せっかくの休みだというのに、本日は早朝から家の手伝いに駆り出されている。
垣根仕立てのブドウ畑をカゴを載せた台車と共に佇む。
収穫用のハサミでパチリパチリとブドウの軸を切っては、たわわな赤い房をカゴの中に容れていく。
熟した房が手近に見当たらなくなると一歩、二歩、横にズレて再びパチパチと房を収穫していく。
同じようにブドウを収穫している父母、手際の良さかどんどんと遠くへ行ってしまう。
貴方は自分のペースで来ればいいのよ。
遠くから聞こえた母の声に、わかったよと応えた。
遮蔽物のない農地に降り注ぐ日光が、冷えた手足をじんわりと暖めていく。
くあっ、と大きく口を開けて欠伸を一つ。
一杯になったカゴの上に新たなカゴを載っけて、ブドウの房を一つ手にする。
そんな、優しい夢から醒めて独りベッドの中、パジャマの袖で目元を拭った。
テーマ「どこまでも続く青い空」
10/24/2024, 6:58:14 AM