『また会いましょう』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
鮮やかな空の下、僕はめいいっぱいに叫んだ。
「いつかまた!ここであなたと…」
立ち去っていく彼女の後ろ姿を見て、僕は寂しさを覚えた。
彼女の風に靡く栗色の毛は、僕を決心させるには十分過ぎるほど美しかった。
だって、こんなへっぽこな僕でもあの人は全て受け止めてくれるのだから。
「私も…」
彼女は僕の方に無邪気にくるりと回転し振り向いた。
まるで鈴を転がしたような高い声。
そこで見えた顔は美しく、まるで…
美しい?
美しいってなんだっけ?
「あ…そのっ」
彼女は体を僕の方に向け、草をかき分け進んできた。いや、掻き分けは違う。どちらかといえば、腐らせて進んでくるの方が正しいだろう。
彼女が歩みを進める度に、僕の心臓の鼓動はみるみる上昇していく。顔の色はとっくに変化して、額には汗が滲んでいる。
「私も、また会いたいって思ってるよ」
声だけは優しかった。
首に強い力を感じ、僕はその場に倒れ込んだ。
赤い液体が、周りの草を染めていく。
「もちろん地獄で私の奴隷として、な?」
意識が朦朧とする中、見えたのはぐちゃぐちゃになった醜い彼女の顔と、大きな鎌だった。
「また会いましょう」
僕は、彼女に魂を売ってしまったことを強く後悔した。
彼女は死神だったのだから。
それ以降の記憶は、ない。
お題 また会いましょう
「また会いましょう」
再会を誓い合う言葉。子供の頃は何気なく使っていた言葉。
大人になって年を重ねていくうちに、その言葉はより重みを感じる言葉となっていった。
もしかしたら、もう会えなくなるかもしれない。
そんな不安をかき消すように、
「また会いましょう」
と言って、再会を誓い合う。
けれどいつかは会えなくなる日が来る。
それでも手を合わせて、
「また会いましょう」
そう唱えて見送る。
生まれ変わっても、
「また会いましょう」
そう誓い合うのだ。
また会いましょう。
そんなこと言っておきながら
大抵会わない。
【また会いましょう】
✂ーーー⚠ーーー✂
あーあ、残念だね
折角入学してから仲良かったのに
悪口大会になっちゃったね
やっぱ続かないもんだよね
人間関係は大体
仲良くなって
裏を知れば知る程
関係が崩れるか
更に仲良くなれるか
の二つに分かれてる
悪口ばっかうるさいよ。
【崩れる】
また会いましょう
桜の散る春
卒業や入学などがあるなか私は…
病室で寝ている
心臓がドキドキしている
みんなが新しく始まる時
私は元気になるために新しくなるために
頑張る
あなたに出会えたから決心がついた
あなたに言いたいのはただ一つ
また会いましょう
挨拶の語源はなかなか面白い。
おはようございます お早うございます
相手の朝の早さを称えている。
こんにちは 今日は
天気などを聞く言葉がそのまま挨拶になったのだろう。
今晩は、もきっと同じ感じだ。
言葉が変われど、意味は変わらない。
Good morning, Guten Tag
Bonne soirée, Добрый вечер…
一つだけ異なるものがある。
さようなら 左様なら
訳しにくいが、(あなたが)そうするならば、
という意味になるだろう。
外国語では再会を願う言葉が多いが、
日本語の儚さが強調される。
あなたとわたしは分かり合えない。
さようなら。
どこかで相見えるまで。
お題「また会いましょう」
某ゲーム二次創作
「また会いましょう」って何回も聞いた正直聞き飽きてる。
あたしはとある事情で家から逃げ出した所謂「家出少女」タチアナ。
自分で言うのも何だけど結構可愛いから冒険者が拾ってくれる、街から街へ行ったり来たり。
今ではこっちも名前をエクレアとかクリームとか適当に変えたり生きている。
でも最初は皆優しくしてくれるんだけど時間が経つとお互いもて余すのよね。
あたしのどこに不満あるんだろう。
子どもだから?あたしこれでもいいとこの家の娘だしちゃんとしてるつもりなんだけどな。
適当に言う事聞いてヘラヘラ笑って適当に合わせてあげてるじゃん。
こうなったのは親が悪いの、兄弟が悪いの、あたしは何にも悪くない!
「ちくしょーっ!」
街の広場で愚痴をこぼす、誰かに八つ当たりしてやりたい気分だったけど街の人達は家出少女ってわかってるから誰も話しかけもしない。
この街ではあたしは完全な空気だ、アウェーだ、派手なカッコしてるけど。
「今日はどうしよ。」
考えるのは今日寝るところ、だから冒険者を探している。
あたしのことは何も知らないから。
でもアイツら気軽に街から街へ連れてってくれるけどすぐにオサラバ「また会いましょう」って…。
私は私の居場所が無い…。
今日はどっかで引っ掛けるしかないかな…。
「タチアナ=ラザイエフ!」
銀髪のショートカットの女が話しかけてくる。
エクレアでもクリームでも無く久しぶりに聞いた本当の名前、懐かしい名前…。
「あ、お姉さん〜!どうしたの?」
今日はコイツかな…思い切り猫撫で声で話しかけてやる。
「ちょっと小耳に挟んでね、私はカタリナ=ラウラン。あなたを正式にスカウトしに来ました。」
「スカウトって?あたし可愛いからな〜。」
「私と一緒に行かないかしら?これは契約書です待遇は悪くないわよ。」
「時給高いね…お姉さんお金持ち?」
「契約書のサインはOKね。はい、メイス。」
「え、モンスター討伐とか?あの、あたしそういう肉体労働はちょっと。」
「行くところないんでしょ?」
「え、またどっかの人捕まえるから…。」
「人に期待しない!自分の道は自分で切り拓く!はいこれはあなたの分のメイスよ持って下さい。」
このおばはん、なんか押しが強いな…。
「手伝ってくれたら私も嬉しいわ、お互いwin-winの関係で行きましょう。」
「え?う?うそーっ。」
騙された…。
こんな奴からは逃げ出してやる!
こっちから綺麗に「また会いましょう」とか言ってやりたいわ!
「もし逃げたらお宅に請求書が届いてすぐに居場所が知らされる手筈になっています。」
「ふぁ?ズルい!卑怯者!」
「さあ、行きましょう。これからよろしくね。」
こうしてあたしは正式にカタリナの相棒として旅に出ることになった。
「また会いましょう」
やっとの思いで拐かした女だった。
髪が綺麗だとか囲った城主に自慢されたとか言う…くだらん理由も、主の命令と割り切ればただやるだけだ。
部下を接触させ、そのヘボ加減を利用して油断を誘う。何とか守り役の隙を突いたが………敵も一流、対応は早かった。
……ざまあねぇな。
多勢に無勢で追い詰められ、無様に地面へ転がって見下ろされている。女は奪われ背後の隠れ家は踏み荒らされた。
部下は逃げ延びたろうか。応援を呼べと言ったから、今頃間に合う筈もねえのに領地へ走っているだろう。
死ぬにしたって見せしめは御免だ。せめて一人くらい…と考えていると、俺を見下ろしていた男に代わって別の人影が進み出てきた。痩せたチビだったから、一瞬、半人前のガキに度胸を付けさせるのに使う気かと思ったが……違う。
下ろした髪に月光を受けて、短刀を持ったあの女が立っていた。
アンタがやるのか、お姫さん? 笑わせるぜ。
だが確かに、女を道連れにしたって何の格好も付かん。
考えた奴の性格の悪さを恨みながら、声を上げないよう奥歯を強く噛み締めた。
ぶつり。
切り落とされたものに目を疑う。辺りもどよめく。
当然だが、誰も想像だにしなかったようだ。
" これ " を持ち帰って、貴方ともう一人の命を繋いでくれ。
女の言葉に怒りで血が沸いた。殺意を込めた視線にも構わず白い手が白い懐紙に包んだ長い髪を俺の胸の上に置く。
馬鹿にしやがって…と呻くように吐き捨てると、女の静かな声が返ってきた。怪我を手当してくれたから、と。
……阿呆か。あれはお前を拐うのに俺が付けた傷だろうが。
それでも、と言いながら、女は俺の手を取って懐紙の上へ置いた。柔らかい、上等な絹の感触がする。
一つまた一つと気配は減って行き、側にいた筈の女を含めて辺りには誰も居なくなっていた。
糞ったれ。……この借りは必ず返す。
懐紙から零れた女の髪は月の光を照り返し、玉虫色に光っている。
【また会いましょう】
わたくし、毎月七日の午後七時にのみ人の姿になれる人魚なのでございます。
――と店を訪れた老婦人が言うものだから、私は思わず手元のコーヒー豆をぶちまけてしまいそうになった。
「へ、へえ、人魚。そりゃまた……シンデレラのような話ですね」
「異国の美女に例えていただけるなんて光栄です」
にこりと婦人は微笑む。私は動揺を押し隠して、「カフェラテです」と注文の品をテーブルの上へと置く。
「この喫茶店は海からいつも見えるので、いつか立ち寄ってみたいと思っておりましたの。でも、閉店時間がいつもお早いでしょう? このままではいつまで経ってもあなたとお会いできないから、思い切ってお電話してみた次第です」
「午後七時に来たいから店開けとけと言われるのは初めてでしたよ」
「ふふ、わたくし、あなたに初めての経験をさせてしまったのね」
とても上品に微笑みながら老婦人は白いカップへと口をつけた。どこからどう見てもただの人間にしか見えない。だがそれが、私の興味をさらに引き立てた。
人魚を名乗る老婦人。彼女が電話をしてまでこの店に来た理由。
「次の満月の夜、また来ても良いかしら」
婦人がそう言うので、私は間髪入れずに頷いた。
「もちろん。何度でもいらっしゃってください。こんな店で良ければ、ですが」
「この店だから来たいのよ」
そう言われてしまっては、相手が気違いだろうが人魚だろうがどうでも良くなるというものだ。
#また会いましょう -60-
―――「また会いましょう」
中学校の卒業式の日。
みんな口を揃えて、「また会いましょう。」と言った。
けれど、中学卒業してからまだ「また会いましょう」と
言ってくれた友達とは会っていない。
じゃあなぜ「また会いましょう」と言ったのだろうか?
みんなが言っていたから?
常識として言わなければならないから?
私は違うと思う。
「また会いましょう」は「どこかでお会いしましょう。」と
言う意味だと思う。
だって会いたいと思えば、「〇〇日に会おう!」とか言えるでしょ?
忙しくてもその人と会うために頑張ろうと思うでしょ?
あーあ。
だから私は中学の友達に「また会いましょう」って言われたのかな……。
ひねくれてるな私の心の中笑。
また会いましょう
「また会いましょう❗、元気で、また俺達のライブに来てくれよな!」
と、好きな歌手のライブの終わりのコメントを聞いて、僕はライブが終わってしまうさびしさと好きな歌手にまた会えるかの不安でいっぱいになった。
また会いましょうって言葉はなんて儚い言葉なんだと常々思う。
この言葉を忘れずにまたバイトなり、勉強を頑張って、チケットも取って…、ライブに参加するファンを思ってくれている言葉だなと僕は思った。
また会いに行きたいと思わせてくれるのもうれしい。とてもうれしい。
好きな歌手のライブに参加することが楽しくて仕方ない。
だからね、終わってしまうのはさびしい。
ライブってあっけないよね。
だけど、ライブに参加出来てよかったって思うことは出来るし、楽しめたという気持ちがあればさびしくなんてないよね。
また好きな歌手に会う為にも頑張らないとね!
また会いましょうって言ってるんだから会えるように準備しないとね!
終わり
また会いましょう。
そういった貴方は、他の人と付き合っている。
狡いと思う。
僕の気持ちを全部さらっといて他の男性と付き合うだなんて…。
女々しいとか、そんな事思ってほしくないから自分の気持ちを抑えてるけど、どうしようもない気持ちなら、まだ僕の心の中で燻ってる。いい加減捨てなければ。諦めなければ。
自分が前に進めない。
狡い貴方は嫌いです。
残酷な貴方は嫌いです。
人の気持ちをもて遊ぶ貴方は嫌いです。
〜♪~♪
聞き慣れた音が久し振りに響いた。
消したくても消せずにいた 貴方の音。
メールを開くと、言葉はなく、ただ音楽のデータが貼り付けてあるだけだった。
著作権、大丈夫だろうか……。
その音楽データを開くと、とても有名で話題になっていた曲が流れてきた。
その曲は、貴方の本音のような歌詞で溢れていて、どうしようも無かった。
「…………ずるい…………。
本当にずるい…………」
僕はスマホを握りしめたまま、自分の気持ちがグラグラになっているのが分かる。
嫌だ。
もう、沢山だ……。
くそったれ…………。
【また会いましょう】
凍てつく外気が皮膚を刺す。真っ暗闇が広がった夜空には、ぼんやりと月が浮かんでいる。
今が何時で、ここがどこなのか定かではない。ただ、感覚に訴える刺激が、ここは現実だ、と言っているようだった。
俺は、ビルの隙間を縫うように逃げ惑う男の背中を追っていた。彼がなぜ逃げていて、俺がなぜ彼を追っているのかはわからない。意識が晴れた時にはすでに、この関係が始まっていた。
俺は懸命に駆ける。冷えで鈍くなった関節を無理矢理に動かす。男の背中が眼前にまで迫ると、腕を伸ばしてそいつを突き飛ばした。
男は突然の衝撃に耐えかね、情けない声をあげながらコンクリートの地面に転げ落ちた。車に轢かれた蛙のようにひしゃげると、おどおどとした顔でこちらを振り返る。
なんとも情けない顔だった。その顔を見ていると、なぜか無性に殺意が湧いた。自分の中にこんなにもどす黒い感情が潜んでいるなんて、信じられなかった。
俺の手には月光を反射する一本のナイフが握られていた。柄を握りしめ、思い切り得物を振り上げる。
なんの躊躇いもなく、男の首筋に鋭利な刃先を突き刺した。鮮やかな血飛沫が吹き上がり、鉄の匂いが後から鼻腔へ入り込む。
何度か鮮血の噴水を出したところで、俺はふと我に返り前方に目を向けた。
男が立っていた。俺に似た男だ。そいつが暗闇でもわかる程ニヤリと微笑む。
「また会いましょう」
何を言っているかわからなかった。
俺はそこで意識を失った。
目を覚ますと、見知ったベッドの上にいた。
何か嫌な夢を見たような気がする。あまりにも現実味が強かったためか、全身が汗でぐっしょりと濡れている。
とりあえずシャワーでも浴びようとベッドから降りた時、何か嫌な匂いを自分が発していることに気がついた。
汗? いや、違う。記憶にある匂いだ。それもつい最近。
俺は急いで洗面所へ向かった。鏡で自分の姿を確認すると、そのおぞましい姿に絶句した。
返り血を浴びたかのような血塗れの俺が、そこには立っていた。
また会いましょう
またお会いしましょう。
やあ、またお会いできて光栄です、レディ。
こんなにすぐに再会できるなんて、ご縁がありそうですね。
そのようですね。ご近所なのでは?
大事なご近所さんから、私の
愛しい方になっては、いただけませんか?
喜んで。
ラブストーリーは、永久に。
我が愛猫は、テレビをつまらなさそうに見て、
あくびをしていた。
また会いましょう
「じゃあ、また会いましょう。今度は飲みに行けたら嬉しいな」
街で偶然会った彼女は、少し上目遣いをして笑いながら小さく手を振った。そして背を向けて歩き出す。
俺は大きく息を吸い込んだ。顔が熱くなる。心臓がバクバク鳴り始めた。いつもなら社交辞令と思うところだけど……。
でも、これは行くだろ。またっていつだよ?
――決めるなら今でしょ!
俺は腹に力を籠めて、彼女の背中を追いかける。
「待って。この近くにいい店あるんだ。よかったら今から――」
#87
八月十四日。
今年もベランダに、死にかけの蝉がやってきた。
二〇秒。高く高く身じろぎもせずに、コンクリートのベランダに、はいつくばるようにして、高らかに鳴き、そして動きを停めた。
猫が、命が尽きるのを見届けるかのように窓ぎわで息を潜め、その距離十センチ、鼻先には厚く、室外機でさらに熱くなったガラスの向こうには、暑い外気。
ここは七階なぜここへ?
土へ落ちればいいものを。
緑に紛れればいいものを。
なぜここへ。
わたしになにをしてほしいのか。
動きを停めてから、完全に命が尽きるまで、一日はかかるのだ。
埋めてあげようと手を伸ばすと、決まってこのセミは、最後の力を振り絞って暴れる。
かわいそうで、ただ、完全に命が尽きるのを、わたしは猫とともに、ベランダの内側でひっそりと、息を潜めて待つのだ。
猫はまだ見ている。ぴくりとも動かない。ぴくりとも鳴かない。瞬きもせず、厚いガラスの向こうの、茶色い塊を見つめている。
その蝉は、左の翅が破れていた。
ここへたどり着くまでに、どこかにぶつかったのか。
思いは遂げたのか。
ただ生まれ、地上にあがり、そして鳴き、そして死ぬ。
ひと夏というにはあまりに短いその鳴き声は、蝉は命を謳歌できたのか。
尽きる直前までの高らかな歌は、煩いほどに猫の髭をはりつめさせた。
ベランダに死に場所を求めているとは思えない。
わたしに何か伝えたいことがあるのだ。そう思うことにしている。
埋めるのはあした。
満足したのか。
最期まで鳴けたのか。
猫はまだ蝉を見ている。
二度と動かない蝉を、今はいたわるようにして、寄り添う。
蝉はわたしに寄り添い、明日、土に埋める仕事を与えた。
ひと夏の感謝。
来年もきっと会おう。
わたしはそう伝えることにしている。
--ベランダの蝉
ペラペラとページをめくり
冒険に出る
楽しいことも 悲しいことも
困難なことも 嬉しいことも
ページをめくって 出会っていく
最後まで読み進め
ぱたん と本をとじれば
冒険は終わる
君たちに会いたくなったら
本を開けばいい
駅につくまで、どちらも言葉を発さなかった。私はただ前を歩く彼の背中を見て歩く。見慣れた光景だというのに、今日だけはこんなにもつらい。こみ上げてくるものを必死に隠しながらその背中についてゆく。
「ここでいいよ」
ようやく口を開いて彼が足を止めた。いつの間にか駅前だった。ここでいい、即ちお別れだ。彼はゆっくりこちらに向かって振り向いた。いつもの、えくぼが見える私の大好きな笑顔だった。
「見送りありがとね。1人で帰れる?」
「いつまでも子供扱いしないで」
「そっか、ごめん。もう子供じゃないもんね」
彼は私の頭にぽんと手を乗せた。そういうところが子供扱いされてる気がしてならないのに。今日だけはそれが嬉しかった。まだまだ私は子供だからもう少しそばにいてよ。そう言えたらどんなに良いだろう。
「あの、」
「また会おう」
私の言葉を遮るように彼が言った。ひどいね。気持ちを伝えさせてもくれないの。いや、それとも優しいのかな。今ここであなたに訴えたところで、私の気持ちに答えてくれないのは分かってる。言ったところで悲しく項垂れて1人で家まで帰る羽目になるから。だから言わせないようにしてるのかな。もしそうなら、もっと好きになっちゃうよ。
「また会おうね」
もう一度彼は言った。その言葉をどこまで信じて良いものなのか。あんまり優しいこと言わないでよ、本当に期待しちゃうから。
戸惑う私の前に彼は右手を差し出してきた。私も同じように手を出したら強くぐっと掴まれた。ほんの3秒間の握手だった。
そして彼は私に背を向け改札の中へ消えていった。“また”って、いつなの?それくらいは聞いても良かったかな。期待しないで、でもひっそりとその日が来るのを夢見ながら1人になった帰り道を歩いた。
キミのと別れ。
それはきっと間違ってないのに、ふとした時に切なさが押し寄せる。
でもキミは微笑みながら「また会いましょう」と言った。
これからもキミと笑顔で会える未来を信じて、僕はキミを忘れずに生きていく。
また会いましょう
「僕たちはいつでもここで待っています」拍手で返した無言の約束