umina*

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6/21/2025, 6:19:17 PM

君は、ずっと先へ先へと
坂を下る、早足で駆け下って、
平坦な道でも、ずんずん先へ進んで。
脚の疲れも知らずに、坂を駆け上がってたね。

僕は、坂を下るのは、転びそうで怖くて、
歩幅は狭くって君との距離が開く。
縮めようと、足を踏ん張って坂を駆け上がって

それでも、いつも追いつけなくて。

君の背はいつも大きくて頼もしかった。
どれだけの重荷が背負われているのか。
何も聞けなかった、何も語ってくれなかった。

後ろを振り返ってもくれなかった。

いつか隣を歩けるように、進めるだろうか。
そう不安になっても、いつも背を見るだけ。
君はどんな顔をしてたのか、僕は分からなかった。

その差を縮めるのは一体なんだろうか。
時だろうか、速度だろうか、覚悟だろうか。
きっとこうやって悲しみに暮れることも

君にはありはしない

そう思っていたんだ。


ふと君が立ち止まって、俯いたその顔は、
悔しそうで、悲しそうで、それでも、
顔を拭いきったその背中はいつものようで。

誰かが居なくても、君は独りで進んで行ける人なのだと。
僕はずっと君を追い越すことは叶わない。
そう悟った。

それでも憧れた。
憧れていつか君の隣にいれるよう、
君の背を追って、ここまで来た。

悲しくなっても、僕がいるって言えるようになったよ。
怯えても、手を引ける様になった。
これまで来れたのは君のおかげなんだ。

ありがとう。




読み終えた手紙に、1つ涙が落ちる。止まらなくて、止まらなくて、私は……、

その日、夢を見た。
君の背中がどんどん離れていく。
走っても走っても追いつけない。

遠くで君が振り返る。
笑顔で言葉を1つ残して。

未だに言葉ははっきり聞き取れなくて

私はまだ、君の背を追っている。





5/24/2025, 2:21:38 PM

彼女と私は幼いころからいつも一緒だった。だから趣味が一緒になるのは不思議なことではなかった。音楽を好きになり、歌うこと、奏でることが好きになった。彼女がある日一緒に音楽を創ってみよう。と言った。私は当然承諾した。彼女とずっと一緒にいたいから彼女と何かをしてみたら絶対に楽しいと思った。

彼女はボーカル、私はハモリ&ギターを担当した。昼は学校、夜にたまに路上ライブをするという日々が続いた。
学校は二人とも同じで、毎日電車に乗って通っていた。学業なんてそっちのけでひたすら音楽の話ばかり、当然登下校中も。

二人の作曲場所は地元にある川岸、公園、森の中、どこも子供のころ親しみのあった場所で作っていた。
理由はそこが一番落ち着くから。すれ違うことなどなく、いつも手を取り合って生きていた。

そんな毎日の成果が実ったのか、声がかかった。
夢はなかったけれど毎日音楽をしていられればそれでよかったから、デビューしてもそこまで変わらなかった。環境が整っただけと思った。

それから今までのように努力していればチャンスをつかめると思った。けれど話題になるもその後はあまり売れず、悪い状況が続いた。

きっと潮時だったんだと思う。この時、二人の考えは同じだった。死んでしまおう。もう悔いはないと。
これまで一緒にこれたこと楽しかった。私はあなたと一緒に死ねたら幸せだと。

それから…私は自宅で寝ていた。あたりを見回すと少女が鼻歌を歌いながらお粥らしきものを作っていた。聴き慣れたメロディー、けれどどこで聞いたかその少女が誰なのか思い出せない。ああ、これは夢か、と思う。
シーンが変わり、彼女が余所行きの格好をして靴を履きながらまたメロディーを奏でている、どこかに出かけるらしい。どこに行くの?と声をかけても届いていない。歌うのに夢中なのか、本当に届いていないのかはわからないが。どこに行こうというのだろうか。

そんなことを考えていたら玄関のドアを開けて出かけてしまった。置いていかれてしまう、嫌だ。と無意識で体が動き、彼女を追う。また知っているけれど、知らないリズムに乗せて手すりをトントントンとたたきながらこちらも見ずに迷いもせずに彼女は歩いていく。
夢なのか、彼女が叩いたところから光の球がはねて、光が音楽を奏でているように光った。追いながら、それは話しかけると今にも消えそうに光り、とても幻想的でずっと見ていたいと思った。

けれどそんなわけにもいかない。どこに向かっているのか、そもそも私は彼女を知っているのか。彼女は手すりや塀を叩き、なければ足元をリズムに乗せて楽しそうに歩いていく姿を後ろから見て、私は話しかけられないまま考えていく。

行く先々に楽しそうに音を奏でる二人組がいる。これは自分の体験したことがあるものだと思った、だがその時の私はいわゆる夢の中だからなのか、そのことを思い出せなかった。
後になって思う。たくさんの曲を二人で作ってきた、どの曲もいろんな場所でいろんな思い出がある。どれもきっと他人から見たらくだらないことばかり。けれどそれが幸せだった。
そんな思い出の場所を彼女はその時作った歌とともに巡っていると。

最後に彼女は二人が身を投げた場所に行きつき、やっと私のほうを見た。そして何か言葉を言った後、これまでに見たことのないような悲しそうに笑う顔をしていなくなってしまった。--まって!!

そして目が覚めた。

私だけが生き残ってしまった。
ああ、彼女はきっと別れの言葉を私に残したんだ。

「大丈夫。」

と、これからはわたしがいなくても大丈夫と。
そう伝えたかったんだろうか。
そんなわけないのに。

けれど死のうにも自分では度胸もない。彼女がいたから何でもできた。きっと彼女はこの先のことも見透かして大丈夫と、あなたなら生きていけると微笑んだのではないか、、、そう思いたい。

そうして、私は一人で音楽を続けている。音楽をしていれば彼女が近くにいるような気がした。彼女との思い出、彼女への思いをつづって今日も歌う。

3/14/2025, 4:51:55 PM

思考の森を掻き分けて
言葉の海を泳いで
今日もまた旅をする
まだ見ぬ君を探して

3/13/2025, 4:41:17 PM

あ、朝。
目覚めて、カーテンを開く。
光が刺したこの部屋に、今日も1人。
誰も私を見ない、私も誰かを見ない。
まるで存在を無くしたみたいだ。

今日は何をしようか?
コーヒーを入れて、パンをかじろう。
終わったら、お気に入りの服を着て、外に出ようか。
私の存在を色を彩るように。

足元に咲いた花、公園で遊ぶ子供の声、
木の葉が擦れる音、猫の鳴き声、
踏切を横切る電車。

少しばかり、私の話をしよう。
ずっと感情が何か分からなかった。
喜怒哀楽も、何もかも。
目の前で起こる全てが、画面越しに見える景色で、私はそれをじっと見つめていた。
心はずっと空っぽだった。

きっと透明人間と言っても過言じゃないほど、
他人と関わってこなかった。
語るべき変化などないけれど、画面越しに世界を見て十数年、他人は煩わしいものばかり落としていく。
そうして私は、色をつけるのは自らだと気づいた。

だから、たとえ今私が透明人間であろうとも、私は私のやり方で、毎日に彩りを与える。

さぁ、何処へ行こうか。

12/1/2024, 3:20:58 PM

よく仕事で色んな所に出張する。
車、新幹線、飛行機、さまざまなものを使って、
目的地までの道を往く。
便利な世の中で、行きたいと思えば、
数時間で目的地に着く。
(もちろんお金はかかるが…)

家に引きこもっていた自分では、想像もできなかった未来。
外に出ることが難しかった。
体力も時間もお金もなかったから。

それが今や、1週間家に居ないことが多いほど、
どこかに行っている。
出張するまで気付かなかった。
どれだけ距離があろうとも、どこにでもいける。

もし「オーロラを見に行こう」なんて
君が言うことがあっても、
僕はその返答を迷わず答えられる。

そんなことを冗談みたいに、
時間も金もないと、息苦しいと言う君に伝えたい。

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