『キャンドル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
火を灯す。
床も壁も、隙間が無いほどに敷き詰められたキャンドルに。
一つ一つ、小さな生命の火を灯す。
君はそれを、一つずつ消していく。
僕が灯したキャンドルを、乱暴に、握り潰すように。
僕が火を灯す度に君が消していくから、いつまで経ってもキャンドルはいっぱいにならない。
「どうして消すの。」
僕は尋ねた。
せっかく灯した生命の火なのに、どうしてそれを消してしまうのか。
君は、小さな火で酷い火傷になった手のひらを僕に見せた。
「少し触っただけで、こうなる。」
「だったら、消さないで。」
「できない。だって、」
君は、火傷した手で僕の手を指さした。
「お前は、自分の手が燃えてることに気づいてない。」
言われてやっと、気がついた。
キャンドルに生命の火を灯すたびに、僕の手にも火がついていたこと。
増えすぎたキャンドルが、僕自身を焼いていたこと。
今までずっと気がつかなかつた。
「キャンドルが、増えすぎた。お前の手まで燃えるほど。」
キャンドルは、小さな灯りをちろちろと揺らしている。
今まで大切に守ってきた灯りが、急に冷たく、重いものに感じた。
「だから、減らさないと。」
君は笑って、キャンドルを一つ踏み砕いた。
***
そうして、全世界に拡散した一つの感染症によって、多くのキャンドルの灯りが消えた。
[キャンドル]
学校から帰ると、テーブルの上に見慣れない箱が二つ置いてあった。
そこへ母が帰って来たので、これは何かと尋ねた。母は気まずそうに
「うん…あのね、蝋燭立て」と言った。
「蝋燭立て?外国の本に出てくるやつ?銀とか真ちゅうの?」
「ううん、ガラス」
話を聞くと、昼間家の前に突然若い(母によると超絶イケメンの)男の人が現れて、気の毒な身の上話を聞いてあげたところ、もしよかったら自分が作った蝋燭立てを買ってくれないかと言われ、だいぶ迷ったが買ってあげた、ということだった。
「だってね、芸術家の卵だっていうのよ。応援したくなるじゃない?」
「高かった?お父さん、怒った?」
「怒鳴られちゃった。」
どうやら小学生の私には想像もつかない額だということは分かった。
「見せて見せて!」
そう言うと、母は少しワクワクしながら箱を開けた。
細長い箱から出てきたのは、本当に透明なガラスの燭台だった。取手のところがクルクルと捻ってあり、中に小さな気泡がたくさん浮いていた。
もう一つはワイングラスだった。
これは燭台を買ってくれたお礼だそうで、紫色の持ち手に分厚い飲み口の全体が傾いているグラスだった。どこか海の生き物を思い出す形だった。
夜になって姉や兄、そして父が帰って来て、口々にその「作品」の批評をした。
そして要するに、母はイケメンにコロッと騙されしょうもない物をぼったくられたけれども、まあこれで一つ学んだんだから今後は大丈夫よねと結論が出て、その件はおしまいになった。
燭台とグラスは、サイドボードの隅に押し込まれるように飾られた。
先日ふとこのことを思い出し、母に覚えているかと聞いたところ、後日談があることが分かり驚いた。
その「事件」から半年ぐらい経った頃、郵便受けに無記名の小さな包みが入っていたそうだ。
母は急いで庭のベンチに座り、それを開けた。
差出人はやはり、あのイケメンだった。同封された手紙には鹿児島の住所と初めて知る彼の名前、そして
「怪しい自分のような者の話を聞いてくれた上に、作品まで買ってくれて、とても嬉しかった」という内容が書かれていたという。
そして幾重にも巻かれた白い包みを解いて現れたのは、なんと金色と銀色の蝋燭だったそうだ。
芝生の緑を背に、陽の光に照らされた二本の蝋燭は、母の手の中で眩しく輝いたという。
「あの燭台に合うと思ったんでしょうね。蝋燭を立てたら驚くほど素敵になったの。彼に見せたかったな」
そう言って、電話の向こうで母は笑った。
学校から帰ると、テーブルの上に見慣れない箱が二つ置いてあった。
そこへ母が帰って来たので、これは何かと尋ねた。母は気まずそうに
「うん…あのね、蝋燭立て」と言った。
「蝋燭立て?外国の絵本とかに出てくる?銀とか真ちゅうとかの?」
「ううん、ガラス」
話を聞くと、昼間家の前に突然若い(母によると超絶イケメンの)男の人が現れて、気の毒な身の上話を聞いてあげたところ、もしよかったら自分が作った蝋燭立てを買ってくれないかと言われ、少し迷ったが買ってあげたということだった。
「だってね、芸術家の卵だっていうのよ。応援したくなるじゃない?」
「高かった?お父さん、怒った?」
「怒鳴られちゃった。」
どうやら小学生の私には想像もつかない額だということは分かった。
「見せて見せて!」
そう言うと、母は少しワクワクしながら箱を開けた。
細長い箱から出てきたのは、本当に透明なガラスの燭台だった。取手のところがクルクルと捻ってあり、小さな気泡が浮いていた。
もう一つはワイングラスだった。
これは燭台を買ってくれたお礼なんだそうだ。持ち手は紫色でグラスの飲み口は分厚く、全体が傾いていた。どこか海の生き物を思い出す形だった。
夜になって姉や兄、そして父が帰って来て、口々に燭台とグラスの批評をした。要するに母はコロッと騙されてぼったくられたけれど、まあ一つ学んだね、今後は気をつけて、とその話はおしまいになった。
燭台とグラスは、サイドボードの隅に押し込まれるように飾られていた。
先日ふとこのことを思い出し、母に覚えているかと電話したところ、後日談があることが分かり驚いた。
その「事件」から半年ぐらい経った頃、郵便受けに無記名の小さな包みが入っていたそうだ。同封の手紙でその男の人からだと分かったらしい。
手紙には「怪しい自分のような者の話を聞いてくれた上に、作品まで買ってくれてとても嬉しかった」と綴られていたそうだ。
そして白い包みをぐるぐると解いてやっと出てきたのは、金色と銀色に輝く二本のキャンドルだったらしい。
「あの燭台に合うと思ったんでしょうね。蝋燭を立てたら驚くほど素敵になったの。彼に見せたかった。」
そう言って母は笑った。
たくさんの想い出 キャンドル
私の人生を彩る
たくさんの想い出
それぞれの色ごとの
キャンドルを灯そう
この季節に
灯火の向こうに見える
幸せな光景
いつまでも見ていたいね
あなたと一緒に
# キャンドル
新しいキャンドルに灯りを
ほのかに照らす炎
ゆらゆらと揺らめく光
流れにまかせゆらゆら
いつまでも燃えて
簡単に消えないで
私までも燃やして
1人は嫌
私を照らすキャンドル
誰も消さないで
他の人を照らさないで
私だけの炎だから
いつまでも燃えて
私を照らしてて
一緒に燃えましょ
2人でずっと
自由でも箱に入れても
消えるから
消えないように大事に
キャンドル。
キャンドルは
幸せな状態?
癒される。
うちにも
一回使った事あるなぁ。
でも
一緒に
キャンドルを見たい。
暗くなってきたのでキャンドルに火を灯す。
手元だけがぼんやりと明るくなって、仄かな明るさが目に優しい。
最近の情報社会では得られない優しさが、ここにある。
手紙を書こうと、引き出しから手探りで便箋を取り出す。少し不便だが、しょうがない。
書き始めると、炎が少し揺れた。
窓からの隙間風だった。それを見て心は動き、筆は踊る。炎特有のこの揺れは、癒やしなのかもしれないが、私には震えているようにも見える。
自らを犠牲にしても、人に癒やしを与えるキャンドル、凄いではないか。
心が震えた。再び筆は動き出す。
「星の子」
小指くらいの小さな蝋燭が、僕の足元をだいだい色に照らしてくれる。僕が膝を抱えて座るこの星は、無限に広がる暗闇に漂う星々の中でも、一際小さく弱々しい。
そんな小さな星の上で僕は、ずっと1人、暗い宇宙に輝く星々を見つめて過ごしていた。時々、他の星にも遊びに行くけれど、そこで出会う人々は、不思議な人ばかりで、いつも少しのお喋りの後で、僕は自分の星に帰ってくるのだった。
いつもと変わらず、暗い空を見つめる僕の目の前に現れたのがこの小さな蝋燭と、金色の髪を靡かせて、青い目で僕を見つめる若い男だった。
「やあ、元気かい?少年。」
「元気だよ。」
「本当?とても元気な少年って感じには見えないけれど。元気ってのはもっと、目をキラキラさせて、なんというか、力がみなぎっている感じじゃないのかい?」
「知らないよ、そんなこと。お兄さんは何しにきたのさ。」
「何しに、か。うーん、君とお話ししにきた、って感じかな。だってずっと1人で寂しそうじゃないか」
「寂しくなんかないよ、1人でいるのが普通だからね。他の星の人たちも、みんな1人で過ごしているじゃないか。そんなことも知らないの?」
「知っているよ。けれど僕には、特に君が寂しく見えたのさ。」
「だから、そんなことないよ。僕だって時々他の星へ遊びに行くよ。」
「でも、少し話してすぐに帰ってくるだけ、そうだろ?例えば、あそこの大きな星の王様。馴れ馴れしく話しかけた君に怒った王様は、すぐに君を星から追い出したんじゃないかい?」
「その通りだけれど、どうして知ってるんだい?」
「あるいは、そっちのほうで緑色に光る星に遊びに行った時には、酒飲みのじいさんが住んでいて、君がお酒を持ってないことを知るや否や、口を聞いてくれなくなっちゃったんだよね、確か。」
「何者なの、お兄さん。」
「君は彼らに出会ってどう思ったんだい?」
「変わった人たちだなって思ったよ。自分しかいない星の王様、ずっと酔っ払ってるおじいさん。他のみんなも変な人たちばっかりだったよ」
「君から見れば、彼らは不思議な存在だろうね。孤独を逃れるために、何かに縋っているわけだから。それに対して君は、孤独の中に生きている。未だ運命の渦のどんな真ん中にいる。」
「どういうこと?」
「君は無限の可能性を秘めているってことだよ。あるいは可能性そのもの、運命の源流とでも言おうか。」
「よくわからない」
「おっと、そろそろ時間がなくなってきたようだ。最後になっちゃったけど、僕がここにやってきたもう一つの理由を話さないとね。」
足元で光っていた蝋燭は、ほとんどが溶けてしまっていた。残り少ない蝋に燃える輝きが今にも地面を焦がしてしまいそうだ。
「僕は星のゆりかごの主、そして生命をつなぐもの。君が孤独を抜け出す手助けをしにきたんだ。」
「さっきから何を言ってるの?ひとつも理解できないよ!」
「よく聞いて。今から君をこの暗闇の反対側にある大きな星へ連れて行く。その星は、この辺りの星とは違ってたくさんの人が住んでいる。ちょうど君の目と同じ色をした、美しい星だよ。」
「暗闇の反対側...?なんでそんなところにに行かないといけないの?」
「行けばわかるさ。もうすぐ時間だ、良い旅を。少年!」
足元の明かりが消え、黒い焦げだけが残されたその瞬間!僕は光に包まれる。光の道を抜けたと思えば、暗いけれど、暖かい水の中だ。
「さあ、この"僕"はどんな運命を辿って行くんだろうね、楽しみだ。」
∮キャンドル
雨の音。本に読みふけっていたら、いつの間にか夜が訪れていた
雷の光で部屋が照らされ、次の瞬間には雷鳴が轟く
すっかり暗くなった中で一人、ただ呆然と時を過ごし
た。
それから幾ばくかの時間が流れて、明かりを探しにスマホのライトで本の山を照らす
そういえば、確か誕生日に友人から貰ったアロマキャンドルがあったはず。
雑貨の類をまとめた棚を覗くと、予想通りそこには私の好きなシダーウッドのアロマキャンドル。
一緒に仕舞っていたマッチでキャンドルへと火を灯す
ふわっと香る木の匂いと揺れる朱色の光を眺めながら、先程開いていた本に再び目を落とした。
気づいたら過ぎ去った雷は遠くで音を響かせ、心地よい雨音が聴こえてくる
夜はまだこれから。
蝋燭のことをキャンドルという。
その時、日本人はなぜか結婚式の光景を思い浮かべる。
結婚式、最近はしない人の方が多い気がする。
みんな余裕ないんだよね。
できるものなら有無を言わせず
やった方がいい儀式だとは思う。
だけどそれをする意味みたいなものが曖昧だから、
曖昧なのに手間もお金もかかっちゃうから、
よほどじゃないとやろう!とはならない。
でも、やれば意味は生まれてくると思う。
二人だけでもいいから、
記憶に残る、思い出になる、
そんな場面が、いつか必要な時に思い出せる
何かになれば、
その時にならないと分からないけれど、
結構大きな意味は生まれてくるんだと思うんだ。
キャンドルを灯すように、
真っ暗な思いの中に、
その時の想いがリフレインしたなら
もしかしたら踏みとどまれるかもしれない。
だから、できるなら、
人なんか呼ばなくていいから、
結婚式は二人のためにやっておいて欲しいって思う。
「ろうそくの炎には心を癒す効果があるらしいよ」
男はそう言って銀の燭台にマッチの火を近づけた。
オレンジとも赤とも言えない曖昧な色が薄暗い部屋でゆらゆらと揺れる。テーブルの中心に置かれたそれに、男は満足そうに頷くと、「君も座れよ」と言ってゆったりとしたソファに長身を預けた。
「飲むかい?」
ワインのボトルを開けながら男が問う。結構だ、と短く答えて横を向くと、小さく肩を竦めるのが目の端に映った。
「なぁ」
男の声に応えるように、ろうそくの炎が揺れている。艶のある低音は、心地よい響きとなって鼓膜をくすぐる。この声で名を呼ばれることを、何人もの女達が望んで、だが叶わなくて涙を飲んだ。
その響きが名を呼ぶのは、今は自分だけだ……。
「たまにはゆっくり、話をしよう」
弾かれたように立ち上がり、男からボトルを奪う。
自分を射抜く鋭い視線に、男は淡い色の瞳を揺らめかせるだけだった。
END
キャンドル
火を灯す
願いを込めて
祈りを込めて
暖かさと
穏やかさと
神聖な空気に満ちる
どうか平和な日々を
『キャンドル』
僕の心が休まるのは、キャンドルの火が淡く灯っているときだけ。
学校、部活、家庭、友達、恋人、、
みんながキャンドルを持っていてくれたなら、
僕の火を分けてあげられたのに。
みんなライターしか持ってないから。
そんな煌煌とした炎、僕はいらないよ。
私には、あなたと言う存在が居た。
それは、大きな癒やしでもあり、私を支えてくれるもの。
心に明るい陽射しが差し込むような、楽観的でマイペースなそんな人だった。
私にはあなたがいる
あなたには私は要るのかしら。
ねぇ、居ないの?
ねぇ、どうして
ねぇ、待ってよ
ねぇ、話を聞いて…
どんどん消えてゆくあなた
遠ざかる足音が頭に響き渡る
もう駄目だと思ったときには
心の陽射しは真っ黒に染まっていった
小さく日だまりを作った場所も
あなたが私に優しくしてくれた思い出も
全部
残り香が漂ったまま
暗い空間に
ぽつりと光が灯って
それが幾千にも広がった
同じものは一つもなくて
ただただ終わりまで
懸命に燃えていた
ひっそりと燃える
青い炎の君
どうかどうか目が合って
揺らぐ目がゆらゆらと
君の色を映し出す
僕たちきっと一緒に生まれて
そして一緒に死ぬとその時決めた
燦然と輝く星々の中に
見つけた僕の一番星
好きだと言ったら消えてしまうから
言わないよずっと
死ぬ時に
あきれるくらい
壊れるくらい
耳元でずっと
愛の言葉で殺すから
僕に染まって
ここまできてよ
#キャンドル
ゆらゆらと揺れる火をぼうっと見つめていると、時間が溶けていく。
忙しい毎日に疲れきり癒しが欲しくて、以前貰ってそのままだったアロマキャンドルに火をつけた。
柑橘系の爽やかな香りに包まれて、ゆらゆらと揺れる火を眺めていたら、疲れきって強ばっていた身体が何処か緩み、やっと一息つけたように感じた。
キャンドル
少しずつ、増えていくイルミネーション…急に冬の装いになってきた通りを行き交う人々…店先に飾られるクリスマスツリー…
そんな季節の移ろいに、一人溜息をつき乍ら、目を伏せた…本当なら、君と二人で過ごす予定なのに…君に一言告げるだけなのに、その一言が言葉に出来ない…二人であのキャンドル灯して、そして…だから、神様、勇気を下さい…
キャンドル
バニラ香るキャンドルに火をつけて
My Birthdayを祝う。
甘い炎が揺れる中、娘がBirthday songを
歌ってくれた。
特別なケーキと娘の笑顔で満たされ
私は幸せ者です。
キャンドル
キャンドルに1つ1つ火を灯して
ゆらゆらゆらめく火を眺めながら
貴方との思い出を見た。
辛かった 悲しかった
楽しかった 幸せだった
助けられた 救われた
貴方のおかげでここまで来れた
胸がしめつけられるようなこともあったけど
今はこんなに綺麗なキャンドルで揺れている
だけど
やがては蝋がとけ
火は静かに力尽きる
思い出は、おしまい。
思い出の、ままで。
もうキャンドルを灯すことはないから
火と一緒に
わたしも力尽きるの
『キャンドル』
11月末
この時期になると、風景から彩りが無くなり
透き通った白へと変わっていく。
「もう、そんな季節か」
何度も繰り返してきた言葉なのに
どこか心地よくて
冬の訪れを歓迎している自分に
改めて嫌気が差した。
12月に入ると、
街はイルミネーションに彩られ
再び暖かい色を取り戻す。
その淡い光はまるで
彼女が好きだったアロマキャンドルの様で。
彼女の心音
炎の揺らぎ
私にとって心地の良かった場所。
その場所はこの世にはもう存在しない。
淡く
揺れる。
害を及ぼしながら
何度も立ち上がりながら
ゆらぎながら
進んでいく
全てを燃焼するまで。