『やりたいこと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
(やりたいこと)(二次創作)
むらびとも含めたった6人で暮らし始めたこの小さな島も、随分と賑やかになりました。
たぬきちさんに習ったDIYで様々な家具や小物を作りました。博物館を誘致するために、虫や魚をたくさん捕まえました。本当の無人島に遊びに行って、偶然出会ったキャンパーを島暮らしに勧誘しました。しずえさんが加わり、きぬよさん姉妹も店を出し、そして遂にたぬきちさんの夢でもあった「とたけけのライブ」を達成したのです。
しかも、とたけけは、これから毎週土曜日に、ライブを開きに来てくれると言うのです。
しかしむらびとは、困っていました。
「何をすればいい?」
右も左も判らない移住当初から、むらびとはいつも、たぬきちさんの助言を求めていました。住民が10人になったのも、様々な来訪者が顔を見せるようになったのも、すべてはむらびとの功績でした。しかしどれも、たぬきちさんの言葉に従って動いていただけ。
たぬきちさんは、にっこりと答えます。
「なーんも!これからは、むらびとさんがしたいようにすればいいんだも。やりたいことをやって、行きたい場所に行って、飾りたいものを飾って、会いたい人と会って――むらびとさんはもう、自由なんだも」
(やりたいこと……)
それが無いから困っているのです。むらびとは、一人、空を仰ぎました。
たとえば、新しく出来るようになった料理に取り組みましょうか。たとえば、まだ見ぬ大物を求めて釣り糸を垂らしましょうか。夜になると出てきてはこちらを刺していなくなる、にっくりサソリをとっ捕まえてもよいでしょう。しずえさんやレイジが話していた、黒い薔薇から咲くという金の薔薇を追い求めてみましょうか。
どれもこれも、たいへん魅力的です。
魅力的なのですが、何故か、ひとつもしっくりこないのです。
(そもそも、どうしてこの島に来たんだっけ)
移住ですらその場の勢いで決めたむらびとは、降ってわいた自由を持て余していました。
何故こうなったんだ?
時々真実が見え隠れする。
風、雨、星、花、自然が気付かせてくれることがある。
自分の人間性、家族の人柄、、、
真の成功者は自分を解ってる人
早く気付けば気付くほど、後悔を減らすことが出来るはず。
あとね。そんな風に考えることができる人と一緒に歩めると嬉しいね。^ ^
深夜、拠点に戻ってきたコンラートが宿舎へ向かう最中に図書室の前を通りがかったとき、そこにはまだ灯りがついていた。誰かがいる可能性もあれば、最後の使用者がランプを消し忘れた可能性もある。念のため、中を覗いた彼は、ランプをつけて机に向かう後ろ姿に目を剥いた。
「お、おい、シルヴィア! こんな時間にここで何してんだ!」
人影がその声に反応して振り向いた。人参のような色をした赤毛が動きに合わせて揺れる。
彼女はコンラートの姿を認めて、大きく目を見開いた。
「ぼ、坊ちゃん。ど、どうしてこんなところに?」
そう言いながら、彼女は机の上に広げていた本を閉じると、そそくさと片づけ始めた。
「俺が訊きたいよ。何してたんだ?」
彼女は顔を赤くすると恥ずかしそうに口を開いた。
「その……会議をされる際に、いつも同席させていただいておりますけれど、恥ずかしながら坊ちゃんたちが仰っていることがよくわからなくって……」ぼそぼそと言うと、はにかんだ。「いけませんね。同じ学院にも通わせていただいていたのに……」
コンラートは彼女をまじまじと見た。自分を追い回してくるときと違って、恐縮したように小さくなっている姿を見ると、本当に恥じ入っているのだということがわかる。
彼はふっと口許を緩めた。
「お前、俺に似ず、本っ当、真面目な奴だよなあ」
しみじみとした調子で言うと、彼女の頭をわしゃわしゃと撫で回した。
「ぼ、坊ちゃん?」
困惑したように彼女は小首を傾げた。
「言ってくれたら、それぐらいいつでも教えてやるよ」
「でも……夕方くらいから深夜ぐらいの間の時間って、坊ちゃんが一倍お忙しい時間帯でしょう? お邪魔したくはありません」
彼女の言葉にコンラートの顔が引き攣った。溜息をつくと、あのなあ、と彼女の額を指でついた。
「ひとの厚意は素直に受け取っとけって」
でも、と彼女は目を伏せた。彼の従者として、彼の遊び好きなところには辟易としているが、それが彼の息抜きであるのならば、その邪魔をしたくはない。
「お前が俺に色々と尽くしてくれるように、俺もお前に何かしてやりたいんだよ」
そう言うとコンラートは彼女の頭を再び撫でた。
「ありがとうございます……コンラート坊ちゃん」
彼女は花のような笑顔を彼に向けた。できればこの顔をずっと見ていたい。そんなことを思いながら、コンラートはしばらく彼女の頭を撫で続けていた。
「例えばの話ですけれど」
私の髪を梳きながら、背後の妖は詠《うた》うように言葉を紡ぐ。
「貴女様が妖に成ったとして。それは貴女様の個にどれ程の影響をもたらすのでしょう?」
妖の言う個の意味が分からず、内心で首を傾げた。
個。一つの物。一人の人。個性。
妖は人の望みに応えるモノだと、以前緋色は言っていた。ならばほとんどが変わってしまうのではないだろうか。
「個とは、貴女様が今まで築き上げてきたもの。まだ見ぬ世界に対する憧れ。相反する誰かの理想を否定しきれぬ優しさ。未知なるモノを恐れぬ強さ。言葉を紡ぐ事の恐れ。他者に対する遠慮」
次々と紡がれる、私を暴く言葉に息を呑む。
何で、と問いかけようとして口から溢れたのは意味を持たない呻く声。
助けを求めて緋色を見るも、その視線は本に向けられ交わる事はなく。溺れているような息苦しさに、耐えきれず目を閉じた。
「貴女様が妖と成ったとして、その個は果たして変容するのでしょうか?」
「荷《はす》。それくらいになさい」
不意に感じた浮遊感。思わず目を開けると、目の前には緋色の妖。
「このじゃじゃ馬娘には、端的に言わないと理解が出来ないわよ。それに初対面でそこまで深く紡ぐものではないわ」
「す、すみませんっ!わたくし、少々浮かれてしまっていました」
恥ずかしげに。申し訳なさそうに。謝罪を紡ぐ妖に大丈夫だと首を振って答える。
初対面だからこそ動揺したものの、見透かされるのは慣れてしまっていた。
「あのですね。どんなに他に憧れようと、貴女様は貴女様にしかなれません。わたくしがどんなに風に憧れようと、外へ飛び出す事がないように。どんなに炎に憧れようと、誰かに物語を紡ぐ事がないように」
「あら、憧れてたの?」
「例えです…ですので、貴女様はもっと貴女様がやりたい事を行うべきだと。わたくしは思うのです」
ふわりと微笑い紡がれる言葉。
「やりたい、事…?」
よく分からない。
自分が何をやりたいのか。何をやりたくないのか。
自分らしく、はいつだって苦手だ。
「好んでいるか、でも構いません。わたくしは炎の紡ぐ物語を書き留める事を好んでいますし。炎がこうして煌びやかな打掛を羽織るのも、彼が好んでいるからです。難しい事ではないでしょう?」
好きか、好きでないか。
まだ全部は分からない。
けれど、今したい事は。好きだと思う事は。
「何か、楽しいお話が聞きたい。かな」
緋色に凭れ掛かりながらそう溢すと、妖は嬉しそうにこちらに近づき手を握る。
蓮の花が描かれた空色の着物がふわりと揺れて、その可憐な姿に目を奪われた。
「わたくしもそれがよいと思います。炎のお話はとても素敵ですもの。やはり貴女様とは仲良くなれますね。よろしければ今度、」
「荷。落ち着きなさい。それかさっさと戻りなさい。五月蝿いから」
「酷いですね。炎は」
頬を膨らませ、拗ねた態度をとりながらも妖にが戻る気配はなく。手も繋いだままで、呆れたように溜息を吐かれた。
「仕方ないわね。本当に」
もう一度息を吐きながら。
緋色の妖は語る。ここではない、どこかの世界の物語を。
20240611 『やりたいこと』
やりたいことが出来るなんてとんだ贅沢者じゃないか。
絵を描きながら思う。
少なくても見てくれる人がいて、認めてくれる人がいて。なんて豪華な人生だろうか。
今日もきっと不特定多数の誰かが褒めてくれるであろう絵を描いた。本当はもっと彩度の高いキラキラした絵が描きたいのだがそれはあまり受けが良くないのでやめてしまった。
誰かの評価が今の僕の生きる理由だ。
誰かの声が僕に価値をつけている。
評価が、声が絶えてしまったら。僕の存在理由は無くなる。
絵を描くことが好きだ。…本業にできるほどの腕はないので副業として深夜にちまちまと進めている位だが、これで良かったのだと思う。
才能の無い好きなことは趣味に留めておくべきだ。間違っても本職なんぞにしてはいけない。そこは天才のいる場所だ。努力なんてものは関係ない。世界に認められる人の上限は決まっている。
「うそつき」
嘘なんかじゃない。これで良かったんだ。間違いじゃない。
「ほんとは?」
これが本当だよ。これでいいんだ。
「…それはきみのやりたいことなの?」
…理想論なんてどこにも通じない。理不尽と戦うのも時間と労力の無駄なのにそれ以上に軽視されるようなものを、自分の心を誰かに晒してどうするっていうんだ。
……
やりたいこと…
そのままの僕で、そのままの作品を、そのまま楽しんでもらえるような絵を描けたならどれだけ幸福なものか。
だがそうならなかった。なれなかった。
僕は何にもなれない。
いつの間にか日が昇っていて、朝日がキャンバスを照らしている。こんなことをしている場合では無い。会社に行かなければ。
また今日も僕を諦めて堅苦しい殻を着て社会を泳ぐ。
やりたいことなんてもの、最初はあったのだろうか。
「やりたいこと」
「おはようニンゲンくん!!!今日も精が出るねえ!!!」
おはよう。あんたはいつも元気だな。
「今日は昨日の残り物サンドだよ〜!!!コロッケとサラダを挟めば美味しくなるに違いないと思ってね!!!」
炭水化物に炭水化物……美味いのは美味いけどカロリーが。
「朝から元気をつけておきたくてね!!!」
今日もまたどこかに出かけるつもりなのか?
「まあね!!!ちょっとやりたいことがあるのさ!!!」
「ちょっくら本部まで出掛けるが、晩ご飯までには帰るつもりだよ!!!」
そうか。……そのことでずっと気になってたんだが。
「ん???」
なんで逮捕状を出されたあんたがこんな自由に動き回れるんだ?
「キミ、消されたいのかい?」
「……っていうのは冗談だよ〜!!!捜査に全力で協力しているのがちゃんと伝わって逮捕は取り消してもらえたのさ!!!」
「……まあ、けっこう色んな機能が制限されているわけだが!!!それでも全力を尽くすのがこのボクだ!!!とっとと解決して!!!真の自由を得ようではないか!!!」
「というわけで!!!行ってくる!!!」
あぁ、いってらっしゃい……。
朝から嵐が来たのかと思った。
やりたいこと……か。
あいつにはいっぱいあるんだろう。
……でも、自分には。
自分のしたいことなんて、正直あるのかないのかもわからない。
なんでだろうな。
そういえば。自分はちゃんと自分に向き合って来なかった。
自称マッドサイエンティストのあいつを見ているとすごくそんなことを思わされる。
やりたいこと。夢。自分。
何かと言い訳をして、そういうものに蓋をして目を向けなかった。
向けなくてもいいと思っていた。
どうせいくら欲しがったところで、なんにも手に入らない。
自分の求めるものどころか、当たり前のものすら手に入らない。
ずっとそう思っていたんだ。
人生なんて、いつかあっけなく終わるだけで。
でも、あんたと暮らす中で気付いた。
「なにが食べたい?」「やりたいことは?」
「一緒に行こうよ!」「助けたいんだ!」
明確な意思を持って、自分の求めるままに。
最初は面倒なやつだとため息ばかりついていたが、いつのまにか羨ましいと思う自分がいた。
やりたいこと。
……うん、すぐには出てこない。
でも、絵を描いてみたい、かな。
……前あいつに褒められたから。
部屋を探すと色鉛筆が出てきたので、これで描くことにしよう。
何を描こうか?
そうだな……試しにあいつを描いてみるかな。
ミントグリーンの綿飴みたいな髪。
虹色に光る瞳。
つきたての餅みたいなほっぺた。
……意外とうまく描けた。
まぁ、実物のほうが愛嬌はあるけど。
こういうのも、練習あるのみだよな。
あいつが帰ってくるまで、絵の練習でもするか。
『やりたいこと』
「不正ができるだけないようにするために、日本人の体にチップが埋め込まれて50年経つらしいんすけど……今や文句をつける人はチップがない頃を知ってる老人が主らしいっすよ。若い子たちはむしろそんなこと気にもしてない。でも、俺達それでいいんすかね?」
下町の蕎麦屋は今や少ないが、残っている店は常連客で溢れかえる。
2年以上通い詰めてやっと常連に食い込んだ、田中伝次郎は蕎麦を口にしながら話した。
向かいに座って、同じ蕎麦を食べるのは松永愛弥美。伝次郎の上司だ。
「……田中君は埋め込みチップ反対派?」
「反対とかはないんすけど、じいちゃんが昔は良かったと言ってて。それ聞いたら俺達自由がないっていうか。松永さんはないっすか? じいちゃんばあちゃんに聞いたってこと」
「ないわけじゃないけど、私は別に自由がなくなったとは感じないわね。だって、今の老人が言っていることって悪いことが出来なくなったって言ってることが多いもの。……例えば、チップのおかげで私たちはどこにいても位置情報でわかってしまう。数分おきに記録もされる。また、死亡すれば生体反応消失によってチップの位置情報が役所と警察に送られ死亡通知が届く。チップの記録は遡れるし、全国民のチップ位置記録と照らし合わせて何人もの殺人犯がそれによって特定されているのよ」
「それはわかってますよ。でも、デメリットもあるっすよ。俺達、監視されてるみたいじゃないっすか」
「あら、やましいことでもあるの?」
「そうじゃないっすけど。知られたくない秘密とか……」
ゴニョニョと口を動かす伝次郎に、愛弥美はひらめいたように声をあげた。
「そういうこと……何? 彼女に浮気でもバレた?」
「違いますよ! 浮気なんかしてないっす! ってか、そもそも彼女いないし。……親っすよ」
「親?」
「松永さんとこの前、張込みでホテル行ったじゃないっすか? あのとき、親が居れの位置情報検索したらしくって……帰ったら質問攻めっすよ。捜査情報漏らせないし」
愛弥美は苦虫を噛み潰したような顔をした。
確かにそれは辛いものがある。
「いい年した大人なのに未だに位置情報調べられるんっすよ。ましてや俺刑事なのに、誘拐なんかされねぇっつーの」
「でもチップの位置情報で助かった命がごまんとあるのも事実よ」
「分かってますよ」
店内の古いテレビに、5歳の女の子がチップの位置情報で無事発見されたニュースが流れているのを伝次郎は目にする。
「今後は犯罪をした瞬間にチップから警察にデータが送られるようになるって噂もあるみたいよ」
「それはあと何年かかるんすかね」
「さぁね。でも――」
「どうしたんっすか?」
「警部からメッセージきたわ。いつまで蕎麦屋で食ってんだって」
「自由って……」
「サボってるわけじゃないもの。でもそろそろ行かなきゃね」
会計機は今やセルフが主流だ。チップ1つで会計もできる。
「田中君、経費で落とすからチップスキャンするね。上むいて」
伝次郎が上を向くと、顎の下に小さな黒い点が愛弥美の目に写った。そこにスキャナーをかざすと、会計機がピロンと音を立てる。
「松永さんのチップ俺やるっす」
「お願い」
愛弥美は松永にスキャナーを渡すと、後ろを向いて右耳を思いっきり顔側に折りたたんだ。
耳の後ろに黒い点があり、伝次郎はそこにスキャナーを当てた。
会計機がまたも音をたてる。
愛弥美がササッと操作すると、あっという間に会計が済んだ。
「これだってチップのおかげよ」
「……何も言ってないじゃないっすか」
「目が言ってたわ」
「まぁ便利っすよね。警視庁にここから領収証が送信されるんっすから」
蕎麦家を後にして二人は仕事に戻った。
っていうような話を書きたいのだけど、現代では創作も批判されそうな感じがするでしょう?
サザエさんだって昭和の舞台がアニメなのに現代の家族と違う、専業主婦なんて!って言われるんだから。
でも書きたくなる。これが私の『やりたいこと』
2024/06/11 (創作→本音)
やりたいこと
友達に聞いた道をひたすら歩いていく。
そこには「夢を売る店」がある。
客は一定の時間だけ、見たい夢を見ることができる。
気に入らなければ代金は不要。
代金は全財産と、寿命十年分。
「ちょっと考えます」
そう言って、私は地下鉄に乗って帰る。
帰ると家族がいて、夕飯がもうすぐできるらしい。私は父に、自転車置き場の横の花壇に柵をつけてほしい、制服が雨で濡れたと文句を言う。
「じゃあ、週末まで待ってくれるか」と父は言う。明日も雨らしいからちょっと不満だが、まあ我慢しよう。父は約束を必ず守る。
ある夜、私はテレビドラマ『ER』を観ている。白衣を着たジョージ・クルーニーが何か話している。
「ちょっと話があるんだけど」と父が言う。何を言うか薄々分かっているので、私は目を逸らす。
「もしそれが観たかったら後でいいから」
「いや、いいよ」そして私たちは大切な話をする。父は決して嘘を吐かないので、「必ず治る」とは言わない。
私にとってだけ、時間はごく普通に流れていく。生まれて初めて学校が嫌な場所でなくなり、本来は今が人生で一番楽しい時なのだろうと思う。
ある日学校からの帰り道、少し前方に、何やら見覚えのある人が自転車を漕いでいる。その人は私と同じ道を進んで行き、見慣れた手製の柵のついた花壇の横に自転車を停める。
「外泊許可が出たから帰ってきた」と父が言う。夕飯は父の好物が出た。
このまま時間が止まるか、全部なかったことにならないかなと私は思う。それでも時間は過ぎて行く。
そして、また雨の季節がくる。
「お目覚めになりましたか? 内容にご不満は?」
「うん。…やっぱり、いい夢でした」
私はちゃんと代金を払う。
「…行ったまま帰らないようにはできないんですか」
「希望される方は多いですな。まだ技術的に不可能ですが」
「もしできるようになったら教えてください」
私は歩いて帰る。やりたいことができた幸福感は確かにある。
自分が突然、永久に失った日常に戻ること。それが私のやりたいことである。
ロバート・シェクリイの短篇
「夢売ります」を
自分に置き換えてみたものです
汚水藻野のオリジン。
私の原点のお題はこれでした。今見ると消したくなりますね。
汚水藻野の創作話に登場して来た
「大木と少女」
「幽霊弟と社会人姉」
「鬼霊の蝶」
「ひとりの老人と星の妻」
「アメリカ人(日本育ち)と日本人」
「ウサギとカメの創作にツッコませろ」
「北風を吹かせる秋風くん」
「ループ者と彼女」
「ジェスキー博士と遺されたロボット」
「シティガール千里姉と田舎男子従兄弟」
こいつらの話も増やしていきたい。
#2024.6.11.「やりたいこと」
数学のテストあったんですが、めちゃくちゃ簡単でした。よかった。もしかしたら100点かもしれない。もし100点だったら来週の月曜日くらいに報告来ます。
疲れてたら、やりたいことなんて出来ない。
そう思うようになった。
やりたい事をしていた筈なのに。
気づいたらやりたい事を探してる。
満たされない。
渇き続ける。
その先に枯れてしまえれば。
乾いていることに気付かずに。
どっちにしたって虚しい。
やりたいこと
今の私が1番やりたいことはあなたの安全と幸福を祈ること
気になる人がいる。甘酸っぱいあれそれじゃなくて、よく見かけるって意味で気になっている。
そいつは学校の最寄り駅前、ドーナツ屋の交差点のところで弾き語りをしているらしかった。ここ数ヶ月、3日に1回ぐらいのペースで見る。交差点の端っこの方にマイクスタンドを立てて、アコースティックを弾いている。若い男で、たぶん俺と同じくらいの歳だと思う。比較的人通りの多い交差点なのに、そいつの周りに人がいるのを見たことがなかった。みんなそいつを見えてないみたいに顔を交差点の方に向けて、横断歩道の信号が変わるのを待っている。足元にはお菓子の缶が置いてあるけどおそらく中身は寂しいんだろう。
そいつのことを気になっているのは、誰にも聞いてもらえないのによくやるなって思うのもあるが、一番は前に通りがかったときにそいつの歌をちょっといいなと思ったからだった。歌ってるのは多分オリジナルソングだ。声は平凡なんだけど、明るいメロディと日々のちょっとしたことを歌詞にしているのが良かった。立ち止まろうとした足は、その瞬間に信号が変わったことと、見向きもしない人たちの雰囲気に押されて流された。それ以来、そいつの前で立ち止まれたことはない。遠目にそいつがいるのを認めてはい終わり。ださいけど、誰か止まってくれねーかな、と思うだけだった。
珍しく研究室の実験が長引いて帰りが遅くなった日だった。夜10時を回った平日の田舎の駅前は静かだ。バスから降りて交差点を渡ろうとした俺はびっくりして立ち止まった。
奴がギターを弾いていた。いつもは昼間に見かけるから、こんな時間にいるなんて予想外だった。街灯のちょっと下で、そいつはいつか聞いた歌を歌っている。
俺はあたりをそろそろと見回した。誰もいない。意を決してそいつの方に足を向けた。
俺が目の前に立つと、そいつはちょっとびっくりしたみたいな顔をして、でも歌うのはやめなかった。雨の日の夜の歌だった。傘を忘れて、コンビニでビニール傘を買うっていう、本当に歌にするほどのことでもない歌詞だった。でもやっぱり良かった。
そいつが最後のフレーズを歌い終える。俺は手を叩いた。
「びっくりした。お客さんなんて珍しいな」
「……実は前から見かけてたんだけど、勇気がなくて」
いい曲だったと伝えたら、そいつは「ありがと」と笑った。俺は知らずのうちに握りしめていた拳を解いた。
「聞いてもらえてよかったよ。今日でやめるつもりだったから」
「えっ!?」
予想外の一言に思わずでかい声が出た。そいつは困ったふうに頭をかいた。
「来年就活なんだよ。そろそろ本腰入れないとまずくてさ」
「そんな……」
「まー趣味でやってたけど結構満足できたし。これしてたおかげで彼女も出来たんだ。正直もういいかなって」
呆気にとられる俺を置いて、そいつはギターをケースにしまい出す。「聞いてくれてありがとな!」と言いのこして、気づいたらそいつは居なくなっていた。
俺は足を引きずって帰った。もっと早く聞いとくんだったとか、俺の勇気のちっぽけさとか、もっと早くあいつのこと知ってた奴が居たんだなとか、色んなことを考えてしまって、とにかく恥ずかしくて仕方なかった。しまいには「そんなに呆気なく辞める程のもんだったんだ」なんてそいつのことを責め立てたくなって、帰宅してすぐベッドに飛び込んで目と耳を塞いだ。自分が嫌になりそうだった。
考えたくなくても今日はそいつのことをぐるぐる考えてしまって仕方がない。気づいたら2回だけ聞いたあの曲が頭を回っていた。印象的なメロディは思い出せるのに歌詞はぼやけてて、やっぱりもっと聞いときゃ良かったって思った。
(やりたいこと)
やりたいこと、が今日の作文テーマだ。ちょっと考えれば、やりたいことはたくさん浮かぶ。お気に入りの漫画の続きを読みたい、チョコアイスが食べたい、リアル脱出ゲームに行きたい、良い香りの香水を買いたい、軽井沢に旅行に行きたい。でもそれらは「なにがなんでもやりたいこと」ではない。「それをやりたいなら、その前にこのつらい仕事を頑張れ!」と迫られたら、「あっ、じゃあいいですやらなくて」といってシュッと消えるような「やりたいこと」だ。揺らぎなくなにがなんでもやりたいこと、つまり「夢」があって、そのためならいくらでも努力ができる、という状態なら、人生を生きるのに非常に都合がいいだろう。しかし私にはそういう、がむしゃらに追いかけられる夢はない。強いて言えば私の夢は、「平日は朝9時から夕方5時まで働き、けっして残業はせず、生活に不自由しないだけの給料を稼ぎ、土日祝日は絶対に出勤せず、のんびり趣味と家事をする」である。
私が、やりたいこと。
本当にあるのだろうか。
きっとまだ、曖昧な靄のようなもので、誰にも言い表すことのできない不鮮明なことだ。
やるべきことはあるけれど、それをするのは義務だからであって、昔好きだったことも、なんだかやるべきことに分類されつつある。
私が、やりたいこと。
確かに何処かにあるのかもしれない。
お題:やりたいこと
やりたいことは沢山ある
警察官になりたい
舞台に出てみたい
居酒屋で働きたい
ディズニーのCASTになりたい
でも、其れを叶えられるかは
分からない 。
だって今の夢だから
変わることも当然あるし 、
今の候補には無いモノになってる
可能性はある …
そんな事考えたって未来の事は分からない
なら、今できることを沢山していくだけ!
学生なら学生らしく、
友達とゲームして遊んで勉強して
それが今1番俺のやりたい事なのかもな 。
やりたいこと
これからやりたいことなんて、二十歳を過ぎた私でもわからない。そのうちやりたいことが見つかって、正社員で働いているだろうなんて、高校生の時は思っていたけれど、自分のやりたいことって簡単に見つからないもんなんだな。自分のことなのに他人事みたい。
「趣味を増やしてやりたいことを見つけていく」なんて甘ったれた考えだろうか。
やりたいこと
高校受験では、ひたすらに勉強していた。
そこそこ評判のいい学校に入って、また勉強した。
大学受験も頑張ったが、第一志望には受からなかった。
なんとなく落ち込んだが、滑り止めには受かったのでそこに通った。
就活は緊張したが、早いうちに内定を貰えたのでよかった。
適当に卒論も乗り越えて、無事に卒業した。
会社勤めは楽じゃないけど、そんなにブラックでもなければ薄給でもないので満足している。
最近は同僚に告白されて付き合い始めたりもしている。
夢が無くても、推しがいなくても、案外生きていけるものらしい。
「殺したいなって、死ねばいいのにって
思うこと、勿論有るよ」
「聖人君子の形したって人間だもの、
気に障ること位あるさ」
「でも、実現出来るかって言ったら
残念ながらそうはいかない」
「人を殺してはいけません」
「死を願ってはいけません」
「人を呪わば穴二つ」
「良心の呵責、刑期と影響、死後のその先」
「そういった諸々、いろんなことが総じて
最終的には想像や言葉だけで終わらせる為の
ストッパーになる」
「こういうのを、『教育の勝利』と呼ぶのかも
しれないね」
‹やりたいこと›
半覚醒のまま伸ばした手の先
仄かに暖かく空っぽの枕
すうすうと空洞の淋しい布団の中
誤魔化すように脚を擦り合わせる
耳を澄ませど声も足音も
他の部屋にいる気配すら無く
眩しさを言い訳に閉ざした瞼は
現実を見定める気力もなく
‹朝日の温もり›
「やりたいこと」
やりたいことを見失わないために。
自分の心と対話し、好奇心を大切にしてあげよう。
ごめんね わたしはいつまでも
あなたの良い子でいられない
窓のそとから誘う声がきこえるから
とびだして
帰り道がわからなくて
止まない涙の雨
ごめんね わたしはいつまでも
あなたの良い子になれなくて
あなたは愛してくれるのに
止まない涙の雨
ごめんね(5/29お題)