カンカンッギャリリリッ
昨夜の雨も上がって
わざとらしいくらいの青空に工事の音が響く
新しく駅ができたこのあたりは新興の街で
変に高いマンションと更地の隙間にところどころ公園みたいなものがある
明るい緑をたたえる同じかたちをした樹たちはレンガの下にきちんと根を張れているのだろうか
まだ白い光から彼らが作ってくれる影を享受するベンチで
マンション群から吐き出されてくるひとたちが駅に吸い込まれていくのをひとしきり見届けた
俺が育った街
でも見慣れない街
幼い頃、隣に住んでた幼馴染みはおばあちゃんっ子で2つ結びが可愛い子だった
区画整理で大枚を積まれ散り散りになったこと自体は仕方ないと思う
いまも時折、あの子が何をしてるかななんて思うのは
一種のノスタルジーでしかないから
あの子のいなくなった街で
俺は赤い日差しの中、駅から吐き出されていくひとびとを見てる
-初恋の日- 2024.05.08青
5/8/2024, 3:05:44 AM