それが、とてつもなく、悔しくて、悲しかった。
少しだけ変わったのは、世界の色が灰色一色になったことと、息をするのが少し苦しくなったことだろうか。
家の扉を開ける。扉をしめる。
いつも聞こえるあの声はもうない。
小さく息を吐く。
なんだか、くるしい。拳を握りしめる。
「...っうあああああ!!!」
なんで、なんで。
心が張り裂けそうな程に痛い。
息もできないくらいに苦しくて仕方がない。
膝から力が抜け、その場に蹲る。
なんで、言ってくれなかったの。
生きるのが辛いんだって、苦しいんだって。
なんで、なんで!!
手に血が滲む。それでも構わず床を殴りつづけた。
僕には、何も出来なかったの...?
こうかいしても、もうおそい。
いきが、できない。
視界が暗転した。
足が痛い。
なんでここで...そうか。
息が苦しくてそのまま気絶したのか。
すこし落ち着いた頭で考える。
このまま生きていて、何か得られるものはあるのだろうか。
楽しいことは?君がいないのに?
このままでは幸せになっても罪悪感しか生まれないだろう。
暗い部屋に、足を踏み入れる。
確か、どこかに縄が...
押し入れを開けると、麻縄があった。
天井に括り付け、椅子に登る。
椅子を、蹴った。
また、もし会えるなら。
来世では君と、生涯添い遂げたいな、なんて。
この世との、別れ際。
見えたのは、君の笑顔だった。
【62,お題:別れ際に】
「私、あなたの事嫌いじゃなかったんだよ」
「...うん」
西日が差す、簡素なアパートの一室
荷物をまとめて僕の部屋から出ていく彼女は、憂いを帯びていて
それすらも綺麗だった
「俺ら、なんで別れるんだろうね、特別仲が悪かった訳じゃないし」
「きっと疲れちゃったんだよ、お互いが大事だからこそ気を使いすぎちゃったんだろうね」
「そっか...」
じゃあね、と手を振って外に出る彼女
扉を閉めようとしたところで、あっそうだ、と戻ってきた
「なんか忘れ物?」
「うん、これは言わないと」
そういうと、彼女は背伸びをして俺の頭を抱き寄せた
いきなり近付いた距離に、驚き固まる
「ありがとう、私を彼女にしてくれて2年間だけだったけど、すごく幸せだった」
「...ぁあ、俺の方こそありがとう、君と居れて毎日楽しかったよ」
彼女の背中に腕を回して、その華奢な身体を優しく抱き締める
しばらくそうしていると、やがて彼女の方から腕を離した
「...じゃあね、幸せになってね、カップラーメンばっか食べちゃダメだよ」
「君こそ、あまり怪我をするんじゃないぞ」
エンジンの音が遠ざかっていく、いつもなら狭く感じたアパートが今日はやけに広い気がして落ち着かない
別れ際に言われた、幸せになってねという言葉を思い出して感傷に浸る
君1人幸せに出来なかったのに、俺は他の誰かを愛せるのだろうか
まだ君の気配が残っている部屋の中で、机に突っ伏して意味もなくスマホをいじる
フォルダを開くと、ところ狭しと並んだ君と俺の思い出の欠片、幸せだった日々の記録
「...不幸になるなよ」
日が沈み、薄暗くなった部屋で溢した言葉は、近くを通った電車の音に搔き消された
別れ際に振り向いた あなたの顔を思い出す
笑っているのにどこか不安だった
奇しくも、今日、退職してきた。
派遣先に、「契約更新はもうしないです」と告げたのが8月半ば。そこから1か月ちょい、わたしも周囲も淡々と過ごしてきた。
作業は後任に割り振られて、だんだん居場所がなくなる。リモートワークならではの、ひんやりした感じ。
でも、今日たくさんいただいたのは、
「ありがとう、元気でね」
【別れ際に】
別れ際に
いつも、
見えなくなるまで見送ってくれるよね。
振り返ると必ず手を振ってくれる。
きっと口元には微笑みを浮かべてる。
何気ない別れ際に、
言葉にしない思いがたくさん詰まっていて、
思い出すたびに、温かいもので胸がいっぱいになる。
――ありがとう。
#41
別れ際には笑顔で挨拶したい
そうすればその日の思い出はプラスの感情になるから
ずっとそう思っているけれど
大多数の人間にとって感情や感想は蓄積らしい
最後に笑っていても、私がやらかしたミスは消えない
私への憎しみも消えない
いくら笑顔で別れても、プラマイのプラスに影響はしないらしい
私は『終わりよければすべて良し』精神だけどまさかこんな身近に真反対の考え方をする人がいるなんて青天の霹靂だった
実母なんだけど
どんなに笑顔で別れても何かひとつでも不快な思いをしているとその感情をずっと引きずる人
他人の過去のミスや失態をネチネチと愚痴り続けるのに、自分のやらかしは見て見ぬ振りができる人
歳を重ねるに連れて実母はその母親にどんどん似てきている
ずっと憎んできた、死んでもなお憎み続けている、彼女の実の母に
私にとっては祖母
思い起こせば祖母も別れ際の笑顔が義務的で愛情のない印象だった
月に一回、子供をつれて実家に顔を出す母親
月に一回、子供をつれてくる娘をもてなす祖母
何もかもが義務的で誰も望んでいない毎月のイベント
お互いが別れ際にせいせいとするような笑顔
その笑顔は相手に向けられたものではなかった
私は祖母の家に行くのが楽しくなかった
そして今大人になって、私は実母に会うことが憂鬱だ
本能的に親に愛されたい願望はあるし、愛着障害を抱えている自覚があるから、話は拗れる
別れ際の笑顔が信用できない以上、実母と過ごす時間は全神経を張り詰めて一瞬ごとの実母の感情を読み取ろうとしている
そこまでしなくてもいいよ
他人に嫌われたところで私の価値は変わらないよ
大人になって賢くなったもうひとりの私が囁いてくれるのに、子供の頃に満たされなかった感情が滲む
別れ際の笑顔はマナーのひとつなんだろう
それはわかるけれど
私の笑顔は本物だよ
相手が時間を使って私といっしょに過ごしてくれて嬉しいから笑顔が出てしまうんだよ
300字小説
さよならの代わりに
「明日、引っ越すんだ」
公園の私の下のベンチに座り、貴方がそう告げる。
「この街は地元を離れて最初の街だった。初めて見たここの春の景色の美しさをまだ覚えているよ」
ええ、私も。まだ幼い顔で少し不安げに私を見ていた貴方のことを覚えてるわ。
「あれから五年。今度、転勤するんだ」
そう。あれから貴方もすっかり大人に立派になったものね。
「栄転、なんだけどね。新しい職場で上手くいくかな……」
ほらほら、しっかりして。また最初のあの頃と同じ顔になってるわ。
秋風に肩を震わせ、貴方が私を見て、目を細める。
「来年の春も花見がしたかったな……」
背を向ける。その背に私は別れ際の餞別に、赤く色付いた葉を一枚、ひらりと落とした。
お題「別れ際に」
「別れ際に」
長く深い口づけのあと
「さよなら」と一言
私はひとり膝を抱え
嗚咽を洩らす