「雨だ。」
ぽつりとこぼれた声に閉じかけていた瞼が開く。
うん、そうだね。そう答えたら起こしてごめんと謝られた。
良いんだ。君と話しながら眠りにつくのはとても優しい時間だもの。
「落ち着く。雨の音は好きだ。」
そうなんだ。知らなかった。
君の顔にはらりと落ちた髪。耳にかけて頭を撫でてやると子猫のように目を細めた。
「こうしていると世界に二人ぼっちになったような気がする。」
世界に二人ぼっち。不思議な表現だけど悪いことではない。
少し冷えた君の肩にタオルケットをかけて優しく抱きしめる。
まだ鳴り続ける雨音。
ふたりのおだやかな時を雨が見守ってくれているようだった。
二人ぼっち
3/22/2024, 5:20:51 AM