『何でもないフリ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題『何でもないフリ』
夏季補習3日め朝。学校に着き校舎の内入理、靴箱から上履きに履き替え2階空き教室に向かっていた萌香。
階段を登り、途中の踊り場で両腕を上げて体を伸ばしていた。
萌香「ん〜〜っ。今日で最後かぁ」
すると萌香の背後から大神が声をかけて来た。
大神「おはようさん!萌香(子猫)ちゃん。こんなとこでボケーっと立っとたら遅刻すんで(笑)」
萌香「お、大神君!?おはよう!え、嘘!?遅刻?」
萌香は慌てて階段を駆け上がり走って空き教室まで向かう。教室の扉を開け一歩踏み出し––––。
萌香「間に合った〜」
と言いながら席に着く。隣の席に座る大神はくっくっくと笑いを堪えているが次第にあはははと大笑いし始めた。
萌香「何かおかしいことあったの?」
きょとんとした顔をする萌香。大神は笑いながら教室に飾られた時計を指差す。萌香は大神が指し示す方へ目をやる。
萌香「8時10分……遅刻じゃ……ない!?」
大神「子猫ちゃん騙されやすいタイプやなぁ。気をつけなあかんでぇ(笑)」
萌香「き、今日はたまたま油断しただけだもん!」
大神「今日はっていつも誰かに騙されとるんか?」
萌香「騙されてません〜」
この3日間大神と毎日会う中でだんだん仲良くなっていった二人。萌香は大神の前でただの補習仲間として好意のないフリをしていたが、内心はずっと心臓がバクバクしていたのだ。
3時限終了後萌香は、意を決して大神に伝える。
萌香「大神君!連絡先教えて!!」
End
朝、業務が始まる前。緊張からなのか、いつも胃の調子が良くない。前の仕事より酷くはないけれど、胃の不快感がある。始まってしまえばいつの間にか不快感も消えるので、早く始まってほしいと思う。そして早く帰りたいと思いながら、何でもないフリをして働くんだ。明日も。
『何でもないフリ』
お風呂上がり、ふと体重計が目に入った。最近は寒さで動きなくないうえ、美味しい物が多い。そっと乗って薄目で確認した。
体重計から音が鳴った。増えてた。それも予想より多い。これはまずい。これから美味しい物が多いイベントばかり控えている。ダイエットする機会がない。体重計に乗ったまま頭を抱えた。
これが昨日の出来事で、明日からダイエットすることを決めたのだ。
しかし、今目の前にケーキがある。母が買って来てくれた滅多に買えないケーキだ。口の中に唾液が溜まる。
今日はダイエット初日だ。このケーキは我慢した方が良い。だが、この機会を逃せば次はいつこのケーキを食べられるか分からない。胸の中で天使と悪魔が囁き合う。
迷って迷って、目の前はケーキが乗っていた皿だけが残った。食べました。昨日は体重計に乗らなかったし、私は何も見なかった。ちくりと胸が痛む。ダイエットは明日から。
日直の日。
「麻生くん、ごめん、わたし、上まで届かなくて」
黒板の前で、日直のペアの新井さんが申し訳なさげに手を合わせている。
「いいよ。気にしないで。こういうのはできるやつがやればいいんだから」
俺は、何でもないことのようにサラリと答えて見せた。まあ、実際大した手間でもないし何でもないことなんだけど。
「麻生くん、ほんっとありがとね」
新井さんが笑ってお礼を言ってくれるから、俺はついついこうやって調子に乗ってしまう。
新井さんは、小さくて可愛い。小動物的な、庇護欲をそそられる可愛さがある。俺はいつも隣の席で彼女のことを盗み見ながらそんなふうに思ってるわけなんだけど、彼女と接するときは努めて何でもないフリをしている。だって、考えてることが彼女に伝わっちゃったら、いろいろ終わる気がするから。
黒板を消し終わって、席に着く。先生が入ってきて、新井さんの号令で授業が始まる。
俺は今日も何でもないフリをしながら、隣の彼女を密かに見つめるのだった。
お腹が痛い。月一という高頻度でやってくる、生まれた性別を恨む一週間が今月もやってきてしまった。重くて痛いお腹を抑えて、少し前屈みで波が過ぎるのを待つ。
「……どうしたの?」
心配そうに顔を覗き込まれて、慌てて首を振る。
「……お腹痛くて。でも、大丈夫」
「大丈夫な顔色に見えないけど……。薬を飲む?」
目の前のこのひとは、後天的に生まれた性別を除いた無性。除いた理由は知らないし、元々の性別すら知らない。
だからか、こうして性別特有の症状が出た時に、何となく言葉にしづらかった。
「へいき。薬飲む程じゃ、ないから。」
なんでもないフリをして、笑って首を振る。
何でもないフリをしていると、
何でこんなにモヤモヤするのだろう。
聞こえないフリをしていると、
何でこんなにガヤガヤするのだろう。
そうして僕は昼食を食べ終わり、教室をあとにした。
オートマティックに判別して、
微細なノイズとスルーした
取り繕った表層が
剥がれてしまわないように
あなたには知られないように
“何でもないフリ”
──この二人は私に隠し事をしてる。
幼馴染のユカリとコウスケと下校してる中、ナツミは後ろから二人を見つめながら思った。
あれは一週間前のこと。
放課後に教師に呼ばれ、二人には少しの間教室で待ってもらっていた。
急いで戻ると、ナツミが見た光景は、背伸びをしたユカリがコウスケにキスをしていたところ。
ドキリとしたナツミはすぐにしゃがみこんだ。口手をあて息を殺した。
あいにく、ユカリたちはナツミに気づかずクスクス笑いあっている。
──付き合っていたんだ……。
ナツミの心がズキリと傷んだ。
それからナツミは二人の関係に気づかないふりをした。自分の気持ちさえもなかったことにして。
──だってお姫様と結ばれるのは、いつも王子様なんだから。
「だ、大丈夫か?」
よそよそしく誰かが言って来やがった。
誰やねんお前。知らん奴が話しかけてくんな。
「大丈夫なのか?」
また言って来やがった。ガチで煩い。煩わしい。
「あー...大丈夫です。」
キレ気味に言ったけど、まあいいや。とにかく、
スタバの新作のやつ...名前なんだっけ...
覚えにくいんだよなースタバ。まるで呪文だわ。
「あー、もうこんな時間や」
正直今の、さっきの時間に2分も費やしていたとは
驚いた。アイツのせいだろもう。クソだなやっぱり。
けど、何を見て大丈夫か?なんで言ったんだ?
アイツの頭が心配だ。最近ゾンビ流行ってるらしいし
絶対ゾンビなりかけだわアイツ。
もうスタバ行く気力も失せたし帰ろ。
俺なんでマンションに住み出したんだろ。
エレベーターとか狭すぎるんだよな...
そう思いつつ俺はエレベーターに乗る。
「あ゛、間違えた。」
思いっきり別の会のボタンを押してしまった。
「あ゛〜最悪だ〜」
幸い他の人は居ないからどうでも良いんだけど...
というか腕痛いな。筋肉痛か。昨日あんだけ
運動したからな。そんなことを思っていたら間違えて押した階に着いた。もちろんそのまま乗る。
あ、誰かが乗ってくる。
「大丈夫ですか!?」
コイツも頭イカれてんじゃないのか?
「あぁ、大丈夫だ。」
俺はなんでもないフリをした。
「おはようございます」
いつもより早めに出社すると、受付業務の女性が掃除をしていた。
「おはようございます。今日は早いんですね」
掃除の手を止め俺を見る女性。笑ってはいるが、やはりムリをしているように見える。
「ええ。気になることがあって、早めに来ちゃいました」
「そうなんですね。お疲れさまです」
微笑む女性をよく見ると、かすかに目が腫れているようだった。
「あの…」
そのことを聞こうかと口を開きかけると
「おはよう…ございます」
他の社員が出社して来る。
「おはようございます」
「おはよう……ございます」
気まずそうにする2人。その理由を知っている俺は、出社して来た男性の顔を見た。
「ああ、では…」
俺がいるのが気になるのか、男性は自分の部署へ向かおうと歩き出そうとする。
「ちょっと待って」
慌てて呼び止めた俺の声に反応し、男性は足を止めると振り返った。
「あの、何か?」
怪訝な顔をする男性に構わず、俺は口を開いた。
「ごめんね。俺、昨日の君たちのケンカ、聞いちゃったんだ」
そう言うと、2人とも顔がこわばる。
「誰かに言うことはないから安心して」
昨日の話しから、2人が恋人なのは秘密らしい。そのことをまず伝えると
「なら、何ですか?」
男性が不機嫌そうに、俺に突っかかってくる。
「実は俺、あなたのこと、いいな。って思ってたんだよね」
女性の方を向きニッコリ笑うと、女性は驚いた顔をする。
「ケンカの勢いで別れる。なんて言っちゃったんだろうけど、もしかしてチャンスかな。って思って、早く来たんだよね」
ハハッと笑うと、2人は呆然とする。
「けど、2人を見てたら、俺の入る隙はないな。ってわかったし」
「え?」
「どうしてですか?」
2人に詰め寄られ
「だって2人とも、ちょっと目が腫れてるよ」
俺の指摘に、2人は顔を背ける。
「きっと2人とも、相手を想って泣いたり、寝られなかったりしたんでしょ。それだけ想い合ってるんだから、早く仲直りしなよ。ま、仲直りしようと思って早く来たんだろうけど」
俺はそれだけ言うと、2人に背を向ける。
「あーあ」
2人にはああ言ったけど本当は…
「失恋か」
悲しい気持ちに蓋をし、何でもないフリをして部署に向かうのだった。
「今さら適切な距離なんて」
たぶん、ではなく俺たちの距離感は幼馴染のそれではない。
だけど、今さら「適切な距離」で接するのは、意識していると周囲に思われてしまい恥ずかしい。
やたらと距離が近いのも、食べ物をシェアするのも、ずっと昔からしてきたことだった。
ひとつやめた事と言ったら、同じ毛布に包まって眠る事。
それくらい、なにもかも一緒にしてきた。
だから、今さら──異性として意識しているなんて、思われたら気まずいだろう。お互いに。
「ねぇ、モンブランとチーズケーキ、半分こしない?」
「あぁ、いいよ」
カフェでスイーツをシェアする俺たちが恋人ではなくただの幼馴染だなんて、周囲の客は思わないんだろうな。
内心、好きな子と食いもんシェアとかやべーって思っていても、顔に出ていない自信はある。
なんせかれこれ十年は隠しているからな。
────何でもないフリ
何でもないフリをして
なんなくやり過ごせたことを
ありがたいと思う時もあれば
何でもないフリをしつつ
どこかで気づいてほしいと思ってる
そんな時もあるんだな
ひとの心の難しいこと
151:何でもないフリ
「何でもないフリ」
割と何でもないときほど「いや〜しんどくてさ〜」と仲のいい友人に話すが、
本当にしんどいときほど「大丈夫だよ」と言って完結させてしまう
だいたい顔色でバレる
「おはよー」「はよ、飯できてるぞ。」「うぃ、顔洗ってくる。」
なんでもない日常。2人はルームシェアをして過ごしていた。
血は繋がってない。そもそもどこでどうやって出会ったかも忘れた。それぐらい長い仲だし、こうして共に過ごせる程度には深い仲だ。
「「いただきます」」
彼が作ってくれた朝食を頬張りながらふと出会いのことを思い出そうと逡巡する。一向に記憶の底から出てくることは無い。
「どうかしたか?」
どうやらずっとご飯にそっちのけで彼を見つめていたらしい。なんでもない、と誤魔化しながら再び食事に戻る。
とはいえ1度気になったものはなかなか頭から離れないもの。味を気にしないほど考え込んでしまい、気づいたらもう何も残ってない食器が目の前にあった。
「ごちそうさま」
まだ食べている彼を横目に食器を洗い場に流し、部屋に戻ってベッドに倒れ、考え込む。
最近よく見る夢がある。彼がよく分からない奴らを倒していく夢。しかも毎回場所や時代が変わっていく。それがやけにリアルで、最近は現実と区別がつかなくなってきた。それに彼も夜中外を出歩くようになったのが余計にそう感じさせてくる。実は眠っていなくて、実際に後をついて行って見た光景なのではと思ってしまう。
でも、それでも。彼のことは信用してるのでいつか話してくれることを祈って。いまは何でもないフリをしていよう。
きっと、まだ。その時じゃないだろうから。
『何でもないフリ』
何でもないフリ
あの人が笑顔に、幸せになれるのなら私は自分がどれだけ傷つこうと何でもないフリをしよう
何でもないフリ
(いつも君はニコニコして
笑ってる
知ってるかい?
笑顔が多い人って
案外、辛い経験してるんだよ
だから君も何かを乗り越えて
その上での笑顔なんでしょ
だから優しくもあり
深みのある暖かい眼差しだよね
君の過去には触れないけど
君の笑顔を僕は守るよ)
「あれ?今日何かあったの?ごはん減ってないよ」
彼女が言う
君をぼんやり見ながら考えてたこと
言うのもためらうからね
「いや、何でもない」
僕は何でもないフリをした
自分は大丈夫だと
何でもないフリをするあなたを
どうすることもできないまま
受け入れるしかない私
私にとって貴方は特別なの
だけどそれは秘めてないとダメなんだ
貴方はそんな私の想いも知らないで
優しい言葉を掛けてくる
「特別になりたいな」
貴方の言った一言は
多分何の気なしに言ったのよね
だってそれからもいつもと変わらないんだもの
だから私も
必死になっていつも通りにしてるのよ
本当に貴方はズルい人よね…
「なんでもないフリ」
#恋愛
いつしか君とこのまま歩んでいきたい
君との一生1秒の時間が恋しく感じていく
ねえ君は僕に愛を捧げてくれるかな?
あの時の香水の香りが愛しい匂いがした
君はまだ僕と出会ってなんも知らないかもしれないけど大丈夫だよ君は一人なんかじゃないから
今での辛かった時も全て僕に愛をもっと捧げてくれないか?一人の道は寂しかったかもしれないけど
君のそばに俺が居るだからこのまま君と愛をつないでいきたい君の側にこのままいたい
何でもないフリ
何でもないフリって何やかんやで辛い。自分を押し殺してるから。
けど、押し殺さずに意思を示して躊躇しなないことが倫理観や道理に反しているのなら自分にとって損だよな
苦しそうに倒れてる人と酔っ払って理想を失って暴れてる人っていう風に何でもないフリのハードルって結構違ったりする。
情はある方だとは思うけど、そういう関わって良い人とそうでない人の分別は大事
筋の通った人間が理想だけど、自分に嘘をつくことが誠意ならそれはそれで気持ちが良いだろう