『一筋の光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
暗い水底で微睡んでいた。
目を開けたとて、見えるものは何もない。そも見るための目も、開けるための瞼もなかったと気づき、内心で笑った。
とても静かだ。
ここには鮮やかな色彩も、煩わしい喧噪もない。分かるのは身に纏わり付く水の感覚と、己を抱く男の腕。
優しい男だ。それでいて他の誰よりも哀しい男であった。
ここで眠る誰もが口をそろえて答えるだろう。
そこにどのような理由があれど、男が皆/己を慈しみ、掬い上げてくれた事には変わらない。男の愛する者と共に行くという選択肢もあっただろうに、こうして皆/己の慰めとして沈むくらいには。
穏やかな意識の端で、取り留めのない事を考える。
欠落を抱えた満たされない飢餓感も焦燥も凪いだ今、戯れのように思うのはそんな些細な事ばかりだ。時間という概念すら曖昧な水底で、満たされた思いは呪を歌う事もなくただ揺蕩い、微睡み続けている。
少し眠ってしまおうか。
男の腕に身を預け、心地良さに意識が沈む。そのまま抗う事もなく、静かに、眠りに。
――光が差した。
一筋の、だが暗い水底では眩いほどの光が差し込んだ。
時折地上から降りる淡い光の珠ではない。真っ直ぐな刃の燦めきにも似た光。
誘われるようにして、男の手が伸びる。
光とは救いだった。水底に縛られ続ける皆/己を掬い上げ、還す事の出来る唯一のもの。
以前より光の珠を集めては皆/己を還していく男が、光に手を伸ばすのは可笑しな事ではない。
いつもの事。いつもとは違う光。
――呪の歌が響く。
波紋が鎖となって、男の腕を掴み留める。
背後の男が、息を呑んのが振動で伝わった。
今まで呪を歌う事なく微睡んでいた髑髏が、前触れもなく歌い出したのだから無理もないのかもしれない。
皆の困惑が伝わってくる。己のこの行為を、己自身すら分かっていない。
だが。しかし。
何故か何処かで警鐘が鳴っていた。
獣道を駆け上がる。
すぐに息が切れる脆弱な自分の体が恨めしい。
ただの夢だ。それは分かっている。
それでも、夢だからと一笑に付してしまうには、あまりにも怖い夢だった。
行った所で意味はない。出来る事など何もないと分かっていても、急く足はあの池へと向かってしまっていた。
「あーちゃん!もう少しだから」
息が切れ、足が縺れて転びそうになる度に、前を行く親友が手を引き踏み止まらせる。不安と諦めとが混ざり、混乱する思考を前へと進ませる。
そうして辿り着いたその場所に、夢だけでは見えなかった怖いものが何であるのかを知った。
「っ、住職様!」
傷だらけで倒れている住職に駆け寄る。抱き起こせば微かに息はあるものの、流れる赤と戻らぬ意識に不安が押し寄せる。
「まだ死んじゃあいないぜ。それに邪魔をするそっちが悪い」
知らない声に顔を上げる。
池の前。四人の子供達が何かをしているのが見えた。
「何、してるの」
「別に。呪いを解いているだけだ。悪い事ではないだろ」
呪いを解く。
意味が分からず、それでも止めなくてはと立ち上がりかけ。
その瞬間、頬を冷たい何かが掠めていった。
「あーちゃん!」
側で様子を伺っていた親友が、庇うようにして前に立つ。
頬に触れれば、ぬるりとした感触。ちり、とした痛みに、切られたのだと分かった。
「終わるまでおとなしくしてろよ。つか、ちびすけ。まだ終わんねぇの?」
「糸を取らないんですもの」
「警戒されてしまっているんですもの」
「深すぎて、よく見えない、から、糸をかけるの、難しい」
親友の背に阻まれて、彼らが何をしようとしているのかは見えない。けれど会話の内容から、良くない事だと直感的に感じた。
親友も何かを感じたのか。彼女の足が一歩、前に出る。
「紺《こん》、駄目っ!」
嫌な予感に立ち上がり彼女の手を引く。
だが遅い。手を引く瞬間に、彼女の背越しに見えたのは、舌打ちをする少年と白の光の線。
彼女に向けて投げられたナイフが、彼女を。
「止めて下さいな。ワタクシの紺に傷をつけようなどと」
目を灼く赫の炎。
親友を守る壁のように燃え上がり、ナイフを呑み込み跡形もなく消える。
「下がりなさい、紺。そこで倒れている男の側でおとなしくしていなさい」
「狐さん」
炎を纏い現れたのは、朱色の毛並みをした大きな狐。
親友が安堵の笑みを浮かべ親しげに呼ぶ様子から、この狐が彼女の大切なモノなのだろう。
掴んだままの手を改めて引く。こちらを見る親友を促して、住職の所まで数歩下がる。
邪魔になってはいけないと、本能が告げていた。
「邪魔なのが出てきたな。別にいいけどさ」
地を蹴り、距離を詰める。流れるような動きで手にしたナイフを狐の喉元へ突き刺すが、それよりも速く狐の裂けた尾の一つが少年の体を横殴りに飛ばした。
「面倒くさい尻尾だな。じゃあ、こうするか!」
宙で回転し、勢いを殺さず無数のナイフを狐に投げつける。
しかしナイフが狐に届く事はない。振った尾から現れた炎がすべてを呑み込み消していく。
とん、と少年が地に降りる。その表情に焦りはない。
また一つナイフを投げ。炎がそれを呑み込み。
だがナイフは消える事はなく、炎を纏ったままに狐の尾に突き刺さった。
「狐さん!」
駆け寄ろうとする親友の手を強く握り、引き止める。行った所で足手まといになるだけだ。それを分かっているのだろう。手は振り解かれる事はなく、小さなありがとう、の言葉と共に側に寄り添うようにして座り込んだ。
「少しは楽しめたけど、まあこんなもんか。案外あっけないな」
にやり、と少年の口元が弧に歪む。幼い外見に似つかわしくない鋭い眼が狐を見て、そしてその背後にいる自分達を見た。
視線が交わる。少年の口元がさらに歪んだ。
狐の尾が少年の視線から隠すようにして振られる。現れたいくつもの炎の玉は少年へと向かい。
「馬鹿なやつ。獣だから頭は良くないのか」
その言葉と同時に。炎の玉が炎を纏ったナイフへと変わり、そのすべてが向きを反転させた。
そのまま狐の尾に、体に深く突き刺さる。
ぐらり、と傾く狐の体を、親友と二人声も出せずにただ息を呑んで見つめていた。
「愚かなのは、果たしてどちらなのでしょうね」
静かな、それでいて澄んだ響きの声。
少年から笑みが消え、訝しげなものへと変わり。一つ遅れて複数の悲鳴が聞こえた。
少年よりも奥。池のすぐ側にいた二人の幼い少女達が悲鳴を上げている。
少女達の間には、目の前の少年よりもさらに幼い少年。その背には燃えるナイフが突き刺さり、音もなく静かに崩れ落ちていく。
「晴《はる》っ!」
振り返りその様を見た少年が、叫ぶようにして崩れた少年の名らしきものを呼ぶ。地を蹴り、素早く彼の元へと走り寄った少年の手は、けれど彼に触れる事はなかった。
「ぐ、ああぁあ!」
赫の炎が少年を焼く。
背を、腕を、足を、頭を。赫が覆い、見えなくなってしまう。
悲鳴が響く。泣く声がする。あぁ、と声にならない呻きが溢れ落ちた。
「はいはい。そこまでにしてよ。ちびたちは幼いからね、まだ良い事と悪い事の区別がつかないんだ」
知らない声。
いつの間にか現れたのは、自分達とさほど年頃の変わらない少女。
目の前の惨状など一切気にせず、子供達の方へと歩いて行く。
「それで納得は出来ぬと分かっているでしょう」
狐が少女に声をかけ、少女の足が止まる。
「そうだね。じゃあ、おちびが怪我をさせた人の手当で妥協してくれない?」
「必要ありません。そこのもどき等を回収してもらうのが最良だと言われております」
「もどきって。おちびたちはまだ人なんだけど」
呟く少女の表情からは何も読み取れない。
目の前の光景に一切取り乱す事なく、戸惑う事もなく狐と話をしているその姿は、とても異様で小さく体が震えた。
「今回は完全にこちらの落ち度だからね。おとなしく言う事を聞いておくよ…ほら、帰るよちびたち。様子見だって言ったのに、何してんのさ」
子供達へと歩み寄り、声をかける。
泣く少女達が側に来た彼女の姿を認めて、抱きついた。
「あるじさま!」
「晴が、嵐《あらし》が!」
「わたしたちがわがままを言ったから」
「失敗したの何とかしようとしたから」
「分かってるよ。大丈夫。それに二人とも問題ないよ。そうでしょう?」
振り返らずに少女が声を上げる。
何がとは言われずとも彼女が言いたい事を理解して、狐は尾をゆるり、と振った。
炎が消える。
少年達の焼かれた跡も、刺された跡も何一つなく。
まるで夢でも見ていたみたいに。
「ほらね。全部あちらは知ってたし、こうなる事も分かってた。嵐、起きてるでしょ。晴をつれて戻るよ」
「師匠。悪ぃ」
炎に焼かれていたはずの少年が起き上がり、少女に小さく謝罪をすると、倒れているもう一人の少年を抱き上げる。
「あちらの眼は本物だからね。仕方がない事だよ。さ、早く帰ろうか。水と鏡は繋がっているから、帰り道は水の先だよ」
彼女の言葉に反応して、池の水面が緩やかに盛り上がる。
高く上がった水は左右に広がり。言葉通りに、水の先の景色がどこか暗い室内を映し出す。
「それじゃあ、帰ろうか。痛くて怖い思いをさせてごめんね」
振り返り、こちらに視線を向けて彼女は謝罪する。
申し訳なさそうなその顔に何も言えずに、ただ首を振った。
小さく笑う。そして子供達を促して、水の中へと足を踏み入れ、姿が消える。
ばしゃん、と重力に従って水が落ちる。その音にはっとして、繋いでいた親友の手を離した。
「狐さん、大丈夫」
「問題ありませんよ。傷もありませんしね」
狐の姿が揺らめいて、狐から人の姿に変わる。
以前親友に連れられて行った、神社の宮司の姿。彼女の、大切な人。
その姿には、刺されたはずのナイフの傷はない。
「狐は化かすのが得意なのですよ。それよりも、アナタ様の傷とそこの男の傷の手当をしなくてはいけません」
彼の言葉に、未だに意識が戻らない住職に触れる。
暖かい。その温もりに安堵する。
「傷は深くはありませんから、心配はいりませんよ。先ほどは紺を止めて下さりありがとうございました」
ふわりと微笑んで、住職を抱き上げる。
お礼の言葉には、ただ首を振る事しか出来なかった。
「あーちゃん、いったんお寺に行こう?あーちゃんの傷も手当てしないと」
「うん。そうだね」
親友に促されて立ち上がる。
子供達が何をしたかったのかは、結局分からないままだ。
不安に押しつぶされそうな気持ちを誤魔化すように。
差し出された親友の手を取り、心配する彼女に向けて大丈夫だと笑ってみせた。
20241106 『一筋の光』
一筋の光
何処かに出た。…周りを見回す。私は一室の床にへたり込むような形で膝をつき、両手を床に置いていた。背後に格子の窓があるようだ。月の光か街の灯りかわからないが、薄ぼんやりと明るさは感じられる。
「下」を通ってここに出た。練習がてらだが、地球の裏側と言っていいほど、私の居る場所から離れた街の何処かへ、知る人を目印に「飛んで」みたのだ。……ちゃんとできているのか判然としない。はて、確認のしようが無いぞ、と自分の迂闊さに思い至ったとき、その部屋の私が居る反対側の床に一筋の光がさした。細く射し込んだ光は幅を広げてゆき、この部屋にベッドが置かれているのが見えたところで、ようやく私は気づいた。今この地域は日暮れの後、つまり夜の時間帯で、射し込んでいる光は隣の部屋の灯りで、この部屋のドアを誰かが開けたから、床に光が当たり出したのだと。
開いたドアのノブを握っている誰かを見てみた。私の姿など誰にも見えず、認識できないであろうから、何も問題は無い……と思ったらその誰かと目が合った…いや、気のせいだろう……だが、だがしかし、その誰かは私から目線を外さないまま、隣の部屋に引いて行くようにパタンと静かにドアを閉めた。…あれ? 認識された…? この姿を…? 待て、この姿。私は「下」を通って来たのだ。重く纏いつく泥もかくやという、そんな「層」を渡ったので、私はまだデロデロと余計なものをくっつけたままなのだ。はっきり言ってバケモノじみたものに見えても不思議ではない。……見えたとしてだが。
それより、そんなことより。この部屋はどうやら寝室、「怖くて使えない」なんてことになったら、とんだご迷惑というやつだ。どうしよう、いや、どうしようもない。どうして「下」を使ったのか自分。「上」で来りゃよかったのに…内心もんどり打つ気分になったが、ここはとっとと去るに如くは無し。「うきゃー、ごめんなさいでしたぁー!!」なんて、届くわけない文言を繰り出しながら退散した。
暗闇に射す一筋の光、ほうほうの体で逃げ出した学び。いやはや、ポンコツなのは生来か…
ぎりぎりと目の奥が痛い。
筋肉が張っているのがよく分かる。疲労した身体は灯りを点けるのさえ億劫で、薄暗い部屋の中、液晶の光だけが網膜を刺していた。
ブルーライトカットなんて気休めくらいにしかならないな、けっこういい値段したんだけど。
安いエナドリを飲み干しながらずれた眼鏡を直した。いつの間にか、舌にべったりと残るケミカルな甘さにも慣れてしまっている。
そういえば最後に仮眠を取れたのはいつだったか。
睡眠不足で錆び付いた脳みそでは、そんな他愛のない思考にもなんとも時間がかかる。思い出すのも面倒で、どうでもいいか、とまた液晶に向き直った。
残業もした、それでも仕事が終わらなかったから、こうして持ち帰ってまで仕事をしている。
先輩たちは「繁忙期だから仕方ない」なんて言って笑っていたけれど、その繁忙期っていったいいつまで続くのだろうか。それに、先輩たちは僕よりも残業が少ない気がするのは、それは僕が愚鈍だからなのか、或いは先輩たちの仕事量が僕より少ないのか。
ずきずき、眼痛が酷くなる。
そもそも何で、いま僕はこんなのをやっているんだろう。分かってる、締め切りが近いからだ。それはそうなのだけれど。これって僕じゃなきゃ駄目だったのか? 僕は他にも色々と抱えているのに。「何事も経験だ」とは言うけれど、でも。
目蓋が重たい。
ゆっくりと、目蓋が下がっていく。
まだ終わっていないのに。
しかし身体は言うことを聞かなかった。
落下するみたいに、或いは糸が切れたように、僕の身体は脱力してしまって、そのまま真っ直ぐに意識も途絶える。
ちゅん、ちゅん
ちちちち
雀か何か、小鳥のさえずりが鼓膜を揺らした。
久しく聞いていない可愛らしいアラームの音で、僕は目を覚ます。ぐっ、と伸びをすれば固まりきった筋肉が異音を発した。ひと心地ついてからようやく僕は状況把握に動き出す。まだ脳みそは寝ぼけている。
「今、何時だ……??」
眼鏡を外しながら、液晶に目を向ける。ノーパソのディスプレイの端っこに小さく表示される「11:15」を見つけたとき、リアルに肝がぎゅうっと縮んだのが分かった。
もちろん大遅刻だ。
テキトーに放り出していた鞄からスマホを取り出せば、ずらっと不在着信の通知が画面に並んでいる。
「あぁ……どうしよう……」
ノーパソの前に座り込んだまま、僕は頭を抱えてしまった。薄暗い部屋でぐちゃぐちゃのワイシャツのまま、しばらく呆けていた。何故ならば僕は気づいてしまったから。
辞めたい。
もうあそこで働きたくない。
辛い。
そう叫ぶ自分の心に。
それに気づいてしまったら、無理やり身体を動かすことが出来なくなってしまった。
ちゅん、ちゅん。窓の外は賑やかだ。
閉めきられたカーテンの隙間から射し込む白い光の筋を見る。薄暗い部屋にあそこだけコントラストが生まれていて、綺麗だった。こんなに日光が強いなら外は多分暖かいのだろうな。
「……仕事、辞めようかな。」
気づけば、するんとそんな言葉が僕の唇から滑り出る。無意識で出た物だったけれど、それは確かな形を持っていた。口にしたら、雲に覆われていた心が晴れていくような感覚を覚える。
カーテンを開けば、暖かい日光が網膜を刺す。でもちっとも嫌な感覚じゃない。
不在着信の通知を消して、検索エンジンを開く。
善は急げ、思い立ったが吉日。
やっと息が吸える。
久しぶりに頭がすっきりした。
僕は迷いなく、一つの電話番号に電話をかけた。
『一筋の光』
火の粉が舞い上がる。
先の見えない夜闇の中で、彼女が持つ火灯りだけが頼りだ。
『夜を凌ぐ篝火』
一筋の光
一筋の光が、嘶くように弱く射し込んできた。
トンネルの内側からだった。
最初はマッチ棒に灯されたように、くぐもった弱い光。厚い布で包んだまま電球を付けたような弱さ。この弱さに温かみがある。
時間とともにその光は強まっていく。
懐中電灯かと思っていたら、それよりも強くなる光。
また、いつからか鳴っていた機械動力の反響音も増した。
トンネルの中から何かが出てきた。
光の正体は軽トラックのヘッドライトだった。
田舎の田園風景……の、ちょっとした凹みの地域。
小さな盆地。
陸の湖みたいに小さな山村。
そこに、一台の軽トラックは出た。
車体の色は白。一方で時間帯は夜。
それ故に薄っすら白いものが動いているだけ。
白いレースカーテンを包んだものが、山間を縫う道路に沿って走行している。
黒く塗りつぶされた東西南北に迫る山は森閑としており、肉に飢えた凶暴なイノシシが人里に降りてくるという。
軽トラックも、こんな夜更けに車を走らせたくなかったのだが、田舎の職人気質の男主人がハンドルを握るものだから、しょうがないと付き合っているのだろう。
夜なのに麦わら帽子。
涼しいのに濡れタオルを肩に抱く。
そろそろ年金ぐらしを始めたら良いが、当人はそのつもりなし。
しばらく走ると、誰もいないというのに、左のウインカーを律儀に出して、左折した。
車速は一気に静まり、どうやら田んぼのあぜ道を通っているようだ。
こちらに近づけば近づくほど、ガタガタと、軽トラックを揺らしている。未舗装道特有の、砂利と小石の上を走る姿。夜の闇を進む四輪駆動の黒いタイヤ。
黒い夜がいかに怖いのか、それらの音が真相の一端を垣間見させた。
車は目的の田んぼに最接近した。
照明代わりに、車のヘッドライトは付けっぱなし。
車から降りた。そして闇の中へと不用心に入っていく、
明日は嵐が来るという。
そのために来た。
その間、ヘッドライトは土地神たる案山子(語り部)を照らし出していた。
〜一筋の光〜
あの時見えた光をずっと追ってきた
どこかにある答えを探して
たくさん自分の心に向き合ったし
たくさん振り返った
ただ毎回気づいては消えていく
苦しみが連鎖していく
その時やっとわかった
全部間違ってなかったって
何一つ違わなかったって
感じたことも行動も
今まで改善ばっかり考えてた
どうしても自分を受け入れられてなかった
だって間違ってると思ってたから
全部答え合わせできる訳じゃないから
間違ってるんだって
大きなことに気づいたよ
正解は人によって変わるって
答えに間違えはないって
解いた時の気持ちが大事だって
正解をひとつに絞ってそれを導いた自分を責めて
本当は、そう思った気持ちが大事だし、人によって正解は間違えにもなる
しかも本当は全部あってる
やっと気づけたよ
やっとやっと感じることが出来た
心の底から自分を信じることが出来た
本当にありがとう
社交不安症で
人に注目されるのが
本当に
ニガテなわたし。
この人に
あの人に
自分が
どう思われているか?
可笑しなことを
言ってないか?
気になって
考えなくていい
他人の言葉のウラを
常に考えて
生きにくい。
でも、
あなたと
2人の時は
テンパらずに
過ごせて
気持ちが
落ち着く。
あなたの
優しさと
メンタルに
わたしは
救われている。
#一筋の光
妻→れいな 旦那→かいと
妊娠した
初めてのことで私はすぐに旦那に連絡した。旦那も大喜びして、二人でハグをした。そのあと旦那と子供の名前を考えた。「男だったら勇気、女の子だったらナズナにしよう」そう旦那が明るい声で言った。
子供が生まれた。名前はナズナ。生まれたばかりで言葉もうまく喋れず、とてもかわいかった。そして、ナズナはどんどん成長していき4歳の誕生日を迎えた。そんなある日私は台所で夕飯の準備を、旦那は仕事をしていて、ナズナは2階の部屋で一人だった。夕飯ができた。私はナズナを一階から呼ぶ。だが、返事がなく直接2階に行った。
「ナズナ!!」ナズナは2階の窓から落ち、意識がなかった。その頃、旦那は仕事終わりで電車に乗って帰っている最中だった。駅のホームでスマホが鳴った。
「もしもし?どうした?もうすぐで家に着くよ」旦那は落ち着いた様子であと少しで家に着くことを妻に知らせる。
「違うの!ナズナが…ナズナが2階の窓から落ちたの!!!」
それを聞いた旦那はさっきより早口になり急いで家に帰ることを妻に伝えた。
帰宅
「ナズナは?!」
「今、救急車を呼んだところよ…もっと私が早く呼びに行っていれば…」
「俺ももう少し早く帰ってきていれば…」
救急車が家に到着し、ナズナは病院に運ばれた。だが、ナズナは助からなかった。そして私と旦那は次の日もそして一週間、1ヶ月たっても元気を取り戻すことはなかった。
「もう、、子供はいらない」と私はそう小声で夕飯を作りながらつぶやいた。
妊娠した
始めはただ単に嬉しかった。
子供が生まれて大きくなった。だが、子供が大きくなるにつれてかいとは私のことを構ってくれなくなった。ナズナばっかり。悔しくなった。
小さな頃に友達からもらったノートに1日の日記を書いた。
?月?日
子供ができた。とても嬉しく涙が出た
?月?日
今日は一日かいとと喋れていない
?月?日
ナズナの誕生日久しぶりにかいとと話した
?月?日
ナズナの夕飯抜き
?月?日
どうしたらかいとは私をみてくれるんだろう?
わかった。ナズナがいなくなれば…
深夜1時半、目を瞑り、ノートを片付けた。
布団にはナズナの寝かしつけで途中で寝てしまったかいとと大の字をして眠っているナズナがいた。
「夢の中でパパに最後の挨拶をしてね…」心の中でそう言った。
次の日
「ママー!」
「はぁーい」
「抱っこして!」
「いいよー!」
ナズナは笑った。笑顔がかわいかった。だが、私にとってはかいとを奪った子。そう思うと怒りが込み上げてくる。
午後4時半
私は2階部屋の窓を半分あけ、そこにナズナを座らせた
気づけばナズナはいなくなっていた。
「さよなら、ナズナ、私のこと空で見ててね。あと、呪わないでね。」
私は悪くない。だって…、あの子が勝手に滑って落ちたんだもん。
<私の子供>
ばかみたいっていわれるけれど。
あんまりに眩しすぎた世界の中で、
ただ一時だけ影を傾けてくれた。
そのひとに救われたのは確かだった。
‹一筋の光›
枯れ葉舞う樹に立ち竦む
隣の君は指をさす
花色染める幹枝を
芽吹きゆく小さな瘤を
積雪咲かす日を
繰り返し彩る季節を
隣にいた君は指差した
一人未来を指差した
‹哀愁を誘う›
私の胸の中に、青鈍の心臓が萌えている。
雫の滴る石や一筋の光を落とす木に、それはジンと音を立てて増えてゆく。
雨上がりのアスファルトや、ツルリとしたラムネの瓶などにも。
人間とはとても単純なもので、そういう美しいもの達に心揺さぶられる。
けれど、次の瞬間にはすでに他の物へ興味が向いている。
嗚呼、なんて愚かで愛おしいのか。
私はその一瞬に己の心を燃やしたい。
緩やかに訪れる死を待つ為に。
「一筋の光」
辛い時、悲しい時、そばにいてくれるのは君だった。
先生に怒られた時、友達に悪口を言われた時、話を聞いてくれるのは君だった。
私にとって一筋の光は君だった。
君といると私の心も明るくなる。
一生君の傍にいたかった。
「一筋の光」
物を書く皆さんへ
今、あなたは孤独で寂しい日々を送っているかもしれません。
寄り添ってくれるひとや、安心できる居場所が存在しない。
そんな辛い日々を、送っているかもしれません。
ですが、あなたのそばにはノートと鉛筆があります。
「書く習慣」というこの場所もあります。
何かを見て聞いて、それを文章にする。
たくさんの素敵な言葉で毎日を紡いで、あたたかい心のマフラーを編む。
それを繰り返すことで、自分に寄り添い、心の拠り所ができるのです。
だから私はこう言い続けたい。
あなたはひとりであっても、孤独ではない、と。
過去のあなた自身が、今のあなたのそばにずっといて、決してそこを離れないから。
あなたの言葉が、心を温め、守るから。
もし私が、私の書いた文章が、あなたにそっと寄り添えたら。
一筋の光となれたら。
私はそれだけで幸せです。
長い長い嵐だった。史上類を見ない大きさと強さで上陸した台風は、各地で土砂災害や河川の増水等の爪痕を刻みながら進み、今日やっと温帯低気圧に変わったという。
私の住む地方は直撃こそ免れたものの、連日激しい雨が降り続いていた。
私は自分の部屋のカーテンの隙間から窓の外の午前3時の空を見上げた。雨はまだパラパラと降っているようで、星なんて見えない。
私は引きこもりで、昼夜逆転した生活を送っている。いつものようにスマホを弄って夜を過ごし、朝になって朝食を食べたら床に就く。今日もそのはずだったのだが、何だか今夜は胸がざわついてしょうがなかった。星の見えない夜との付き合いだってこれまでもザラにあったのに。
自分はどうしてこんなことしてるんだろう。いつもは直視しないようにしている疑問が、頭に浮かんで離れない。特別大きな理由があったわけじゃない。言うなら、小さなストレスの積み重ね。それである日突然朝起きられなくなって、会社に行けなくなった。それから気づけば3ヶ月経っていた。
また現実逃避にスマホを覗き込む。小説サイトを巡って、ゲームをして、時間を潰す。そのルーティンが、一通のメッセージによって破られた。
『ハルちゃん、久しぶり!元気?』
最近は疎遠になっていた友人からだった。こんな時間にどうしたのだろう。いつもだったら未読スルーするそれに、今日は応えてみたくなった。
『身体はまだ元気だけど、心は調子悪いかも。仕事辞めちゃってさ』
この友人には、あまり弱音吐いたことがなかった。それなのに、自然と指が紡いでいた。
すぐに既読がつき、5分あまりの沈黙の後、通話がかかってきた。
私は突然のそれに驚き、通話をとるか否か数秒迷って、結局おそるおそる通話ボタンをタップした。
「ハルちゃん、久しぶり。急にごめんね。今大丈夫だった?」
彼女は思いの外柔らかい声でそう言った。私も「久しぶり。大丈夫」と応える。
「今夜、私、眠れなくてさ。何だか心がザワザワして寂しくて、スマホ見てたら、ハルちゃんの名前が目に入ったから。連絡したくなったの。
そしたら心の調子悪いって返信きて。声聞きたくなっちゃった。深いことは別に話さなくてもいいから、普通におしゃべりしようよ」
彼女はそう言って、本当に他愛もないことを話し始めた。私もそれに相槌を打ちながら、たまに自分から話した。思えば、他人と言葉を交わすのは、すごく久しぶりのことだった。
彼女との会話は楽しかった。ざわついていた心が落ち着いて、安らいだ。
通話は夜明けの時間にまで及んだ。
「ハルちゃん、眠い?ごめんね、長く付き合わせて」
彼女の心配そうな声で、自分がうとうとしていたことに気がついた。もう明け方とは言え、この時間に眠くなるのは久々だった。
彼女の声に大丈夫だと応えた。もうこんな時間なのかと時計を見ながら伸びをする。
「もうこんな時間なんだね。いつの間にか夜が明けて……あ!ハルちゃん、空見て!きれいだよ!」
彼女が言うので、カーテンの隙間から窓の外を見てみる。そして、息をのんだ。
朝焼けだ。雨が上がって、分厚い雲の間から、一筋、強い光が差していた。確かに綺麗だった。心が震えた。自分の中に鬱々と降り積もっていたものが、全て吹き飛ばされるような感覚があった。
「今日は通話してくれてありがとう。楽しかった。この空も、見られてよかった」
自然と彼女に感謝の言葉を伝えていた。彼女は笑って、「こちらこそだよ。ありがとう」と言ってくれた。
通話を終えて、私はずっと閉じていたカーテンを全開にして、窓も開け放った。雨上がりの湿った空気が部屋に入り込んでくる。それは、お世辞にも爽やかとは言い難いものだったけれど、それでも何だか気持ちよくて、私は身体を大きく広げて深呼吸した。
新しい朝のにおいがした。
3年生になって初めて親友とクラスが離れた。
仲良しの3人で私だけ別のクラスになるなんて信じられなかった。
新しいクラスに知っている人はいたけれど、あまり話すことはなかった。
教室を見渡すと、早くもグループができ始めていた。
でも、勇気が出ない私はその輪に入ることはできなかった。
そんなとき、一人の女の子が話しかけてくれた。
「名前なんていうの?」
その子は、ひとりという暗闇にいた私にとって、一筋の光のようだった。
今、私が楽しくいろんな人と話すことができているのは、その子のおかげだ。
幸せな未来は、些細なきっかけから作ることができるんだと思った。
一筋の光
ネタ切れだ。
もう何も思い付かない。
頭の中の想像力の海は真っ暗だ。
一筋の光すら射し込んじゃいない。
一筋の光
私は、暗闇の中の光が大好きだ
周りは暗いのに、電柱が光っているのを見たら
私も、今日頑張ったなと自分を自分で褒める
softbankの機種を変えようとしている。
ギガが足りなくてアップデートもできない
家族がいて良かった
身近に家族がいる。
21. 一筋の光
高揚の中一呼吸すると、口角を上げ胸を張って歩き出す。あたたかな光と期待に包まれ一礼すると、静寂と暗がりが訪れる。一条の光がこちらを照らす。見渡す限りの視線が静かに一点に刺さる。ずっと恐れていた、しかし夢に見た瞬間。頭の中で一音目を鳴らす。さあ、始めよう。
"真っ暗な世界からぼくを助け出してくれたのは君だったんだ。"
ー 一筋の光
<一筋の光>
灯台の上
昇る鳥
後を追う様に
他の鳥も続いて行く
進む鳥達
先頭の鳥は
導く様に
進んでいく
―彼について行こう。 彼が導いてくれる!―
《一筋の光》
保全させていただきます。
いつも読んでいいねを下さっている皆様にはいつも本当に感謝しております。
この場をお借りして、御礼を申し上げます。ありがとうございます。
最近は書けておらず、本当に申し訳ありません。
落ち着いたらまた書いていきたいと思います。
その時は、どうぞよろしくお願いします。