カラフル』の作文集

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カラフル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/3/2026, 3:53:30 AM

「返す」

そう言って渡された、小瓶に入った黄色の絵の具。

「気に入らなかった?」

受け取りながら、尋ねた。
絵の具を貸し出す期間として約束した時間には、まだ十分に時間がある。何かあったのかと困惑しながら、彼の顔を見上げた。

「――別に、そういう訳ではない」

答えるまでの、一瞬の間。時間にしてたった数秒にも満たない短い時間。
それだけで十分だった。

「他の色がよかった……という訳でもないよね」
「あぁ」

頷く彼を横目に、手の中の絵の具を転がした。小瓶の中で黄色の粉末が、陽の光を浴びながらさらさらと零れ落ちていく。
カナリーイエロー。カナリアの羽根のような明るい緑みを帯びた鮮やかな黄色は、見る者の心を温かくする。色を知らない彼が春を知るのに相応しいと思ったが、喜んではもらえなかったようだ。

「参考までに、色を見た時の感想を教えてもらえるかな」

問いかけるものの、はっきりとした答えを求めていた訳ではない。
ただの興味本位。先程のような、ほんの僅かな反応でも見られたらという軽い気持ちだった。

「――美しかった」

けれど予想に反して、彼は真っすぐにこちらの目を見据えて告げる。
嘘偽りのない、彼の本心。どこか苦しげにも聞こえる声音に、思わず眉が寄った。

「たった一色。色づくだけで、何もかもが変わった。世界がこんなにも明るく、美しいものだったと思い出すことができた」

目を細めて彼は微笑む。
やはりその笑みは、泣くのを耐えているような、そんな悲しみが浮かんでいた。

「幸せだった」

声を震わせ、彼は言う。

「記憶の中にあるものよりも鮮やかで、愛おしい色。美しく囀る鳥が、黄色に煌めく羽を広げて飛ぶのを見た。甘く爽やかで、それでいて青臭い黄色の花が一面に広がる光景が目に焼き付いて離れない……だから、駄目だった」

気づけば、彼は手をきつく握り込んでいた。
何かを耐えている時の癖。手を解くことは簡単だけれども、想いを解くことは難しい。
彼から目を逸らさず、ただ静かに待つ。
話すことを強要はしない。話したくないものを無理に聞き出したとして、お互いに苦しくなるだけだ。けれど話したいと本心では思っていることを話せないというのも、同じくらいに苦しいことを知っている。
ひとつ、彼は深呼吸をした。俯いて、握り締めていた手を解く。
そして次に顔を上げた時、彼は何もかもを諦めたような目をして笑った。

「返したくないと、思った。このままずっとこの美しい色を見ていたいと、欲が沸き上がってくるんだ。ここに来なければそれが叶う。もう灰色の世界を置いていけると、そんな囁きが離れない」

自分自身に負けてしまう前に返しに来た。
そう告げられて、呆れてしまう。
なんて馬鹿正直な男なのだろう。その囁きに従った所で誰も――それこそ自分だって、咎めることはないというのに。
本当は返してもらえなくても良かったのだ。色彩に溢れた世界を見れたとして、今の自分には何の意味もない。
事故で色を失った彼と、眠り続ける体から追い出されてしまった自分。
渡した色は、生きている彼のためにこそ相応しいものだというのに。

「馬鹿だねぇ」

思わず口をついて出た言葉に、彼は眉を顰めた。
何かを言いかける彼を制して、もう一度絵の具を差し出す。途端に戸惑いを見せる彼の手を掴み、無理矢理に握らせた。

「あげると言っても受け取らないだろうから、貸すと言ったんだけど。くれないか、の一言だけで解決するのに、何でこうも悩むかな」
「っ、そんな簡単に……!」

押し返そうとする彼に益々呆れながら、小瓶の蓋を取ってその手に中身を撒いた。
きらきらと煌めく陽の光のような粉。手に触れて、それは雪のように溶けて彼の中に取り込まれていく。突然のことに反応できず、呆然と手を見つめる彼は次第に泣きそうに顔を歪めた。

「私が持っていても仕方のないものだよ。どうせここから動けないんだ。それに私には一色だけあれば、それでいい」

苦笑しながら、別の絵の具を取り出した。
アザーブルー。晴れ渡った青空のような、明るくて鮮やかな青。
瓶の蓋を取り、彼の手の中に中身を撒いていく。消えていく空の色を視界の端で感じながら、彼の頬を伝い落ちていく滴に見とれていた。
無色透明。けれどカラフルな世界のどんな景色よりも美しい。手を伸ばし滴を拭うが何の温度も感じられず、それが少しだけ寂しかった。

「こんな勝手なことをして……目が覚めた後、どうするんだ」
「どうもしないよ。なるようになる」

それに、きっともう目覚めない。
心の中でだけ、付け加える。悲壮な顔をする彼に気づかない振りをして、また一つ絵の具を取り出した。
カーマイン。鮮やかで深みのある赤。命を思わせる、聖なる色。
怯えたように、彼は手を引いた。明確な拒絶が事故の悪夢から、彼が今も抜け出せていないことを雄弁に語っていた。

「大丈夫」

彼の目を見て微笑む。手を差し出せば迷うように彼の目が揺れ、そしてゆっくりと閉じられていく。
小さな溜息。
少しして目を開けた彼は、何かを決めたようにこちらを見据えて口を開いた。

「戻ってくるなら、受け入れる」

息を呑んだ。
無理だと言おうとして、彼の目の強さに口を噤む。手の中の絵の具を強く握り、俯いた。

「生きることを諦めるな。逃げずに最後まで藻掻くなら、俺もお前の意志を尊重する」

声が痛い。そう感じたのは初めてだ。
込み上げる想いが溢れそうで、きつく目を閉じた。それでも止められず、溢れたものが滴として頬を伝っていくのを感じる。
久しぶりに感じる熱。空気に冷やされた滴を拭う指の熱が、彼に答えを返そうと急かしている。

「頼む。俺を置いていかないでくれ。一人で見る色に溢れた世界に慣れさせようなんて、残酷なことはしないでほしい」

目を開けて、彼の顔を見た。滲む視界で、彼が同じように泣いているのがぼんやりと見える。
震える指先で絵の具の蓋を開けた。何も言わず差し出された大きな手のひらにそっと小瓶を傾け、絵の具を撒いていく。
煌めく赤。降り積もり、溶けて彼の中に吸い込まれて彼の一部になっていく。

「私はここから動けない」

自分がいるのは病室ではなく、庭で彼と植えたオリーブの木の下だ。互いに支え合い、いつまでも平穏に暮らせるように願いを込めた、幸せの象徴。カラフルな世界よりも煌めいていた、愛しい日々。
自分では抜け出せない。

「だから――」

彼に手を伸ばす。

「あなたが、連れて行って」

それが自分が彼に返せる、精一杯の答えだった。




20260501 『カラフル』

5/2/2026, 10:43:18 PM

色とりどりの
カラフルなキャンディ
宝石のように輝いて見えた
幼い日の
記憶…。

5/2/2026, 11:15:33 AM

カラフルといば森絵都さんの小説、
その名にそぐわぬ真っ黄色の表紙だけが浮かぶ。

埃を被った世界も私の体温で色を取り戻す。

5/2/2026, 11:04:04 AM

書く習慣:本日のお題「カラフル」

カラフルと言えばClarisの『カラフル』、『魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』のオープニング曲である。
しかし2回連続でアニメの話をするのも芸がないので、敢えてまどマギから離れて、私が特に好きな色彩関係について語ろうと思う。

「あなたは何フェチ?」と聞かれたら、私は「色フェチです」と答えるだろう。

特におしゃれが好きだとか卓越したメイク技術があるとかではない。すてきな色をずっと眺めていたい気持ちだけがある。父も私同様に色フェチである。私がお土産を買って実家へ帰ると、メインのお菓子などそっちのけで、袋や包装紙の色がいいと言っていそいそと仕舞い込んでいた。

桜井輝子先生という著者さんがいる。カラーコーディネーターさんで、私の大好きな配色手帖『世界を彩る色と文化』などの色に関する本を何冊も書いていらっしゃる方だ。単なる伝統色や慣用色だけでなく、オリジナルの色名や説明、数値(CMYK、RGB)を記載しているので、ツールで色を作るときに再現できて非常に助かる。

ブルー・ニュイとミッドナイトブルーなど、同じような色だけど並べてみると微妙に違う色だとわかる。どちらも深い紺色だが、スクショを撮って並べてみると、ブルー・ニュイの方が明るい。それぞれの色の説明には、

"Bleu nuit
ブルー・ニュイ(DIC)
夕暮れから真夜中が終わるまでの空に見られる青。"

"Midnight Blue
ミッドナイトブルー(慣用)
真夜中の空のような、暗く深い青色のこと。"

と書いてある。やはり、ブルー・ニュイの方が明るいわけだ。

桜井輝子の『配色手帖』を読んで、全ての色を暗記したわけではない。しかし、空を見上げて、自分なりに「この色を言い表すとしたら?」と考えることが増えた。

「今の空はヤグルマギクの色に似ている」

「日の出の金色の光が当たった雲と空の色に既視感がある。ディズニー実写版『美女と野獣』のベルの部屋に雰囲気が似てる。ロココっぽい」

などなど。こうして自分の思考を書き起こしてみると、『配色手帖』の写実的かつ詩的な表現力には遠く及ばないが、少しでも自分の思考体力を伸ばす点で、この習慣はよいのではないかと思う。

5/2/2026, 10:36:56 AM

お題「カラフル」

クレヨンいっぱい取り出して
白い用紙に何を書こう

キラキラお城に、大きなお庭
かっこいい馬車もつけ足して
綺麗な噴水、手前に置けば
僕は立派な王子様

紙の上は、僕の楽園
何を絵描くも思うがまま
いくらでも夢を散りばめて
理想の世界に飛び込みたい

でも、気がついた。
俯くあのこ。
恥ずかしい様に顔を伏せては
逃げる様に隅で縮こまってる。
見捨てられてる筆入れは、鉛筆だけで寂しそう。
まっさらな筈の手つかずの紙は、影に隠れて、暗くなってる。

僕は近づき、手を差し出した。

使っていいよ

あのこの顔が、パッと染まった。

赤い夕日の沈む海原
青いお空の飛行機雲
緑の葉っぱの木陰で休んで
黄色いお花の微笑む花壇

見たことのない色彩が
白紙の舞台を染めていく。
あのこの色に引き込まれ
僕の瞳も色づいていく。

やがてみんなが寄ってきて
それぞれの色を描き始めた。

赤青緑
紫黄色
ピンクオレンジ
水色茶色

賑やか鮮やか 楽しいな

もうクレヨンはなくなっちゃったけど
僕も、残った鉛筆で描きだした。

でもその日、僕は怒られた。

飾り気のない鉛筆だけの絵。

みんなの綺麗な絵と並べて
もっと真面目に描きなさい
って言われた。

何だかとても惨めになって
急に何もかもつまらなくなって
映るもの全てが灰色に見えて
絵をくしゃくしゃに丸めて、ゴミ箱に投げた。

もういいや

みんなから離れて、顔を伏せた。

でもその時、あのこは駆け出した。

ゴミ箱に手を突っ込んで、しわくちゃに潰れた絵を拾い上げて、言った。

描いていい?

僕が頷くのを見ると、あのこは絵を広げて、クレヨンを握った。
あのこの手が踊る様に線をなぞり、黒だけだった紙が、カラフルに染まっていく。

できた

あのこは絵を広げ、僕に見せた。

どう?

しわくちゃなままの絵を見せて、あのこはたずねた。

綺麗…だと思う…

僕の答えを聞くと、あのこはにっこりと微笑み、頷いた。

わたしもそう思う

僕の心もいつのまにか、カラフルに染まっていた。

5/2/2026, 10:20:18 AM

カラフルと、言えば。
先ず思いついたのが、海外のジェリービーンズ。
色とりどりで、楽しい、賑やか、幸せ。
なかなかのパワーワード。
それを人生に置き換えると、何かいい感じ。
絵にすればきっと誰が見ても笑顔になりそう。

でも、私のこれまでの人生に色がついていたのは、
11才まで。
それからの私の人生の色は常に曇天で、
時に雨が降り、時に土砂降りになる。
そんな灰色の空を私はどうしても見上げてしまう。

5/2/2026, 9:55:12 AM

【カラフル】

「モノクロだった世界がカラフルに変わる」って、

どんな感覚なのだろうと思う。

自分だけの色に染まった世界は、

そう簡単に変わりそうにはない。

5/2/2026, 9:55:00 AM

カラフル

 アメリカのお菓子はカラフルってネタは有名だな。食欲がわかないって意見もあるけどああいうのを一度は食べてみたいものだ。

 今日はお題が更新されてたけどやっぱりタブレット側の問題なのかな。そもそも古くて反応がだいぶ悪くなってるから買い換え時だよな。

 でも金がないから買い換えたくないんだよな。一応はまだ使えるわけだし買い換えたらまたネットの設定とかやらないとだし。

 まあタブレットはともかくとして今日は暑かったな。久しぶりにエアコンつけた。もう五月だしそろそろ夏がくるか。

5/2/2026, 9:51:14 AM

「それなにそれなにーうちもやるー!!」
と、まるでたくさんの色を撒き散らかさんばかりの元気いっぱいの笑顔でこちらに走り寄ってくる。
あたしたちの前にはいま流行りのさまざまなシールが机いっぱいに広がってた。
「で、意気込んで参加するって言ったけどあんたのそのシールは何?」
あの後また交換しようとおのおの集めたシール帳を広げてるのが現状。
「え?可愛いっしょ」
問われた本人はなんでそんな事を言われてるのか分からないと言う風でポッキーなんて口にしながら首を傾げる。
「いやいやいやこれはなによ?」
彼女の前に広げられたシールを指差して聞く。
「これはーせんべいのキャラクターでおにぎり君でしょ。そしてこれはチョコのキャラクターのサンダーくんにー」
それぞれのシールを指差しながらどこまでも続くお菓子メーカーのキャラクター。
「待って待って…あんたのシールお菓子のノベルティしかないじゃない!!」
「いいっしょ!美味しく食べれてキャラクターも可愛い」
悪びれずににっこりと笑ってさらにそのお菓子について熱く語られる。
「もういい。分かった分かった」
「で、なに?どれと交換する!?」
溢れんばかりの笑顔に思わず得体の知れない牛のキャラクターのシールを指差した。
「お客さまーお目が高いですねー♪」
また彼女の周りに明るい色彩が纏われてるように見えた。
なるほど。彼女の眩しいほどの彩りはお菓子から出来ているらしい。


                  (カラフル)

5/2/2026, 9:44:25 AM

#カラフル

「君の目ってきれいだ!カラフルで、きれい!」
「語彙力どこにおいてきたのさ、…ほらいくよ」
「ね、最後に抱きしめてよ。俺君の目大好きだ」
「……仕方がないな、はい」
「このあとは目閉じておいてね、きみのきれいな目が真っ赤に染まるのうれしくないし」
「はいはい」
「じゃあね!」

5/2/2026, 9:27:00 AM

"カラフル"

量り売りお菓子はポップに毒を吐く
袋に詰めた分の蓄積

5/2/2026, 9:20:14 AM

【カラフル】


いつも元気なあの子は黄色
優しくて涙脆いあの人はピンク
冷静で論理的なあの子は青と紫のハーフ
情に熱いあいつは真っ赤っか。


私の周りはカラフルな人達でいっぱい
私の色は、見えない。
けれど、だからこそ何色にもなれるの。

5/2/2026, 9:09:15 AM

色は波長の違いだとかそんな原理どうでも良い。
ただ綺麗に、貴方を中心にして色づいた世界を享受して。グラデーションも細かな彩度と明度の違いも、広がりも隔たりも全部、目からとめどなく流れ込んで脳に染み込んで。洪水を起こすほどの色彩の暴力を一身に受けている。

溺れそうなほど苦しいのに同時に満たされてしまっているからこそ、ずっと逃れられずにいるのかもね。

『カラフル』

5/2/2026, 9:01:38 AM

カラフルに彩られたお菓子たち。


今日も、早起きして作り出す。


爪を切って、髪を結んで、うがいして、手を洗って…


料理の前の準備は愛だって誰かが言ってた。


本当にその通りだと思う。


お、焼き上がった。


生焼けじゃないか、爪楊枝をさして確認する。


よし。オッケー。



…綺麗に型から外れてくれるかしら……
何十年と繰り返していても、この作業はなれない。



……ふー…


朝の大仕事はこれで終わった。


あとは、フルーツを盛り付けるだけ。


……ケーキが冷めるまで、洗い物しようかしらね。



何千回と繰り返している、朝の時間。



大変な時もあるけれど、
スイーツを見た時の、彼の笑顔を考えただけで、幸せになれるの。


明日は何を、作ろうかしら。


洗剤の泡が生クリームに見えた。


生クリーム入りのプリンでもつくろうかしらね……


ふふ。


さ、あの人を起こしに行きましょ。

5/2/2026, 8:49:40 AM

デッサンばかりを描いてきた。
物事において最も美しいのは、存在でも、大きさでも、色でもない。形だ。
余計な要素は要らない。
ただ、物によって異なる陰影を、歪むことのない他者との境界を、描きたい。
だから、デッサンが好きだった。
影の中から輪郭を浮かび上がらせて、光を加えて、段々と、画面の中にその形ができていく。
あまりに美しいではないか。
無骨な黒鉛で引かれた線がまた、美しかった。
僅かにぼやけ、紙の表面に柔らかな黒を残していく鉛筆の音が好きなのだ。
線を描く度に丸くなる筆先も、削り直す時の木を削る感触も、微かに匂う確かな木の匂いも。
デッサンというのは、絵画において最も完成された美しさだと、私は思っている。
そんな私には、気に食わない男がいた。
美大受験のための予備校で、いつも隣に座る男。能天気で、煩くて、とことん私とは趣味が違う。
奴はどうやら「天才」らしい。
筆運び、構図、正確性、独創性。どれを取っても飛び抜けていて、美大への現役合格も夢でないなんて持て囃されている。
ああ、嫌いだ。
物の形しか愛せない私は、もう何年浪人しているか分からないのに。
どうして、そんなに楽しそうに全てをこなせるのだ。
どうして、一枚の絵にそんな多様な色を使うのだ。
色は嫌いだ。私の、私だけの世界が、踏み壊されるような気がする。奴らはいとも容易く境界を滲ませ、私の愛する明確な形を曖昧にぼかしてしまう。
色を付けた絵は私には煩すぎる。派手で、眩しくて、吐き気さえ催す。
だから、デッサンばかりを描いてきたのに。
「ねぇねぇ、君の絵、僕が塗ってみてもいい?」
なんて、あまりに無垢に聞いてくるものだから、呆然としたまま頷いてしまった。
翌日渡された風景画は、やっぱり美しかった。
丁寧に水彩で塗り重ねられた色は、写真とは確実に違う独自の世界を描いていて、しかし見るものを惹きつける光がある。私には、到底描けない。
やっぱり、色は嫌いなのだ。
こんなにカラフルな色は、私には似合わない。私には、美しすぎて。
その日、私は筆を折った。彼には何も言わず、予備校を辞めた。
随分遅れた就活だったが、どこも人手不足の世界だ。少しまともぶっていれば、こんな年齢からだって就職先は決まった。
私の世界は、これでいい。デッサンと同じ、無機質な他者との境界だけがある白黒の世界。
彼の見たカラフルな世界は、どう足掻いたって私には見られないものだった。私には、到底届かない世界だ。
空だけが、ただ青く澄んでいた。

テーマ:カラフル

5/2/2026, 8:40:44 AM

𖧷カラフル𖧷

60年代ファッション

どんな世界か
この目で見てみたかったなあ!

5/2/2026, 8:38:38 AM

カラフル。カラフル。空から飴玉。
コツンコツンと音を立てて、空から飴が降ってくる。イチゴ、オレンジ、レモンにミント。ミルクにソーダに、それからグレープ。フレーバーも多種多様。色とりどり。まさしくカラフルなそれは直径2センチぐらい、ちょっと小さいまんまるキャディ。
それらは建物や地面、木の枝に触れると炭酸の空気が抜けるみたいになんの痕跡も残さずに消えてしまう。
でも、人間と傘にだけは飴のままぶつかってくる。小石が当たった程度には痛くって、おまけに糖分でベタッとする。運悪く急所にあたれば病院行きは免れない。
でもね、そんなこと大したことじゃないの。
いちばんの問題は、かわいい傘がこの世界から消えてしまったこと。
セロファンみたいに色のついた薄ーいビニール傘。そんなの飴が突き破るから危険でしょう。もっと丈夫なのを買いなさい。
レースやフリル、甘い砂糖菓子みたいな傘。そんなの布がベタベタになっちゃうでしょ。洗ったところでキリがないし。
みーんな、買う傘は一択。飴玉に負けないぐらい頑丈で、傘布は分厚くて、水をかけるだけで糖分が洗い流せるツルツルの特殊加工素材。色はだいたい黒か暗い灰色ばっかり。鮮やかな色だと飴がくっついたときに気づかないから。
どうしてこんな世の中になっちゃったんだろ。もう絶望。
教室の机に突っ伏して、嘆くわたしのつむじを誰かがぐいぐい押してくる。誰だかは分かってる。下痢になるツボだよって笑いながら教えてくれた友人に違いない。

やめてよ、ひとが絶望してる時に。
あんたの絶望なんてタカがしれてるのよ。どうせまたカワイイ傘がーって言ってんでしょ。
それだけわたしには大問題なんだよ。カワイイ服にはカワイイ傘。そう決めてるんだから。
そんなら家でさせばいいじゃん。
部屋狭いし、家でそんなことしてたらママに怒られるし。
じゃあデッカいショッピングモールん中で傘させばいいんじゃない? そんでケーキとか食べたら?
それ、すっごっくいいかも。そだよ、スイートバニラの新作ワンピ着て、傘持って、厚底バレエ履いて、ホワイトベアのぬいぐるみバッグ持って。ねえ、明日さ2人で行こっ。
やだ。行かない。
なんでー? ロリータの隣は歩きたくないの?

わざと甘ったれた声を出す。もう何度も2人で遊びに行ってるからそんなことないって知ってるけど。

建物の中で傘さしてる非常識なやつは、ちょっと。
なにそれ、ひどい。自分から言ったくせに。

思わず立ち上がって抗議すると、友人は楽しそうにケラケラ笑った。
窓には降り出した飴がぶつかって、コツンコツン音を立たてていた。

5/2/2026, 8:32:45 AM

色とりどりの飴や、ガムを見かけると、大人になった今でも何だか心が躍る。子どものころは、透明なケース越しに眺めるのも好きだった。

 いざ食べてみると、とても甘くて何色を食べてもほぼ同じ味だった。それでも、たくさんの色があることに、ワクワクしていたのだと思う。

 今だったら、その味は甘すぎると思うかもしれない。それでも目を奪われるのは、遠い昔のワクワクがよみがえるせいなのかもしれない。

「カラフル」

5/2/2026, 8:26:50 AM

: カラフル


えぇ、私、ハッキリ見ました
犯人が逃げていくところを…

犯人の特徴、何か覚えていますか?

はい、ハッキリ覚えています
犯人は、とってもカラフルな服を着ていました
すごく似合っていました

で、犯人は、あなたに見つかった時
どんな様子でしたか?

一瞬こっちを見たんですけど
直ぐに目を逸らしたんです
よほどマズイと思ったんでしょうね
逃げる時に盗んだものを落としてしまって
ハタと気づいた犯人は、拾いに戻ろうか
どうしようか、とても悩んだ様子でした
それがとってもかわいかったてす

犯人は、直ぐに見つかると思いますか?

えぇ、直ぐに見つかると思いますよ

どうしてそう思うんですか?

だって、もう少しでご飯の時間ですから

カラフルな服の犯人が
ドアの近くで、こちらの様子をうかがっている

どうするの? ご飯の時間だけど

バツが悪そうな顔をしていたが
背に腹は代えられないのだろう
すごすごやって来て、静かに伏せた
ごめんなさいの顔がまたかわいい

食べていいよ

嬉しそうに立ち上がり
尻尾をブンブン振っている

これもまた、かわいい


                    桜月夜

5/2/2026, 8:14:54 AM

『カラフル』

いつもありがとうございます。
体調を崩してしまったためスペースのみです。

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