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『キャンドル』

11月末

この時期になると、風景から彩りが無くなり
透き通った白へと変わっていく。

「もう、そんな季節か」

何度も繰り返してきた言葉なのに
どこか心地よくて

冬の訪れを歓迎している自分に

改めて嫌気が差した。


12月に入ると、
街はイルミネーションに彩られ
再び暖かい色を取り戻す。

その淡い光はまるで

彼女が好きだったアロマキャンドルの様で。


彼女の心音

炎の揺らぎ

私にとって心地の良かった場所。


その場所はこの世にはもう存在しない。


淡く

揺れる。


害を及ぼしながら

何度も立ち上がりながら

ゆらぎながら

進んでいく


全てを燃焼するまで。

11/19/2023, 2:44:12 PM