umina*

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君は、ずっと先へ先へと
坂を下る、早足で駆け下って、
平坦な道でも、ずんずん先へ進んで。
脚の疲れも知らずに、坂を駆け上がってたね。

僕は、坂を下るのは、転びそうで怖くて、
歩幅は狭くって君との距離が開く。
縮めようと、足を踏ん張って坂を駆け上がって

それでも、いつも追いつけなくて。

君の背はいつも大きくて頼もしかった。
どれだけの重荷が背負われているのか。
何も聞けなかった、何も語ってくれなかった。

後ろを振り返ってもくれなかった。

いつか隣を歩けるように、進めるだろうか。
そう不安になっても、いつも背を見るだけ。
君はどんな顔をしてたのか、僕は分からなかった。

その差を縮めるのは一体なんだろうか。
時だろうか、速度だろうか、覚悟だろうか。
きっとこうやって悲しみに暮れることも

君にはありはしない

そう思っていたんだ。


ふと君が立ち止まって、俯いたその顔は、
悔しそうで、悲しそうで、それでも、
顔を拭いきったその背中はいつものようで。

誰かが居なくても、君は独りで進んで行ける人なのだと。
僕はずっと君を追い越すことは叶わない。
そう悟った。

それでも憧れた。
憧れていつか君の隣にいれるよう、
君の背を追って、ここまで来た。

悲しくなっても、僕がいるって言えるようになったよ。
怯えても、手を引ける様になった。
これまで来れたのは君のおかげなんだ。

ありがとう。




読み終えた手紙に、1つ涙が落ちる。止まらなくて、止まらなくて、私は……、

その日、夢を見た。
君の背中がどんどん離れていく。
走っても走っても追いつけない。

遠くで君が振り返る。
笑顔で言葉を1つ残して。

未だに言葉ははっきり聞き取れなくて

私はまだ、君の背を追っている。





6/21/2025, 6:19:17 PM