某ゲーム二次創作
「また会いましょう」って何回も聞いた正直聞き飽きてる。
あたしはとある事情で家から逃げ出した所謂「家出少女」タチアナ。
自分で言うのも何だけど結構可愛いから冒険者が拾ってくれる、街から街へ行ったり来たり。
今ではこっちも名前をエクレアとかクリームとか適当に変えたり生きている。
でも最初は皆優しくしてくれるんだけど時間が経つとお互いもて余すのよね。
あたしのどこに不満あるんだろう。
子どもだから?あたしこれでもいいとこの家の娘だしちゃんとしてるつもりなんだけどな。
適当に言う事聞いてヘラヘラ笑って適当に合わせてあげてるじゃん。
こうなったのは親が悪いの、兄弟が悪いの、あたしは何にも悪くない!
「ちくしょーっ!」
街の広場で愚痴をこぼす、誰かに八つ当たりしてやりたい気分だったけど街の人達は家出少女ってわかってるから誰も話しかけもしない。
この街ではあたしは完全な空気だ、アウェーだ、派手なカッコしてるけど。
「今日はどうしよ。」
考えるのは今日寝るところ、だから冒険者を探している。
あたしのことは何も知らないから。
でもアイツら気軽に街から街へ連れてってくれるけどすぐにオサラバ「また会いましょう」って…。
私は私の居場所が無い…。
今日はどっかで引っ掛けるしかないかな…。
「タチアナ=ラザイエフ!」
銀髪のショートカットの女が話しかけてくる。
エクレアでもクリームでも無く久しぶりに聞いた本当の名前、懐かしい名前…。
「あ、お姉さん〜!どうしたの?」
今日はコイツかな…思い切り猫撫で声で話しかけてやる。
「ちょっと小耳に挟んでね、私はカタリナ=ラウラン。あなたを正式にスカウトしに来ました。」
「スカウトって?あたし可愛いからな〜。」
「私と一緒に行かないかしら?これは契約書です待遇は悪くないわよ。」
「時給高いね…お姉さんお金持ち?」
「契約書のサインはOKね。はい、メイス。」
「え、モンスター討伐とか?あの、あたしそういう肉体労働はちょっと。」
「行くところないんでしょ?」
「え、またどっかの人捕まえるから…。」
「人に期待しない!自分の道は自分で切り拓く!はいこれはあなたの分のメイスよ持って下さい。」
このおばはん、なんか押しが強いな…。
「手伝ってくれたら私も嬉しいわ、お互いwin-winの関係で行きましょう。」
「え?う?うそーっ。」
騙された…。
こんな奴からは逃げ出してやる!
こっちから綺麗に「また会いましょう」とか言ってやりたいわ!
「もし逃げたらお宅に請求書が届いてすぐに居場所が知らされる手筈になっています。」
「ふぁ?ズルい!卑怯者!」
「さあ、行きましょう。これからよろしくね。」
こうしてあたしは正式にカタリナの相棒として旅に出ることになった。
「また会いましょう」
11/14/2023, 6:17:29 AM