『初恋の日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
幼い頃に祖父母に連れられたよくわからない観光地の庭園でおそらく彼女さんである人と一緒に来ていたお兄さんに私は目を奪われた。
今思えばその頃の私は単純で年上の人にただ憧れを抱いていたのだと思う。その落ち着いた雰囲気に一目惚れした。
目の前に広がる石や樹木や池といった自然にまったく興味を持てなかったがまるで興味のあるフリをしてあまり目をお兄さんの方へ向けないように努力した。
乗る気じゃない祖父母に提案されたエサやりも喜んでやる。何かして気を散らさないと緊張してしまうからだ。渡された100円で買ったエサを手に池の前に立った。
池にエサを放り投げる直前。つい目を別の方向へ向けてしまっていた。そこにはお兄さんが彼女さんの手を取って池からを去ろうとする姿があった。
幸せそうな背中が見えていく。私は心がここにない状態でエサを放り投げていた。気が付くと祖父母のほら前を見ないさいと言う声が聞こえた。
目を前へと向けると口を大きく開けて生々しく餌に群がる生き物が大量にいる光景が入ってきた。その内の一匹が飛び跳ねて至近距離でグロテスクな目が私の目と合う。
「ゔぇ。」
私の知らない私の声が大きく出た。その直後にふふふという声が後ろからして振り返るとお兄さん達がこっちを見て笑い合っている。
忘れられない恥じらいを覚えたのはそれが初めてだった。
強烈な魚顔のせいで憧れの人の顔は今も思い出せない。
春の終わりの頃、それが私の初鯉の日だった。
初恋の日…
私にとって、初恋の日。それは…今では、私は、最低な事に、今の恋を、“初恋“にしてしまっているし、そう思い込む様にしてしまっているが…でも、私の本当の初恋は、何年も前の話だ…
私の初恋の日は、 6歳頃だ。当時の私は、周りの人全てが困り果てる程、物凄く問題児だった。その為、幼稚園の後、保育園二つを出てから無事小学生に進学をした。そう。その小学生に進学する前、最後に通ってた保育園にて、私は、とある男の子に恋をしていた。それは、彼も同じ気持ちだと後に気付かされる…
当時、保育園でお昼寝をする際、何時でも周りから煙だかられ、その子の隣は、ジャンケンに負けた人が寝る、と言う程の子がいた。その理由は…その子は、お昼寝中物凄い量のヨダレを垂らしてしまい、最悪な場合は、その子の隣の子のお布団まで染みてしまう程だからだ…でも、当時、私は、そんな事どうでも良いし、気にしない程、彼が好きだった。だからこそ、毎日、そのジャンケン大会が開かれる度に、「良いよ。私が𓏸𓏸の隣で寝るよ。」と自らその子の隣に寝るのを希望した程だ。当時暴れん坊で、同じクラスの誰もが怖がる程の私だったが彼は、恐らく、普段は、中々見られないはずのそんな私の優しさに、惹かれたのだろう。私達は、母親同士でも仲が良く、更には、家もほぼご近所と言う事も有り、毎日、一緒に帰っていた。私達は、自転車を押して歩く母親達の前で二人、そして、後ろには、自転車を押して歩く母親2人。そんないつも通りのある日の事。彼は、私に突如、ある耳打ちをする。
ー俺、君の事が世界一大好きだよー
と。まるで世界が止まった様に感じた。当時、私も彼を好きだったし、初めての告白だったから、めちゃくちゃ嬉しかった。だからこそすぐ返事をした。
ー私も𓏸𓏸の事、世界一大好きだよー
と。そう。あの頃の私達は、物凄く純粋で、何も知らない哀れだった…その告白以来、私が、周りを虐めたから致し方無い虐めの仕返しなのにも関わらず、私よりも小さくて、弱いはずで、怖いはずなのに、彼は、必死に私を守り始めてくれた。凄く嬉しかった。私は、当時から勝手に彼の中で“許嫁“だとさえ信じていた。あれからは、色々な事が重なり、気付けば、あんなに当時は、仲良かったはずの私達の間にさえ、距離が出来ていった…どんどん大きくなるにつれて、私達は、話さなくなり、会う回数も減り、距離も出来て…どんどん心の距離でさえ離れていった…結局、私達は、その頃からも色々有り今じゃ、私達の出会いの場だったはずの故郷に、君と君の家族でさえ何処かへいなくなってしまった…私の初恋は、呆気なく終わってしまったんだ…悲しい程に…
『初恋の日』
初恋を覚えているかと聞かれて覚えていると答えたことはない。本当は覚えているが、甘酸っぱいと形容するほど優しい思い出になってはおらず、いまだ体のどこかで燻り続けているように思えている。多感な時期に悪気なく傷つけられたはずなのにその人のことを想う気持ちは消えてはくれずいつまでも忘れられない。
こじらせた青年からこじらせた大人になったある日にコーヒーショップでノートパソコンを開いていると初恋の人が来店した。いつまでも忘れられないこちらと違って、あちらには記憶の隅にも自分の姿はないのだろう。そう思っていたのだが。
「あんた、同中だったよね」
注文待ちのランプ下からズカズカと歩いてカウンターへとやってきた彼女。ふたりに周りの視線が降り注がれている。
「相変わらず冴えない感じね」
それだけ言うと注文の品を受け取り颯爽と店を出ていってしまった。視線に耐えられず何を見るでもなかったノートパソコンを仕舞って店を出ると彼女の姿はすでにない。
長らく思い出すことのなかった初恋の思い出とよく似た状況に彼女からの言葉が新たに突き刺さっている。今も昔も冴えない自分は、このままでよいのだろうか。未だ輝いて見えたその人のことをまた改めて想い始めた。
初恋の日
私は幼い頃から周りの人がびっくりするくらい人見知りなんだ
でも、あなただけはびっくりせずに明るく話しかけてくれた
私にとってあなたが初めて話しかけてくれたあの日が初恋の日となったんだよ
初恋の日
恋ってしたことないわ。もしかしたら忘れてるだけで子どもの頃にあったかもしれないけど記憶にはない。
そもそも他人に興味がないからな。人の名前とか覚えるのめっちゃ苦手なんだよね。興味がないから。
だから恋とは無縁の人生だった。これからもないだろう。
なんてことない日だった。
今日は2人とも休日。
あなたは、リビングのソファでテレビを見ていた。
いつも通りの朝の光景だ。
「ルームシェアをしよう」
高校生の時に2人でふざけあって決めたこと。
あの時は、お互い冗談半分だったけど、
それが今、叶っている。
「おはよう」
私は寝ぼけ眼を擦りながら、言う。
「おはよ、凄い寝癖だよ?」
「嘘!」
あなたの笑い声をよそに、急いで自分の部屋へ。
ドレッサーの鏡で確認する。
こりゃまぁ、凄い。まるでメデューサのようだ。
私の部屋はリビングのすぐ隣。
「あぁもう」
不満を小さく零しながら、ドレッサーの前に座る。
ここは好きだ。
ドレッサーの鏡を少し動かして、
髪の後ろまで見えるようにする。
と、リビングでくつろぐあなたが少し見えるから。
誰も知らないあなたを、ひっそり盗み見ているようで。
ただ、今日は違った。
いつも気づかれていないから大丈夫だと思ってたの。
だけど、あなたが鏡越しこちらを見て、目が合った。
今までだって、何回だって、
目を合わせてたはずなのに、
とっても驚いてしまって、目を逸らした。
その日からずっとあなたは親友とはどこか違っていた。
でも、かけがえない人で、
思うよりも、そっと恋をしたんだって、
その時は気づかなかったけど…。
それが初恋の日だったんだ。
って今更気づいたんだ。
初恋は未だにやって来ません。だからこそ、今後「初恋の日」がきたなら、きっと覺えていられると思います。
急げ。急げ。
クリスマスの前だったか?それとも後か?年は越してなかった。どうだ?
急げ。あと1分。
タイマーが秒読みに入る。59…58…解除のための日付を入力するディスプレイは未だに真っ黒なままだ。脂汗をうかべ、どんなに睨みつけてもそこに答えは浮かび上がらない。答えは自らの記憶の中にしかない。
57…56…消去法だ。クリスマス前ならクリスマス当日に彼女との印象的エピソードというものがあるはずだ。ない。正月、あの日一緒に初日の出を見てご来光を二人の指輪にあて笑いあった。ならば26日から31日、6日間のどれかだ。
48…47…落ち着け。「その日」から年明けまで2回、確か2回ディナーを共にした。ならば大晦日の立ち食いそばを抜かして31、30、29日。12月29日。これだ。
36…35…コンソールを両手の人差し指で1229と素早く入力する。
[初恋の日]
初恋。
みんなの初恋はいつ?
私はまだない。
私は好きがよく分からない。
「嫉妬したら好きってことじゃない?」
そう友達にも言われた事があるけど
私は友達にも嫉妬するから分からない。
私は男性恐怖症だから男性と仲良くはできないし滅多に話もしない。というかできない。
だからか、私は恋愛には興味がない。
彼氏が欲しいとも思ったこともない。
だから私は正直羨ましい。
ちゃんと好きがわかる人が
ちゃんと好きって思える人が
羨ましくてしょうがないのだ。
初恋の日
そんなの覚えてない
好きになった理由が言えたら
それはもう好きじゃないのと同じように
いつの間にか目で追っていた
髪を切るときに
その人が浮かぶ
それが恋
そして、初恋は特別じゃない
いつだって、人を好きになるときは
初恋だから
「10月30日が『初恋の日』らしい」
島崎藤村、リンゴの木がどうのこうのだとさ。
某所在住物書きはネットの検索結果をスワイプしながら、「10月30日」の他のネタを探している。
尾崎紅葉の紅葉忌、たまごかけごはんの日、海外に目を向ければ宇宙戦争の日。香りの日でもあるとか。
「紅葉が見れるTKGレストランでアロマポット商談の予約を入れるハナシ?……無理だが?」
記念日ネタが難しいなら、誕生花は?
物書きは早々にターゲットを変更して、某サイトを検索。「初恋の日」10月30日の誕生花は、リンゴやサザンカ、カエデにパセリ、スイレン等々。
「ここでも『リンゴ』か」
物書きは頭をガリガリ掻いた。
「初恋の日とリンゴの花を結びつけたネタ、去年もう書いてるんだわ……」
――――――
最近最近の都内某所、某ブラックに限りなく近いグレー企業の某部署、朝。
室内には、藤森という雪国出身者だけが1人居て、消耗品であるところの茶葉やコーヒーのポーション等々を補充している。
それが終われば観葉植物の枯れ葉を整理して、掃除機をかけて、ゴミ箱の中身を整理して。
来客用のテーブルの上、チープな個包装の少し盛られたクリスタルガラスは手を出さない。
その菓子器の中身を勝手に追加すると、部屋のトップが目ざとく気づくのだ。
『新作はどれだ』『これを食ったことがない』『ボサっとするな茶を淹れろ一緒に食え』と。
「……さすが『オテント様はお見通し』」
ぽつり、ひとりごと。
その部屋のトップは名前を緒天戸という。
「俺がどうしたって?」
途端、予想外の人の声。噂をすれば影である。
今年の3月から藤森の「上司」となった緒天戸だ。
「そうそう、聞いてきたぞ。お前の『初恋の日』」
先月25日から進行中の1ヶ月新人研修に、1週間だけ同行しており、昨晩東京に帰ってきたのだ。
「随分今のお前とかけ離れてたが、アレは事実か?あいつ、お前の前々職バーテンって言ってたぞ?」
緒天戸が同行した新人研修には、今年の3月就職してきた藤森の「初恋のひと」が混じっていた。
藤森を一方的にディスり、ゆえに藤森からやんわり縁を切られたのに、強い執着でもって藤森の職場を探し当てて、潜り込んできた。
藤森の初恋は名前を加元といった。
「多分、『加元の』初恋の日ですね。私は加元の、たしか2番目。それに前々職は図書館です」
「『ぼくの初恋の日は「初恋の日」に立ち寄ったダイニングバーでした』、『客に優しく笑い、でも心を完全に閉ざしてるバーテンでした』ってのは」
「私ではありません」
「なんだ。お前が美味い酒を出せるワケじゃねぇのか。1杯作らせようと思ったのに」
「『シンデレラ』なら、お出しできますが」
「レモンとオレンジとパイナップルのミックスジュースじゃねぇか。休肝日かよ」
ぽい、ぽい、ぽい。
自分のデスクにつくなり、緒天戸はバッグを開けて、大小複数の紙舗装の箱を取り出している。
「ちぇっ。お前の過去と初恋の日をチラ見したと思って、面白がって聞いてたのによ」
これは誰々の分、それは何処其処の分、あれは孫とひ孫と孫嫁の分、ついでのオマケを藤森へ。
1週間同行した新人研修を随分堪能してきたらしく、デスクの上は各所への土産でいっぱい。
「俺が聞いたのは、『お前の』初恋じゃなくて、『お前の初恋の』初恋の日のハナシか」
ちょいちょい。
緒天戸は藤森を手招きで呼ぶと、寄ってきたところにリンゴの花の形をしたパイの小箱を提示した。
「私への土産、ですか?」
「いんや」
「……『コレを今食いたいから、ピッタリな茶かコーヒーを淹れるように』?」
「久しぶりにお前の美味い茶が飲みてぇ。淹れろ」
「はぁ。……はい」
ちなみにリンゴの花といえば、10月30日が「初恋の日」で、元ネタにリンゴの木が出てきてだな。
そいつと全然関係無いが、その日は紅葉もなか、もとい紅葉忌とかいう日でもあってだな。
藤森が湯冷ましと湯呑みを用意して、急須に茶葉を落とす間、緒天戸によるトリビアタイム。
リンゴの花が紅葉になり、紅葉美しい旅亭のハナシから名物の裏メニューのたまごかけごはんの味、それから藤森自身の「初恋の日」の催促へ。
(こんなにあちこち食い歩いて、美味を知っているのに、何故私なんかが淹れる茶が好きなんだ)
藤森は上司のアレコレを聞き流しながら、静かなため息をひとつ、小さく吐いた。
初恋の日
雪は溶けるが、春を迎え入れるのを拒むように、僕の季節は北からの寒さを何度も寂しがり、縋りつづけた。
チャイムが鳴る。
始業式を終え、季節は春を抗えず、僕は3年生になっていた。部室に流れる2人だけの季節は、1人の季節になっていた。
[初恋の日]
どれが初恋だ?
どっからが初恋だ?
遠い記憶を遡る
淡い想いなら
小学校?
幼稚園?
親戚のお姉さん?
あぁ
昨日の晩飯も思い出せないのに
そんな昔の事なんか思い出せるもんか
初恋の日
それはよく晴れた日のことだった。
いつものように10時ごろに起きて地雷系メイクして地雷系ファッションで職場のメイドカフェに向かったているとき、転んでしまった。その時に助けてくれたのがその人だった。その人にはバレてなくてよかった。
リスカをしているということを
青春の花、初恋の日に微笑みとともに舞い降りた
純粋な想い、刻まれた記憶
永遠に続くあの日の宝物
初恋ってよくわからない。
皆が好きな人いるっていうから、
とりあえず好きって言ってたあの子なのか。
ずっと笑いかけてくれてたその子に対する高鳴りなのか。
どちらも初恋でいいでしょうか?
中学生の時、初めて缶コーヒーというものを飲ん
だ。牛乳でコーヒーを薄めたものしか飲んだこと
がなかった私からしたら、缶コーヒーという物は
大人びたものに見えて、魅力的だった。
✳︎
その日、わたしは部活の帰りに部活の先輩と一緒
に学校にお金を持ってこないと言う校則と、帰り
に物を買わないと言う校則を破った。
校則を破ることに抵抗はあったけど、イケナイコ
ト、ワルイコトをしていると言う感覚は正直言っ
て好きだった。
夏の熱が残った、秋のことだった。
少し暗くなった帰り道の光る自動販売機で、
私はスポーツドリンクを、先輩は缶ジュースと間
違えて、缶コーヒーを買っていた。
しゅんとする先輩がなんだか酷く可哀想に見え、
交換しますか?と先輩にスポドリを差し出すとさ
んきゅ、と言って缶コーヒーを差し出して来た。
貸し1ですよと私が先輩をこづくと先輩がわかって
るよとはにかんだ。
まじかで見る先輩の笑顔はなんだかいつもと違っ
て私のほおを火照らせた。
先輩と帰路につき、熱いコーヒーを啜る。
初めて飲む缶コーヒーはあったかくて、苦かった
けど少し香ばしい味がして、先輩の匂いがした。
初恋の日
カンカンッギャリリリッ
昨夜の雨も上がって
わざとらしいくらいの青空に工事の音が響く
新しく駅ができたこのあたりは新興の街で
変に高いマンションと更地の隙間にところどころ公園みたいなものがある
明るい緑をたたえる同じかたちをした樹たちはレンガの下にきちんと根を張れているのだろうか
まだ白い光から彼らが作ってくれる影を享受するベンチで
マンション群から吐き出されてくるひとたちが駅に吸い込まれていくのをひとしきり見届けた
俺が育った街
でも見慣れない街
幼い頃、隣に住んでた幼馴染みはおばあちゃんっ子で2つ結びが可愛い子だった
区画整理で大枚を積まれ散り散りになったこと自体は仕方ないと思う
いまも時折、あの子が何をしてるかななんて思うのは
一種のノスタルジーでしかないから
あの子のいなくなった街で
俺は赤い日差しの中、駅から吐き出されていくひとびとを見てる
-初恋の日- 2024.05.08青
初恋の日がいつだったかとか、もう覚えちゃいない。小学生の頃だとは思うが、明確ではない。
同じクラスの子だった気がする、くらいだ。どんな子に恋をしたのか、そもそも恋だったのか、ただ仲が良かっただけなのか。
ただ他の子と仲良くしてる所を見ると、イライラしたので嫉妬する程好意は持っていたのだろう。
幼くたって、ドロドロした感情は持ってるもんだね。
初恋の日、それ即ち、初告白の日であり、失恋の日。
でも諦めなかったおかげで、それはプロポーズ大成功の日になった。