湖楠*

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なんてことない日だった。

今日は2人とも休日。
あなたは、リビングのソファでテレビを見ていた。
いつも通りの朝の光景だ。


「ルームシェアをしよう」
高校生の時に2人でふざけあって決めたこと。
あの時は、お互い冗談半分だったけど、
それが今、叶っている。


「おはよう」
私は寝ぼけ眼を擦りながら、言う。
「おはよ、凄い寝癖だよ?」
「嘘!」

あなたの笑い声をよそに、急いで自分の部屋へ。
ドレッサーの鏡で確認する。
こりゃまぁ、凄い。まるでメデューサのようだ。

私の部屋はリビングのすぐ隣。
「あぁもう」
不満を小さく零しながら、ドレッサーの前に座る。


ここは好きだ。
ドレッサーの鏡を少し動かして、
髪の後ろまで見えるようにする。

と、リビングでくつろぐあなたが少し見えるから。

誰も知らないあなたを、ひっそり盗み見ているようで。


ただ、今日は違った。
いつも気づかれていないから大丈夫だと思ってたの。
だけど、あなたが鏡越しこちらを見て、目が合った。

今までだって、何回だって、
目を合わせてたはずなのに、
とっても驚いてしまって、目を逸らした。


その日からずっとあなたは親友とはどこか違っていた。
でも、かけがえない人で、
思うよりも、そっと恋をしたんだって、
その時は気づかなかったけど…。

それが初恋の日だったんだ。
って今更気づいたんだ。






5/8/2024, 5:05:23 AM