『何もいらない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『何もいらない』
誕生日に何が欲しいかと聞くと、娘は必ずこう答えた。
「何もいらない」
一見、無愛想な返答にも思えるが、意外にもその声色は軽やかで、表情はニコニコとした笑顔に満ちている。
初めての事は、4歳の頃の事だった。
それから誕生日を迎える度に、何が欲しいかと尋ね、娘は毎年必ず「何もいらない」と答えた。
別に構わない事ではある。
だが、疑問も、芽生えてくる。
まだ小学生の、それも高学年でもない子供が、誕生日プレゼントを欲しがらないというのは、少し奇妙な言動のようにも思えたからだ。
普通、もっと色々なものを欲しがらないだろうか?
まして年頃の女の子が、誕生日に何もいらない、というのは何か裏があるのではないか?
しかし、そんな疑問を押し付けても、意味の無いことだ。
娘が何もいらない、と言うのであれば、それが娘の意思であり、性格なのだろう。
ならばその意向を尊重するのも、親の務めに違いない。
そうして12歳の誕生日を迎えた時。
娘は何も欲しがらないだろうと思い、誕生日は盛大に祝った上で、もう何が欲しいかと聞くことはしなかった。
翌朝。
娘は失踪していた。
何もいらない?
いや、いや、
若い時ならね
愛だの恋だのあったけれども
今?
やっぱり
食って行かなきゃ
食わして行かなきゃ
ダメなのよ笑
若い時にいーっぱい
恋愛してね❤️
【何もいらない】
君を救えるのなら何もいらない、とあの日、そこから先の未来を捧げて、10年前の過去に戻った。
明日で、あれからちょうど10年経つ。
君を滅ぼす原因は取り除かれた。
今、目の前には、君の眩しい笑顔がある。
“あの日”になくしたものが、ここにはある。
幸せだなあ、と思う。
寂しいなあ、とも思う。
明日、私は死ぬ。この幸せを感じることはなくなる。
“あの日”、時間遡行の奇跡を起こす代わりに、ここから先の未来は要らないと、世界に差し出したからだ。
君はこのことを知らない。私が君を救ったのは、私が勝手にやったことで、その影響で私の命が消えることなんて、君は知らなくていい。自分のせいで、なんて思われたら堪らない。
私は、自ら望んで、この運命を受け入れた。
それなのに、この幸せを失うことに、明日より先の日々がないことに、猛烈に寂しさを覚えてしまう。
君の笑顔を取り戻したくて、それ以外は要らなかったはずなのに、矛盾している。
「は?」
ご機嫌に話していた君が、急にぎょっとした顔をする。
私は訳が分からなくて、見開かれた君の目を見返す
ことしかできない。
「何で泣いてんの」
そう言われて初めて、自分の視界が歪んで、頬を雫が伝っていることに気づいた。
「あれ、おかしいな、なんでだろ。わかんない」
私は後から後から流れてくる雫を拭いながら、何も分からないふりをする。
「そんなにこすったら、腫れるよ」
君がハンカチを差し出してくれる。
「ごめんね」
私は受け取って、目に当てた。ハンカチからフワッと君の香りがして、余計に涙が止まらない。
“あの日”は本当に、君を救えるなら何もいらないって思ったのに。
幸せに笑う君の笑顔が守れるなら、それだけでよかったはずなのに。
いつの間にか、これから先を、『もっと』と望むようになっていた自分に気づいてしまって。
勝手で、欲張りで、わがままで、ごめんなさい。
「ごめん、ごめんなさい……っ」
言葉が口からこぼれ落ちた。
ふと、頭の上にあたたかい感触がした。
見れば、君が困った顔で私の頭を撫でてくれていた。
「よしよし。全然何もわかんないけど、大丈夫だぞ〜。泣き止むまでそばにいてあげるから、涙出せるだけ出し切っちゃいな」
優しい声だった。
これまでの君との思い出が脳内を駆け巡る。
愛しい。大好き。
「ありがとう」
自然と気持ちが音になる。
「どういたしまして」
君が微笑む。
大好きな君が、ここにいる。
明日、私の命は消える。
“あの日”から取り戻した幸せを抱えて、もっと先を望みながらも、それでも、私は逝く。
寂しい。苦しい。
けれど、きっと君の人生はその先も続いていくから。
それでもいいと、今は思えた。
【何もいらない】
今日は東城会六代目の誕生日ということもあり、たくさんの祝いの言葉と品物を貰った。どれもこれも有り難い。裏でなんと言われていようが大吾は祝われている事実をただ受け取った。生まれた日を誰かから祝ってもらえることは有り難いことだ。そう思うのに物足りない。
理由は分かっている。
数年経つのに未だ身体の一部を失った感覚がなくならない。喪ってもう何年経っただろう。分からない。
酒を呷る。一人になった部屋は広くて静かだ。アルコールがまわった脳が懐かしい声を思い出させる。
「大吾さん、飲みすぎはよくないですよ」
「いいんだよ、今日は」
「まったく」
人は最初に声を忘れるというが、今聞こえているこの声は本当にあいつのものなのだろうか。
「いろんな人に祝われてましたね。相手をするのも疲れたでしょう」
「そうだな、少し疲れちまった」
「水を飲んで休んだほうがいいのでは」
「いらねぇ。何も」
何もいらない。ただお前だけいてくれたらそれでよかったのに。
『何もいらない』
何も見たくない
聞きたくない
書きたくもない
そう思い
ペンも置いた
なのに僕は今
月を見ながら
頭の中で歌を詠んでいる
誰も聞いていない
大したものでもない
小さな小さな言葉が零れる
空中を指でなぞる
今ペンは持っていない
これは覚えておかねばならない
そうした思いが去来した
早々に家に帰ろう
何もいらないと言った僕に
サヨナラを
ペンを走らせているであろう
明日の僕に挨拶を
月に微笑み
踵を返す
明日の朝は冷え込みそうだ
「何もいらない
アナタの愛だけが欲しいの!
なのにどうしてダメなの?」
そう言って彼女は
泣きながら店を出て行った。
ひとり残された僕は
ポツリと呟いた。
「何もいらない?
キミはお金持ちの家に生まれ
何不自由なく育ったから
そんな事が言えるんだ!」
すっかり冷めてしまった
コーヒーを一口飲んで…
「僕は本当に
何も持ってないのに
なのにキミは愛まで手にするなんて
贅沢過ぎるよ」
お題『何もいらない』
何もいらない
かつて
『他に何もいらない、彼と愛し合う時間があれば…』
なんて思った。
そしてその彼と結婚し、15年が経つ。
子宝にも恵まれたが、かつての彼は、太った、ただの中年のおじさんだ。
そして、私もおばさんになった。
今は、2人の時間や会話さえ必要としなくなった。
本当に何もいらなくなってしまった…
《何もいらない》
あなたが傍にいてくれるなら
何もいらない
それだけで
私は幸せだから
「何もいらない」
心からそう思える私はきっと
幸せ者
「何もいらない。」
何が欲しいのか?あるいは、何が欲しかったのか?今はそれすら分からない。ただ此処で眠っていたい。
「何もいらない。」
こんなものは望んでいない!要らぬものを受け取るくらいなら、何も持たない方が余程マシだ。
「何もいらない。」
私は自由だ。私を縛るものなどもう無い。私は遥かに見えるあの雁たちのように、ただ真っ直ぐに、好きに生きるのだ。
「何もいらない。」
君さえいれば、僕は溺れる程の幸福の最中にいられる。僕と、君と。これ以上に、僕は一体何を望めようか?
何もいらない。今も、誰かがそう思う。
(何もいらない)
言って、しまえば。。
それまで、なんだけど、、
他に何もいらないと思えるほどの大切なもの
他に何もいらないと言えるほどの満たされた生活
そんなんあるわけない
何もいらない
何もいらないってなんだ
何もいらないは無理だ
水も飲まないのか
ご飯も食べないのか
服もいらないのか
なーんて考えてしまいました
私は知っている
何もいらないとなる時は
死ぬ間際だと
***以外、何もいらない?
そんなこと言って、貴方は何を求めているの?
-【何もいらない】
みさこ
君の笑顔が有れば良い
それだけ有れば生きていける
どんなに辛くても悲しくても
その笑顔が有れば生きていける
君の好きな歌は清木場俊介の
居なくなってしまう人を思う歌
僕も君の手を放した日から
歌の歌詞みたいに君を探してた
僕の中に君を探してた
記憶の彼方に2つの未来を探してた
2つがまた1つになる日を思ってた
僕は1人堪えるのが上手くなった
僕は1人の夜を越えるが上手くなった
僕の毎日は1人上手になっていた
それは強くなりたかったから
君の手を放した日に感じた
自分自身の弱さと正面から向き合い続ければ…
いつかかならず君に似合う男になると信じて
君と並んで歩く事の尊さを感じたくて…
君に会いたい君を美佐子さんを
僕はあの日々と変わらず愛してます
……
また君を怒られせた
やがて泣きだした
少し寒くなった夕暮れに
君は出ていく
仕方ない今夜は
冷蔵庫のカレーを温めて
君が帰るのを静かに待とう
作りすぎたカレーを翌朝食べる様に
一度冷めてまた温めてそれでいい
そろそろ探しに行こう
もう暗くなるから
君がほんとに居なくなったら
僕はどうすればいいんだろ
手を繋いで帰ろうとりあえず
だからね…
来週あたりまた
たっぷりカレーライス作ってちょうだい
ほぉーミー ほぉーミー
一度冷めて また温めて それでいい
カレーライス KAN
…ごちそうさまを2人で言えるように…
20260420#何もいらない
必需品以外の欲しいものがなくなって
もうだいぶたつ。
本物以外、何もいらない。
知り合いはもういらない。
名前ばかり増えていく関係なら、持たなくていい。
すぐに消える言葉にも、その場しのぎの温度にも心を預けたくはない。
一人でいる寂しさより、集団の中で得る空虚の方が方がずっと冷たい。
だから数ではなく、たったひとつでも本物を探す。
傷つくことになっても、嘘に囲まれて鈍るよりはいい。
この胸がまだ何かを求める限り、諦めたふりはしたくない。
知り合いはいらない、ただ偽物ではない何かだけあればいい。
何もいらない
何もいらないっていうより
何が欲しいかも分からない
自分に期待なんてしてないし
これ以上の向上心なんてもうないし
疲れた
あ、唯一望むとしたら
全部の終わりかな
人間も地球も宇宙も
全部消えればいいんだ
何もいらない。すべて幸せなら何もいらない事は無い。 4月20日 のん
◎何もいらない
晴れた朝、窓の光が差すのに、眠さがほどけないまま布団の海に沈んだ。
まぶたが重くて、気分もすり減る。
そんなとき、ベッドの端で衣擦れの音がして、恋人がするりと潜り込んだ。
目を閉じたままでも分かる、甘えた犬みたいに擦り寄る仕草。
胸の奥がふっと温まって
「この温もりがあれば何もいらない」と思えてしまう。
眠いのに、心だけは起こされた。
彼の体温が朝をやわらげたのだった。