柊ひめ子

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10/4/2023, 11:33:53 AM

『踊りませんか?』

ゆっくりとした調子から始まる
私の奏でる演奏に合わせて

貴方はワルツを踊る
軽やかで、まるで精霊のように美しい
けれど、
そんな貴方と踊る相手は私じゃない

私はただ、音を紡ぐだけ

貴方は私の気持ちなど知らずに
他の女性と踊る

嫉妬や妬みではなく、憧れてしまう
貴方と踊ることに

私の演奏に会わせて踊っている貴方は、

まるで操り人形のよう

少しの優越感と、少しの劣等感

嗚呼、
この演奏をやめて、貴方と踊りたかった

叶わぬ願いをのせて響く演奏

一度で良い
   私と踊りませんか?
演奏も何もない
――無音のワルツを――








10/3/2023, 10:16:14 AM

『巡り会えたら』

彼岸花のように、
真っ赤な花が散るように、
僕の視界を君の鮮やかな血が染める
君は、
最後まで笑っていた

君のいない世界なら、
生きていても仕方がない
-―神様、最後のお願いです。
 もし、生まれ変わることができるなら
また、彼女に会わせてください

いや、彼女に巡り会えるまで
何度でも―

10/2/2023, 12:44:54 PM

『奇跡をもう一度』

奇跡ってものがどんなものなのか、
僕には分からない

目に見えないし、曖昧だし、
幸せとかと違って
何だか
本当にあるのかさえ分からない。

もし、
人生が大きく変化するようなこと、
特別で、きらきら輝いているもの
そんなものに出会うことができたことを
奇跡と言うのなら、

僕にとっての奇跡は
君に会えたことだと思う。

そう、伝えたいからさ、
夢じゃなくて、
もう一度だけ会いに来てよ

臆病な僕を
もう一度だけ照してよ

欲張りなのは分かってるけどさ、

もう一度だけ…
君に会うという奇跡を…

10/1/2023, 10:25:54 AM

『たそがれ』

前を歩く
夕日に照された君の背中は
とても小さく見えた。

今にも消えてしまいそうなほど儚く、
そして、寂しそうだった。

僕は思わず君の手をつかんだ。

そうしていないと
何処かへ
いってしまいそうだったから。

君は、少し驚いた顔をして、すぐに笑った。

その時の、
沈み行く太陽よりも明るい
君の笑顔が

僕は今でも忘れられない

9/30/2023, 10:44:27 AM

『きっと明日も』

きっと今日も昨日と同じ
何一つ変わらない

普通の
何気ない日になると、信じて疑わなかった。

実際、今日も昨日と変わらない。

ひとつを除いては。

いつも側でみていた
君の笑顔
いつも側で聴いていた
君の声
いつも側にいた
君、

何故だろう
昨日と、なにも変わらないはずなのに

君だけが、どこを探しても見つからない。

「君がいない」
その事以外は何もかも昨日と変わらないのに…

きっと明日も会えると思っていた
        
あのとき、僕に君を引き留めることができていたら
君の苦しみに、抱えているものに気づけていたら

まだ、君は、

きっと明日も……

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