『二人ぼっち』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
二人ぼっち
二人にしかわからない世界がある
二人にしか見えない世界がある
二人にしか意味をなさない言葉がある
それはまるで赤い糸で結ばれた二人のように
けれどそんなに綺麗なものでもなくて
まるで呪いかのような
けれどそんな禍々しいようなものでもなくて
確かな繋がりがあるのに、
それは酷く脆い
そんなもの。
それはまるで双子のように
ずっと続く関係だったらよかったのにね?
―ゴミ山の中にちっちゃくて、きたないけど、
キレイなお人形をみつけました。うれしかったです。
―お人形はすこし、やぶれていて、かわいそうだと
思いました。でも、ワタシは直せません。
こまりました。
―お人形さんのためにお洋服をかってあげたいです。
お金はないので、つくってみようとおもいます。
―お洋服はつくってあげられませんでした。
ワタシのお洋服でがまんしてもらうことにしました。
〜とある少女の日記より〜
少女が死んだ。
天に、神に見放された少女は死んだ。
その少女は小さな人形を持っていた。
最後まで見捨てることなく、ずっと一緒にいたのだ。
孤独な二人に祝福を
二人ぼっちの世界に終止符を――
暗い部屋に帰ると、親友が蹲っていた。
「びっ……くりした……」
電気をつける。蹲った親友が照らされる。私は親友の横を通って、バッグをリビングに置いた。
親友はよく、家出をする。実家暮らしなんて楽で良いじゃんと思うけど、実際は違うらしい。最初の頃、私が帰ってくるまで部屋の前で待っていたから、合鍵を渡した。それ以来、親友は一人暮らしの私の部屋によく転がりこんでくる。
「今度は何」
「…………」
「言いたくないのね。別にいいけど」
そこどいて、料理するから。そう言えば、親友は数センチ横にズレた。何も言わないのなら何も聞かない。昔から、私たちはそうだ。二人でいる時は、なんだか世界にふたりぼっちになったみたいで、親友の声がよく聞こえた。
「今なら私しかいないよ」
ふたりぼっちだから大丈夫だよ。
夕飯を作りながら言うと、親友の顔が少しだけ上がる。
「うん」
「で、何?」
うんとね、と話し始める親友の、鼻頭が赤い。
昔から変わらない。私たちの世界は時々、私たち以外の音が聞こえなくなる。それが、私は愛しく思うし、私しかいない世界の親友を守りたいと思う。
私はいつもひとりぼっちだ。
学校には友達はいる。家族も人並みに優しい。
人と同じように社会に溶け込んで、でも孤独だけは拭えなくて。
私が生きているとしても、あの子が生きているなんて信じられない。
私はあの子じゃないんだから、あの子が私と同じように実在しているわけが無い。
…そんな時、私の世界にキミが来た。
どんなに人が信じられなくても、どんなに私を信じられなくなっても、キミだけは確かに隣にいた。
私はきっとふたりぼっちだ。
【テーマ:二人ぼっち】
二人ぼっち
教室に入れなくて、別室登校をしてたあの日。
教室に差し込む昼下がりのオレンジ色の光。
貴女が響かせる鉛筆の音と、
私がついた、軽いため息。
そして、少しのクーラーの機械音。
二人だけの静かで少し悲しい空間。
少し離れたどこかの教室から笑い声。
…….二人ぼっちだね。
【二人ぼっち】
遊び疲れた猫が、私の脇腹にぴったり寄り添って眠っている。
私たちはシングルベッドの上に寝そべっている。お気に入りの寝具に包まれて、朝ごはんを食べたばかりなのでお腹が空いていなくて、あたたかくて、快晴で、完全に満ち足りている。
猫の毛の素晴らしい手触り!
今、この地球上に私と猫の二人きりだったらいいのになあ。
誰かとなにかを比べる必要もなく、不安に思うことはひとつもなくて、お互いがお互いを勝手に愛していて。
こんなに完璧な幸せはそうそうないよ。
みんなにさよならを伝えて、この瞬間に消えられたら最高!
「ここは何処だろう」
目を覚ましてすぐ違和感を覚える。
一見して和室のように見える部屋に寝ていた私は、体を起こして周囲を見渡す。
知らない部屋だ。
見覚えすらない。
ふと、隣に男の子が寝ている事に気付いた。
この子は確か、近所に住んでいるコウタくん。
明るい男の子だ。毎朝元気よく挨拶してくれる。
知らない空間に放り込まれて不安がある。だけど、私が不安そうにしていたらコウタくんはより不安になるかも。
だから、目を覚ます前にある程度この部屋を調べておく必要がある、かもしれない。
そもそも、どうやってこの部屋に入れられたのか。
引き戸があるからそこから連れてこられた、と思うのだけれど。
戸は開かない。
鍵穴はあるから鍵が掛かっているみたい。
ここが開けられれば話しは簡単だったけれど、そうはいかないみたいだ。
なら、他の場所から出られないか、と考えて障子を引いてみたけれど、こっちも開かない。
さっきの引き戸と違って動く気配が微塵もなかった。
改めて部屋を見回す。
部屋はそんなに広くなくて、四畳程度。
引き戸から見て、対面側に障子があり、床は畳だ。
中央には机があって、その上にはカセットコンロと厚紙が無造作に置かれていた。
引き戸側の左隅で扇風機が上の方を向いていて、随分と昔の物なのかガタガタと音を立てて回っている。
右側の壁にはタンスが備え付けてあり、その上には可愛いデザインをしたお殿様の人形が座布団の上にちょこんと座っている。
その隣には部屋の雰囲気には似つかわしくない大きな柱時計。
それでここにある物は全部みたいだ。
机の上にある厚紙には大きく、何をしても出られない部屋、と書いてある。
こんな事を書いて置いておくだなんて悪趣味にも程がある。
何か裏があるように思えてならない。
手に取って裏を見ると黒い何かが描かれている。
虫のように見えるけれど、なんの虫なのか私には分からない。
もしかしたらコウタくんなら分かるかもしれないけど、目が覚めないことにはどうしようも出来ない。
それまでは出来る限りこの部屋のことを調べておこう。
タンスはほとんどが空だ。
見付かったのはカッターナイフだけ。
開かなかった引き出しが三つ。
それぞれ鍵穴がある。
鍵が隠してあるのだと思うけど、何処にあるのかは分からない。
「ん、ぅぅ……」
コウタくんが目を覚ましたみたいだ。
「おはよう。 気分はどうかな?」
「お姉、ちゃん……? ここは何処……?」
言葉に詰まった。
どう説明したものか、と悩む。
しかし、コウタくんを不安にさせてしまうからあまり黙ってはいられない。
何か子供をわくわくさせられる言葉が見つかればいいのだけど。
「えっと……ここは……。 謎が沢山隠された部屋なの! ここの謎を全て解き明かすとお宝が手に入るんだよ!」
思い付きで口走ってしまったけど、コウタくんがこういうのが好きなのかどうかは分からない。
乗ってきてくれたら嬉しいんだけど。
「なぞ? テレビとかでやってるやつ?」
「そうそう! コウタくんはこういうの好きかな?」
「うん、だいすき!」
良かった。
一先ず、不安を一つ解消出来た。
ともかく。
「良かった! それじゃあ、第一問目です! ここに描かれた生き物は何でしょう?」
厚紙に描かれた黒い虫に見える何かの絵だ。
私には皆目見当もつかない物だったけど。
「うーん、バッタ? トノサマバッタ!」
「トノサマバッタ? んー……? おー……そうかも! すごい! よくわかったね!」
ちょっと大袈裟なくらいに褒めてあげると、照れくさそうに、でも得意げに笑うコウタくん。
早速、進展した。
一人ではこれを解くのにもっと時間がかかったかもしれないと思うと、コウタくんが居てくれて良かった、と思う。
だけど、トノサマバッタだと分かったからと言ってこれをどうしたらいいのかが分からない。
「トノサマバッタ……トノサマバッタ……殿様?」
タンスの上にお殿様の人形があるのを思い出して、手に取る。
その瞬間。
『何をする! さては謀反か!?』
お殿様の人形が喋った。
「なにそれ! 面白い!」
「触ってみる?」
元気よく返事をしたコウタくんにお殿様人形を渡すと、頻りにお腹を押し込んで遊び始める。
お腹を押し込む度に、何をする!さては謀反か!?と言うので少し可笑しくて、笑みが溢れる。
「ん、なんか付いてた!」
そう言って私に小さな鍵を渡してくる。
タンスの鍵穴に合いそうな大きさの鍵。
試しに入れてみると、一つの鍵が開いた。
「コウタくん! 次の問題だ!」
「え! なになに?」
鍵の空いたタンスから出てきたのは、いまなんじ? と書いた紙だった。
柱時計を見ると二時十六分を指している。
しかし、この問題が意図するのは、どういうことなのだろうか。
「いまなんじ?」
コウタくんは問題を読み上げると直ぐに辺りを見回し、柱時計ではない壁の高い位置を指差して。
「五時!!」
そう言った。
コウタくんが指差す場所には、如何にも落書きと言った感じで時計が描かれており、その時計は歪な形ではあるけど確かにそれは五時ぴったりを指している。
それを見てから何気なく柱時計の時計盤に触れると、針を自分で動かせることに気付いた。
お殿様の時の事を考えると、ここを動かすのかもしれない。
「コウタくん、この時計を五時にするイタズラしてみない?」
「え! いいの!? やるやる!!」
コウタくんを抱え上げて、時計を触らせると好き勝手に回し始める。
あまりこう言う事は出来ないからか、目を輝かせて遊んでいて微笑ましい。
「できた!」
五時に針をセットした時、柱時計の下の方から何かが動く音がした。
コウタくんを降ろすと、直ぐにかがんで開いた場所を見る。
そこからまた、新しい鍵を見付かった。
「やったね! これで次の問題が出てくるかも!」
早速タンスに鍵を差し込み、開く。
すると、そこには真っ白な紙があるだけ。
「何が出てきたの? 見せて! ……真っ白?」
コウタくんにも見せてあげるけど、私に全く分からない物がコウタくんに分かるはずもない。
どうしたものか、と周りを見渡してどうにか出来るものを探す。
と言っても、この部屋にある物がそもそも少なさ過ぎる。
使えそうな物と言ったら、カセットコンロとカッターナイフくらいだ。
あとは他の問題用紙と扇風機。
「なにこれ! 何も書いてないじゃん! 全然、問題じゃないよ!」
確かにこれじゃ問題にならない。
だけど、これ自体が問題だとしたら?
ガスコンロが目が向く。
昔、理科の実験で字が浮かび上がる方法と言うのをやった記憶が蘇る。
紙に蝋燭で字を書いて炙るという単純な物だけど、これをやったなら確かに問題じゃない問題が出来上がる。
試しに紙を擦ってみると、紙質の所と、紙ではないようなつるりとした滑る所が所々にある。
「コウタくん。 これ、ちょっと触ってみて欲しいんだけど」
同じ面でも紙の質感が触る位置違うことを教えると、なんで分かったの!? と驚かれた。
「これ、触ってなぞってみたらなんて書いてあるのか分かるんじゃない?」
そうして時間をかけて割り出した文字は、せんぷうき。
扇風機の足にあるスイッチを切ると、扇風機の羽根と同じ青色のポリ袋が貼り付けられていた。
その中にはタンスの鍵とは違う鍵が入っており、それが恐らく引き戸の鍵だ。
コウタくんと一緒になってテンションが上がる。
これでやっと出られる。
そう思って引き戸を開けた。
しかし、何もなかった。
テーマ:二人ぼっち
二人ぼっち。
小学生のあなたと二人ぼっちになって、
本当に二人ぼっちではなかったけど、
時々やっぱり二人ぼっちだなって感じてた。
そんなあなたも大人になり、
変わらず元気で生意気でいてくれることがうれしく、そして頼もしい。
あとどのくらい二人ぼっちを楽しめるかな。
二人ぼっちだって全然いい。
そんな人がほかにも見つかるといいね。
お互い一人ぼっちにならないように。
『二人ぼっち』
私は今まで愛と言う物を感じた事がない。
親達は私を捨てた。どうせその後に離婚しただろう。
ある人に拾われ、その人も私の事をアルバイトなどをさせるなど奴隷の様に扱い、全然家に帰ってこない。
そいつが病気で死に、そいつの親戚をたらい回しにされたがその親戚達もクソだった。
中3になり、来年は高校生になった時も、まだそいつらと居た。
すぐにでもこの家を出たいと思っていた。でも、出来ない。勇気が出ないから。お金も無いし出た後の家もない。
でも一つだけ、たった一つだけ、光があった。
小学校3年生くらいの時の話だ。
私はその時よく家から出て、近所の公園でぼーっとしていた。
そしてその公園にはある少年がいた。私が実の親達と住んでいた時、その時の家の近所にその少年の家があり、よくその近所の公園で見かけていた。
遊んだ訳じゃ無い。話した事は本当に少ししか無い。
でもその少年は純粋で、優しくて、よく笑い、人を笑顔に出来る人だと感じた。
私には少年が眩しく見えた。。凄くキラキラしていて、手が届かない空にある星の様な、そんな風に。
その少年を、近くで見かけた。
多分見間違いでは無かったと思う。隣に居る友達(だと思う)と笑っている顔を見た時、あの時と同じ光が見えたから。
そして、正直私は疲れていた。実の親に捨てられ、ある人に拾われた後ももこき使われ、そいつの親戚にも嫌がらせをされ続け。
だから私は準備して来た。あの時からずっと、この時の為に。そして、少年を手に入れる為に。
丑三つ時と言われる時刻。ある場所まで行き、そこにある家のドアのインターホンを鳴らす。
そして、昔に比べてかなり暗い雰囲気を纏った少年が出て来た。
『はい。なんですか、こんな時間に。』
少年がこの時間に起きてるのも、一回のリビングにあるソファに座ってアニメ鑑賞をしているのも調べてある。警戒心が薄く、ドアを開けてくれるだろうことも読めている。
私は少年を外に引っ張り出す。
『おわっ』
と少年の声がし、ドアを閉めた後に少年の背中をドアにつける。
『な、なんだよ。誰だよあんた。』
『久しぶりだな、少年。……どうしたんだ、そんなにやつれて。昔より雰囲気も暗いし。全く、お前の親は何をしているんだ。』
『もしかして、、、公園のお姉さん?』
『今の言葉だけで気づくか、普通?』
『面影があっただけです。それで、どうしました? こんな時間に? 何かありましたか?』
『今日はお前に提案があって来たんだ』
そう返答した後、私は少年に言う。
『私と一緒に来ないか、少年? 汚れなんて無い、綺麗な、そして私たち二人の理想が叶えられる場所に行こう。』
『は?』
そう間抜けな声が返って来た。まあ想定の範囲内だ。
『意味がわかりません。急すぎます。それにお金は? 住居は? 私たちの理想が叶えられる場所って? 親達にはどう説明するんです?』
『急で悪かったな、抑えきれなかったんだ。まあ落ち着け。前のニつは問題ない。問題は理想が叶えられる場所、そして親への説明だな。すぐ解決するだろう。まず聞くが、提案を受け入れると仮定して、少年は親に説明をしようと思うか?』
『…………』
ここで黙る事も読めている。想定通り更に畳み掛ける事にしよう。
『毎日喧嘩をし、ストレス発散に少年に暴力を振るう。学校では虐められ、かなり苦しいだろう。』
『…………』
『親は助けない。先生も見て見ぬふり。助けを求められる友達や親戚なんていない。もう嫌になりそうなんじゃないか? 親や学校のやつらと話したく無い、そして会いたく無いんじゃないか? それが今のお前の理想なんじゃないか?』
『…………』
少年は何も言わない。いや、何も言えない。だって真実だから。それが現実だから。
『理想の場所と言うのももうわかっただろう。私と来ないか? こんな腐った世界から逃げよう』
『…………本当にお金や場所は大丈夫なんでしょうね?』
『ああ、勿論だ。全て用意してある。場所はお前も気にいるだろう。』
『…………もしもお金足りないとかなったら許しませんよ?』
『ははっ! 私を舐めるな。一生遊んで暮らせるさ。』
『…………そのお金の集め方も、場所の探し方も、お姉さんが頭が良いって事で一旦無理矢理納得しときます。今準備しますので待っててください。』
『ああ、わかった。』
そう言って少年は家に戻る。準備しに戻るのも読めている。
お金を集めるのなんて簡単だ。誰も居ない場所なんて私にかかればすぐ見つけられる。なければ作れば良い。そこに住人が居るのならそこら辺に埋めれば問題は無い。
全て想定通りだ。少年の親や学校のやつらの行動も私が全て操った。少年を孤立させ、私が希望に見えるようにするのも簡単だ。
5分10秒経ち、ドアが開いて少年が出て来た。
『310秒。やはりな』
『数えてたんですか。それに出てくる時間を知っていたかの様な、、、まあ良いです。行きましょうか。』
『ああ、そうしよう』
そう会話し、歩き出す。二人だけで暮らせる、二人の求める理想の場所へと。
「雨だ。」
ぽつりとこぼれた声に閉じかけていた瞼が開く。
うん、そうだね。そう答えたら起こしてごめんと謝られた。
良いんだ。君と話しながら眠りにつくのはとても優しい時間だもの。
「落ち着く。雨の音は好きだ。」
そうなんだ。知らなかった。
君の顔にはらりと落ちた髪。耳にかけて頭を撫でてやると子猫のように目を細めた。
「こうしていると世界に二人ぼっちになったような気がする。」
世界に二人ぼっち。不思議な表現だけど悪いことではない。
少し冷えた君の肩にタオルケットをかけて優しく抱きしめる。
まだ鳴り続ける雨音。
ふたりのおだやかな時を雨が見守ってくれているようだった。
二人ぼっち
__世界は終末を迎えていた。
30XX年、大規模な戦争により人類は滅亡に追い込まれていた。
元々少子高齢化などの社会問題があり、それに今回の戦争が追い討ちをかけこのような悲惨な状況になってしまった。今現在安全な暮らしをできているのは政治家や富裕層の人間のみであり、政府はこの状況に為す術もなく、退廃していった。
街中のビルや電灯などはほぼ全てが崩落し、瓦礫にツタやツルなどか巻きついている。四季折々の自然の美しい景色は消え去り、のびのびと生きていた様々な生物たちは衰退してしまった。
「マスター、このあたり一帯には人体センサーの反応がありません」
「そうか。ありがとう、ロイド」
少し落胆しながらも感謝を告げる。
私はこの世界で相棒であるアンドロイドと共に探偵をしている。戦争によって生死や行方が分からなくなった人達は多く、また彼らを探す人達も多い。
政府は働かなくなり私のような存在は必要不可欠なようで、ありがたいことに仕事は増えてきている。
そんな私を手伝ってくれるのがこのアンドロイドだ。
機体識別番号P–S73。数年前に私が開発したサポートアンドロイド。
番号で呼ぶのはあまり気が進まないのでアンドロイドからとってロイドと呼んでいるが、やはり安直すぎるな。
__今日は子供の捜索をしていた。男女の双子で年齢は12歳、戦争から逃げる際にはぐれてしまって以降行方が分からないとの事だ。
もう3週間は捜索を続けているが、一向に手がかりは見つからない。
「ロイド、都心部へ向かおう。崩れた瓦礫の影などに隠れているかもしれない」
「了解しました。マスター」
薄暗い灰色の空の下を相棒と共に歩き続ける。
もうここ何年かは澄み渡る青空に輝く太陽を見ていない。
「はあ……双子は大丈夫だろうか」
「今の状況から推測するに、安全な場所にいる可能性は低く、生命メーターが低下していると思われます」
「……ああ、いや、私もそう思うが……もっとほら、寂しい思いをしていないか、とか」
「私はアンドロイドです、マスター。ヒトの気持ちは分かりません」
「ああ、そうだよな。分かっている……」
無機質な性格は時に寂しくなるが、一方で冷静にさせてくれる。
「きっと、双子たちは二人ぼっちだよな。この絶望的な世界で、親と離れて生き延びなければならないのは辛いものだろう。早く見つけてやらなければ」
「そうですね。マスター」
「しかし、互い以外に頼れる存在がいないとは、なんとも悲しい限りだ。鬱々してしまうな」
「ええ。マスター」
「……フ、何も考えてないって感じの返事だ。私も昔から研究や開発ばかりで人と会話することは得意ではなかったがお前程ではなかったよ」
「……では、マスターが教えてください。私はあなたのサポートアンドロイドです。あなたのために生きます」
「……ああ、お前にはもっと感情が必要だ。そうだな、お前には……愛の言葉を教えてやろう。」
「愛?」
「ああ。大好きな人や大切な人に贈る言葉だ」
「教えてください」
「あなたに会えて良かった」
「あなたに会えて良かった……」
「いつかお前に大切な人ができた時に言ってやれ」
「はい。マスター」
そんな話をしながら15分程度歩いていると都心部についた。あたりは閑散としている。
「ツバキくん、ユキちゃーん!いたら返事をしてー!」双子の名前を呼ぶ。冬生まれだろうか。
「マスター。この方法は非効率的です」
「これしか方法がないんだ。いいからお前もやるんだよ」
2人で名前を呼びながら捜索を続けるが、ロイドの人体センサーにも反応がないし何より人の気配がしない。
「ここにはいないかな……」
「…あ、あの!」子供に呼び止められる。
「もしかして君は……」
「ぼ、ぼく、ツバキです!」
「ああ、良かった!無事だったんだね」
「はい、それであの……こっちに来てもらえますか?ユキの具合が悪くて……」
ツバキくんに連れられてユキちゃんの容体を見てみると発熱しており意識が朦朧としているようだった。
「ロイド、ユキちゃんに治療をしてやれ」
「了解。マスター」
「ユキ……」ツバキくんが心配そうにユキちゃんの手を握る。
「大丈夫、ロイドはサポートアンドロイドだから、人を治癒するのが得意だ。すぐに良くなるよ」
「うん……実は、ユキとは本当の兄妹じゃないんだ。赤ちゃんの頃に引き取られて、ずっと一緒に暮らしてる」
「そうか……ツバキくんは今、幸せか?」
「……うん。戦争のせいでこんな事になっちゃったけど、ユキと一緒にいれるならどこにいても幸せ。血は繋がってないけど、お父さんたちも、ほんとうの家族だよ」
「そうだな……」
そう告げるツバキくんの声には迷いがなかった。まるで冬の厳しい寒さの中で咲き誇る椿のように凛とした瞳だった。
ユキちゃんの治療を急いで終わらせたあと、ツバキくんも連れて近くの総合病院へ連れて行った。都心部という事もあり人が多いのでまだ機能している病院があって良かった。
「マスター。愛、とは先程ツバキくんが仰っていたことですか?」
「ああ、そうだな」
今も昔も、愛は争いの元にもなりうるもので、また人々の希望で原動力でもあった。いつの時代も、本気で愛する人のことを思ってしたことが罪であったり、また誰かの救いになることがあった。
「マスター。お伝えしたいことが」
「なんだ?珍しいな」
「あなたに会えて良かったです」
「…………フフ、アハハハ!会うも何も、お前を作ったのは私だろう!」
「……使い方が間違っていましたか?私にとってマスターは大切な人です」
「いや……私も、お前に会えて良かったよ」
この殺伐とした世界で、お前となら希望を忘れないでいられる。誰かの救いになろうと動くことができる。
たった二人ぼっち、私たちが行動することで誰かの愛を救える。
「これからもよろしく頼むよ、相棒」
「はい。マスター」
『二人ぼっち』
星の見えない夜空に浮かぶ赤銅色の月。
赤い月は、こちらでは不吉なものとされているらしく。
迷信深い君ももれなく、子供の頃はソレを信じていたらしい。
赤い月が出ている時は隙間無くカーテンをキッチリと閉めて、頭から毛布をすっぽりと被り、お祈りの言葉を唱えてから寝るそうだ。
しかも朝まで目を開けてはいけないらしい。
大真面目に毎回やっていただろう子供の頃の「かわいい」君を想像して、あまりの可愛さに思わず身を捩り掌で口元を被った。
やってみたい、と隣に腰を下ろす君に言えば、渋々といった感じで頷く君。
カーテンを締め切った真っ暗な寝室で、君と二人ベッドの上。
毛布の中、手を繋いで目を閉じ、子守唄のような君の囁き声に耳を傾けた。
テーマ「二人ぼっち」
二人ぼっち
そもそもぼっちとはひとり
ぼっちがそれぞれ、二人いたとしても
二人ぼっちにはならないよ?
どういう意味だ?
私の中には幼い頃から
自分と、それを傍から見ている自分が存在する
これを二人とするなら
二人ぼっちなのか?
解離性同一性障害なのかもしれないと
ずっと思っているが、診断は特にされていない
一度うつ病と診断されると
発達障がいの診断も含め
後に調べて貰えることは殆どない
敢えて調べる意味はないということなのか?
ただただ、
「体調はどう?薬はいつもどおりね」
の繰り返し
調べたいならセカンドオピニオンしかない
だから今日も
私と私を見てる私と二人ぼっち
どっちが本当の私なのか?
誰か教えてくれないか?
私は家族が一人しかいないんだ、姉のゆい、お父さんとお母さんはいない、生まれたときはいたんだってゆいがいってた、なにがあったんだろう?まあ関係ないね まあまえはへんな男の人が来てたけど最近は来てないんだ、なんできてたのかゆいにきいたけどこたえてくれなかった、でもこなくなってからご飯が減ってたんだゆいに これだけじゃたりないよっていったらゆいのぶんくれたんだ、いいの?ってきいたら大丈夫、大丈夫ってなきながらいってきたから…あのときはすっごいあせったよ、でもあのときからだったかな?ゆいが夜いなくなってたんだそれも毎日だよ、ふしぎにおもってきいてみたらすごいあせってたな…なんでたろう、でもきいてからは居なくなるのが少なくなったよ、少なくなっだけだけどね、でねある日起きたらゆいがいなくて、それはもうあせったよ、まさかへんな男の人につれていかれたんじゃって…それで ご飯食べる時間になったらやっとかえってきたよ…でもねなんか殴られた跡とか血とか色々ついてて、なんではゆいにだけこんなひどいことするんだろうって怒りがこみあがってきて、そんなことおもってたらゆいがたおれちゃったんだ、どうすればいいかわからなくてとりあいずべっとにねかしといたよ…でもね、待ってるのにゆいが起きないの…なんか虫もいっぱいいるし、なんでおきないんだろう?まあおきるまであとちょっとだろうしまっておくねーーーーーーーーーーーーどのくらいたっただろうか、もう食べるものがなくてすごいおなかがへってるの、あとね変な男の人がきたんだゆいは?ってきかれたからベッドにつれていったらへんな男の人にゆわれたんだ あれはもう死んでる って死んでるの意味がわからなかったからきいたらもう一緒あえないってことなんだって聞いた瞬間すごい泣いたよ、ものすごくでね気づいたらへんな男の人もいなくなってたんだ、どうすればいいかわからないの、またゆいにあいたいの、すごいおなかがへっているの………どうすれば……………きずいたら変なところにいたの、ふしぎなところ、なんでいるのかわからない、どこにいるかもわからないでもなぜかあるいてしまう、何故かこの先にはいいことがあるきがするの、わからない、わからないけどはやく……いきたいな……………………ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二人ぼっち。一人ぼっちが二人で二人ぼっちというわけだ。基本関わらないけど必要な時だけ協力する。理想的な関係だ。実際にはそんなうまくいくわけないけど。
普段から仲良くしてないといざという時には切り捨てられるのは当然だ。だから面倒でも人には愛想よくしておく必要があるんですね。
昨日今日はfgoのシナリオ読むので疲れた。昔はなんとも思わなかったけど年を取ると娯楽を楽しむのにも体力が必要なのだと思い知らさせる。
fgoはイベントのアイテム回収もまだ終わってないからまだもう少し頑張らないと。なので今日は短めで終わり。
二人ぼっち
ひとりでは生きて行けず誰かと一緒に暮らす。二人ぼっちの始まりのことです。
意図せず二人ぼっちになってる人も‥母親と二人ぼっち、父親と二人ぼっち。もしかしたら、祖父や祖母、兄弟と二人ぼっちだってあるでしょう。
ひとりぼっちよりマシ?
それともシンドイ?
藤井風さんの、「満ちていく」
新曲のようですが、聞いてみてほしい。還暦過ぎのわたしの心のモヤモヤが全部書いてあるの。あの歳でよくもまぁと‥。
いろいろな、二人ぼっちの人の心に刺さるかも。
あの曲を聞いてから、相手に当たったりしない‥そんな二人ぼっちでと思うようになりました。
お題『二人ぼっち』
私は今、初対面の男と二人、向かい合って座っている。ここは場所がいつまでも決まらず、とりあえずテキトーにはいった喫茶店だが、奇跡的にと言えばいいのか、残念ながらと言えばいいのか、客は私と男二人だけだった。
今日会ったのは、何人目かの結婚相手候補。何人目と言ったのは会いすぎて数えることを放棄したからだ。ここで会話が盛り上がればいいのだが、コーヒーを注文した後、お互いに黙ってしまっている。
私がなにを喋ろうかと考える。
休みの日はなにしてるんですか、はアプリで聞き尽くした。趣味はアプリに書いてあることをわざわざ聞くのは失礼にあたる。かといって、じゃあ「貴方は結婚の意志があるんですか?」と聞くといきなりすぎて重い。
そう考えていると、うつむいていた男がぽつりとこぼした。
「二人ぼっちですね」
思わず私は吹き出した。男はあきらかに狼狽した様子でぼそぼそ「すみません」と頭を下げた後、視線を泳がせている。
「あ、いえ。こちらこそすみません。二人ぼっちってワードにツボってしまって」
「はぁ」
「二人ぼっちっていうと、もっとドラマチックな雰囲気を想像するじゃないですか。無人島に漂着した男女とか、二人だけの結婚式とか!」
「そうなんですか」
「ま、これは私の意見なんですけどね」
そこからまた沈黙が再会する。男が無言でコーヒーをすする音だけを聞きながら、私は『今日もだめか』とすこし落ち込んだ。
ずっと独りだと思っていた。友達は、多分いる。でも、いつも3人組の一人、という感じだった。あぁ……そういえば、君も同じだったっけ。
今この世界には、あの時よそ者だった僕たち2人しかいない。後どれくらい……『2人ぼっち』でいられるだろう。
お題 : 2人ぼっち
なんでだろう ?
今2人で居るのに1人で居るみたいだ
この寂しさはなんなんだろう 、
ツラい ×にたいって思うんだ 。
でも 、君と2人ならずっとこのままで居たいって
思っちゃったや 、
嗚呼 、君も僕と同じ気持ちなんだね 。
「花にいくつか『二人』があるわ。
今の時期ならニリンソウとか、フタリシズカとか」
ニリンソウの花言葉は「友達」、「協力」、「ずっと離れない」等々、フタリシズカは「いつまでも一緒に」だとさ。某所在住物書きはネットで花の画像をスワイプしながら、他の「二人」を探していた。
ニリンソウが1株だけ、ふたつの花をつけてぽつんと朝日に当たっているのは、ノスタルジックであろう。
フタリシズカは見たことがない。ただ、某大ヒットオープンワールドゲーに登場する、例の名前が似ている「しずか」とは、まったくの別物らしい。
ぼっちか。物書きは呟いた。こちとら生粋の一人ぼっちだが、二人ぼっちへの憧れは無い――断じて。
――――――
都内某所、某職場の某支店、昼休憩。
かつての物書き乙女、元夢物語案内人の現社会人は、睡眠負債返済の一環として仮眠をとっている最中、
己の4日前の行動ゆえにひとつ、幸福なような、あるいは黒歴史のような夢を見た。
――すなわち、このような夢であった。
会員制レストラン、最高ランクの個室。
クリスタルのシャンデリアが、落ち着いた明度と彩度を伴って、真下の男女二人ぼっちに対し、
平等に、穏やかに、光を注いでいる。
『単刀直入に言う』
男性側が言った。それは乙女の架空の推しであった。
かつて個人開設のホームページが全盛であった頃、ハマったゲームに己の分身を付け足して、
主食の夢物語も、いわゆる非公式メジャーカップリングとされている薔薇物語も、この元物書き乙女は双方を楽しんだものであった。
『君の力を貸してほしい。私の地位と経済力の範囲であれば、報酬はいくらでも相談に応じる』
何故今更二次創作的な夢を見ているのだろう。
多分4日前投稿分の作品が理由です。
要するに発端は何であろう。
同人時代に配布されたという公式シークレットノベルが手に入り、それを読み倒したからです。
詳しいことは過去作参照が面倒なので気にしない。
で、夢の情景に戻る。
ダークブラウンの円卓に、向かい合って座るふたり。
片や黒、所属を示す制服にロングジャケット。
片や白、着慣れぬ様子のワンピースにストール。
芸術的に整えられた肉料理と魚料理が、エディブルフラワーのベジサラダをまとい、
スパークリングのグラスとデカンタ、それから3色のプチマカロンの隣に控える。
カチャッ、……カチッ。
フォークとナイフと料理皿の間で、つつましく心地よい接触音が、己の要求を静かに提示する男の声と、その背後で控えめにささやく弦楽四重奏に混じった。
わぁ。 私、昔こういうの書いてたんだ。
傍観者としての元物書き乙女は、夢の登場人物としての元物書き乙女をジト見して、口をパックリ開けた。
『金が必要であれば、管理局の平社員の給料10年分程度を、一括で。地位が欲しければ、私の口利きが可能な場所に限られるが、ある程度。世界一の宝石を手元に置きたければ、それも良いだろう。
……復讐や、仕返しをしたい相手が居るなら、君の望む範囲と程度で、君のシナリオに添えるように』
男の独白は続く。
今思えば「彼」は「こういうキャラ」ではない。
むしろ最近登場した別キャラがこれに該当する。
まぁ気にしない。
『どうしても探し出して、取り戻したいものがあるんだ。その探しものが終わるまでの間で構わない。その後の君の人生まで、拘束しようとは思わない。
どうか……どうか。私に、君の数年数ヶ月を、くれ』
たのむ。 二人ぼっちの室内で目を閉じ、うつむいて黙り、女性の良い返事を乞い願う彼は、
『え、っと』
彼女の戸惑いの声を、祈る心地で聞き、
『……あの、地位とか、仕返しとか、別に良いので』
続く言葉を悪く予想して、更に強く目をつぶり、
『ひとまず、普通の婚姻届と普通の指輪、欲しいんですけど。良いですか』
『えっ?』
予想外の要求に、ぱっ、と顔を上げ、驚きと困惑が差したそれで、彼女を見詰めた。
7、8秒間フリーズし、口が開きっぱなしになる。
過負荷の思考リソースを無理矢理働かせて、どうにかこうにか意味にたどり着くと――
「後輩ちゃーん、そろそろ休憩終わるよん」
夢の中の架空な推しが何か返事を寄越す前に肩をポンポン叩かれて起こされた。
「支店長は今本店だし、他の人も外回り中だから、二人ぼっちだよ。俺ひとりじゃお仕事困るよ」
起きて起きてー。
元物書き乙女の同僚たる彼は、彼女が何の夢を見ているか知りもせず、ただ乙女にコーヒーとプチマカロンの3色を差し出した。
「ふたりぼっち、」
「そう、二人ぼっち」
「もっかい寝たいような、ハズくて無理なような」
「ゴメンよく分かんない」
「だいじょぶ分かんなくていい……」