『ジャングルジム』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
子供の頃、ジャングルジムの上から見る景色は、まるで違って見えた
いつもの公園が異世界になったような感覚
恐ろしくなってすぐに降り、いつもの友達の笑顔に安心していた
高いところに登って、全部を見ているような気持ちになった時、あの恐怖を思い出す
広い世界の中で結局、手の届く範囲は知れている
自分の手に入れられるのは、ほんの一握りだけ
(ジャングルジム)
お題「声が聞こえる」
※昨日のお題です
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満花が最初にこちらの世界に来たのは約十ヶ月前
大学進学と同時に始めた一人暮らし
その日は休日で、夕方からのバイトに行く為準備をしていた
ギリギリまで寝ていたせいで、慌ただしく狭い部屋内を走り回りボサボサの髪をどうにかしようと洗面所に向かった…その時
『…さ……れば』
男の子が囁くような声が聞こえた
「…え」
サッと血の気が引く
「…なに…?」
このアパートに男の子がいただろうか
確か近隣の部屋にはいないはずだ
いるとすれば、あまり会ったことのない離れた部屋にだろう
この部屋で声が聞こえるわけがない
…まさか聞こえてはいけない声が聞こえたのでは…?
『……あめ……い……』
「やだやだ無理ぃ」
怖い怖い
震える手で耳を塞いでも聞こえてくる
幽霊とか本気で無理だ
恐怖で泣けてきた
固く目を閉じた時、急に瞼越しに金色の眩しい光を感じ、反射的に目を開いた
足元からの刺すような光はよく見ると紋様を描いている
漫画やアニメで見たような魔法陣のようだった
徐々に目を開けていられないほどの強い光を放ち始め、また強く目を閉じた
暫くすると強烈な光は収まり、じんわり痛む目を恐る恐る開いた
「…え?え??」
今までこぢんまりとした見慣れた部屋にいたはずだ
だが目を開けば、もう使われていないような古びた礼拝堂のような場所に何故か変わっていた
もしかして本当はまだ寝ていて夢をみているのかもしれない
でもなんだろう…妙にリアルだ
心臓がバクバクと痛いくらいに早鐘を打って、上手く息が出来なくなる
「……かみさま?」
「…!」
あまりに動揺していて気付かなかったが、すぐ近くに十歳くらいの男の子が座り込んでいた
見た事ないくらいの整った顔に驚く
黒髪に大きなアーモンドアイ
瞳の色は射し込む陽光を取り込んで、キラキラと輝く美しい青色
創造主が丹精込めて作り上げたかのような形の良い鼻と口
それらすべてのパーツが完璧なバランスで配置された、現実離れした美少年だった
気品漂う容姿なのに、艶のない髪やうっすら汚れた肌、サイズの合っていない服が少し違和感だけれども…
「助けにきてくれたの…?」
声変わり前の高めの声が、あちこち穴の空いた建物内で涼やかに響く
(…ん?あれ?この声…)
少年の声に既視感を覚える
さっき部屋で途切れ途切れ聞こえてきた声に似ている
「…え…えと、ちが……私、神様とかじゃないよ」
「…違うの?」
少年の期待の籠った澄んだ眼差しが少し沈み、不思議そうに小首を傾げる姿になんとなく申し訳ない気持ちになった
「うん…ごめんね…?」
少年のことも何かと気になるが、満花も自分の事でいっぱいいっぱいだった
とにかく帰りたい
「あの…ここはどこか教えてくれる?」
「…?ここはラプム村の外れにある星屑の森だけど」
日本にそんな名前の村あるだろうか
いや、多分ない
嫌な予感がする
手が微かに震え出した
「…ね、ここって日本だよね?」
体は急激に冷えていくのにじっとりと気持ちの悪い汗が噴き出てきた
「ニホン?ってなに?」
「…なにって…国の名前でしょ?」
少年は口元に手を当てて数秒考えた後、納得したように呟いた
「…あぁ、お姉さんはニホンって国から来たんだね」
「ここも日本でしょう?」という言葉は何故か喉につっかえて出てこなかった
自分の心臓の音がうるさい
「ここはリュペリオン王国だよ」
リュペリオン王国…
聞いた事ない国の名前だ
「ねぇ、やっぱりお姉さん俺に応えてくれたんじゃないの?」
「え…いや、ちが「だって、俺の召喚魔法陣から出てきたでしょ?」
しょうかんまほうじん…?
満花は思考を放棄した
分かりたくなかった
今の状況に似たアニメを思い出してしまったのだ
女の子が異世界に召喚されてしまい、聖女として仲間達と魔王を倒す…みたいな異世界転移もののアニメ
「お姉さん、名前はなんていうの?」
「…え…なまえ?えと…満花、天宮満花」
「ミチカが名前?」
「うん…」
話しかけてくる少年を無視する訳にもいかないので、停止した頭を必死に動かして答えると、彼は花が綻ぶように笑った
「俺はルカ
よろしく、ミチカ」
これが、ルカとの出会いだった
ある時、僕が公園でひとりぼっちで遊んでいると、「ねぇ、一緒にあれに登ろうよ」と、いつの間にか知らない男の子が寄ってきていて、敷地の真ん中にある大きなジャングルジムを指さした。
僕はあまり気乗りがしなかったけれど、男の子があまりにも強く誘うものだから断れなかった。僕が頷くと男の子は満面の笑みになって僕をジャングルジムの方へ引っ張っていく。近くで見るとあまりにも大きく感じるその遊具の存在に、僕はひっそりと息を飲み込んだ。
「君はここから、僕はあっちからスタートするから、先に天辺まで登ったほうが勝ちね」
そう言い置いた男の子は、僕がいる所の向かい側に位置する場所に回り込んでいった。
「じぁあ、行くよー!」と、遠くから聞こえる男の子の声を合図に、僕はジャングルジムを登り始める。慎重に一歩一歩、上へ上へと手足を動かした。
「あ」と、途中で僕は声を上げる。登ろうとした足が滑り掴んでいた手を離してしまった。幸いにもまだ低い位置であったから、浮いていた足が地面についた途端、尻餅をついただけで済んだ。
僕は地面に座ったままジャングルジムを見上げる。奇妙なことにさっきの男の子の姿がどこにもなかった。代わりに「チッ」と、耳の側で誰かが舌を打ったような音がした。
僕はさっきまで話していたはずの男の子がいなくなったことが不思議だったけど、またジャングルジムに登る気も失せてしまって、その日はそのまま家に帰ったのだった。
それから、これはずいぶんと後になって知ったことだけど、あのジャングルジムに登った子供が天辺から落下するような事故が何件か起こったらしい。そのせいであの遊具はしばらく使用禁止になっていたそうだ。
次にもし僕があの男の子に会ったら、落ちたら危ないからジャングルジムはやめて別のもので遊ぼうと誘ってみることにしよう。
【ジャングルジム】
喰われる、と思ったときには腹のなかにいた。
5時のチャイムの音色が夕闇の一点に消えていく、瞬きのあいだのことだった。
じめじめと生い茂る雑草が、棒になった足に絡みついて、冷たい鉄の味が口に広がってゆく。
何も考えられない頭に、「ドーカ」と声が響いた。
私の名前じゃない。どこの国の言葉だろう。何度も折り重なるように、思考のオブラートを分厚くしていくように私は「ドーカ」で埋め尽くされる。
ドーカ
ドーカ
ドーカ
助けて
ド ー カ
ド ー カ
お願い
ド ウ カ
ドウカ
同化。
その瞬間、ばちんと何かが弾けた。
嫌だと叫びたかった。ここから出してと口にしたはずなのに。頭とは別に、咄嗟の言葉が身体からでた。
「違う、私じゃない。」
頬にそよぐ風に気づいて目を覚ますと、冷たい
空気が肺に流れ込んでくる。
大きな黒い顔が3つ、私を覗き込んでいた。
「目を開けたぞ」
「頭打ってるんだ、動かすんじゃない」
「今、救急車を呼んでるから。」
空がゆっくりとまわっている。筋をひく雲が生クリームみたい。星がちらちらと浮かぶ紺色のソーダに溶けてゆく。視界の端には、ジャングルジムが黒々とそびえ立っていた。その横で友だちが泣きじゃくっている。
そうか、私、あれから落ちたのか。
小さい頃からよく通っていた公園がつぶされて、もう5年になる。老朽化が原因だった。それなのに、なぜかジャングルジムだけが壊されずにそこにあった。
面白半分だった。小さい頃のようにテッペンまで登ってみたくて、学校帰り友だちをつれてここへ来た。夕陽を背に、しんとして立ちすくむ錆びた鉄の塊が、少しだけ、何だか生き物みたいだと思ったのだ。
結局、私は頭を数針縫った。ジャングルジムはテープでぐるぐる巻きにされていて、あの場所は不良の溜まり場になった。そして、やはり壊されない。
多分、私と友だちだけが知っている。
私はあの日、確かにジャングルジムに食べられかけた。だから今、生きているんだと思う。今でもあれは錆びつきながら、「ドーカ」を待っている。
記憶というものはとても曖昧で、中には様々な記憶が混ざってなかった物を生み出していたり…なんて事もある。
久々に地元に帰った時、空き地ができていて何があったか忘れてしまった事を友人に話すと「古い文房具店だった気がする」なんて言われたら「そうだっけ?そうだったかも。確かにあったあった!」なんて会話になる。
本当はただの一軒家で文房具店だったのは他の場所だった。
公園のジャングルジムで遊んでいる記憶も、本当は公園にはなくて、遊んでいたのは学校だったなんて事も…
昔の知り合いにもこんな人いたなぁなんて思い出すが、それが小学校の知り合いなのか、中学校の友達なのか、習い事で知り合った人なのか。
その知り合いの性格も出来事も他の人と混ざって曖昧になる時がある。
私にとって私は唯一の存在だが、他人にとっては知り合いの中の1人。
時間が経てば経つほど記憶は風化し、錆びれ、曖昧な存在となり、やがて本当の私は朽ちてしまうのだろう。
そして朽ちた私は他の記憶と混ざり、新しい私として記憶に残ってしまう。
子どもの頃、家の近くの公園には、お城のようなどでかいジャングルジムがあった。他の地域の子ども達がそれを目当てに遊びに来ていた程だ。そこで良く戦国武将ごっこをした。闘いに勝ったものだけが、ジャングルジムのてっぺんに登れる。そこから見る景色は、特別なものだった。まさに天下を取った気分を味わえたものだ。ちなみに闘いの方法はじゃいけん。ジャングルジムを自由に登り、対面すると、じゃいけんをして負けた者は一度降りて、また登る。じゃいけんに一番多く勝った者が天下人だ。ジャングルジムだけで、夕方まで遊べた。
その後、テレビゲームが流行り、子どもが外で遊ばなくなった。高校生の時、ジャングルジムは老朽化し、危険な遊具として撤去された。撤去される前、何年ぶりかに誰も居ない公園でジャングルジムのてっぺんまで登り、そこからの景色を堪能したことを今でも覚えている。高校生にもなれば、どでかいジャングルジムがそう大きく感じられず、時間の経過を空しく思えた。
現代の子どもには、時代に合った遊び方があるのは理解している。ゲームやスマホなどデジタルが主流だが、外で身体や頭を使い自分で遊び方を考え、夢中になるのも楽しいことに気付いて欲しい。泥だらけになり、多少のケガもし、地域以外の子ども達と交流する。子どもの時にする色々な経験は大人になると財産になること。大人にも思い出して欲しいと思う。
ジャングルジムは危険だから、現代の公園にはない。ジャングルジムという言葉を知る子どももいないかもしれない。時代の流れだから寂しいけど仕方ないという思いもある。だが、僕の思い出にはしっかりと残っている。景色や遊び方だけじゃない。鉄を握った時の感覚や手についた錆びの匂いも。
朝夢目を覚ますと、なんとも言えない気持ちにさせられる。
それはなんと言っても公園で遊んでいた私と彼のせいで。
『ねえ見て!!先に登った方の勝ち!!』
「えっ!ちょっと!?反則だよ~!」
と言いながら追いかけて登っていく私。もちろん彼の不意打ちのせいで買ったのは彼で。
『へへーん!僕の勝ちぃ』
「かってに行くのがずるい…」
と幼稚園生なりの愚痴をこぼしていると、
『僕が買ったんだから僕と結婚するんだよ!!』
「え!一緒に結婚するの?」
『うん!』
いつも私は彼に勝てないみたいだ。
『ジャングルジム』
公園から遊具が減っているそうです。
老朽化による怪我や、事故などでの撤去が相次ぎ、新しい遊具は高価ですし、遊園地と違って監視員を置くこともできないので、遊具のない公園が増えているのだそうです。
普通のジャングルジムはまだ見かけることもありますが、回転ジャングルジムは、ほとんど見なくなりましたよね。
面白かったのに。
遊具の代わりに増えているのは、高齢者を対象にした健康器具とのこと。人生100年時代とはいえ、なんだか寂しく思うのは、わたしだけでしょうか。
【ジャングルジム】#55
鉄が格子状に交わった先には
夕日が見えていた。
子供たちがそれに登っては降りて
靴の裏にある土がへばりついた。
突然の狐の嫁入りであった。
それは子供たちにも分かるようで
その場にいる人全てが空に視線を向けた。
しかしそれは雨よりもずっと重く
憂鬱に感じさせるものであって
足早に家へと帰る者は少なくなかった。
私は何者かに指示でもされたかのように
足が動き始めて家への帰り道を歩んでいる。
後ろを振り向こうとするが
してはいけない気がしてならなかった。
ふと思う。
住宅街なのにも関わらず
人が誰一人として居ないことを。
全身の力が一気に抜けて膝から崩れ落ちた。
歩道のコンクリートは雨に濡れた土のように
柔らかく今にも足が持っていかれそうで
恐ろしいものを感じさせた。
一つ、目の前に灯りが見えた。
それは半透明な青色で見た目は人魂である。
「何か下さりませぬか?」
そう問われたように聞こえなくも無かったが
もう一度聞き返そうとした。
「はい?」
身体は急激に凹み
呼吸も不可能であって
視界からは暗闇が見えるのみであった。
夕暮れ時の天気雨に出る人魂に
何か話かけられようとも無視するのが吉だ。
きっと奴らは耳が悪い。
何年も…僕を置き去りにして
不意にここへ帰ってきた君が
ジャングルジムを覗き込んで
自分だけのフレームで夕陽を楽しんでいた
僕はただ…そんな君を見ているだけだった
幼い頃にジャングルジムに登って見た
あの日の夕陽は大人になってから見る夕陽と
こんなにも違って見えるのは…なぜだろう
あの日 まだ幼かった僕らはずっと…
ずっと一緒にいられると思っていた
互いの心が軋む音が聞こえて…
僕は泣きたくなったんだ
変えられない運命だったとしても
結ばれない心と躯だったとしても
僕は君だけを愛するべきだった
なぜ、僕はあの時…
君の手を離してしまったのだろう
中学生になって
久しぶりに
小学校の運動会に行った
そこにはなつかしい
ゆうぐ
そして思い出に残る
ジャングルジムがあった...
cat
#ジャングルジム
小さい頃
ジャングルジムのテッペンは憧れだった…
見上げるたびに眩しくて
なんか登っちゃいけない特別な場所…
だけどチビにも野心はあった
「登ってみたい!登ってやる!!」
何度も滑り落ち
何度も痛い思いをしながら
ちょっとずつテッペンに近づいていく
「負けるもんか!!」
今思えば
ジャングルジム登頂制覇は
人生初の挑戦!
チビにとっては富士山に登るみたいなもの
よく頑張った!
エライぞ!ヽ(`▽´)/イェイ
大人になってさ
挑戦って久しくしてないな…
こんな世の中で
自分を守りながら生きてくことが
日々挑戦だったりするかもね
なんか…
┐(´д`)┌ヤレヤレ
🌈黒猫のつぶやき🌈
誰かのためにとかなんてとてもとても…
自分のためにで精一杯だよね〜
ジャングルジム
ジャングルジムは、大人が入り込んで
遊ぶには狭いサイズ感。
まるで子供しか通さない城壁のようだ。
不安定な足場のてっぺんに辿り着くと
公園が一望できる。
大人になるにつれ、もっと高くもっと
上へと望んでしまう。
子供の頃はジャングルジムのてっぺん
で達成感があったはずなのに。
【ジャングルジム】
登る。登る。
ただ登る。何も考えずに登る。
どれだけ登ったのだろう。何人挫折しただろう。
考えると怖くなる。
だからただ登る。何も考えずに登る。
あっ。
誰かが落ちた。悲鳴が落ちていく。
登る。登る。
ただ登る。怖いから登る。
いつからジャングルジムだと錯覚していたのだろう
私達はしがない探検家。
今日も誰かが崖から手を離す。
『ジャングルジム』
昔よく遊びに行ってた公園に、ジャングルジムがあった。
私は同年代の子の中でも1番小さくて、小学校に上がる頃になっても、1mいくかいかないかくらいだった。
だから、そのジャングルジムは私にとってかなり大きなもので、結局一度も遊んだことがなかった。
小学1年生の夏に引っ越してしまったから、それから一度もあの公園には行っていない。
今だったら登れるだろうか。
大きくなったから、余計登りにくいかもしれないな。
受験が終わったら行ってみようか。
久しぶりに、あの公園を見てみたいと思った。
『ジャングルジム』
ジャングルジムのてっぺんから落っこちた、
あの子のことを覚えている。
ママたちが悲鳴をあげて駆け寄った。
ミカちゃんのママが救急車を呼んだ。
アオくんのママは私たちを近づかせないようにした。
あの子のママは、ただあの子のそばで泣いていた。
ユウカちゃんのママがあの子のママに声をかけていた。
覚えている。
あの子のママの泣き叫ぶ声。
覚えている。
あの子が地面に落ちた時の音。
覚えている。
……あの子、わざと落ちたんだよ。
ジャングルジムのてっぺんに登るあの子を、
私は遠くから見ていた。
あの子はてっぺんまで辿り着いて嬉しそうだったけど、
ママたちは誰もあの子のことを見ていなかった。
だからあの子は「きゃっ」と小さな悲鳴をあげて、
てっぺんにつけていた足を滑らせたかのように見せて、
地面に打ち付けられにいったのだ。
私はそのことをママに伝えたけれど、
「わざと落ちるわけがない」と信じてもらえなかった。
あの頃からあの子はそういう子だったのだ。
「第2章 あの日」
ここは、私が生前放課後に遊んでいた公園のジャングルジム。今登ってみたら、懐かしさを感じた。
マキ「私って、なんであんなことしちゃったんだろう…」頭が後悔で埋めつくされる。ふっと右を見ると、女性がいた。
女性「キャー!」
やばい、私が幽霊だからお祓いされちゃう。
私は急いでその場を立ち去った。
てっぺんまで登るのが怖かった
でも登れるよ私はお姉ちゃんだもん
ジャングルジムで鬼ごっこをしていたら怒られたよ
泣きそうになったけど我慢したよ
だってお姉ちゃんだもん
お友達とどっちが早く登れるか競争したよ
負けちゃったけど楽しかったよ
あの子とも一緒に遊びたいな早く大きくなってね
お姉ちゃんより
僕に明日は来るのだろうか。
少年の僕はひとり動けずにいた、ずっとだ。
誰もいなくなった公園で、
どうしたらいいのか分からずに、ひとり立ち尽くす。
友だちは塾に行ったり、
親が迎えに来たりして、帰っていった。
僕は行く場所もなく、頼れる親もいなかった。
このまま、ずっとひとりなんじゃないかと不安になった。
どのくらい時間が経ったのかな、、
ジャングルジムに登って、夕日を見たら、
ふと、こんな考えが頭をよぎった。
自分で歩いて、好きなとこへ行けばいいんだと。それは自分ちでもいいってこと、
そして宿題したり、
ご飯を作って食べればいい。
自分で決めて、自分でやればいいだけなんだ。
人に決めてもらう必要なんてない。
そんな簡単な答えすら、ずっと出せずいた。
今回も同じだよ。
答えはもう分かっている。
少年の僕が、今の僕に言ってるよ。
「簡単なことさ、自分で歩いて帰りなよ」って
あの日、ジャングルジムの上に登って
夕日を見た少年の僕が、今の僕にそう言っている。
9/23「ジャングルジム」
キャッキャッと声を上げて、子どもたちが遊んでいる。滑り台、ブランコ、その次はジャングルジム。
小さい時によく遊んだな。そう思いながら、ベンチから眺める。
会社をやめて、何か色々と吹っ切れたあたしは、「よーし、お姉さんも一緒に遊んじゃおうかな!」ぐらいの気持ちもあったけれど、子どもたちに怪訝な顔をされるのは目に見えているからしない。
ジャングルジムで遊ぶのは子供の特権なんだな、と思う。大人になってできることは増えるけど、そういう特権を失っていくことでもあるんだ。
とりあえず、あたしたちは前に進むしかない。明日から就職活動頑張ろっと。
(所要時間:8分)