子どもの頃、家の近くの公園には、お城のようなどでかいジャングルジムがあった。他の地域の子ども達がそれを目当てに遊びに来ていた程だ。そこで良く戦国武将ごっこをした。闘いに勝ったものだけが、ジャングルジムのてっぺんに登れる。そこから見る景色は、特別なものだった。まさに天下を取った気分を味わえたものだ。ちなみに闘いの方法はじゃいけん。ジャングルジムを自由に登り、対面すると、じゃいけんをして負けた者は一度降りて、また登る。じゃいけんに一番多く勝った者が天下人だ。ジャングルジムだけで、夕方まで遊べた。
その後、テレビゲームが流行り、子どもが外で遊ばなくなった。高校生の時、ジャングルジムは老朽化し、危険な遊具として撤去された。撤去される前、何年ぶりかに誰も居ない公園でジャングルジムのてっぺんまで登り、そこからの景色を堪能したことを今でも覚えている。高校生にもなれば、どでかいジャングルジムがそう大きく感じられず、時間の経過を空しく思えた。
現代の子どもには、時代に合った遊び方があるのは理解している。ゲームやスマホなどデジタルが主流だが、外で身体や頭を使い自分で遊び方を考え、夢中になるのも楽しいことに気付いて欲しい。泥だらけになり、多少のケガもし、地域以外の子ども達と交流する。子どもの時にする色々な経験は大人になると財産になること。大人にも思い出して欲しいと思う。
ジャングルジムは危険だから、現代の公園にはない。ジャングルジムという言葉を知る子どももいないかもしれない。時代の流れだから寂しいけど仕方ないという思いもある。だが、僕の思い出にはしっかりと残っている。景色や遊び方だけじゃない。鉄を握った時の感覚や手についた錆びの匂いも。
9/24/2023, 3:55:43 AM