ベルの音』の作文集

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ベルの音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

12/20/2024, 9:30:39 PM

ベルが鳴る。
壊れかけのそれは途切れ途切れの乾いた音を鳴らす。

1回、2回。

身体が重い。ベッドにいまだ沈みながら、遠くで響くベルの音に脳だけが緩く覚醒していく。

3回、4回。

今日の訪問客はなかなかに辛抱強いらしい。
鉛のようにずっしりと質量を持った両腕と、古びたブリキのおもちゃみたいにギシギシと音を立てる両脚に力を込めて、ようやくベッドから立ち上がる。

5回、6回と鳴った所で私は玄関の扉を開けた。

『 Merry Christmas! 』

目の前には小さなサンタクロースがいた。
まだ幼い子どものように見える彼は、しかしとても大人びたように恭しく一礼をした。

『はじめまして』
そう声を掛けられて、停止していた思考がようやく動き出す。

私の胸にも届かないほどの背丈。赤と白を基調とした、ぼんぼりのついた帽子とふわふわのマント。
やわらかく透き通った声、少し赤い頬と鼻、満面の笑顔。
小さな両手を後手に組んで、私の反応を待っているようだった。

「えっと…君はだれ?」
私がそう訊くと、小さなサンタクロースはパッと目を輝かせてこう言った。

『僕は、“貴方”をお守りする様雇われた精です』
『“貴方”が最近笑えなくなってきたっていうから来たよ』

それは歌うような、とても美しい響きだった。



『ベルの音』
「灯火」Mrs.GREEN APPLEより

12/20/2024, 9:29:14 PM

言葉の裏側にある心が見えたらそれが真実なんだ

12/20/2024, 9:25:38 PM

クリスマスカードを
母に贈る
サンタやら贈り物やらが
にぎやかに飾られた
ポップアップカード
ジングルベルの音も鳴る

四季折々に母に贈るカード達
いつも手紙を添える
母の耳がとおくなり
LINE操作も難しくなった頃
手紙を書くようになった

ずっと昔から
お前は字がきれい
と 言い続けてくれる母
褒められれば伸びるもの
手紙もおっくうではない

可愛らしいカードが
母を喜ばせ
ジングルベルが
母の耳に届きますように

12/20/2024, 9:21:07 PM

遥か遠くから
聴こえてくるのは
今年の終わりを
告げる鐘

柊の木には
飾りをつけて
遥か昔の
人を祝う

神様は多分
知っているだろう
私たちがいま
祈っていること

教会は今
真夜中を照らす
この日を祝う
ベルの音で

----さんたさんは
きっとくるよね
ぼくことしは
とてもいいこにしたよ
ぷれぜんとは
なにがくるかな
くっきーをつりーのしたにおいて
さんたさんをもてなしてあげよう

べるのおとがとおくからきこえる
もうことしがおわってしまうのに
おとなたちはまだ
そんなこともしらずに
あせりながらいきている
しんだしんかいぎょのめをして
いそがしくいきている

さんたさん
ぼくがほしいぷれぜんとはね
みんながゆったりいきていけるような
こころのよゆうがほしい
みんなががんばりすぎて
しんじゃわないような
そんなものがほしい-------

ベルは未だ
鳴り続けている
眠りについた
子どもを残し

人々はきっと
生き続けている
そんな音の
正体も知らず

柊の
その木の下に
たった一つの
ぬいぐるみ

12/20/2024, 9:20:54 PM

呼び鈴を鳴らす。
荘厳な音が指先から飛び出す。
明らかに家の中でバタついた音がする。
ほんの5分くらいしてから、まだ髪の毛もくるりとはねたままの貴方が慌てたように戸を開けてくれる。
「どうぞ、入って」
優しい声色が耳を擽る。
この声が私の凍てついた心を一瞬にして溶かす。
恋人ごっこの夜が今から始まる。
ごっこでも真似事でも今更何でも良い。
私を買ってくれる貴方に精一杯の春を届けよう。

12/20/2024, 9:19:44 PM

チャイムが授業の終わりを告げる

急いで次の教室に向かう

別に急ぐほどの距離じゃないけれど

授業が終わって急いで帰るあなたと

偶然会えるんじゃないかなって

ほんの少し期待してしまっているから

12/20/2024, 8:06:53 PM

今日のテーマは『ベルの音』ということで。

テーマの音の部分は無視してしまうのですが、私の記憶が正しければ、『ベル』はフランス語で「魅力的な女性」という意味があるそうで。

しばしば男女の話になると「タイプの異性は」とか「魅力的に思う異性は」なんて聞かれることが多々ありました。この質問を受けるたびに「はて、タイプとはなんぞや、ポケモンか?」と脳内でツッコミをいれていたわけです。

そんな私の脳内は置いておいて、『ベル』つまり「魅力的な女性」についてですが、これは「好きになった相手の好ましく思う側面」としか言いようがないと思うのです。
これまで何人かの異性に惹かれ、中にはおつきあいに至る方もいましたが、タイプはバラバラ、惹かれた(魅力に感じた)部分もまちまちでした。

もっというと、恋人として「魅力的な女性」と、結婚相手としての「魅力的な女性」、はたまた異性の友人として「魅力的な女性」の魅力的な部分というのは異なるのではないかと、私は思うわけです。なので、やはり回答に困ってしまうわけです、難儀な性格ですね。

とはいえ、先にあげた質問についてですが、一応答えてはいます。「人間らしく、心身ともに健康な方」と。これはかなり理想が高いものだと我ながら思います。ただ、この条件に当てはまらなくとも、惹かれる異性というのが「魅力的な女性」なのだと、私は思うわけです。

はい、お約束の30分です。
今日のテーマはこの辺りで。バイバイ。

12/20/2024, 7:58:09 PM

【ベルの音】

皆さんはクリスマスイヴ、クリスマス当日はどうお過ごしでしょうか?

私はクリスマスを友人と過ごすわけでもケーキを食べるでもなく、ただただベッドの上でじっ……と静かにクリスマスが終わるのを待っています。

昔……というか小さい頃はサンタさんが来るのを楽しみに待っていたり、ケーキを食べたりとそれはもうクリスマスを満喫していましたよ。

そうですね……。クリスマスが苦手になってしまったのは、私が21歳フリーターで恋人もおらずバイトに明け暮れていた時の事です。

ーー

12月24日夜、ケーキ店の短期バイトを終え家に帰る。

買ってきた缶ビールを開け、貰ったケーキを食べる。

もぐもぐとケーキを食べながら、ふと頭にある考えが浮かんだ。

(オカルト板で一人かくれんぼ実況してる人がいたなぁ……
暇だし俺もやってみようかな)

押し入れから何かでもらった変なキャラクターのぬいぐるみを引っ張り出す。

パソコンを付けて検索をする
『ひとりかくれんぼ 手順』

「以外とやる事多いな……」
ぬいぐるみのお腹を裂き米と髪の毛を詰める。

お腹を縫い合わせぐるぐると糸を巻き人形の準備は完了した。

現在時刻は22時すぎ。
コンビニ飯を食べて、シャワーを浴びる。

シャワーを浴びるついでに水も貯めておく。

ーーーー

ネットサーフィンをしていたらいつの間にか2:30。

急いで塩水を作る。
……少し恐怖心もあるため盛塩も4つ用意した。

盛塩を隠れる予定の押し入れの四隅に置き、塩水と時計も一緒に置く。

午前3時。
「最初の鬼は俺だ」と3回唱え浴室に貯めた水に人形を沈める。

家の明かりを全て消しテレビだけをつけ、砂嵐が出ている状態にし、目を瞑って10秒数える。

刃物を持って風呂場に行き、「五郎(ぬいぐるみ)見つけた」と言って刺す。
「次は五郎が鬼」と3回唱える。

俺は急いで押し入れに隠れる。



……
………

まぁ当然、何事もなく30分。

1時間、と過ぎていく。

(あと30分待って何もなければ終わりにしようかな……)

そう考えていた時のこと。

ピンポーン

インターホンが鳴る。

(は?今何時だと思ってんだ、いやいや気のせいだよな。
流石にこの時間に鳴らすやつなんていないよな)

ピンポーン

2回目が鳴る。

(いや、これは本当に鳴ってる……?
仕方がない取り敢えずひとりかくれんぼは終わりにするか)

少しだけ開けておいた隙間から部屋の様子を見る。

別にぬいぐるみが動いているとか物が浮いてるなんて事はないので塩水を口に含み風呂場に行く。

ぬいぐるみにコップの塩水と含んでいた塩水をかけ

「俺の勝ち」と3回唱える。

(これでひとりかくれんぼは終わり。
…インターホンは?
ひとりかくれんぼの影響なのか酔っ払いか何かが来てるのか……)

シーーーン……

ひとりかくれんぼの影響だったのかな、と思った矢先。

ドンドンドンドン!!!!

激しくドアが叩かれる。

(ひとりかくれんぼは終わらせたから多分酔っ払いとかだろうな……)

ゆっくり息を殺してドアスコープを覗く。

何も見えない。

「んだよ……」

ピンポーン

「ッッ!!」

人の気配は無かった。

もう一度、息を殺して覗く。

真っ赤な服に真っ赤な帽子。

白い大きな袋を持ってる男……。

袋には赤黒い液が染み出ている。

(……これ、人間じゃねぇな)

ゆっくり、物音をたてないようにドアから離れる。

キッチンに置いたままの塩に手を伸ばし取ろうとした時……

ガシャンッ!!

コップを落としてしまった。

ドンドンドンドンッ

ガチャガチャガチャッ

(気付かれた!!!!)

塩を掴み一目散に押し入れに入る。

(大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫。

鍵は閉まっていたしチェーンもかかってた……!!

だから大丈夫)

ガチャリ

ギィー……

(!?
嘘だろ)

扉の間音と足音。そして重い何かを引き摺る音、鈍い鈴の音が聞こえる。

パニックだった。

鍵もチェーンも閉まっていたはずなのにどうして部屋に入ってきているのか。

とんでもない威圧感。

赤い服の男は部屋を一通り周ったと思ったら、ドアやクローゼットを開け本格的に俺を探し始めた。

(クソッ!!!!
そんな知能あるのかよ!!!!
早くどこかに行け………!!!)

……ズッズッ

近付いてくる音がする。

襖に手をかけ動かないように抑える。

ガタガタッッ!!

(グッ……………!!
力強すぎんだろ……!!)

ガンッ!!

勢い良く襖が開いた。

ーーーそこから先、俺の記憶はない。


目が覚めた時には、もうその男はいなかった。

玄関を見てもドアのチェーン、鍵はしっかりかかっていた。

……じゃあ、あの事は夢だったのか?

……………いや、違う。

俺は確かに押し入れの中で目が覚めたし、襖も開いていた。

グラスも割れている。

そして部屋に付いている赤い線。
これは袋から滲み出ていたものだろう……。

ふと盛塩を見てみると真っ黒に変色していた。

なにからが夢でどこからか現実だったのか。

俺はもう考えるのを辞めた。

ーーー

それから毎年、同じ時間にドアが叩かれ、鈍い鈴の音が頭に鳴り響くようになった。

どこに引っ越しても必ず。

流石にと3回目の後にはお祓いに行った。

お清めをしてもらいお守りと御札を貰ったのだが、お坊さんいわく、俺には何も憑いていないらしい。

それでも毎年ドアは叩かれ、鈍い鈴の音が鳴り響く。

俺は息を殺してじっと、貰ったお守りを握りしめ何かが居なくなるのを待っている。

12/20/2024, 7:12:16 PM

「ベルの音」

クリスマスは、家族で過ごす。
それが、私の夢。
私の両親は、仕事が忙しい。だから、クリスマスを一緒に過ごした記憶は、あまり無い。
友達の話を聞くとみんな家族でパーティーとかをするって言っていたからちょっぴり羨ましい。
私ね、サンタさんへの手紙にこう書いたの!

サンタさんへ
プレゼント入らないから、家族全員でクリスマスを過ごしたいです。
これからずっといい子にします。
だからお願いします。

って!

叶わない願いかもしれないけど、もし叶ったら嬉しいなクリスマスイブの今日、寝る時間になったから、その願いを込めながら眠りについた。

朝起きた時、リビングに行くと何故かお母さんとお父さんがいた。
「おはよう。今日、仕事は?」
そう聞くとお母さんは、「今日は仕事休みなの。だから、みんなで一緒に出かけよっか!」と言ってくれた。それがとても嬉しかった。
久しぶりの家族でのお出かけは、時間が進むのが凄く早くて、あっという間に夜になってしまった。
家に帰る前に、駅前にあるという大きなクリスマスツリーが飾ってあるのを見に行った。そこでは、くじ引きがやっていたので、1度だけ回してみた。
そしたら、
「カランカランカラン」
ベルの音とともに、1等賞の景品が渡された。
お母さん達の方を見ると、「おめでとう。良かったね(*^^*)」と言ってくれた。

家に帰っても、みんなでケーキを食べた。そして、クリスマスのプレゼントと言って、お父さんから私が欲しかった物を貰った。

本当に最高のクリスマスだった。
家族で過ごす。ことができないと思っていたから凄く嬉しかった。
また来年も、家族でクリスマスを一緒に過ごせますように。
そう祈りながら、眠りについた。

12/20/2024, 6:51:55 PM

ベルの音


思わず、空を見上げた。
星が見える帰り道、聴こえるわけがない音が、
聞こえた気がしたから。

けれど空は相変わらず、寒さに凍えているような星が数多に輝いているだけ。
自分も思わず身を震わせる。

「さぶ……。早く帰ろう……。」

子どもの頃よりはるかに背も伸びているけれど、
どうしてもこの時期は白いケーキを買ってしまう。
丸いケーキでは無くなってしまったけれど、1ピースのケーキだとしても、自分の足取りを軽くするのには充分で。

だから、空に軽やかな音色が鳴っている気がしたのかもしれない。

12/20/2024, 6:05:38 PM

枕元でベルの音が聞こえる、懐かしいベルの音が聞こえる。母さんもう直ぐ電車が来るよ、ねぇ早く早く急いでよ。父親が帰って来る日、興奮気味に母を急かす。
ベルの音が流れる、悲しげに悲しげに。
父さん行っちゃつたね、今度は何時帰るかなぁ。枕元で何時までもベルは鳴る。

12/20/2024, 5:28:06 PM

こんにちは、かも肉です。
いつもたくさんハートを送ってくださり、誠にありがとうございます。
これまで毎日書くことを心がけていたのですが、あまりにも書くことに夢中になってしまい、寝不足で体調不良になってしまいました。
この馬鹿みたいな経験を踏まえ、これからは二日に一回とか、そこら辺のゆっくりしたペースでやっていきます。
というより、気づいたらアプリ消してるかもです。普通にスマホの容量がなさすぎて、アプリの断捨離を始めているので。
一応これまで書いたのは全部コビーしているので、失うものは何もありません。ただ、創作欲求を満たすだとか、文章を書く練習するだとかがすごくやりやすいので、正直続けるか消すか微妙なところです。
まあ、急に消えてたら断捨離したんだなと思ってください。
なんでこんなグダグダ書いているかって?それはもちろん、今回のお題がムズいからっすよ。
こんな野郎が書いた文章を読んでいただけているのかと思うと、とても嬉しいです。
消えるその日まで、どうかお楽しみください。
そう言って明日になって確認すると、あれ消えてる!とかならすごいうけるんすけどね。
はい、ここまで読んでいただきありがとうございます。
それでは本題の“ベルの音”だっけ?なんだっけな。直で書いてるから消せない。まあ、適当に行きましょ。“ベルの音”ですどうぞ。
⸺⸺⸺
作品40 ベルの音


 家の近くに喫茶店ができた。歩いて十五分、自転車で五分くらい。そのは、とても美味しくて、特に喫茶店オリジナルのパフェが絶品だ。
 なぜこんなに詳しいのかというと、
「ねえ、ここ、気になるよね!一緒に行こ!」
 この女のせいだ。

 彼女は前の席に座ってる、所謂キラキラしてる系の女子。何故か陰キャの私にいつも絡んでくる。漫画かよ。
 でもまあ、私はあなたに興味ない。
「いや、甘いの苦手だからいい。」
「コーヒーもあるって!」
「コーヒーはお腹痛くなる。」
「普通のご飯もあるよ!」
「家ので十分。」
 だからいつもこんな調子で、嘘をついたりして、あらゆる誘いを断っている。なんで親しくないやつなんかと一緒に、飯食いに行かなきゃいけないんだよ。
「ねーねーいこーよー。」
 無視して帰る準備をする。
 今日は早く帰らなければいけない。なぜなら、好きな作家さんの最新作が、やっと近所の書店に並ぶからだ。
「急いでるから。さようなら。」
 足早にドアに向かう。誰も私を止められない。もちろん彼女も。いつだか布教したことがあるが、多分覚えておないだろう。
 まあだから、さっさと帰ろうか。
 教室の入り口近くまで歩いていく。
「……本買ってあげるよ?」
 思わず足が止まってしまった。
 後ろを振り返ると、彼女がニヤリと悪そうな顔で笑っていた。
「行こっか?」
 その誘いに乗ってしまった。

 カランコロンと、ドアのベルが鳴る。
 五分で帰ってやると決心して学校を出たはずなのに、その決心はあっと言う間に塵となった。
 店内に足を踏み入れる。片手には、さっき買ってもらったばかりの本がある。決心が揺らいだのは、これのせいだ。悪くない。
 そう自分に言い聞かせながら、店内をぐるりと見渡した。
 なるほど、いい感じのお店だ。レトロな雰囲気で、かかってる曲もセンスがある。カウンター席しかないようなので、一人で来るときとかは良さそうだ。
 頭を物理的な意味で必死に動かしていると、キッチンの方からいらっしゃいませと言う声が聞こえた。キッチンを見てみる。お父さんより年上で、おじいちゃんよりも若干若いくらいの男性。所謂おじさんが、エプロンを着て立っていた。
 席に座ると水とメニューを渡され、ごゆっくりどうぞと言い、去っていく。
 隣に座っている彼女に見えるように、メニューを置いた。
「えーどうしよー。やっぱパフェがいいと思うけど、気分はパンケーキなんだよなー。ねーねーどうする?決めた?」
 はしゃいでる様子で、彼女が言った。なるほど、メニューの写真はどれもすごく美味しそうだ。これは、迷うな。
 しばらく考えていると、彼女がまた言った。
「え、やっぱりケーキも良くない?パフェがパンケーキがケーキ……。悩む!」
 彼女が行ったメニューの写真を順に見ていく。私だったらパンケーキだな。そう思ったので、パンケーキにした。あとは彼女が選ぶのを待てばいい。
 しかしなかなか決まりそうにない。次は原点に戻って、パンケーキとパフェで悩んでいた。なんだか可哀想に思えてくる。
 しょうがないな。
「私パンケーキにするから一口交換する?」
 そういうとキラキラした目でこちらを見つめてきて、
「いいの!マジ感謝!ありがとー!」
 と、すごい感謝された。なんか、かわいいな。
 さっきのおじさんを呼び、パフェとパンケーキを頼む。すぐ運ばれてきた。
 食べる前に写真を取り、好きなところを選ばせて口に運んでやる。美味しそうに食べていた。たしかに美味い。これは行きつけになりそうだ。
 夢中で食べていると、彼女がフォークを近づけてきた。
「はい、お礼!おいしーよ?」
 少し抵抗しつつもいただく。
「!?え、おいし!?」
 思わず声に出てしまった。
「ありがとうございます。」
 おじさんが嬉しそうな顔で、こちらを見た。
「ね、おいしいよね!」
 満面な笑みで彼女が喋った。
 可愛い人が二人いる。これは行きつけに知るしかない。
 そう決めたとき、ドアの方からベルの音がした。新しいお客さんが入ってくる。
「いらっしゃいませ」
 おじさんの声が、まだ少し残ってるベルの音とともに、店内に響きわたった。


⸺⸺⸺
はい、眠いです。雑ですみません。優しい目で見てください。

12/20/2024, 5:06:03 PM

20



街中の至る所からクリスマスの圧を感じるのである。


赤や青、金色の光できらきらと眩しく装飾された木々や建物。そこかしこの店先に置かれたサンタやトナカイの光る置物。ツリーなど十歩に一本は置いてある。

極めつけはどこからも流れてくるクリスマスソングである。もろびとナントカやナントカキャロルだとか、如何にもクリスマスといった曲が歩く度にそこかしこから耳に入り込み、鼓膜を攻撃する。

「くそが…っ!」

俺は思わず小さく毒付いた。

どこを見てもクリスマス、クリスマス、カップル、カップル―――


(今年も相手がいねえのかよおおおお!!!!畜生がああああ!!!!)


どこにもぶつけようが無い心の叫びは、ただ虚しく己の脳内でこだまするだけであった―――。

上司の八雲さんは結婚しているし、最近知ったのだが同僚のゴリラ―――もとい東城ですら恋人がいるというのだ。

(つまり!!職場で!!俺だけが!!!恋人がいねええええあああ)

今年もこの病が発症する季節がやってきた。このクリスマス発狂病は12月25日まで続く病で、そろそろ毎年恒例のイベントのようになりつつある。

去年はどのように過ごしていたか。記憶にないが、確か一人で家でドラマだかアニメだか見ながらケーキとチキンを食べて過ごしたと思う。
クリスマスは嫌悪しているが、かといって季節もののウマいものを食い損ねるというのも負けた気がして嫌だった。

今年はどうするか。とにかく『何かに集中して過ごしていたら気がついたらクリスマスが終わっていたね』という状況を作ることが重要である。

(…いっそ山にでも行ってみるか。山寺に修行にでも行って煩悩を滅殺するか)

来るXデーに備えてあれやこれやと画策を練って歩いていると、思考を巡らせるのに集中し過ぎたのか、気がつけば俺は駅近くの大通りへと辿り着いてしまっていた。

「…しまった」

普段の何もない時の俺は、この大通りを通り駅へと向かい、そこから電車に乗り家へと帰宅する。
だがこの時期は駄目だ。
この大通りはクリスマス時期になるとイルミネーションをこれでもかという位に飾り付けする。
普段の倍ほどの人だかりが発生し、それらは当然の事ながらカップルらしき者共でほぼ八割は占められている。
その為、俺はこの時期になるとこの大通りを避け、わざわざ遠回りする形で近くの公園を抜け、駅へと向かうようにしている。

(くそ、ついいつもの癖でこっちに来ちまった)

面倒だが引き返して公園を抜けるか―――そう思い踵を返したその時である。


「どうした。駅に行くんじゃないのか?」


耳ざわりの良い、それでいてよく聞き慣れた声。
背後から突如声を掛けられ、俺はバッと思い切り振り返った。

イルミネーションを背に立つその人物は、話しかけられなければ特に印象に残らぬ出で立ちをしていた。
黒い大きめのダウンコートを着、フードを目深に被っているせいで顔は見えない。
グレーのスラックス、黒の革靴も別に普通ではあるが、強いて言うならよくよく見てみればかなりの値打ちものであるであろうという事くらいである。
背は俺よりも十数センチほど低い印象であるから、百七十数センチといったところであろう。

「……えっと…誰すか?」

確かによく知った声なのに誰だか全く分からない。
思わずそう返す俺に、その人物はこちらへ数歩近付き、フードを少し上へずらしながら顔を見上げた。

「酷いな。俺の事はすっかり忘れたか?」

深碧の瞳、少年のような可愛らしく端正な顔。
長い朱殷の髪の一束が、はらり、とダウンコートから零れ出た。

「んなっ…!は!?な、凪さ―――じゃなかった。社ちょ―――」

思わず後ろへ転びそうになりながら俺は声を上げた。
目の前の男は即座に俺の口を押さえる。

「こら。―――バレたらどうする」

そう静かに注意すると、男は俺の口から手を離し、辺りをそっと見回すと、俺の腕をおもむろに掴んだ。
俺が何も言えずに動揺しているのをよそに、男は通りの横にある細い路地へとそのまま俺を引っ張っていく。

「―――ここなら良いだろう」

路地の奥まで来ると、男はそう言って被っていたフードをそっと外した。
後ろに束ねた朱殷の髪が風に靡く。

火鋤神凪(かすくがみ なぎ)。現在俺が所属している会社『火鋤神株式会社』の社長であり、かつて大規模な抗争があった際、俺が命を賭して護衛していた人物である。
 
「しゃ、社長!すみません…!まさかこんな所にいらっしゃるとは。あ、まさかお一人で!?危険すぎませんか!?っつーか洋装じゃないですか!社長の洋装初めて見たなあ」

衝撃的過ぎて矢継ぎ早にあれこれ話していると、凪社長は呆れたように息を吐きながら腕を組んだ。

「全く―――相変わらず忙しない奴め。…あのな。俺はただアレを視察しに来たんだ」

そういって凪社長は親指で大通りのほうを指差す。

「アレって…イルミネーションすか…?」
「そうだ。今年からあのイルミネーションには、我がディビジョンの技術が利用されているからな。どのような様子か実際に見に来た―――お前はところでどうして引き返そうとしてた?」
「あー…これはその」

俺は目線を宙に彷徨わせた。
クリスマスが嫌すぎてイルミネーションを避けていたなんて死んでも言えない。ましてあの大通りのイルミネーションにうちの会社の技術が使われているとなれば尚更である。
何か気の利いた言い訳を考えようとしたが潔いくらいに何も思い浮かばない。
俺は仕方なく「何となくです」と自分でもよく分からない返事を返した。

凪社長は「ふうん」と一言言った後、じっと俺の方を見ると、再びフードを゙被り直し俺の手を引っ張った。

「―――近くに車を止めてある。雷生(らいせい)、少し付き合え。明日は休みだし、その様子だと今日はこの後も予定は無いんだろう?」

全部済んだら家まで送ってやるから――
凪社長はそう言うと俺の返事を待つことも無く、俺を引っ張って歩いていってしまう。

「!?!?」

(な、凪社長とドライブ…!?)

傍にいた護衛時代ですら二人きりで何処かへ出掛けた事は無い。
一体、何の目的があるのだろうか。


(どうなる…!?俺……!)


どこからともなくクリスマスの鐘の音が聞こえる。

俺は成すすべもなく、社長の高級車の助手席へと詰め込まれたのであった。

12/20/2024, 5:03:58 PM

ベルの音




学校中に響き渡った号令のベル

あの音を聴くとなんだか

勉強が捗る気がする

聞き慣れていくとそれはだんだん癖になっていく

毎日勉強するという癖を付けて

いつか親孝行をしてみたいなと少し思う

12/20/2024, 5:03:28 PM

ベルってフランス語で
Belle⇒美しい
って意味なんだって、
ということは
ベルの音🟰美しい音
ってことになる

12/20/2024, 5:02:31 PM

山と山に挟まれている
大自然の中にある
白い屋根の家に住んでいる。
毎朝決まった時間には起きない。
なんなら昼に起きることの方が多い。
ダラダラと過ごすだけで、
退屈な日々。
人はほとんど来ないから
話し相手も道案内することもなくて、
一応身だしなみには細心の注意を払ってるけど
もう裸で外に出ても別にいいのでは?と
思い始めている。
少し上に登っていくと
茶色い柵が見えてきて
メェー、メェー、
羊の声と
ベルの音が近づいてくる。
こんな山奥の冬はもちろん寒い。
だから羊の毛は貴重で必要なもの。
動物は暖かいから
見つけたら何でもかんでも
この柵の中に入れるようにしている。
なぜこんな暮らしを始めたのかというと、
小さい頃、
「ターシャ・テューダー」という人の
人生を書いた本を読んだ時、
私もこんな暮らしがしてみたいと思い
田舎で自然だらけのところに家を買った。
ターシャ・テューダーさんが
好きなことをして楽しそうに暮らしてたから
真似してみたくなった、
ただそれだけ。
好きなことに一生をかけれるのは
素敵なことだ。
昔も今も
その考えは変わらない。
ただ流石に暇ではある。
川は近いから
飲水を汲むのは簡単だ。
食料も山菜と木の実と動物で
何とかなっている。
どうやらここは
私のあと何十年も残っている
人生の無駄使い場のようだ。
"Good Midnight!"
夜は冷えるから
羊の毛で作った服を着て
憂鬱がないこの場所で
暖かく明日を迎えようと。

12/20/2024, 4:56:33 PM

チリン、チリン、

ゆらゆらきこえる


チリン、チリン、

ゆらゆら近づく


チリン、チリン、

ゆらゆら瞼を開く



……メリークリスマス、サンタさん




_ベルの音

12/20/2024, 4:50:24 PM

悪人に罰なんか当たらない
だって良心がないのだから。

良心の呵責が自分に対する呪詛になり、それはやがて罰になる。

悪人とは無知なこと。
何が悪いのか理解できないこと。

だとしたら、
平気で嘘をつくあなたは
やはり悪人でしかない。

とても悲しいことだけど。

12/20/2024, 4:40:46 PM

この玩具の乗り物を動かすと、鈴の音がするんだよ、ほら、やってみて、と、貴女は弟君に話しました。弟君はそれを動かすと、目を輝かせて、ほんとうだ、サンタさんが来る音だ、と言いました。

 幼い頃はそんな風に、弟君とは仲が良かったですね。
 けれど、今の貴女は、立派に働いて生計を立てている弟君に対して、劣等感を感じているせいで、弟君とあまり打ち解けて話せずにいます。

 そんな考え方をしなくていいのですよ。
 確かに、今の弟君が何を考えているのか、貴女にも俺たちにもよく分かりません。けれど、貴女が弟君を大切に思う気持ちを持っていることが、何より尊いことなのです。

12/20/2024, 4:34:22 PM

ベルの音が近付いてる
指切りをした日まであと少し

喜んで欲しくて思い返す
相槌で流した君との会話

街の色を隠した 冬のダイヤモンド
出たがる言葉も そこに混ぜさせてくれ
隠し事は苦手だけど 頑張ってみるよ

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