柊ひめ子

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「別れ際に」

僕と彼女は幼馴染み。
彼女は朝から虹がみれたとルンルンだった。
少し子供っぽいけどこの無邪気な笑顔がとても可愛らしい。

僕は、そんな彼女にずっと、片想いをしている。
釣り合わないだろうけど、幼馴染みということもあって周りの友達よりもずっと身近で、いつも一緒だ。

「そうそう、今日は僕も部活が休みだし一緒に帰れそうだけど、どーする?」

彼女からの返事はYES

そんなのわざわざ聞かなくても、彼女はそのつもりだったらしい。

ちょっと嬉しい。
小学校の頃から登下校は用事がない限り一緒。
だから、当然といえば当然か…。


そしてやっと下校時間。
この時間が一番幸せ。
だって彼女と二人きりなんだから。

他愛もない会話をして、コロコロと変わる彼女の表情をみて、ひまわりのような笑顔をみていると僕もつられて笑顔になる。

でも、楽しい時間ほどあっという間にすぎてしまう。
名残惜しいけど、もうすぐ分かれ道。

彼女との幸せな時間は明日へおあずけ。
「じゃ、また明日ね~!!」
笑顔で振り返り手を振る彼女。名残惜しいなんて感じているのは僕だけみたいに彼女は家の方へ歩いていく。
ちょっともやっとした。
僕は、自分でも意識すること無く
『大好きだよ』
っと思わず口から言葉がこぼれ落ちた。

はっとしてすぐに彼女の方をみたけど、距離があってどうやら聞こえてないみたい。

良かったと思う反面聞こえていればと思う僕がいることにもちょっとビックリ。
彼女への恋心に自覚してから、ちょっとしたことで意識して、あわあわしている。彼女の言動に一喜一憂している。

落ち着かなきゃと思うけど、
そんな片想いを楽しんでいる僕がいるのもまた事実。


彼女に振り向いてもらえるように、いや、彼女のあの笑顔を守れるように。

僕はずっと、側にいたいと思ってしまった。


9/28/2023, 11:21:06 AM