『優しくしないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
好きじゃないなら私に優しくしないで。
勘違いしてしまうような態度とらないで。
まだ、チャンスがあるかも?って勝手にときめいて、勝手に落胆して
それが、片思い……なのかな?
「優しくしないで、私は1人で大丈夫なんだから」
そう言う彼女の目は潤んでいた
1人で本当に大丈夫なの?
彼女の言葉を信じようとした
それでも1人にしたくなくて、傍に居たくて
「私が1人が嫌なだけ」
そう言って寄り添っていた
私は嘘つきだ
『優しくしないで』
『触れないで』 涙の君が うつくしい
あなたにそっと ニチニチソウを
-
だいじょうぶ? 撫でることばが かなしくて
あなたがひとり 帰る家なら
-
浸かれない あなたのやさしさ 持ち帰り
夜のタクシー 一心不乱に
-
渡された 封筒の口 しわしわで
ありがとうとは 言いたかったよ
-
だいじょうぶ 言い切る背中 5回目の
一本の道 ランドセル往く
優しくしないで
そんな温もりはいらない
そんな優しさもいらない
お灸のような熱
針のような刺激
力ずくの指圧力
骨のように凝り固まった
肩肉を誰かほぐしてくれ
高校時代に野球に明け暮れた俺たちは、久々にその時の監督と飲む事になった。
なんと、俺たちが出場して以来10年ぶりの甲子園出場、そしてベスト8という好成績を残したからだ。
はじめは照れくさそうにしていた監督。
俺たちも
「監督、丸くなりましたね。昔はもっと怖かったですよ」
や
「監督、優しくしないでください。もっと怒って下さい」
など、和気あいあいとしたものだった。
最後に監督は目に涙を浮かべ
「お前達の代で甲子園に行けるのは最後だと思っていた。それが今年行けた。さらに、お前達にここまで祝って貰えた。ワシはワシは、こんなに幸せな事は無い」
その言葉に皆、下を向き頷いていた。監督の涙を見たのは甲子園で負けたあの日以来だった。
そこへ、間が悪く、居酒屋の店員が入ってきて
「すいません、ラストオーダーになります」
一瞬空気が緩んだ瞬間だった。
そしたら1人の人間が
「すいません、生中1つ」
すかさず
「お前は皆の分の注文も聞け!」
監督のツッコミが入った。
あの頃の監督を見ているようだった。
これ!これ!
座が一気に湧いた瞬間だった。
監督まだまだお元気に、あと何年も甲子園目指して指揮してください!!
「いつも優しいですね。」
「ありがとうございます…本当に優しいですね!」
「凄い!
「よく頑張ったよ」
「無理しないで」
「辛いね」
ありがとう
でも優しくしないで
みんなの方が頑張ってる
違う
私が傷つきたくないだけ。
だから頑張ったの
だから手助けしたの。
やらなかったらなに言われるか怖くて。
私より辛い思いしてる人が他にもたくさんいて
それに比べたら私の悩みなんて
私の努力なんて大した事ないんだよ。
これを辛いと言っちゃいけない
これを許しちゃいけない
みんなもっと凄い
みんなもっと辛い
だから
私を許さないで
私を 私に
–優しくしないで–
優しくしないで
愚鈍な僕は直ぐ勘違いを起こすから
優しくしないでください
ねぇ普通って一体なんですか
近すぎやしないかと
距離感を常に図るような
素直すぎやしないかと
ふと冗談にして笑うような
そういった事をもう何十回何百回と
心の中で思案していると
時々自分が馬鹿らしく思えてしまうんです
他に縋ればいいのに
どうして君じゃなきゃいけないんですか
どうして君は泣きたくなるくらいに
そんなに優しいのですか
どうしてもうずっとこんなに
痛いんですか
優しくしないで
そう願うのは確かその裏で
誰よりも優しくされたいと願う
貪欲で熟れ過ぎたこの心臓が
どうか早く灰になりますように
お題「優しくしないで」
とある施設の一つの檻の中に一人の少女がおりました。
少女は悪魔の子だと村人から言われ、囚われておりました。
毎日、毎日、暴力などを振るわれ続けました。
そんなある日救世主が現れました。
彼は村人から高額でその少女を買い取りたいと言い出したのです。
もちろん、村人達は口々に言いました。
「あいつは悪魔の子、忌み子だ」と。
それでも救世主は意思を曲げませんでした。
とうとう少女は買い取られ救世主の屋敷にやって来ました。
少女は思いました。
「どうせ、この人も私を忌み嫌うのだろう」と。
しかし、そんなことはありませんでした。
救世主はいくら周りの人々から「そいつは悪魔の子だぞ?」と脅されても
彼女を可愛がり続けました。
ご飯を上げて、風呂に入れ、服と住む場所を与えました。
そんな生活が数週間続いたある日でした。
少女が言いました。
「なんで私に優しくするの!?今まで通りの生活で良かったのに...」
少女は涙声でそう言いました。
理由を問えば、村人達は少女をいじめるときだけは嬉しそうに笑い、
その笑顔は自分が居なければ見られないから、この時だけは役に立てるから、と
なんとも、無惨な理由でした。
そんな言い分を聞いた後でも救世主は彼女を可愛がりました。
ずっと、ずっと、ずっと、少女が息絶えるそのときまで、
自分が居なくなるそのときまで...
優しくしないで
「優しくしないで、どうしたらいいのか分からないの?どうしたらいいのか教えてもらいたいの?少しぐらの無理でも頑張ろうと思うわ。それが二人のためになるのだったら。」と言う筋書きを考えてみた。優しいだけの男では物足りないものがのこる。優柔不断とみられることもある。自分で決められない時は、誰かに任せるしかない。適切なアドバイスを授けてくれる人は恩人になる。先生という職業は顔で笑って、心で泣く。
#37 優しくしないで
自己嫌悪からか
自暴自棄からか
理性的であろうとするあまりか
とにもかくにも
優しくしないでと嘆く人は
その特定の人にでも
周囲の人にでも
見知らぬ人にでも
とにもかくにも
相手の優しさに敏感な
優しい人だ
嫌いだった。
君の手が、君の顔が、君の声が、君の目線が。
君の、何もかもが嫌いだった。
こっちを見て柔らかく微笑むのも、いつもその透き通った目を合わせて話してくるのも、弾むような、いやに心地のいい声で私の名前を呼ぶのも、しっとりとしたささくれ一つない指先で私の手をとるのも。
君の全部が私の心のやわらかい部分にひどく鋭い痛みとなって刺さるのだ。貶すところひとつないような君を見る度に、自分の中にある醜さに気付かされるのだ。
きっと君だって私がどうしようもないやつだと気付いているだろうに。なのにどうしてそんな目を向けるのだ。君のせいでおかしな勘違いをしてしまいそうになるじゃないか。全てが許されて、肯定されているような気になるじゃないか。
君といると知らないうちに泣きそうになるから。
君といるとどうしても叶わない欲が出てしまうから。
これ以上自分が醜さを露呈させる前に、どうか、どうか優しい君を嫌いだと思わせてくれ。
【優しくしないで】
たったひとつの、嘘。
あなたの気を引きたくて、軽はずみについた小さな嘘。
今となってはもう言い出せない。
優しくされるたびに後ろめたさと、あなたが私を見てくれる喜びがせめぎ合っている。
(優しくしないで)
田舎じゃ家常茶飯の事とはしばしば言われもしたし、事実そう思ってもきた。けれど、その日の気分もあったのだろう。事故の痕跡をまざまざと目にして、わたしの心には特に遮るものも無く、可哀想だなと素直に思った。
車を運転していた母は如何にも鄙びた顔と物言いで、同情なんかしたら猫の霊が憑くよなんて言う。わたしは思春期に有りがちな反抗心の暗然と燻るのを自覚しながら、車窓の下方へぼんやりと視線を落とすと、なお一層、置き去りにされたまま退きゆく後景に向かって哀憐を注いだ気になった。
それから一月も経った頃だろうか。庭に出ていた母が呼ぶ声がした。縁側に出ると、まだ稚気ない仔猫が居て、こちらを見ている。わたしの心裡にいつかの光景が薄暗く蘇る。
気づけば足首の辺りに柔らかな温もりが触れる。そして、甘やかな声を上げながら、まん丸な瞳がわたしを見上げている。
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優しくしないで
優しくしないで
大失敗をしてしまった
沢山の人に迷惑をかけてしまった
何してんだと怒ってくれればいいのに
優しく大丈夫と言ってくれるの
安心と申し訳なさで
涙が出てきてしまう
お願いだから
優しくしないで
#優しくしないで
「優しくしないで」
あの大きな石に触って
あの大きな石を撫でた
あの大きな石に願って
あの大きな石に手を合わせた
貴方の面影を見つめながら
待っていて
間違いだらけの世界に
透明な鉛筆でカレンダーにバツをつけた
ジャッジできるわけない
そういいながら
唯一希望の星空の下
ハンモックで夢を見る
光と融合したおとぎの国は
涙の雫を集めて
片っ端から水やりした
夢に見る砂漠に咲く一輪の薔薇
たった一人に会う夢は
叶えられる筈だった
でも一向に
貴方の姿が見えない
でも一向に
ファントムの仮面も薔薇もない
この世界の闇もオルガンの音も
まだ残っていた
遠い遠い遠い光の昔
「もうすぐ地球へ行く」
そういう貴方は私の額にキスをした
「優しくしないで」
もっと違う言葉を言えば良かった
何度も何度も輪廻転生
楽しかった筈のメリーゴーラウンドは錆び
それでも想いだけは忘れずにいた
会えない時がこんなにも
長くなるなんて知らずに
世界が緑と笑顔と安心で埋め尽くされても
大切な人がそばにいなくては
きっとそこは無機質な
冷たい石が敷き詰められた空間
涙の雫を集めて
片っ端から水やりした結果
美しいローズガーデンが完成
黒いマントを翻し
仮面を外しながら
歩いて来るのは私のヒーロー
大きな貴方が小さく手を振り
駆け寄る私を抱きしめる
貴方の唇と私の額が触れ
やっと逢えたねと微笑んだ
二人暖かな手を繋ぎ
永遠に離れない魔法をかけた
この世界の闇も
薔薇の花びらと共に散る
了
いや、何言ってんだよ。優しくしてくれ。絹ごし豆腐を鍋に滑り込ませる時の手付きくらいの優しさで頼む。
他人なんだからいつだって厳し目に見てんだよ。優しくしてくれる民は貴重なんだぞ。でろでろに甘やかせとは言わないが、会ったら笑顔で挨拶してなんだったら美味しいもの情報交換会するくらいの穏やかさを求む。
そのくらいならこっちだって「お、この人は多分大丈夫っぽいひと」って、見送らないで一緒のエレベーター乗るくらいの歩み寄りはする。
誰にでも分け隔てなく優しい人
あなたのようになりたいと思いながらも
そうなれない自分の度量のなさに
今日も溜息をつく
ほとんどの人を見下している高身長、険しい顔は整っているだけに威圧感があり、現実主義者で論理的。彼を知る人からの総評は、人間っていうよりロボットっぽいよね。そんな男性が、私の先輩だ。
趣味とか好きなこと、ないんですか?
ひょんなことから知り合ってわかったのは、雑談に誘うと意外と乗ってくれるということ。しかも真面目に考えてくれるので、今日も私は自販機前で偶然出くわした彼に会話をもちかけている。アーモンド型の目が虚空を少しの間見つめた後、私に向き直った。
喫茶店で本を読んだりはする、と答えた彼に愛読書を伺うと、私もかなり読み返した小説のタイトルが挙げられる。すっかりテンションが上がってしまいオススメの本を連ねて今度貸すことを約束していると、自販機から飲み物が吐き出される音がした。ハッと我に返った私に差し出されているのは、私がお財布事情を考慮して諦めた少しお高めのココア。
飲みたかったんじゃないのか。
僅かに困惑したような彼にお礼を言いながら、恐る恐るそれを受け取る。だって、買おうか迷っていたことを見ていて、奢ってくれるなんて想像もしていなかった。
すらりとスタイルの良い高身長、端正な顔立ち、理知的で芯があって、ミステリアスな彼。
優しくされては、もっと、近づきたくなってしまうじゃないか。
『優しくしないで』
僕は君を殺した
痛い。辛い。苦しい。
誰か助けて。
「ねぇ、やめなよ」
誰だろ。僕を助けてもいいことなんか無いのに。
「大丈夫?」
「え、うん...」
「名前は?」
「僕は...律」
「りつ?」
「うん...平井 律...君は?」
「俺の名前?」
「うん...そう」
「俺は朝霧 天音」
「あまね...いいな」
「え?」
「いや、あまねって名前いいなって」
「そうかな?」
「うん」
「ねぇ...朝霧さん」
「あまねで良いよ」
「え...あ、うん」
いきなり呼び捨てか。何なんだろ...この人。
「ねぇ...あまね」
「ん?」
「なんで僕を助けたの」
「...」
「僕が殴られてんのなんか無視した方がいいのに」
「だって痛かったでしょ?」
「......」
痛かった。殴られるのも、暴言吐かれるのも嫌だ。
辛かった。助けて欲しかった。でも...
「でも僕に関わったらあいつらが―」
「そんなのどうでもいい」
「え...」
「りつが助かるんだったらなんでもいい」
何なんだ。今まで僕の事見向きもしなかったのに。
今更助けられても信用できない。
今の言葉も信用しない。
きっと僕のことを裏で嘲笑ってんだ。
弱くて何も出来ない雑魚だって。
だったら...
「とにかく僕とはもう関わらない方がいい」
「なんで」
「君には関係ない」
「ちょっと待っ―」
僕はずっと前に決めてた。人は信用しない。
もういい。全部一人でやる。邪魔しないでくれ。
「ねぇ、やめなよ」
「大丈夫?」
「だって痛かったでしょ?」
「そんなのどうでもいい」
「りつが助かるんだったらなんでもいい」
「俺は朝霧 天音」
...何なんだよ。もう、人は信用しない。
皆助けてくれない。皆、僕を嘲笑う。
弱いやつだって。可哀想なやつだって。
皆、僕のことなんか...
「りつが助かるんだったらなんでもいい」
弱いやつ、可哀想なやつだって......
「だって痛かったでしょ?」
痛いよ。苦しいよ。辛いよ。悲しいよ。悔しいよ。
「りつが助かるんだったらなんでもいい」
もし...もしあまねが本当に思ってるんだとしたら。
もし、本当に助けてくれるとしたら。
助けて。
「......」
人の机に花瓶なんか置くなよ。
僕はまだ死んでない。
またあいつらだ。
なんで同じクラスにするんだろ。
先生も皆、僕のことなんか―
「朝霧が平井と話してたらしいよ」
「マジか」
「えー朝霧君かっこいいのに勿体なぁーい」
「ねーほんと、平井ってあの雑魚のことっしょ?」
「おいやめろよw可哀想だろ」
あまねが僕と話してるところ見られたのか。
だからやめろって言ったのに。
「りつ」
あいつら、ついでに僕のこと言ったし。
ほんとに同じ人間とは思えない。
「りつ」
いつもそうだ。周りの奴らも見て笑ってるだけ。
皆、ヘラヘラして。気持ち悪い。
「りつ」
「...!」
「...あまね」
「おはよ」
「なんで来たの」
「昨日、中途半端な感じで終わっちゃったから」
「僕にはもう関わるなって言ったよね」
「関わらない方がいいって言われた」
「同じ意味だよ」
「いや違う」
「あまね、君は僕に......」
皆がこっち見てる。
「りつ?」
「あまね、違うところで話そう」
「わかった」
「りつ...関わるなってどういうこと」
「矛先があまねに向くってこと」
「...」
「クラスで言ってたんだ」
「「朝霧が平井と話してる」って」
「俺がりつと話して何がダメなの」
「わからないの?僕が気持ち悪いからだよ」
「気持ち悪い?」
「弱くて何も出来ない無能だから気持ち悪い」
「...」
「そんなやつとあまねが話してたら―」
「なんでそんなこと言うの」
なんで...なんであまねがそんな顔をするの。
辛いのはこっちなのに。痛いのは僕なのに。
「僕は矛先があまねに向くのが嫌だ。
僕が殴られてるのを助けてくれた。
でも僕を助けたから次はあまねが殴られる
かもしれない。暴言を吐かれるかもしれない。
それが嫌だから。もう関わらないで」
「わかった」
「...じゃあ、あの時助けてくれてありが―」
「嫌だ」
「...え」
「りつが関わって欲しくない理由はわかった。
でも、嫌だ。俺はりつと関わる。それは
俺が決めることだから」
「ねぇ...なんで今なの」
「...え?」
「今まで僕のことなんか見向きもしなかったのに」
「りつってあんま周り見ないでしょ」
「は...?」
「俺、転校生だよ」
「うそ」
「ほんと」
「え、じゃあ尚更なんで」
「俺と似てたから」
「...え、今なんて――」
「なんでもない」
あまねの顔が、見たこともないくらい悲しかった。
触れちゃいけないってすぐに理解した。
それからあまねとはいっぱい話した。あいつらの
僕に対する暴力とか暴言は変わらなかった。
変わったことは、皆のあまねへの対応だ。
あまねが僕と関わったことで矛先があまねにも
向いた。
そして...最近あまねのケガが増えた。
「あまね...大丈夫?」
「え?何が?」
「最近ケガ増えてる」
「あーwうん、大丈夫」
「本当に?」
「うん」
「やっぱり僕なんかに関わらない方が――」
「そんなこと言わないで」
「でも...僕のせいだ」
「りつのせいじゃないよ」
「ごめん」
「なんで謝るの?」
「僕は助けて貰ったのにあまねのこと
助けられてないから」
「俺は助けられなくても平気だよ」
「......」
「心配かけてごめんね」
「...」
ごめん。あまね。
僕、君を助けることが出来ない。
僕が弱いから。僕が無能だから。
胸を張って「あまねのこと守らせて」って
言えなかった。守れる自信がなかった。
「...あまねは優しいね 」
「...? なんでそう思うの」
「いつか話すよ」
「なんだよそれw」
あまねと出会ってから、あまねが助けてくれてから
半年経った。
あれから、だんだん僕への暴言、暴力が減った。
それと同時にだんだんあまねの怪我が増えた。
そのことについて何回もあまねに大丈夫か聞いた。
でもいつもあまねは笑ってあしらった。
助けたい。
でも本人が大丈夫と言う限り何も出来ない。
僕は、なるべくあまねの発言を意識して生活した。
助けて欲しいような発言を探してた。
でも、あまねからのSOSは見つからなかった。
僕は今日普通に登校していた。
普通に学校に行って、普通に上履きを履いて、
普通に教室に入って、普通に朝会に参加した。
朝会では悲しいお知らせがあるって
校長が言ってた。
僕は あまり僕には関係ない話だ って思った。
「今日は皆さんに悲しいお知らせがあります」
――朝霧 天音さんが亡くなりました――
「は...?」
なんで...事故?交通事故とか?
それか事件?誰かに殺された?なんで?
なんで死んだの。
「昨夜、自宅で自殺を――」
嘘だ。自殺なんて、嘘だ。
あまねは...大丈夫って..ずっと.........
え?いない?もういないの?
あまねが死んだ? 嘘つけ。
昨日まで...一緒に.....
僕はあちこち探しまわった。
いないはずない。昨日までいたんだ。
あまねのクラスに行った。
あまねの机には...花瓶が置かれていた。
あまねの荷物も何も無くて
本当にあまねが死んじゃってるみたいな。
でも、まだわからない。
死んでなんてない。そんなわけない。
僕は今まであまねと歩いた場所を駆け巡った。
学校は早退した。学校なんかより大切だった。
僕にとってあまねは...
ダメだ。あまねがいなくなったら僕は...
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ。
嫌だ。そんなの考えられない。
そうだ...昨日あまねから教科書を借りてた。
届けに行こう。返さなきゃ。
会わなきゃ。あまねに。
僕はあまねから借りてた教科書をもって
家から飛び出そうとした。
その時――
1枚の紙が教科書から落ちた。
僕は...その紙を手に取った。
その紙は、メモ用紙のようなもので
そこまで大きくはなかった。
紙には...ただ一言......
「ごめんね」
そう書かれてた。
僕は今、学校にいる。
手の中にあるメモ用紙のような紙は、
強くにぎりしめたせいか
くしゃくしゃになってしまった。
僕はあれから2週間。あまねを探した。
今まで行った場所。あまねが好きな場所。
よく立ち止まって話した場所。
初めて会った場所。
隅から隅まで探した。だけど
どれだけ探しても
あまねなんてどこもいなくて。
皆があまねの死を忘れて笑顔で過ごしていた。
どれだけ探しても
どれだけ呼んでも
いない。
僕がどれだけ殴られても
あの時みたいに...
「ねぇ、やめなよ」
あの時みたいに...助けに来てくれない。
こうやって振り返ると
最悪な人生だったな......
でも...あまねに出会えたことが唯一の救いだった。
最悪だったけど、良かった。
ごめん。あまね。僕は助けてもらったのに。
僕は君のことを助けられなかった。
「ごめんね」
なんで君が謝るの。僕が悪いのに。
僕と関わらなかったら、こんなことには...
僕のせい...僕のせいだ。
僕が悪い。あまねの優しさに甘えてた。
最期の最後まであまねは優しかったな。
それに比べて僕は...
ごめん。あまね。ごめんなさい。
もう...そっちに逝くから。
待ってて。すぐに会いに逝くから。
もう...一人で抱え込ませないから。
また、会ったらちゃんと謝るね。
ごめんね。あまね。
そういえばあの時――
「俺と似てたから」
なんで僕を助けたか聞いた時にあまねが答えた。
どういう意味だったんだろう。
また会ったらちゃんと聞こう。
―――あれ。
頭から落ちたのかな。
飛び降りって...こんな痛いんだ。
血が出てるのがわかる。
痛い。
あれ...何だっけ。
僕にとって大切な人。
忘れちゃいけないこと。
何だっけ。
誰?
痛いよ。
痛い...
痛い。辛い。苦しい。
誰か助けて。
END
私を叩く時は、強めにしてください。
優しく撫でるようにするのも構いませんが、それでは私は力を発揮出来ないかもしれません。
私は痛みを感じません、ですので思う存分叩いてください。
遠くまで、私の声をアナタの思いを、届ける為に。
きっと、それで救われる人がいるでしょう。
私を叩いてください、私の音を響かせてください。
いつか朽ち果てる、その日まで。
私は、ただのピアノですから。
テーマ「優しくしないで」