『どこまでも続く青い空』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
せっかくの休みだというのに、本日は早朝から家の手伝いに駆り出されている。
垣根仕立てのブドウ畑をカゴを載せた台車と共に佇む。
収穫用のハサミでパチリパチリとブドウの軸を切っては、たわわな赤い房をカゴの中に容れていく。
熟した房が手近に見当たらなくなると一歩、二歩、横にズレて再びパチパチと房を収穫していく。
同じようにブドウを収穫している父母、手際の良さかどんどんと遠くへ行ってしまう。
貴方は自分のペースで来ればいいのよ。
遠くから聞こえた母の声に、わかったよと応えた。
遮蔽物のない農地に降り注ぐ日光が、冷えた手足をじんわりと暖めていく。
くあっ、と大きく口を開けて欠伸を一つ。
一杯になったカゴの上に新たなカゴを載っけて、ブドウの房を一つ手にする。
そんな、優しい夢から醒めて独りベッドの中、パジャマの袖で目元を拭った。
テーマ「どこまでも続く青い空」
ぷはーっ。
タバコのうまさを実感できる時間が、最高に幸せだー。
と、思う自分に惨めさを感じてしまうのも現実だ。
この、どこまでも続く青い空を眺めながら、職場の喫煙室代わりにしているベランダに逃げてくるのも乙だなぁ。
「って、おい、なんでこんなに混んでるんだよ」
どんどん端に追いやられて、混雑し始めるベランダ。
「営業会議でもないのに、部長が来て暴れてんだよ」
あーそういうことか。
じゃ、仕方ねーな。
俺は、再びタバコを思いっきり吸い込んで吐き出した。
虚しくても、惨めっぽくても、やっぱりこの時間は至福の時だ。
お題『どこまでも続く青い空』
何も言わず
この青い空を
あなたとずっと見ていたい
どこまでも続くこの青い空を
いつまでも永遠に…
あなたと二人で
【どこまでも続く青い空】
•ふっと空を見上げれば何か癒される…
空の写真を撮っても癒される…
悲しい事や苦しい事や辛い事があった時も癒される…
雨の日も晴れの日も癒される…
雨の日の空も違った見え方をする。晴れの日の空は太陽で照らされる。まるで光が入ってるようだ…
何かと青空は癒される…
鳥も気持ち良さそうに飛んでるよ。
私の「ふっと青空を見上げる」というテーマ。
私がいる「現在地」から「目的地」に着くまで
どのくらいの距離があるだろう。
ここから果てしなく遠い「目的地」のその先も
いつまでもこの青い空が続くとは限らないと思う。
今のような穏やかな青い空のように平坦な道も
あの頃のようなツラい土砂降りのでこぼこ道も
昔のように母と乗り越えた通り雨のような上り坂も
全てがこれからに置いてもあるだろう
だけど私の心は何があっても挫けない、
どこまでも続く青い空のようだと信じてる。
「目的地」に向かってひたすら歩くのみ。
誰も知らないこの道を一人でGoogleマップも使わずに
空は広い
雨が降っていようが
雷が鳴っていようが
上を見れば一面に広がっている
まあ結局
一番好きなのは
晴れた日の
雲もないような
青く澄んだ空なんだけど
お題:どこまでも続く青い空
【お題:どこまでも続く青い空 20241023】
「すごいな⋯⋯」
その呟きは誰の耳に留まることもなく、大気に消えていく。
それでも呟かずにはいられないのは、きっとこの景色のせいだ。
「来てよかったな⋯⋯」
本当はキャンセルしようと思っていたこの旅行。
でも親友に絶対に行ってこいと言われ、しぶしぶ日本を立った。
一緒に来る予定だった彼女と喧嘩をして別れたのが出発の3日前。
この旅行のために、残業と休日出勤でどうにか仕事を終わらせて心配事もなく日本を旅立てる、そう思っていたところだった。
『やっぱり、ヨーロッパがいいな。お城とかそういうのが見たい。ねぇ、今から変更できないの?』
旅行の打ち合わせを兼ねた食事の席で、そんなことを言われた。
いや、待ってくれ、ヨーロッパにしようかって言った時、普通すぎてつまらない、テレビで見たここに行ってみたい、って言ったの君だよな?
この時点で、少しイラッとしてしまったのは、大人げなかったかもしれない。
やんわりと、今回は大人しく南米旅行にして次にヨーロッパにしよう、と言ってはみたものの⋯⋯。
『今なら変更できるでしょう?パパならすぐOKしてくれるよ?南米とか買い物出来ないし、友達にも全然自慢できないもん。ねぇ、私、ヨーロッパに行きたい』
取引先のお嬢さんだし、若いし、見た目も好みだったというのはある。
初めの頃はわがままも可愛いと思えたけれど、それも度が過ぎるとマイナスでしかない。
最近はそういう事が多くなったし、人を見下すような所も、男をアクセサリーのように扱う所も我慢できなくなっていた。
だからあいつには悪いけど、ここが限界だなと思ってメッセージを送った。
【ゴメン、もう限界。別れる】
すると、すぐ様返事が入った。
【会社のことは気にするな】
これぞ、俺の親友。
俺が女だったら、確実に惚れてるね。
で、今まで貯めた鬱憤を大人の男らしくスマートにぶちまけて、お別れをした。
「12年か?」
学生時代に起業した親友と一緒に働き続けること12年。
休みらしい休みも取らずに、世界中あちこち飛び回ったが、旅行としてプライベートで海外に来るのは初めてだとついさっき気がついた。
彼女とも海外は初で、日程の関係もあってそれまではずっと国内だったからな。
そう考えるとこの旅がすごく貴重なものに思えてくる。
「クスコの街やマチュピチュも良かったけど、コレには敵わないな」
見渡す限りの真っ白な大地に、どこまでも続く青い空。
今は昼だが、夜になるとこの青空が一面の星空に変わるのだという。
ガイドの話では星明かりで自分の影が見れるとか何とか。
うん、それも今から楽しみだ。
そうそう、ウユニ塩湖と言えば鏡張りの景色が有名だが、あちらは運も必要なのだとか。
あの鏡張りの状態になるにはいくつかの条件があって、見るのはなかなか難しいらしい。
地上と上空の両方にどこまでも青い空が続いている状態がみたいのならば、滞在期間を長くしてチャンスを狙えとガイドが言っていた。
そう、聞いてしまったら見たくなるのが人間ってやつだよな。
すぐには無理でも、絶対に見てやるって思ってしまう。
「よし、次は雨季に来よう」
白い大地と青い空の画像を日本にいる親友に送る。
帰国はもう少し先になるが、最高の景色をプレゼントだ。
【今度は俺も連れて行け】
そんなメッセージが返ってきた。
だから⋯⋯。
【任せろ】
おれもあいつも独身だ。
その気になって頑張れば、2人で旅する時間は作れるだろう。
今の世の中リモートワークもできることだし、きっとどうにでもなる。
「んじゃ、もう1回スペイン語、勉強し直すか」
通訳を介さずに地元の人と話せれば、旅はもっと楽しくなりそうだ。
次の目標もできたことだし、さぁ、また頑張るか!
━━━━━━━━━
(´-ι_-`) 行ってみたいね〜。
「どこまでも続く青い空」
あぁ、綺麗だ。
きっと人は青空を見てこういうのだろう。
私も以前はそうだった。
空を見るために外に出て、空を見るために早く起き、空を見るために上を見上げていた。
だが、それももう昔の話。
地球が空1色に染まりはや3年。人々は誰も上を向かなくなった、上を見なくても見えるから。
どこまでも続く青い空が。
駅のホームで電車を待ちながら、ふと空を見上げた。どこまでも広がる青い空が、私の心に静かにしみわたっていく。
今日は雲ひとつない快晴だ。都会の中で、こんな広々とした空を見るのは久しぶりかもしれない。いつもはビルに囲まれて空を見上げてもその一部しか見えない。
でも、今日は違う。この広がりが、私をどこか遠くへ連れて行ってくれるような気がした。
「どこまで続いてるんだろう…」
思わずつぶやいてしまった。この青い空は、私にとっていつも手の届かないもの、自由の象徴のような存在だ。
仕事に追われ、毎日の生活に縛られている私には自由に息をつける時間なんてほとんどない。でも、こうして空を見上げると、その無限の広がりに少しだけ自由を感じることができる。
学生時代のことが頭をよぎる。あの頃、私はよく遠くへ出かけていた。山や海、広がる空――どこまでも続いているかのように感じた未来も、あの頃は手に届くような気がしていた。けれど、今は違う。仕事に追われる毎日、夢中で走り続けるしかない現実。あの頃感じた自由は、どこへ消えてしまったのだろう。
遠くから電車の音が聞こえた。忙しい現実が私を引き戻す。でも、その前にもう一度だけ空を見上げた。青く澄んだ空が、どこまでも続いている。
「いつか、またこの空を追いかけられる時が来るかもしれない」
そう思いながら、小さく息をついて、やってきた電車に乗り込んだ。
青い空はいつだってそこにある。それに気づくかどうかは、私次第だと感じながら。
【どこまでも続く青い空】
青い空にうかぶ雲が動いてることにはじめて気が付いたのはいつだっただろう?
風に吹かれて雲は流れ
鳥たちは囀りながら風に乗る
何処までも広いあの空を
貴方も見上げているだろうか
未来と希望を夢見て眺めたあの虹は
もう見ることは無いけけど
いつか貴方との刻が重なれば
また新たな虹を見られるだろうか
遠い地にいる貴方の元へ
どうかこの想いを風よ運んで
「何処までも続く青い空」
この空に話しかければ
あの子のところまで届くだろうか
それなら わたしを迎えにきてほしい
あなたのいない世界で
思い出の欠片を集めて 目を細める日々は
たまに涙が出てしまうよ
空の青さは 宇宙の色だとか
地球の青が大気圏で反射してるとかいうけど
(いうよね?)
じゃあこの空を辿っていけば
アカシックレコードにもいけるはず
そしたら なにを願おうか
あの子との幸せな日々を また繰り返そうか
わたしの大切な人が ひとりも欠けてない時期に行って ずっとループしてたいな
なんて、話しかけてみる
◇どこまでも続く青い空◇
『どこまでも続く青い空』
農場から帰ってくると愛犬がなにやら咥えている。
「ただいま。今日は何を見つけてきたのかな?」
普段はただの愛らしい犬は山に入るととてもよく働く猟犬だ。なので拾ったものはとりあえずこちらに見せてくれるし、あげるよと言えばおもちゃにしたり食糧にしたりする。咥えた口からぽとりと落とされたそれはどうやら弱った生き物のようだった。
「……あー、これはこれは」
拾い上げて検分するとくちばしがあって羽もある。そしてまだ暖かみがある。
「ごめんね、これは僕がもらうよ」
利口な愛犬は少しだけ惜しそうな顔をするとその場にうずくまり拗ねてしまった。
弱ったひよこを箱に入れ、湯たんぽに布を巻いたものの傍に置いてやると少し元気を取り戻してピィピィと囀りだした。飼料用の穀物を問題なく平らげたひよこは甲斐甲斐しく世話を受けるうちにぐんぐんと成長し、今では愛犬と変わらぬ大きさにまでなっている。
「君はなんていう鳥なんだろうね……?」
俊敏に動く犬と鳥はお互いいい遊び相手になっており、空中を縦横無尽に舞う鳥を犬は身体をバネのように躍動させて今日も飽きることなく追いかけている。種族の違う友人同士が遊び回るのをずっと見ていたい気持ちはあるけれど、野生のものはいずれは野生に返さないといけない。
よく晴れた日に空を見上げる。あれからもう少し大きくなった鳥も同じように空を見つめていて、これから自分がどこへ行くべきなのかをわかっているようだった。
「さぁ、お別れの時間だよ。友達に言っておきたいことはあるかな?」
心なしか涙ぐんでいるように見える愛犬は鼻を鳴らして鳥にひとしきりじゃれついた後、僕の足元から離れなくなった。
そよそよと風が吹いてきたのを見計らっていたかのように大きな鳥が翼を広げ数回羽ばたかせて空へと舞った。頭上を何度か旋回した鳥は友人の吠える声に耳をそばだてていたが、やがて空の彼方へ向かってまっすぐに羽ばたいていった。どこまでも続く青い空にその姿が見えなくなるまで愛犬はじっと大空を見つめていた。
どこまでも続く青い空。
「果てない空」…
この嵐の曲めっちゃ好きだなぁ、♥
授業中、
教科書とかに出てくる文から、曲連想させて
1人で盛り上がってた🎶
ここまでは、思い通りに描けたと思う。
風そよぐ緑の草原。揺れる草花。
突き抜ける青い空。澄んだ空気をイメージした、青と白のグラデーション。
小さなキャンバスに閉じ込めた、空想の世界。
切り取られた一場面が、まるでそのさらに奥まで続いて行くみたい。
下書きから色塗りまで、我ながら上手く表現できたと褒めたくなる。
巨匠のように遠くから眺めては、うろうろにんまり、自画自賛を止められない。
上機嫌で行ったり来たりを繰り返す。
う~ん、けれども。
駄目だ、やっぱり気になるな。
眺めれば眺めるほど、この絵の欠点にも気付いてしまう。
何処か、物足りない。
現実味が弱くって、物語が空想の域を飛び出しきれていないのは何故だろう。
いや、嘘は良くないな。
何処かだなんて濁したけれど、原因ははっきり分かっている。
ファンタジックでありながら、草花にリアルさを持たせて写実的に描いているのに、空に雲一つないのがいけないんだ。
快晴の空だと言い切ればそれで良いかもしれないが、現実世界、そんな天気など滅多にない。
現に美術室の窓から見える青空も、どこまでも続く気持ちの良い晴天だが、小さな雲がぽつぽつと、あっちにこっちに広がっている。
あーあ。名作のためにはやっぱり避けては通れないか。
苦手なんだよな、雲描くの。
不自然にならないように、ランダムに。
世の天才たちは事も無げにちょいちょいと描いてくれるけれど、あのさじ加減が難しい。
皆どうしてあんな風に描けるのかなあ、羨ましい。
仕方がない。更なるステップアップのため、観念して雲を描き足してみるとしよう。
ここまで来て失敗したら悲惨だが、案外ここで覚醒して上手く描けるかもしれないし。
白と青に、黒、黄色。赤色も少し用意しておこう。
筆を取った手が緊張で振るえてくる。
ぶれるな、ぶれるな。落ち着いて。
さあ、プラスαが吉と出るか凶となるか。
どうか田植えみたいな雲にだけはなりませんように。
深呼吸をして、まずは一筆。
ペタリと一手、描き足した。
(2024/10/23 title:061 どこまでも続く青い空)
どこまでも続く地平線
現代に生きる私たちはその先を知っている
でもそれは、知識でしかない
古来の人々はこの地平線に浪漫を求め、命を賭して進んできた
馬鹿げてると思うその一方で、羨ましいとも思う
浪漫を求めて生きてみたいものだ
「お前さぁ、ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃねえよ」
バチバチにキレた顔で凄まれて、言い返すために用意していた言葉が咄嗟に喉の奥に落ちていった。呆然とする私に奴は言ってやったぜと言わんばかりに鼻を鳴らして背を向けて歩いていく。
その背中を見送りかけて、はっと慌てて口を開いた。
「え、私のこと可愛いと思ってんの?」
その言葉にたたんと足を縺れさせて、奴がぎょっと振り返る。相変わらずバチバチにキレた顔。けれど出てくるのは、は、なに、ば、そんな単語にもならない声と、耳まで真っ赤な色。馬鹿だ、こいつ本当に馬鹿。
何よりの答えに、思わずにーんまりと笑ったその瞬間。
「ちょ、うし、乗んなっつったろ!!!」
それはもう、バッチバチにキレた顔でそう怒鳴られた。
お題『どこまでも続く青い空』
世界は雲に覆われてしまった。本当の空を見るには、飛行機に乗るしかない。僕が生きてるのはそんな時代。
かつて日本は、雲に覆われておらず、晴れると青い空が広がっていたこともあったみたい。だけど、気候変動が起きて、日本のみならず、世界中が雲に包まれてしまった。
本当の青い空を見るには飛行機に乗るしかないんだって。
でも、うちは貧しくて旅行に行くなんて贅沢はできなかった。ないお金から大学まで行かせてくれた親には感謝している。そんななかで、出た友人からの『海外旅行行こうぜ』という言葉。
なんでも、たまたまハワイだけは雲に覆われてないんだって。
僕は、幸い大学にはあまり行かなくて済むくらい単位は取れていたので、どうにかしてバイトをたくさんこなして、友達と旅行に行けるくらいにはためられた。
そうして、初めて空港へ行って、わくわくそわそわしながらパスポートやら手荷物やらの手続きを済ませて、友達のコネでラウンジに入れてもらってビールを飲み、美味しいカレーを食べて飛行機に乗った。
離陸する時の体が浮く感覚がなんとも言えなくて、でもそれを友達に言ったらしばらくいじられそうだから言えない。飛行機が浮いて雲の中を飛んで突き抜けた。
その先の景色に僕は感動した。真っ青な天井ではない。これが本物の空なのだと。
僕は、しばらく口を開けたまま初めての光景を目にしていた。
どこまでも続く青い空
サザ…
海辺で波の音を聞きながらぼーと海を見つめる
どこまでも続く青い海と空
いつまで見ていても飽きがこない
「『空』はねぇ、3月から数えて、『星空』2回に『空模様』等の天候ネタ3個、その他空ネタ2個に今回のコレで、合計8個目なんよ……」
「空」明記のお題だけでコレだから、他に「雨」とか含めれば、きっと20は空ネタ書いてきたな。
某所在住物書きは過去配信されたお題を追った。
確実に、空ネタは多い。いくつかネタをストックしておけば、いつか、お題配信とほぼ同時にコピペでズルできる日が来るだろう。 多分。
「……問題は空と雨がネタ切れ寸前ってことよな」
去年同様であれば、「空」はまだ1〜2回遭遇するし、天候として「雪」出題はほぼ確定である。
それまでにネタ枯渇を解消できるだろうか。
――――――
私が推してる同人発祥・原作のゲームに、いわゆる鉱石ランタンみたいなアイテムが出てくる。
複数個あって、それぞれ「偽物」が作られてるから、「ランタンシリーズ」と「ランタン:レプリカシリーズ」って言われてる。
有名どころでは、「癒やしのランタン」と、「癒やしのランタン:レプリカ」っていうアイテムだ。
詳しいことは割愛するけど、ランタンの中の鉱石がぼんやり、あるいは明るく輝いて、幻想的。
屋外にポツンとランタンがひとつ置かれてる、シンプルな構図の公式イラストは、
どこまでも続く青い空の下の偽物バージョンと、
星が輝く夜空の下の本物バージョンとで、
背後の裏話が違う、っていうギミックがあった。
ドチャクソに人気なゲーム内アイテムで、要望も多いのに、未だに商品化されてない。
原作者さんがランタンの光り方・光らせる方法・大きさと付属品等々にバチクソこだわり過ぎてて、企画書にゴーサインが全然出ないってウワサ。
で。何故そんな鉱石ランタンのハナシを紹介するかというと。 とある喫茶店で見つけたのだ。
ゲーム内のランタンとはそれほど似てないけど、
なんなら光る色も中の鉱石の形も違うけど、
すっッごく、雰囲気が「それ」っぽいランタンが、
喫茶店の、青空ゼリーの大食い完食チャレンジの景品として、掲げられてたのだ。
なんでも店主のおばあちゃんが、最近の長い長い夏と高温多湿を見越して、涼しげな形と味のブルーサイダーゼリーを大量に作ったらしい。
で、好評と売り切れと増産を繰り返して、昨今の最低気温ストンで余っちゃったと。
先着10名、ブルーサイダーゼリーを1kg完食したら、無料でランタンが貰えると。
はい。職場で長い付き合いの先輩連れて来ました。
実用と保存用、2個頂く所存です。
「永遠のこうはい」こと私、高葉井、頑張ります。
「後輩。こうはい」
「なぁに先輩」
「私は特に大食いでもないし、なんなら一般的には、少食にカテゴライズされる可能性がだな」
「大丈夫。ここのゼリー、低糖質」
「高葉井、」
「腹をくくれツバメ。お前も管理局の職員だろう」
「すまない高葉井。発言の元ネタが分からないし、私はツバメじゃない」
それじゃ、頑張ってね。
優しくて穏やかな顔したおばあちゃんが、
私と先輩が座ってるテーブルに、とことことこ。
1人分100gのガラスの器に盛られた「青空ゼリー」が、私と先輩の分で、ずらり合計20個。
整然と、並べられた。
青いソーダ味のキレイなゼリーの中に、ふわふわなホワイトサワーが閉じ込められてる。
卓上に大量展開された、どこまでも続く青い空。
20のガラスの器の中に、青と白が広がってる。
キレイといえばキレイだし、壮観といえば壮観。
内容物の重量は、2人分だから約2kg。
これを完食すれば、鉱石ランタンが2個手に入る。
「いくぞ。ツバメ!」
「だから。私はツバメじゃないし、どう返答すれば良いのか理解していない」
「ランタン回収ミッション、開始!」
「あのな高葉井」
大食い完食チャレンジ用に用意してくれたと思しきレンゲスプーンを持って、
ぷるん、青空のひとつを、青いゼリーの形を崩す。
口に含めば優しいシュワシュワ感が先に来て、
私の舌に、ゼリーじゃなくてホワイトサワーのソフトグミが当たってるってことに気づいた。
「美味しい。好き」
味変用に出されたハチミツは、さながら空の奥に控える陽光のモチーフだ。
ぺろり。秒で1個目を胃袋に収容する。
残りの大食い完食チャレンジ、青空ゼリーの個数は、19個。私は2個目に早々、ハチミツをかけた。
オチを言うと、先輩はなかなか健闘して、7個で撃沈。私は頑張って先輩の分も食べきった。
めっちゃ幸福に景品の鉱石ランタン2個を抱える私を、先輩は苦しそうな顔して、見てた。