中学生の時、初めて缶コーヒーというものを飲ん
だ。牛乳でコーヒーを薄めたものしか飲んだこと
がなかった私からしたら、缶コーヒーという物は
大人びたものに見えて、魅力的だった。
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その日、わたしは部活の帰りに部活の先輩と一緒
に学校にお金を持ってこないと言う校則と、帰り
に物を買わないと言う校則を破った。
校則を破ることに抵抗はあったけど、イケナイコ
ト、ワルイコトをしていると言う感覚は正直言っ
て好きだった。
夏の熱が残った、秋のことだった。
少し暗くなった帰り道の光る自動販売機で、
私はスポーツドリンクを、先輩は缶ジュースと間
違えて、缶コーヒーを買っていた。
しゅんとする先輩がなんだか酷く可哀想に見え、
交換しますか?と先輩にスポドリを差し出すとさ
んきゅ、と言って缶コーヒーを差し出して来た。
貸し1ですよと私が先輩をこづくと先輩がわかって
るよとはにかんだ。
まじかで見る先輩の笑顔はなんだかいつもと違っ
て私のほおを火照らせた。
先輩と帰路につき、熱いコーヒーを啜る。
初めて飲む缶コーヒーはあったかくて、苦かった
けど少し香ばしい味がして、先輩の匂いがした。
初恋の日
5/8/2024, 3:08:04 AM